B-REVIEW作品投稿掲示板


きみのこと、ぼくの町で   

帆場蔵人 
作成日時 2018-11-09
コメント日時 2018-11-11

 

産まれてから 町のいたるところにいた彼らを 最近では見かけなくなったね、と いつか、きみは言ったが ぼくの田舎ではまだまだ彼らは 町中で立ち尽くし あの狂おしい夏の暑さにも耐えぬき 愚直に人々が課した使命を勤めあげているよ 彼らを見るとほっ、とすると同時に 酷い罪悪感に晒される 雨に晒し、野に晒し、陽に晒して 白状するならぼくだって いま、この時、きみを語り始めるまで 彼らを思いもせず、眼を逸らしていた きみの街では地に埋められた彼らの 同類がひかりに晒される事も 省みられる事もない 大抵のものは消えるのではなく 姿、形を変えられて 名前さえ変えられて すり替えられて隠されて 要らなくなれば 忘れ去られていくだけ 壊れて廃棄されるのか どちらにしても人々は 目を逸らし続ける *** 白い荒野でぼくらは 無自覚に向かい合うこともなく 話していたね 水に落ちるよ、くるくる、クスクス レミングって集団自殺するんだね あー、落、ち、た、オチタ…… 違うよ、投げ込まれてるんだ レミングは本当は自殺しない あれは虐殺なんだよ きみは耳を落としたみたいに 映像に見入っていた *** 電線に区切られた ちいさな夜空、ぼくの町のそら その神話にきみの星座を加えて 美しく飾るのはきっと冒涜だろう 静まり返った深夜の町に立ち尽くす 彼らに跪き、そっ、と抱きしめてみる それは固く鼓動さえ聴こえないんだ 孤独な電柱が死に佇んでいる


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stereotype2085 (2018-11-10):

これは「***」で仕切られた三つの違う作品なのでしょうか。もし一つの作品で、尚且つ「***」が演出として使われているのだったら、音楽における転調のようで、それぞれ三パートが独立して機能し、効果的だと思いました。違っていたら失礼を。

帆場蔵人 (2018-11-11):

stereotype2085 様 コメントありがとうございます。仰る通りこの作品はひとつの作品を3つに別けています。ぼくにするとあまり描かない手法を模索しています。一応、先月の作品、唯一の友だち、でも試しました。 回想や時間の転換の印として「***」を使っています。効果的だと言うコメント、非常に嬉しく思います。

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⑧君の始まらない話   

カオティクルConverge!!貴音さん 
作成日時 2018-11-08
コメント日時 2018-11-10

 

時間の呪縛から解放された男は、歳を忘れる程に生きていた。彼は旅人となり、この世の果てを幾度とその目に塗り重ねた。彼の瞳はブラックダイヤモンド、または宝石の宇宙と呼ばれ覗き込むと息を忘れる程にその瞳の奥に意識は吸い込まれ、同時に処理しきれない情報がイメージとなって脳内を駆け巡る。繊細な人だと精神に異常を来すそんな瞳をしている。彼がある晩、宿泊先で寝ていると強盗が忍び込んだ。手足を縛られ猿轡された彼は助けを呼べないまま眼を抉り取られた。彼と私達の住む世界にとって最大の損失である。 ⑧はその頃、デタラメジャポンに来ていた。中心部は無駄に張り巡らされた電線が有り、隙間から日差しが漏れていた。この電線は本当に全て、電流が流れているのだろうか?確かめてみたい気持ちもあるけど、感電するので止しておこう。朝だというのに、ピンクの下品な芸者の看板が光っていて、人力車暴走族が縄張りの印を描いた和紙を号外の様にばら撒いていた。花魁の格好をした色っぽい女が日陰の方で畳を一畳敷いて客を待っていた。 「もし?…そちらの、方よろしかったら…占って、あげましょか?」 独特の息遣いと、ゆったりとした喋り方が花魁の色気を引き立たせていて、⑧は引き寄せられるかの様に畳の上に正座していた。正座したは良いものの、何も占って欲しい物がなくて、困っていると女は微笑んでこう言った。 「近々…起こる、事を占って、あげましょう…」 黒い漆塗りの木箱の中には、幾つかの小道具が入っており、その中から花札を取り出した。花札を軽快に切り混ぜ、畳の上で更にごちゃごちゃに掻き混ぜた後、丁寧に48枚を並べた。 「これと…思う物を選んで、下さいな。あなたが、自らの意思で…歩む道で、御座います。」 ⑧は真ん中辺りの札を捲る。萩に猪だった。 「萩に猪…正位置で、御座います。貴方は、猪の如く、その強い生命力で…幾多の困難を駆け抜けるで、しょう。次ぎは、私の…方から捲らせて頂きます。貴方が望んで無くとも歩まされる、回避出来ない道で、御座います。」 女が札を捲ると芒に月、⑧から見て逆を向いていた。女の顔が少し苦い表情になった。 「芒に月の…逆位置。別名、死んだ月と血染めの空、そして荒廃の地。大凶で…御座います、ね。貴方は…これから、全く関係の無いものに、巻き込まれてしまいます。下手をすると…命を落とす、事もあります。ですが、最初に選んだ札の通り、貴方は、その強い生命力で…前進して、乗り切る事が出来る、可能性が…あります。立ち止まらない、事です。脇目も振らず…一心不乱にどうか…道は、常に、前にあります。」 良い事と悪い事を同時に言われると、逆にどう受け取ったら良いのか分からない。きっちり分けて言われる事が良いのだなと⑧は思った。こうなると悪い事の方が気になってしまって、さっさと此処から立ち去りたい。不幸が来る前に竜宮ホテルの煙草バーで、静かな海を吹かしたいんだ。あれは良い。葉巻みたいに燃焼がとてもゆっくりとしている。眼を瞑れば何処までも続く遠浅な海にいるようだ。あれを吸いながら、ドロップムーンを飲みたいのだ。世界の引力が時を限り無く引き伸ばすその中に身を投げたいのだ。さっさと干支タクシーを捕まえよう。午が走っている筈なのに、何故か一台も見当たらない。困ったなぁと⑧は練り玉珈琲を舐めようとした時、人混みを強引に掻き分けて駆ける男がやって来た。 「あらー…早速、不幸が…やって来た、わね。」 ⑧は深い溜め息を付いた。


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みうら (2018-11-10):

この作品が私のことを書いているのかと錯覚してしまうぐらいに魅力的な人物として描かれている。いや、愛情が込められている作品に読めた。ややプロットにラフな感が残るも。

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酩路   

さかさまほうびん 
作成日時 2018-11-08
コメント日時 2018-11-10

 

思い出せたのはこの一角だけで、あとはずっとシャッターが閉まったままだ。 (夜になると開くらしい。見たことがないのでわからない) 昼間はとても静かだ。 風が強いのと、曇っているのとで、また何かを思い出しかける。 暗くなると、迷路が現れた。 ここはあなたのような人が来る場所じゃない、とすれ違いざまに声が聞こえる。 私に言ったのかどうかまではわからないけれど、目立たないスーツを着た男に言われる。 私のような人? たしかに、ここにはいないような気がする。 ではあの人は?あそこに立っている、私と同い年くらいの女は? ひとりひとりにたずねてまわる妄想。 彼らが順番に答えていく。 そうよ、私は友達に誘われて来たの。 俺はあの店のお姉さんと知り合いなんだ。 今日は仕事でいやなことがあった。 家に帰ったら子どもからの質問攻めにあうんだよ。 どうしてあたしここにいるのかしら。 道に迷ったんだけど、君、この通りの出口わかる? あんたはなんでこんな所にいるんだい。 僕はどうしてここにいると思う? 気付くと靴の裏がひどく汚れている。 看板の明かりを頼りに、それを確認する。 ガムを踏んでしまったようで、すでに半分泣いている。 風が強いので、スカートがなびいて、グラ/ビアのチラシが飛んで行った。 こっちにおいでよ。 私? そう、君。 どこにいるの? こっちだよ。このドアを開ければ、朝になるよ。 嘘でしょう。ここは出口なんかじゃない。 何を疑っているんだ? さあ、私は私に何の疑いも持っていないけれど。 僕の言うことが信じられない? あなたが先に、このドアの向こうへ行ってくれれば。 なるほど。 それに、私は昼間ここへ来たことがあるのよ。 なんだ、それじゃあ全部知っているんじゃないか。 でも、昼と夜ではあまりに違いすぎる。 それも知っているんだね。知らない人が多いよ。誰も昼間にここを通ろうなんて思わないから。 きっとそうでしょう。とにかく、私は帰ります。 そういえば君、どこかで見たことある気がするんだけど。 きっとそうでしょう。 西の出口のすぐそばにある店で働いている? きっとそうでしょう。 僕のことは?覚えていない? (以前、shikiとして詩を一編だけ投稿した者です。いろいろあってしばらくビーレビを見る余裕がなかったのですが、なんとか復活しました。よろしくお願いいたします。)


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ロ三 (2018-11-09):

詩の語り手の存在が、語り手以外の登場人物のせりふで塗りつぶされていくような感覚がおもしろかったです。

みうら (2018-11-10):

非現実な場を表す手法としての詩文。それは暗喩が効果を発揮するからだろう。本作にある暗喩とは語り合う者たちが持つ疑いが喩えとしての何かだ。ややプロットにラフさがあるけれども、そのラフさが特異な表情にもなっている感がある。作者が四月に投稿された当時、私だけでなく多数の人がとても興味を持っていたと思う。作者が書く作品には惹かれるものがある。

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けらく   

田無いなる 
作成日時 2018-11-10
コメント日時 2018-11-10

 

 赤銅色の祖母が玄関に  腰掛けている  今日は調子が悪そうだ  水を  コーヒーカップに一杯  持っていって  飲んでもらおう  唇を濡らすくらい、を続けて  祖母は飲んだ


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༺❦柿原 凛☂༻ (2018-11-10):

けらくって、煩悩から解放されて得られる安楽のことなのですね。 仕事から解放感された後の、ゆとりがある年金生活を送られているのかなと想像しました。 でも調子が悪くて水もそんなに飲みたくなくなって、この世からも解放されようとしているのかなとも読めました。

stereotype2085 (2018-11-10):

「赤銅色の祖母」ってどんなものだろうと考えてみて、人生に疲れ切って倦んで赤銅色に錆びついてしまった老婦人を思い浮かべましたが、この謎めいたフレーズで短い作品に彩りがついていますね。「濡らすくらい、を続けて」との表現も「トビウオ」を思わせる表現で好感を持ちました。

蔀 県蔀 県 (2018-11-10):

好きです。まず出だしがいい。「赤銅色の祖母が玄関に/腰掛けている」二行目へのつなぎがすばらしいですね。「赤銅色の祖母」という譬喩に気を惹かれ、「玄関に/腰掛けている」で急に日常生活の場にハッと戻されます。三行目以降は端的な文章で、支障なく読み進められはしますが、作中人物たちの感情がいっさいわからないまま、詩は「祖母は飲んだ」で唐突に終わってしまいます。そこで「けらく」という題を見ると、ここに書かれた数分(ひょっとしたら数秒)の出来事が、時間的なことなのか感情的なことなのかわかりませんが、いずれにしても途方もない広がりをもったものに感じられてきます。束縛していたなにかから、一挙に解放された心の動き……思いきって言えば、《この一瞬》というものが、《永遠》にまで拡張されています。短さのなかに豊かな広がりがあります。すごい出来です。

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かえっておいで   

杜 琴乃 
作成日時 2018-11-04
コメント日時 2018-11-10

 

あの日、 台風が来ると知り 雨戸を閉めに行ったきり 帰ってこない 降り続く破線に切り取られ それっきり あの日、を どこか遠くへやってしまった 翌朝のちぎれ雲は やさしく整えて日陰に干した 買ったきりしまい込んだコンピューターミシンがあるから お日さま色の糸で 屈託のないステッチで 名前の刺繍を添えて ハンカチに仕立てようと思う もう泣いても困らないように それから、 ちゃんとかえってくるように


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ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-05):

日常がさりげなく非日常と溶け合ってひとつになる、詩的想像力のやさしい細やかさが素敵な作品です。私がこよなく敬愛する山本沖子さんの作品に通じるような世界。 >翌朝のちぎれ雲は >やさしく整えて日陰に干した この二行はことに素晴らしい。想像が詩的真実になる瞬間、というのはこういうものでしょう。ちぎれ雲の質感が手に取るように感じられます。詩によってしか創造し得ないリアリティです。 ひとつだけ贅沢を言うと、「かえっておいで」と呼びかける対象は、「あの日」であると読めるのですが、対象を示唆せずに読者の想像に任せた方が、「かえって」きてほしいものの実在感が増したように思いました。もちろん「あの日」に籠めた作者の思いがあるのでしょうが。

ふじりゅう (2018-11-05):

拝見しました。 あの日、の大切さを詩が流れるように語る様は美しく、切ないです。ハンカチをミシンで仕立てていますが、そのあと「帰ってくるように」と述べており帰ってくる可能性を秘めています。いや帰っては来ないけど信じているだけなのかもしれない。あの日、がもし誰かとの思い出を指していると仮定して楽しく読みました。いい作品だと思います。

仲程仲程 (2018-11-05):

あの日は、忘れたいほどの日だったのか、今では忘れちゃいけないと思っているのか、 そのための気持ちの整理や明日への準備(ハンカチ)がもう出来上がってしまうのか、 うまい言葉がみつかりませんが、いい感じです。 沖縄のおまじないで、魂の抜けてしまったような人に まぶい、まぶい、うってぃくーよー(魂、魂、降りて(戻って)来てよ) というのがあって、共通する祈りみたいなもの感じました。

みうら (2018-11-05):

ビーレビに参加される投稿仲間のうち、日常から発せられるところの言葉を大事に持っていらっしゃる方々の作品を私は好ましく思っていて。他方、コメントを上手く書けないもどかしい気持ちも併せて持つ。本作「かえっておいで」を2度3度と、掲示板をスクロールする度に読んでは、コメントの内容が頭の中で組み立てることが出来ないでいた。雨戸やコンピュータミシンやハンカチがある情景は記憶に埋もれてしまった私が一番幸せと実感していた幼き頃を打つ。しかしながら、それをコメントにすることに迷った。それはきっと今の私の手から離れた、いや、捨てたものだからだと思っていて。気持ち悪く取られてしまうかもしれないが結語にある「ちゃんとかえってくるように」に私の感情は動いた。とてもいい言葉だと思う。もう一つコメントしたいことがあって。先に述べた日常から発せられる詩文、それが私にとって一番苦手なもの、書けない自分がいる。しかし薄々感づいていることがあって、それは、私が書きたい目指しところの傑作とは日常にあるのだろうということ。それを詩人の白島真さんから教わりました。ごめんなさい。長々とした自分語りコメントになりましたが、最後に白島さんから教わった倉橋健一氏の言葉を紹介して終わりにします。 「切実な主題は、日常のくらしの奥にまぎれもなく沈静してある。それをねばりづよく追求し、みずからの物語をつむぎだすことこそが、詩のほんとうの夢であるだろう」倉橋健一

fiorina (2018-11-06):

三浦さんにつられて自分語りをします。友人と鎌倉からの帰り、夕日を首筋に浴びながら電車に乗っていました。彼女は若い頃艶やかな歌や詩を書いていましたが、ある頃から随筆家となりました。わたしはかつての彼女の詩が忘れられず、「どうして詩を書かないの?」と何気なくたずねました。「詩を書いて」と少し甘えるように言ったら、穏やかな彼女が驚くほど強く、その言葉を忘れたのですが、言い返しました。私は小さく「詩じゃなくちゃ、だめなんだ・・・」と言いました。でも彼女の書く随筆は詩のようでした。そして、そのころ私は随筆がかけませんでした。私には丁寧な暮らしというものがなかったのです。若い感情で、暑いトタン屋根の上の猫のような言葉を追いかけて、詩だと思いこんでいました。しばらくして、彼女は再び、詩を書くようになりました。やっぱり詩じゃなくちゃ、だめだったわ、といいました。琴野さんの詩は、日常から滲み、目に映るものに宿っていく言葉でつむがれている。私も今は信じる、後悔しないみちを詩と共に歩いておられる。え、でも、白島さんと三浦さんの詩。変わるんですか・・・?

杜 琴乃 (2018-11-10):

ishimuratoshi58さん 貴重なアドバイスを有難うございます。 確かに「あの日」とわざわざ書かない方法があったかも...もっと工夫できたかもしれません~。反省! また「想像が詩的真実になる瞬間」「詩によってしか創造し得ないリアリティ」との言葉に、私自身が詩の何を面白いと感じているかを気づかせて頂きました。好意的なお言葉を頂き大変嬉しく思います。 山本沖子さんを存じ上げなかったのですが、検索したら詩集のタイトルがどれも素敵で...早速一冊購入しました。ゆっくり読みたいと思います。 ふじりゅうさん コメント有難うございます。 あの日は過ぎてしまったので今はどうにも出来ないけれど、大切にしたいという気持ちが伝わるといいなと思います。 仲程さん コメント有難うございます。 その沖縄のおまじないに近いかもしれません。あの日、は準備が出来ていなかったから、そのおまじないをかけてあげたいです。 みうらさん 気持ちわるくなんてないです。有難うございます。私も上手くコメント出来ずに過ぎてしまうことが多々あります。そんな中でコメントを頂けたことを大変嬉しく思います。 読んで好きな作品と、自分が書くものって結構違いませんか?憧れている文体とかかっこいい単語とかたくさんあるけど、自分にしっくりくるものでないと書いててムズムズしちゃう。挑戦したいときもあるけど、使い慣れた材料で工夫ができたらいいなぁと思います。たとえばいつもの肉じゃがを塩バター味にしてみるとか。 fiorinaさん コメント有難うございます。 少し前までは日常から逃げたくて詩(のようなもの)を書いていたのですが、気づいたら最近は日常ばっかり書いていて自分でもびっくりです。とくに子供のこととか絶対考えたくなかった。でも詩を書いているのは紛れもない自分なので、自然なことなのかなぁとようやく受け入れることができてきました。この目に見えた日常をもっともっと工夫してファンタジックに仕上げられたらいいなぁと思っています。というのも、私はエッセイは書けません。日記も苦手です。そういう意味では、私も詩じゃなくちゃだめなのだと思いました。

stereotype2085 (2018-11-10):

優しい詩ですね。最近は日常ばっかり書いていて、とのコメを拝見しましたが、いいんですそれで。いいんです。となぜか川平慈英のようなフレーズが思い浮かびました。現実逃避から自己肯定へと、筆者様の段落が移ったのかもしれません。自分語りを少々。最近僕もようやくそんな気分になってきました。また違ってくるのかもしれませんが。とにかくも詩の内容自体は「帰ってこなかったもの」が何かは具体的には書かれていないように感じましたが、その「帰ってこなかったもの」の愛おしさと大切さが切々と伝わって参りました。良作だと思います。

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【選評】201810XXの乱。ステレオが行く!「見せてみよ。己が勝負魂」   

stereotype2085 
作成日時 2018-11-03
コメント日時 2018-11-10

 

 どうもおはようございます。ビーレビュー新体制になって、わずかながらも力添えをしている運営のstereotype2085です。2018年10月期選評に「見せてみよ。己が勝負魂」というまるで往年の新日本プロレスかM1グランプリのキャッチコピーのような謳い文句をつけてしまいましたが、これは後付けです。選んだ作品の多くがたまたま筆者様の「勝負魂」を感じさせるものだったということでご了承ください。それではしのごの言っても仕方ない。早速選評行ってみよー。 【大賞】 祝儀敷さん 「遺影」 10月22日掲載  https://www.breview.org/keijiban/?id=2482 もうこの詩の持つ新規性を超える作品はしばらく出てこないのでないかと思う。特殊な素材を詩作品に昇華する技術はたしかなもので安定した実力を感じさせる。ネットに流布され、拡散されていく自身の遺影を思い描きつつ、摩耗していく精神力を噛みしめるような筆致、そして偏執的な描写力。素晴らしい。この作品が投稿された時点で、この詩の面白味を超える作品は出てこないと暗に予測していたが、実際その通りになってしまった(ステレオさん比)。後続の作品が劣っていたのではない。この作品が優れていたのだ。思えば祝儀敷氏と初めて出会ったのは、某現代詩コンクールの授賞式においてで、かれこれ3年ほど前になるが、その時彼の詩について二人で交わした言葉「影響受けてるのは筋肉少女帯? オーケンさん?(ステレオ)」「わかりますっかね。悔しいっすね(祝儀敷)」が懐かしい。今や彼は彼自身の詩世界という「宇宙」を広げ、大槻ケンヂさんや筋少とは全く違う新しい次元に到達してしまった。おめでとう。そう祝ってあげたい。ちょっと力が入りすぎて自分自身疲れてしまったが(疲れるなよ)、そんな思い出さえ想起させるほどの出来栄えであった。ということで大賞に推挙! おめでとうございます! 【優良】  蛾兆ボルカさん 「雑談と『ままならぬ恋の詩』」 10月20日掲載 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2475 ビーレビューの良心、もとい重鎮といった存在のボルカ氏だが、私は彼の前作に「コントロールを磨くのに懸命で、賢明なピッチャーのようだ」との趣旨のコメを残してしまった。そのコメへの彼の返信が「私は剛速球や、絶対にキャッチさせない変化球にも自信(当社比)がある」←要約、であった。そしてその後、ある種意識的に投げ込まれたと言っていい剛速球がこの作品である。凄まじい。三人のミチコへの洞察から始まり、りなという確実に存在する人物への恋慕の情が描かれて終わるが、この作品に妙味を持たせているのはやはり前半パートだろう。三人のミチコは脳に情報としてインプットされているだけで存在しないのではないかと語りかけ、最後は「どうせ知らない人だ」と締めくくる。この辺り画家ダリと詩人アラン・ボスケの質疑集において二人が交わしたやり取り「イエス・キリストにもし会ったらどうしますか?(ボスケ)」「特に何も。なぜって私は彼を知らないから(ダリ)」を想い起こさせた。そう。著名なあの方もあの方もあの方だって実は存在しないのかもしれないのだ! 大切なのは目の前にいる愛する人、その人かもしれない。そんなことを気づかせてくれた良作。ということで優良に決定! ふじりゅうさん 「『藤井龍平の肉迫』より。」 10月21日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2481 これは当作のコメント欄にも書いたが、ふじりゅうさんの「勝負魂」が発揮された作品である。赤裸々にただ赤裸々に無残に残酷に、破廉恥なまでに(「破廉恥」だと? 笑わせるな(笑))自らの内面を解体していく。その過程が斬新で面白味があり、エグク、エグク読者の胸に迫ってくる。私は詩作品を絵に例えることが時折あるが、この作品はまさにふじりゅうさんの自画像である。かつて投稿した自作品を列挙しつつ卑下にも近い自己分析をして、なおかつ最後は「私に肉迫して欲しいだけ」と独白している。晩年のピカソの作品に、まるで「燃えカス」のようになったピカソ自身を描いた自画像「90歳」があるが、燃焼して燃焼しつくして燃えきって「燃えカス」になったふじりゅうさんの姿を、最後の独白に我々は見ることが出来る。ふじりゅうさんの勝負魂ここにあり。嫌いじゃないぜその姿勢。いやむしろ好きだ。ただし、大成功を収めたピカソは同時に「画家ではなく娼婦」と揶揄されることもあった。今後自らの心と体を切り売りしたふじりゅうさんがどこへ行くのかも見守り、今後にも期待したい。ということで優良に決定! 渚鳥さん 「癒ゆ」 10月20日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2476 さぁ熱く語ってきた「ステレオさんの選評・優良部門」であるが、いよいよラスト。このラス枠に入る作品は正直物凄く悩んだ。その後に並ぶ作品は僕にとって、ほとんどが優良クラスだと言っていい。だがしかし亡くなった父君との決別、精神的解放について書かれた(と僕自身は解釈している)この作品は実に静かなんですよ。ボロボロなんですよ。話者=筆者様が。それでも亡き父君への想いを募らせ、また父君の幻影に縛られながらも、前を歩こうとする姿が描かれている。そして最後にはついに、父君の亡霊からも解放されたのか「飢えも渇きも感じない」状態にまで至っている。さらにこの作品のコメ欄において「この詩を投稿して以来、父親の夢を見なくなりました」と筆者様は返信されている。詩作品そのものとその人物の心の変遷は分けて考えた方がいいかもしれないが、ここまで書かれたら、「到達」していただけたのならそれを祝福し、何らかの形で称揚すべきではないか? 渚鳥さん、おめでとうございます。父君の想い出をある意味、振り切れて良かったですね。私がかけられる言葉はそれだけです。ということで優良に決定! 【推薦】 5or6ちゃんさん 「サルビア」 10月4日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2391 切ないんです悲しいんですとにかくも。ですがその読者の心を見透かし、じっと見据えるかのように「『はなさないでほしい もっとはなしてほしい』」と繰り返し来る。こう来たらどんなに心が頑なな人でも手を差し伸べたくなるのではないでしょうか。だがしかし話者はまた「はなしてほしい」と来るかもしれないのです。この無限ループ。もどかしくも切ない。推薦決定! るるりらさん 「虹よ」 10月6日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2400 この作品に潜む熱情をひも解いて「勝負魂」ここにあり! というのはたしかに気が引けるが、この作品、視覚詩だけではない美しさがあり、ホントにそれが綺麗なんです。話者は「一粒の涙の中にも」「虹」が「収斂する」ことに祈りにも似た気持ちを抱いている。この作品でも筆者様はふじりゅうさんと同じく燃焼しきったのではないだろうか。それを象徴するかのようにるるりらさんの11月1作目の投稿作品は、吹っ切れたかのような「よしっ」であった。やはり燃え尽きる何かがあったのだろうと僕は思う。この美しさに一票! ってことで推薦! なかたつさん 「俯瞰」 10月31日掲載 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2531 内容自体は安定した完成度を持つ。だが何よりも僕が注目したのは、筆者様の言動と行動そのものである。フルキュレーションをするであろう人々の、選評の趨勢がほぼ決まっていたであろう10月下旬、私ステレオさんはビーレビ公式アカでのツイキャス放送にて、その旨の発言をした。すると彼からさらっと「まだあと1日あるから分からないよ」とコメが入ったのである! そして最後の10月31日にこの作品は投稿されたのだ! それでいてこの洗練された作風、持ち味。確信犯的に最終日に投稿したのかどうか定かではないが、その「勝負魂」に一本! おめでとうございます。推薦です! カオティクルConverge!!貴音さん 「仲直りの嵐」 10月08日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2412 10月期に投稿した作品について、本人が「魂を込めた」と再三に渡ってツイートしていただけあって、さすがの出来。もう一作の「羽の日」よりもこちらが私の好み。ある程度造形された筆者様の姿、心情を描いた「羽の日」よりも、照れたり、臆したりする筆者様の等身大の姿が描かれた今作の方が馴染みやすい。加えてこのタイプの詩の方が実は書くのが難しかったりする。そんな恥じらいをひっそりと描いて「魂を込めた」と宣言するその「勝負魂」、天晴れであった!  と、これでstereotype2085ことステレオさんの10月期選評は終わりです。本当は前回のように気になった作品として幾つか挙げようと思いましたが、実際全作品が気になったので、今回は控えます。みなさん素晴らしかった。これからも互いに切磋琢磨してビーレビューを盛り立てて行きましょー! 以上ステレオさんがお送りしました!


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蛾兆ボルカ蛾兆ボルカ (2018-11-03):

引用 〉「イエス・キリストにもし会ったらどうしますか?(ボスケ)」「特に何も。なぜって私は彼を知らないから(ダリ)」 ほほう! つまり、ダリはもし神に会ったら、 「君、だり?」と訊くわけですな(*´∀`*) 優良への推薦と選評ありがとうございます。 私的には、豪速球を目指してはいないのですが、そういうのも良いかなあと思っています。

渚鳥 (2018-11-03):

おはようございます。びっくりしました。 優良へ推してくださり、ありがとうございます。驚いており、うまく言葉が出てきませんが、頑張ってきて良かったと思います(*^-^*)

ふじりゅう (2018-11-05):

ステレオさん、ありがとうございます。優良に選んで頂き光栄です!

渡辺八畳@祝儀敷 (2018-11-06):

実は大賞レースに出場するのはこれが初めてである。(2017年2月に大賞とったときはまだ固定のキュレーターが選んでいた) ついにこの舞台へ立つのかと武者震いする。 「遺影」は相当好みが分かれる詩であろう。例えるならば匂いが強烈な豚骨ラーメン。しかしだからこそ強烈に刺さる人も出てくるわけで、それがstereo氏であったのだ。 オーケンの話をしたことははっきり思い出せるが、私が悔しいと言ったってのは全然思い出すことができない。もうそんな月日が経ってしまったのか。その3年は成長の時間であったかどうかを確かめるためにも大賞レースの結果がどうなるか気になるところである。

るるりら (2018-11-10):

推薦ありがとうございました。 下記の部分で笑いました。↓ >「勝負魂」ここにあり! というのはたしかに気が引ける 勝負する気は ええ まあ なかったです。うふ。 けれど、なにか綺麗なものをと開店祝いにお花をお届けするような心で投稿させていただいた私には、過分なお言葉が頂戴できたと思っています。ありがとうございます。

stereotype2085 (2018-11-10):

ボルカさん。「君、だり?」。ダリならばちょっとしたユーモアも添えてそう応えてくれるかもしれません。とにかくも素晴らしい作品でした。 渚鳥さん。やはり夢にお父様が出なくなったということは「癒ゆ」に何かしら霊的なパワーが宿っていたのでしょう。 ふじりゅうさん。惜しい! 「遺影」がなければ恐らく大賞候補でした。まぁしかし僕の「夢の跡…」もあと一歩だったってことでイーブンイーブンでしょう。 渡辺さん。実はその会話が記憶にないのは正解です。なぜなら端折っているから。正確には「影響受けたのは? オーケン? 筋肉少女帯?(ステレオ)」「分かりますっかね(祝儀敷さん悔しい表情)」「悔しいの?」「そうっすね(祝儀敷)」でした。とにもかくにも冷静な分析眼に基づいた、新しい詩作という点では今渡辺さんは一つ前出ている感がありますね。 るるりらさん。開店祝いにお花を届けるような。たしかに。そう仰られて納得の一作でした。

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「ヒトリヨガリ」   

HIROKI 
作成日時 2018-11-10
コメント日時 2018-11-10

 

自分ハほかの人たちとは違ウと 思いたくテ、思い込んデ、 ドコか他人を見下していたけれど、 勘違イ、欲望に支配されたとき 結局は同じなのかもシレナイ… 今マデ一番嫌いだった人間に 少しずつ近づいてイル現状で ワラエナイ 明確な答えが欲シイと思っていても 知ルのがずっと怖かったカラ… 求めテいたのはどんな優しさだった? ヒトリヨガリの憂鬱ヲ抱き枕にして 見ル夢はモノクロの愛 震える手ノ先で触れたアナタの心が 音を立てて崩レテゆくのがわかった 私の上で息を荒らげて叫んでいる ワタシはただ聞こえないフリをして 胸の中のナニカが壊れるのを感じた スクエナイ 明日は晴レ、乾いた土が涙で濡レて 誰に気づかれるコトもなく 大切ナ場所が悲鳴を上げている 愛シテいたのは私の シルエットだけだったのね 本心などコレっぽっち ヒトリぼっちの夜


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渡辺八畳@祝儀敷 (2018-11-10):

あれですね、題名に「」いらないんじゃない? 何かの文中に題名があるわけじゃないのだから

HIROKIHIROKI (2018-11-10):

コメントありがとうございます。 そうですね、今まで特に意味なくつけていましたが次回からなしにしますね!

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【選評】10月 フル・キュレーション(田無)   

田無いなる 
作成日時 2018-11-08
コメント日時 2018-11-10

 

【大賞候補】 カー https://www.breview.org/keijiban/?id=2442 ロ三 10月14日  この作品に、何が書かれているのか、などについて、ぼくは読み取ることができないのです。  そして、だから良い、というわけでもなくて。  この作品を構成している言葉は、この作品のなかにおいて、たとえ「わけわかんない感じ」(コメント欄にあった別のお方の言葉ですが、これもとても好きです)でも、すごく丁寧に、適切におかれている、と思うのです。  その丁寧さ(厳密さ、と言い換えられるかもですが、丁寧さ、の方が個人的にしっくりきます)が、ゆるくほどけそうなところのある言葉と言葉の繋がりを、それでも、あやふやでなく、詩として成立させている、のではないかと、考えました。  それになにより、読んでいて楽しいのです。  何度読んでも、その都度新鮮に読める、そんな、感じです。 【優良】 仮死 https://www.breview.org/keijiban/?id=2464 千船鳴尾 10月17日  ひらがなが好きなので、まず目に留まりました。  “しろいふくきて ふとんにくるまって/わたし しばらく いるすです”  これが「仮死」だと思うんですが、可愛い。でも前半と合わせて読むと、やっぱり可愛いんですけど、なんかちょっと凄み、みたいなものも感じる気がしました。 癒ゆ https://www.breview.org/keijiban/?id=2476 渚鳥 10月20日  内容的には、もっともっと重くなりそうなものを含んでいる気がするのですが、そこを語句の選び方で回避している、ように思いました。  “もう歩かなくてもいいのだった。”の解釈が自分のなかで揺れ続けるような気がします。 遺影 https://www.breview.org/keijiban/?id=2482 渡辺八畳@祝儀敷 10月22日  「遺影」がデジタルに、どこまでも広がってゆくイメージにびっくりしました。  拡散して、拡散して、最終行できちっとおさまり、次の瞬間から更に拡散して、みたいな印象。  この作品での言葉の使い方として、語尾などを丁寧語に終始させているのが個人的には特に良い、と思いました。 【推薦】 恥ーのとべる石 https://www.breview.org/keijiban/?id=2372 穴秋一 10月1日  話がどんどんズレて行くところが、面白いです。  面白くて、少し怖い。 いくえ https://www.breview.org/keijiban/?id=2377 弓巠 10月1日  てのかげ、から、うちゅう、まで。  説明は難しいのですが、好きな作品です。 水の泡 https://www.breview.org/keijiban/?id=2418 左部右人 10月9日  水の泡、というタイトルと、書き方で、「あ、こんな感じにできるんだ!」と、  目を開かれた作品です。  恐怖! 判子人間 https://www.breview.org/keijiban/?id=2470 佐木ノ本 10月19日  作品としては、ちょっと粗いかな、と思うのです。  思うのですが、なにか、自分が忘れてたモノがダイレクトに訴えかけてくるようで、強く記憶に残りました。 【総評】  キュレーション、初参加させていただきました。  ここまでお読みくださった、みなさん、ありがとうございます。  なにかを評価する(される)、みたいなことが、総じて苦手で、いままで出来るだけ、遠巻きにして生きてきました。  ただ、先月、自分の作品が評価していただけたとき、思いのほか、嬉しかったので。  かなり、頓珍漢なことも言ってると思いますが、ご容赦くださると、助かります。  作品を選んだ基準など、「これ良い」「これ好き」なのはもちろん、として、どちらかというと、作品の内容よりも、書かれ方が気になったものが、結果として多くなった、かもしれません。


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ロ三 (2018-11-09):

ありがとうございます。詩を成立させることができていたんだとしたらうれしいです。

渡辺八畳@祝儀敷 (2018-11-10):

今月「遺影」は様々な人が選出してくれていてとてもありがたく思っています

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箱庭   

あきら@ちゃーこ 
作成日時 2018-11-09
コメント日時 2018-11-09

 

水面を歩いている 月が水を呑む 背中が融けている 反発する血は彩がない 水を蹴る音がやたらと響く 大きな瞳がここを見ている 月は涙を転がしている あれはわたしがわからないから 水ばかりを見ている 足先が随分と冷えて からだばかりが素直だ このちいさな卵のそとがわは かたく手足をちぢこめている 黒い崩れかけの指先から ほんの少し、外が見える 土鈴の罅を繕う 世界が閉じる 水面に立つひとり 足元に眼 そとがわを映す 空に瞳が光る うちがわを聴く目 土鈴の音がする わたしの背中あたりから ろろん、ろろんと ひときわ大きな音がした 指が割れている 空いた穴から 二つの目がこちらを見ている ああ、わたしだ


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ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-09):

淡々と柔らかいが強靭な語り口による、鮮明な美しさの詩的情景。結尾のポエジーはことに鮮やか。安易な読み解きなど入り込む隙のない、自立した詩世界の時空をそのまま味わい、残るのはいい詩を読んだ、という感想のみです。

あきら@ちゃーこ (2018-11-09):

ありがとうございます。 水面を歩くような読感にしたかったのです。

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ばいぶる (短歌)   

鬱海 
作成日時 2018-11-03
コメント日時 2018-11-09

 

イヴだった頃に追いかけた蝶の翅 ピンを打つときふと思い出す 追憶のなかで私はユダである 今も似たようなことをしている 無残に切り刻まれた薔薇を足元に笑う 我らはカインの末裔 神の子を売り飛ばす 吸血鬼に血をあげる 地続きである我らの原罪 セックスをしたら 野に咲く白百合が死んでしまった 私の代わりに 永遠に純潔を守る恋なのに 彼も罪を背負っているのか かみさまに不可能はないはずだった 焼け焦げた我が家 見つけるまでは


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渡辺八畳@祝儀敷 (2018-11-03):

ビーレビで短歌も展開されてほしいって実は思ってるんですよ。現代詩投稿サイトだからあんま大きくそれは言えないが、「詩」の定義が曖昧な以上短歌も詩でいいでしょって論法で。短歌界隈は現代詩界隈より人口多いからさ、こっちきてくんねぇかなって。 鬱海さんは詩も投稿されているから完全な歌人ってわけじゃないんだろうけど、でもこの投稿が短歌をもビーレビが受け入れる一筋になったらなって思わずにいられない。 短歌本体だが、キリスト教的意匠があんまりしっくりこなかった。

オオサカダニケオオサカダニケ (2018-11-03):

素晴らしい短歌でかんどうしました。

仲程仲程 (2018-11-04):

二句目は好きです。 あと、四句目の「地続きである」に、どんな思いを込めるかが個人的に好きなところです。

オオサカダニケオオサカダニケ (2018-11-04):

ルミナスラインがありますね。学ばせて頂きます。

鬱海鬱海 (2018-11-08):

渡辺八畳@祝儀敷さま 一応短歌歴の方が長いのですが久しぶりに書いたらしっくりきませんでした。短歌もっとビーレビ でも読みたいので短歌人口が来てくれるとよいとわたしもおもいます。

鬱海鬱海 (2018-11-08):

オオサカダニケさま ありがとうございます。すてきな言葉まで。また機会があれば読んでください。 仲程さま 二首目はわたしは説明的すぎるし抽象的すぎるかなと心配していましたが評価いただけてうれしいです。四首目の 地続き にも言及いただきありがとうございます。コメントありがとうございました。

ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-08):

>イヴだった頃に追いかけた蝶の翅 >ピンを打つときふと思い出す  何気なくスクロールしていて、この二行のすばらしさにハッと目が覚める思いでそのまま読んでいきました。短歌を集めたものと気付かず、ひとまとまりの詩であるとばかり思っていたのです、迂闊なことに(笑)  さて、それぞれが完結した一首であることを意識した上で読み直すと、いろいろ物足りないところ、新たに気付いたことが出てきたのは面白いことでした。  第一首、これは実に魅力的です。ポエジーが見事に完結しています。  第二首、短歌と思って読むと「今も似たようなことをしている」の音律のゆるみに抵抗を感じますが、二行の短詩と見て(実際には存在しない)タイトルがその二行の前にあるものと勝手に想像して読むと、尾形亀之助あたりの凝縮されたポエジーをほうふつとさせる、余韻深い詩行と読めます。  第三首も、完結した短歌として読むと「無残に切り刻まれた」の音律がいかにもゆるく、だるく感じられますし「無残に」が説明的にすぎ、いかにもまずい。しかし、詩中の一行として読むとそのようには感じません。形式というものの面白さですね。  第四首。「地続きである我らの原罪」の句は、いい詩に膨らむ可能性を秘めた魅力的な句ですが、全体としてはやや生煮えの憾みあり。「血をあげる」は短歌としては無論、自由詩として読んでも拙く響きます。勿体ない印象。  第五首。発想は豊かなポエジーを内包していますが、「セックスをしたら」の音律のゆるさ、平板さがやはり短歌としてはいただけない。短歌ではなく自由律俳句、一行詩として、たとえば「セックスをしたら野に咲く白百合が私の代わりに死んでしまった。」と頭の中で読み替えると、私にとってはこの一首の着想が生きて響きます。 第六首。これまで述べたことと同じような感想になります。詩の中の一行であればこれで何の抵抗もなく読めますが、短歌として読むと「恋なのに 彼も」のスペース区切りは余計なものに感じました。  第七首のアイロニーは第一首に次いで魅力を感じましたが、詩の中の一行として用いられてこそ、そのポエジーが生きる詩句であるように思います。短歌として単独で自立・完結したポエジーを生み出すには至っていないという感想を持ちました。  結論として、私にとっては、短歌の集成ではなく、一篇の詩作品として読んだ方が面白く思えます。もしかすると、筆者もそのように意図されているのかもしれないのですが(笑)

オオサカダニケオオサカダニケ (2018-11-08):

5個目はルミナスラインなので、天才です。何言われても気にする必要ないとおもいます。素人の独断による批評ですから。発想が優れてる時点で鬱海様の勝ちです。

永峰半奈永峰半奈 (2018-11-08):

三首目の「足元に笑う」がどうも道化として生まれたカインの悲しみ混じりの笑いに思えて仕方がなく、惹きつけられました。 一首目は完成された印象です。七首目も不思議な魅力があります。 全体を詩として読むと退廃的な雰囲気が漂いながらもギリギリのところで人間のしょうもなさ、「しょうがないね」と笑い飛ばすしかない性が失われていないように思いました。

ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-08):

鬱海様 あれこれと勝手な妄言を書き散らしましたが、オオサカダニケさんの仰る通り、素人の独断に過ぎませんので、どうかお気になさらず、素人が何を抜かすかと笑い飛ばされるか、黙殺なさって下さいませ。批評は常に後出しじゃんけんに過ぎず、真の勝者は常に作者です。次作も楽しみにしております。

鬱海鬱海 (2018-11-09):

ishimuratoshi58さま コメントありがとうございます。最初、詩として書いていたのを無理やり短歌の形にあまり考えずに直してしまったため、指摘してくださった箇所などに言葉のもたつき等が多々あって今読み返すと割と恥ずかしいです。 仮にそれが後出しジャンケンであったとしても、わたしは批評を求めていますし、また作品というものは批評を経て完成する面もあると思っています。ですので、また気になるところ等おありでしたらコメントを頂けると嬉しいです。

鬱海鬱海 (2018-11-09):

オオサカダニケさま コメントありがとうございます。5首目を褒めていただいてうれしいです! 永峰半奈さま コメントありがとうございます。 人間のしょうもなさとか敷衍して人間の弱さなどは多分わたしが書きたいテーマそのものだとおもいます。頂いたコメントの後半が、分かるような分からないような不思議な感覚でした。自分の作品と合わせて読み返していきたいとおもいます。 カインというモチーフについても言及ありがとうございます。人間が普遍的に持つカイン性みたいなのを文の中で突き詰めてみたいとひっそりと思っています。コメントありがとうございました。

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