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よしっ。いや、ちょっと マテ。   

るるりら 
作成日時 2018-11-15
コメント日時 4 時間前

 

めざめると同時に 自由の女神になっていた すっくと立ち 右手を挙げ 情熱の象徴を高らかに天に示し 頭の中に声が響いていた「走れ!」 いや、ちょっと待て 忘れられないぢぁないか あの家の事を わたしは おそるおそる鍵穴に鍵を入れた ぢぁりと鈍い音がして穴は開けられることを拒んでいる じぁあ家に入るのを止めようかと 後をふりかえると 今来た門柱までの距離には 私が なぎたおしたヨモギがうなだれて 悲しそうだ なにもせずに帰る気か  深呼吸し  ドアを開けることにした  扉の ぢぁりが、がちゃと開くまで力を入れた  が  扉は おもいのほか軽い  孤独死寸前で近所の人に報告された家の主は 今頃、病院だ  なぜ 食べるものも食べず衰弱したのか  詮索したいのは やまやまだが  痴呆なのか銀行印や保険証などのありかさえ覚えがないらしい  鍵を借りて、この家の主の貴重品をさがしに来た  かみ かみ 紙 カミ 段ボール カミ  ふんわりと かるく 紙でできた箱と箱  天井まで積み上げられている無数の箱を指でつつくと、ゆうらり  幽霊のように動く埃の館  この家の家主を証明するものを探さねば  彼女は、保証されるのに値するのだ  引き出しを開けると 引き出しの中が直ぐには見えない  衣類文具や生活雑貨 全部のひきだしの中身の上に  広告紙がおかれて 中身は遮断されている  すべてのものが繭ごもっている 冷蔵庫の食品のすべても個包装され  なにがなんだか分からないが昭和の日付のメモも有るから すべて捨てる   ワカラナイ   うごかない時間が                  ユックリ揺レテイル   カワラナイ   保存された時間が死んだまま   シッカリ動イテイル     やにやら光った!保険証通帳印鑑の発見だ!これで 家主を証明できる!  彼女は 列記とした 私の叔母様だと証明できた  おばさまは、わかったようなわかってないかのような透けたような微笑で  ありがとうと 言った  そのようにしてやっと安心し  ねむった   誰かであるかと保証がされている あなたとわたし                             そして、たった今 めざめると同時に  すっくと立ち 右手を挙げ 情熱の象徴を高らかに天に示し 頭の中に声が響く「走れ!」 坂道を駆け上がれ 山の間から朝日がでた  ひさしく走ったことのない重く冷たい両足が足元から照られ血が通う 自分の体重を両足に感じつつ「走れ!」


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まりも (2018-11-15):

最初、あはっと笑って、それから ぢ と じ の微妙な使い分けに感心して、 なんでヨモギ?と思い・・・ それから、ちょっとしんみりしました。 深刻なところにまで落ち込まずに済んだのは、冒頭から一貫して続くユーモアの感覚、 あたしはげんきっ!と、自らにカツを入れるような明るさ、あたしがやらなきゃしょうがない!という、心地よい責任感のようなもの、に由来するのだと思います。 ところで・・・ 〈やにやら光った!保険証通帳印鑑の発見だ!これで 家主を証明できる!  彼女は 列記とした 私の叔母様だと証明できた 〉 「なにやら」 「れっきとした」、ではありますまいか。 〈誰かであるかと保証がされている あなたとわたし〉「誰であるかと」「誰かであると」 〈ひさしく走ったことのない重く冷たい両足が足元から照られ血が通う〉「照らされ」 ・・・前半の〈ぢぁり〉〈じぁあ〉という、繊細な推敲との差が、気になって、気になって・・・ 〈すべてのものが繭ごもっている~うごかない時間が/ユックリ揺レテイル 〉          〈保存された時間が死んだまま/シッカリ動イテイル 〉 この部分の、ゆれながら刻み込まれていく感じ、心に残りました。   

るるりら (2018-11-15):

まりも様 お読みいただき 細部まで読み込んでいただいて、書いた甲斐がありました。 心よりお礼を申し上げます。ありがとうございます。 まずは、お願いがあります。お手数ですが、できれば訂正をお願いしたいです。 〈やにやら光った!保険証通帳印鑑の発見だ!これで 家主を証明できる!  彼女は 列記とした 私の叔母様だと証明できた 〉の箇所ですが、 「なにやら」 「れっきとした」、で あります。 投稿前に読み返したつもりでしたのに、題名ではありませんが「ちょっと、マテ。」ですね。まさか自身が自爆ネタをやっているとは思ってませんでした。ヨモギをいれたのは  廃れた外観を入れることで、玄関入る前に「ちょっと マテ。」っている感じにしたかったのですが。うまく機能しなかったかもしれません。   〈ぢぁり〉〈じぁあ〉や 〈保存された時間が死んだまま/シッカリ動イテイル 〉そして 〈すべててのものが繭ごもっている~うごかない時間が/ユックリ揺レテイル 〉にしても  ちょっと待っている感じを 描くことを目標としていた気がします。    全体として 煩雑な状況を描いて、しかし 心には なにかうまく言えないパッションのようなものがハジケル感じを描きたかったのです。しかし、わたし自身が とりちらかってしまいました。とても勉強になります。ご批評ありがとうございました。笑っていただけた部分もあったようですので、嬉しいです。

ふじりゅう (2018-11-15):

拝見しました。 一作目の匂いを乗せつつ、そこから飛躍した作品に感じました。「走れ」が良いですね、爽快です。 内容は、うーん、これは私の人生経験値の問題で想像しても仕切れない作品だ。しかし素晴らしいのに違いはありません。

stereotype2085 (2018-11-15):

出ましたね!「よしっ。パートⅡ」。これはリクエストをした僕としてはコメントせざるを得ないでしょう。朝起きて、自由の女神のごときポーズを取っている話者が回想する「放置された家」の話。その家主は痴呆か、それとも何かの記憶障害かで身元を確認出来きずにいる。その人物の身元を証明するために家屋内を探索する話者。そしてついに家主が自分の叔母であることが証明出来る「保険証通帳印鑑」の発見! そして家主が叔母であることを証明されたと同時に自分自身の存在、アイデンティティも確保されて話者の心持ちは安定する。そのような暗がりを抜けたあとでの「よしっ。走れ!」。これは過去の自分の存在証明と、アイデンティティの確保が出来たからこそ辿れる道。最後まで面白く読ませていただきました。「よしっ」第一作の光を補填する影の描写で「よしっ」第一作は見事安住の地を見つけたように思います。素晴らしかったです。

ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-15):

>めざめると同時に 自由の女神になっていた >すっくと立ち 右手を挙げ 情熱の象徴を高らかに天に示し >頭の中に声が響いていた「走れ!」  もう、この書き出しからして、参りました。このいきなりの飛躍に呆然としながらも「そうだ、その通り、正しい!」と納得させられる言葉の力技。  「なぎたおしたヨモギがうなだれて悲しそうだから何もせずに帰るわけにはいかない」という不思議なロジックも、当然のごとく「そうだよね」と納得させられてしまう。あたかも、夢の中でしか成り立たない奇妙なロジックが現実界を電撃作戦で制圧するかの如きパワフルさです。まさにるるりら宇宙。いつもの誤植女王振りも含め(笑)  「走れ!」というモチーフが図らずも象徴しているように、この作者から溢れ出る言葉は、ことばそのものがアクションなのです。アクションの叙述ではなく、ことばそのものが立ち上がり、腕を振り、地を踏み鳴らし、砂埃を上げて突進する。荒れ野に立つリア王の独白がそれ自体まさにアクションであるのと同じく、るるりら詩の抗し難い魅力は、常にその言葉たちが真の意味で「劇」の力強い「役者」であること。一愛読者として、本作を通じてそのことに初めて思い当たることができました。

藤 一紀 (2018-11-16):

おはようございます。自由の女神は他国から贈られたもので、足に鎖がついているという話を聞いたことがあるのですが、本当なのか作り話なのかはわかりません。ともあれ、冒頭と「いや、ちょっと待て」からつづく探索に、そのことを思い出しました。自由にはなっているけど、まだ縛られているというところで。 最終連の「そして」が、文と文を繋いだり経過を表すような単なる接続詞としてではなく、前段からのリズムの転換、躍動へむかう機能をはたしているように感じられ、実に見事に思いました。

鈴木 海飛鈴木 海飛 (4 時間前):

詩にはあんま関係ないけれど 存在を証明できてよかった。 そんなつまらないことと 言われることですが そう、私は思いました。 ただ、叔母の証明できなかった場合の 今後、想像できるゆくすえは あまりに割りきれぬ寂しさの 世の中なのだよ。 第三者はなにもできない。 別れもおはぎをもってくるきともできなくなる。 さびしく、ぼたもち食う度に思い出すのだよ。と想像し 騒々しい自由の女神に ほほえみます。

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空襲   

桐ヶ谷忍 
作成日時 05:26:49
コメント日時 4 時間前

 

数多の色を一粒一粒に宿した 雪が降っている 触れると黒く変色する 役場のアナウンスが繰り返す 外出している者は至急、屋内に避難せよ 鳴り響くサイレンが耳をつんざく 避難するにも立ち並ぶ店はすべて シャッターを下ろし拒絶する でたらめな信号を無視して交差点を渡れば 誰ひとりいない 帰りたい、と どこへ、がせめぎ合っている ポケットの中の鍵を握りしめるけど コート一枚持たずに追い出されては 歩き続ける他に手段もない 白かった傘も いつしか黒く変色してしまった 色とりどりの雪が なにかの祝福のように目の前を落ちていく 祝福、と浮かんだ自分の思考に 口角が持ち上がりかけて 無様にゆがんだ この鍵の嵌るあそこが 居心地がよかったなど冗談でも言えない だから追い出されて 自由に、なった、のだ、と喜ぶべきなのに つめたく震える手できつく鍵を握る すがるように 視界は華やかなのに 歩む道はどこもかしこも黒い ゆるい風に舞き上げられた淡雪が セーターにどす黒いシミを作った スピーカーからは警報が鳴り止まず そして誰ひとり、いない


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༺❦柿原 凛☂༻ (4 時間前):

数多の色の雪は、ネオンや街灯、そして家の室内灯に照らされて色づいたということなのかなと想像しながら読ませていただきました。黒は暗闇やお先真っ暗だということを指しているのでしょう。色を使った対比が良い感じだと思いました。 また、雪が降るのを空襲と捉えるのはなるほどと思いました。帰る場所、避難場所がない逃れられない状況とマッチしていますね。

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つまさきまで   

豆塚エリ 
作成日時 10 時間前
コメント日時 5 時間前

 

真夜中の雪のポタージュで しんと芯まで つまさきまで きれいごと きれいごと 潔癖症なので 月の光しか 浴びたくない 白いものしか 食べたくない 仕方ないこと積もらすことが 大人になることだとしたら 私 猫の手のひらで 締めころされたっていいよ、世界 甘くないってほんとなの 子供の肌は血は骨は 甘いというのか そうなのか 洗濯機の中で絡み合う私たち こそ真実だって思ってた 憐憫と大欠伸、小鳥の悲鳴 点滅する蛍光灯 荒れた指先で冷たい スプーンを弄ぶ 正しさだけを飲み込んで はやく透明になりたい


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ふじりゅう (5 時間前):

拝見しました。いい詩だと思います。 読み解いていきます。 「真夜中の雪のポタージュで しんと芯まで つまさきまで きれいごと きれいごと」 とにかく雪が積もっていることがわかります。雪の「寒さ」を「きれいごと」と置き換え、「しんと」「芯まで」「つまさきまで」と表現していると考えられます。 「潔癖症なので 月の光しか 浴びたくない 白いものしか 食べたくない 仕方ないこと積もらすことが 大人になることだとしたら」 潔癖症なので、とは、この寒さが人のきれいごとや裏のある感情であるということ、それに辟易した主人公像が見えます。またその、主人公にとって「汚い」感情を身につけることが大人になることだとしたら、と読み取れます。 「私 猫の手のひらで 締めころされたっていいよ、世界 甘くないってほんとなの 子供の肌は血は骨は 甘いというのか そうなのか」 この語りは、主人公が、世界に向けて放った一言でしょう。猫好き、なのか、はたまた逆の意味なのかはここでは分かりません。子供のパートは、これだけでは難解です。 「洗濯機の中で絡み合う私たち こそ真実だって思ってた 憐憫と大欠伸、小鳥の悲鳴 点滅する蛍光灯」 ベッドシーンでしょうか、洗濯そのものを指しているのでしょうか、どちらかを真実だと思っていた(が、違うことが分かった)とあります。次のパートにより、ベッドシーン説が濃厚だと思いましたが確信ではありません。 「荒れた指先で冷たい スプーンを弄ぶ 正しさだけを飲み込んで はやく透明になりたい」 スプーンで自己形成の元を掬って飲んでいるのでしょう。 興味深いのは、正しさを飲み込めば透明になる、という点。はっきり言いますと、正しさだけでは現実世界を生き抜くことは難しい(正しさの定義をどこに置くかにもよりますが)と自論があります。まぁ私の自論自体はそれほど意味はありませんが、ひょっとしたら主人公も同じ考えなのかもしれない、という点です。 が、私と全く違う点は、それでも自分の信じる正しさだけを飲み込み、早く透明に、なりたいと述べているところ。 透明、が、自己を消してしまいたいという事なのか、まっさらな自分になりたいのか、が明白ではありませんが、前者と捉えるとそこに主人公のこの世への果てしない絶望が見えます。それでも仕方ないから〈汚い〉ものも取り入れなければ、と考えるものです。どれだけ嫌でも。自分が消えてでも自己の正しさを突き詰めたい、それは自分への自信などでは決してなく、とてつもない絶望によってそうなったと考える方が自然です。 長さとしては中くらいながらも、素晴らしい内容に思わず長文となってしまいました。

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【要読】大賞作品投票のお知らせ(2018年10月B-REVIEW杯)    

stereotype2085 
作成日時 2018-11-16
コメント日時 5 時間前

 

お世話になっております。運営のステレオです。 https://goo.gl/forms/iT6KZoEJm9WsCxrj2 11/15までに多くの方々から10月B-REVIEW杯の選評をいただきました。これより大賞選出の投票を行います。上記urlからフォームに行ってください。今月も大賞候補に重複があり、その作品にはボーナス点が1票追加されています。 また途中経過を見ての投票先入れ替えをを防ぐため、投票にはGoogleアカウントへのログインが必須となっております。ご了承ください。 期限は今から10日後の11月26日23:59までです。 それでは皆さまからの熱き一票をお待ちしております。


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渡辺八畳@祝儀敷 (00:06:48):

あげ

渡辺八畳@祝儀敷 (5 時間前):

あげ

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秋の唄   

agath 
作成日時 6 時間前
コメント日時 6 時間前

 

新鮮なコーンドビーフのような秋の一日 熱いガスに満たされた大腸を抱えて わたしはどこに向かっているのか 口の端から糸が切れない 味噌納豆の糸が だのに今日 五歳になる娘が動物のために初めて泣いた おお この哀しみを誰に伝えればよいのか ものすごい蒼空の下 生き物たちはすべて分厚い甲羅で 空しく身を鎧っている ならばわが一族も 死者のためにせめて表皮を保存しておくべきであった 出棺間際に慌ただしく剥ぎ取った あの五層の薄皮を スペアは陰干してウオーキングクローゼットに吊るし 一朝事あれば年老いた女医に縫合を依頼する 五対の剥製が四辻を守るだろう 鮫膚の蠱惑的な魔除けたちよ だが一体 髭をどこに付けろと言うのか 非常にはっきり言えば ヒトの寿命はどんどん縮んでいる あの濃密な時間はどこに蒸発したのか 倍速ダビング 早送り 記憶がかすれる 胸圧が薄い 遠目も利かない せわしなく厠に通い 小突き合ううちに テープが切れる もはや音楽もバレエもない 馬の齢など笑えない 悲しむ暇もないうちに一生を終える 濃いやつを出す暇もない 何とかしなければ 実に何とかしなければ 陰干がとても間に合わない 行かないで 行かないで 雨の真珠などあげないわ だけど 行かないで 黄ばんだ角膜もあげないわ 遠近両用の義眼なんか欲しくない ノン 行かないで 今行けば 排卵期にしか会えないじゃない 星がぎらつく干き月 どうして肉食猿まで星になるの 猫も尺取り虫も ETになるのよ あたしの制空権を侵さないで 肋骨がきしむの 舌が痒いの 断食のせいじゃない ああ 舌もあそこもみんな皮を裏返したいの もっとたくさん蒸気を吐かなきゃ 剥製はまだか 皮で済むならいくらでも提供しよう 生乾きで恐縮だが 脂っこい粉瘤の胚種も一緒にいかが 下顎と襟足は膿疱だらけ だけど 耳たぶくらいの柔らかさ 菜種油であっさり揚げれば 形も臭いもくずれない おお 東の野に火柱が立つ ふぐ提灯はまだか 辛子レンコンも 氷榴も届かず わが括約筋も未だ心許ないというに 早くもカウントダウンか されば いまわの際にせめて一口 入れ歯を外して 鳥皮の芥子和えを 不味いものが身体には良いのです いや やはり旨いものが一番です ハ ごくつぶし 食べてる場合じゃないでしょ 鳥皮どころじゃないでしょ 兎のお耳はぼろぼろよ


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ひとひら   

田無いなる 
作成日時 2018-11-16
コメント日時 7 時間前

 

 紅葉 を  しばらくみていない  秋 になると赤く 赤く染まる  ひとの手 のような 葉  むかし むかしは 庭に  紅葉の木が 大きな 紅葉の木が  あったような気がする のだが  あれはいったい何処へ 何処へいってしまったの  だろ?  もはや 記憶 など  あてにできない のだ  世の中 は変わり 変わりして  気が付けば きがついたときには  なにも なにーも  なにもかも  消えて 消えて  ――――  そのとき  ふわり、と  手のひらに一葉 紅葉の 葉  落ちてきたようで  僕はぐっと 手のひらを握りしめてしまった  のだ  手をひらく か  だが、なにかおそろしいものが  そこにある ようで  僕は手をひらけずに いる  僕は手をひらけずに いるの  だ  いまも、  そう 今も


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帆場蔵人 (2018-11-16):

張り詰めたものを感じました。ひとの手のような、というのは紅葉をみて思うことがあります。それが詩で使われたのはつかめなかった誰かの手を思っているのでしょうか。後半、思わず掴んでしまったものの手を開けないそこに集中していく張り詰めた空気が余韻を残します。とりとめない感想、失礼しました。

蔀 県蔀 県 (7 時間前):

「ひとひら」というタイトルは、もちろん四連目をはじめとする内容に深く関わっているものなのだと思いますが、ぼくはむしろ、言葉・文字の配列に対して与えられたもののように感じました。ふいの空白、語尾の直前で切っての改行など、言葉がふらふらと泳いでいるみたいです。その様子は、たしかに「ひとひら(の葉)」を思わせて、なるほど言いえて妙という感じです。そして、詩の中身についても、「記憶 など/あてにできない」「なにかおそろしいものが/そこにある ようで」といったように、判然としない何物かがふらふら動きつづけているみたい……。かなりの完成度と思います。

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小さな村で見た   

ishimuratoshi58 
作成日時 2018-11-05
コメント日時 7 時間前

 

いつぽんの川がながれてゐる。 川べりの道は夏枯れた草に覆はれてゐる。 川はゆつたりと蛇行して その先はうつすらと 野のはてにきえ 太古の記憶へとつづいてゐる と村びとたちは云ふ。 川の右岸を 白い服 紺の帽子のこどもたちがあるいてゆく。 男の子も 女の子も 一列であるいてゆく。 今日はいつまでも夕方にならない。 こどもらの列は ながながとつづいてゐる。 みな顔がわらつてゐる。 何がたのしいのか 面白いのか わらひながらあるいてゆく。 川が見えなくなる先の そのまた先に 入道雲がむらむらとつき出してゐる。 ひとりのこどもが その雲に紺の帽子を投げた。 それを合図にするやうに こどもらはみな帽子を投げた。 幾千もの帽子が 高く高く舞ひ上がつていつた いつまでも青い空へ それら幾千もの帽子は 入道雲を吸ひ込み 空に溶けていつた。 がらんとして高い。秋空。


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まりも (2018-11-05):

不思議な懐かしさがありますね。谷内六郎の絵のような。 あえて旧仮名を用いたことが、味わいとなるか、目眩まし的な作用となるか・・・ 少しずつずらしてノリで貼り付けていくように、川や子供たちを重ねて行くのに、 いつまでも夕方にならない (真昼の幻影が続く) 幾千もの帽子~溶けていつた (実はすべてが非現実の幻だった) あまりにも鮮明な白昼夢のような映像に、しばし立ち止まりました。 時間を超越した、永遠の、夏。

みうら (2018-11-05):

正直にコメントすれば私はこれを書きたい。詩とはなんぞやという命題を抱え続け2年間が過ぎた。ネット詩にある流行は理解した。少し背伸びをして書けばネット詩の流行を取り入れた作品を書けることは実感した。でも私が書きたい傑作はそんなものじゃないと最近は確信していて。大層であり大層でないこと、自分語りであり自分語りではないこと、虚構であって現実であること、そんな傑作を書きたい。本作「小さな村で見た」を読んでそんな感想を持った。

ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-10):

まりもさん ご高覧ならびに美しいコメントありがとうございます。私は絵の世界に全く不案内で、谷内六郎の名前を知らなかったのですが、検索して氏の作品の画像を見て「なるほど」とおもいました(笑)私の脳裏にあった風景とよく似ております。 みうらさん ご高覧ありがとうございます。「大層であり大層でないこと、自分語りであり自分語りではないこと、虚構であって現実であること、そんな傑作を書きたい。」とのお言葉に大変、共感しました。私自身も、まさにそのようなものを書きたいと日々念じております。その域には未だ道遠し、ですが(笑)

stereotype2085 (2018-11-10):

旧仮名使いが初めは正直もどかしく感じるのですが、最後の「がらんとして高い。秋空。」という一節で収束させている。もう一作よりこちらが馴染みやすかった。これが最終節まで旧仮名を用いたフレーズが来ていたら、印象はだいぶ違っていたと思う。

ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-11):

stereotype2085さま ご高覧ならびにコメントありがとうございます。ご感想を伺って、もし新仮名遣いでかいたらどうだったろう、と本作を頭の中で仮名遣い変換してみましたら、耐え難いほど貧相なものになってしまいました(笑)仮名遣いを変えたら、自分がかく詩そのものも変わってくるのだろうな――そんなことを思いました。

帆場蔵人 (2018-11-12):

きざまれた言葉がまた次の言葉を引き出していくような、静かでありながらたくさんものに満ちた詩ですね。ひたすら沁み入ってくる情感に酔いしれました。

桐ヶ谷忍 (2018-11-12):

抒情的で味わい深い詩文ですね。 情景がたやすく浮かび上がり、さらさらと流れて、まるで清流のようです。 締めくくりには、やられた!っていう痛快な思いが沸き上がりました。 三浦さんも仰っておられるけど、私も、この詩、私が書けたなら、と強い憧れをもちました。 良い詩をありがとうございます。

ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-12):

帆場蔵人さま ご高覧ならびに温かいお言葉ありがとうございます。「きざまれた言葉がまた次の言葉を引き出していく」とのご感想は、「少しずつずらしてノリで貼り付けていくように、川や子供たちを重ねて行く」というまりもさんの言葉に通じていますね。当人にはあまり意識がないのですが、そういう技巧を俺は使っていたのか、なるほど、とようやく意識することができました(笑)長いことかいていますが、技巧への意識はちっとも向上しません。 桐ヶ谷忍さま ご高覧ならびに身に余るお言葉に恐縮しきりです。ありがとうございます。私もよく「こういう詩がかけたらなあ」と溜息が出る思いで讃嘆したくなる作品に出合いますが、菲才にしてその念願が叶ったことはありません(笑)ですが、そういう心境でひとのかいた詩を見られるようになってから、むしろ自分の詩をかくことが楽になったような気がしております。

仲程仲程 (2018-11-12):

どこの世界なのかなあ、と思いながら、かつてどこかで見たことあるような、また、次の世界に入るときに見るかもしれないような、そんな気がして、心のひだにふれて、すこしいたみも感じます。 いい詩ですね。(もっとうまいコメント書きたいけど)

ishimuratoshi58ishimuratoshi58 (2018-11-13):

仲程さま ご高覧ならびに過分のお言葉ありがとうございます。って、なんか、現フォのコメントのレスみたいなお返事で失礼しました。つい、いつもの癖というやつで(笑) >心のひだにふれて、すこしいたみも感じます。 してやったり、じゃないですけど、読んで下さった方がそういう感覚を持っていただけるというのは、作者冥利に尽きます。励みに致します。

蔀 県蔀 県 (7 時間前):

「秋へと~」もすばらしい出来栄えでしたが、こっちもすごい。趣の異なる二作を、ともにここまでのものに仕上げてしまうのですから、ただ感嘆するしかありません。 旧かなづかいはもちろん目につきますが、それによって何がどうなったとかは、特にないと思います。一個の風景を鮮やかに写し取った、その映像を楽しむべき作品かと感じました。読んで、浮かびあがってくる風景(しかも現実/非現実のどちらであるか断言しかねる、どこか夢のような風景)に、しみじみと感じ入るばかりです。 いい意味かわるい意味かわかりませんが、ぼくは「ながながとつづくこどもの列」を、はっきりした数字ではイメージしなかったので(もっと抽象的に、影が点点とどこまでもつづいているようなイメージだった)、「幾千もの帽子」という部分で思わず立ち止まってしまいました。千という具体的な単位にしっくりきた方がいらっしゃるのか、ちょっと気になります。

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三日月の笑顔   

Sunano Radio 
作成日時 02:26:18
コメント日時 10 時間前

 

狭い部屋の壁はとにかく真っ白だった。 その真っ白の中で僕だけが汚れた浅黒い点だった。美しく整備された街並みの中に一軒だけある壊れかけのトタン屋根の家屋のように。 先生は机の上で手を組み、ほとんど身動きすることなく僕に質問を重ねた。声は注意深く、おだやかに抑えられていて、抑揚はまったくと言っていいほどなかった。また、先生の手には爪がなかった。本来爪があるはずの場所には赤黒い渇いた肉のようなものがあるだけだった。指先の皮膚はもれなくボロボロだった。おそらく自分で噛んでいるのだろう。ストレスだろうか。可哀想に。 僕が指先を見ていることを先生は特に気にしていないようだった。笑うと、目が三日月を倒したような形にぐにゃりと動く。機械的で、人を不安にさせる、とても不自然な笑顔だった。“寄生獣”を思い出させた。 「かあさん」僕は口の中だけで呟いた。 机の上には女子高生の制服が3点、綺麗に畳んで置かれていた。左から、紺、緑のチェック模様、ボルドーで、どれもブレザータイプの制服だ。 先生は制服を見る僕の様子を注意深く観察してから「そうだね、好きな色は何かな?」と言った。僕は少し間を置いてから「紫です」と答えた。「ふむ」といい先生はペンを持ち、バインダーに綴じられた紙に何かを記入している。やはり爪はない。「では、3点の制服で言うと好きな色はどれかな?」僕はまた少し考えて「緑」と答えた。先生はまた紙に記入する。僕は先生の手元と3点の制服を交互に眺めていた。 「これは?」 先生は3枚の写真を取り出した。 1枚目は、どこかの森の写真。5月くらいに撮影されたものだろうか。新緑がとても綺麗で、日差しも心地よさそうだ。2枚目は、SMAPの写真。ビストロSMAPでコックの格好をしているときの5人の写真だ。5人それぞれのイメージカラーがエプロンなどに使われていて、緑色は香取君だ。3枚目は、目の前にある緑色のチェック模様の制服を着た女子高生の後ろ姿の写真。少しふっくらした幼い脚をしている。肌はとても健康そうだ。茶色い革のおしゃれなリュックを背負っていて、髪は黒で、大きめのお団子頭だ。 「なんでしょうか」僕は先生に訊ねた。 先生はまたぐにゃりと笑って(僕はどうやらこの笑顔が嫌いだ)「この3枚でいちばん興味あるものはどれかな?」と言った。僕はすぐに「これです」と1枚目の新緑の写真を指差した。「春は嫌いですが、新緑の季節は好きなので」先生は三日月の笑顔のまま、また紙に何かを記入して「3枚目はどうかな?」と質問した。なんだ、どれを選んでもそれを聞くのなら同じことじゃないか、と思ったが、まぁ、いい。「おしゃれな子だと思います。後ろ姿だから詳しくは分からないけれど」僕は答えた。先生は「そうだね」と言った。今度は何も記入しない。僕の目をただ見ている。 「君のことを軽蔑しているよ」 先生は言った。三日月の笑顔のままで。 この場所で異常なのは、本当に僕だけだろうか。 「君の手は汚れているね。余りにも。いくら洗っても意味がないくらいに。そう思うだろう?」 「はい」 僕は女子高生の写真を見ていた。とても安らぐのだ。鼻の奥からつまさきまで人肌の優しさで満たされる。あまりにも安心して眠ってしまいそうだ。先生はどうやらまだ僕に何かを言っているらしい。本物の寄生獣なら、そろそろ食べてくれる頃合いだろうか。


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豆塚エリ豆塚エリ (10 時間前):

「ストレスだろうか。可哀想に。」とか詩にしては少し語りすぎるところがあるな、と思いました。すこし削るだけでだいぶスマートになるような気がします。SMAPとか寄生獣とか、私はよく知らないんですが、知っている人が読んだ際にも果たしてしっくりくるだろうか。じゅうぶんご自分の筆力で世界を作れているので、外から借りてこなくてもいいのではないかと思いました。

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どうしようもなく死にたくなるんだ   

alice1017 
作成日時 2018-11-15
コメント日時 2018-11-16

 

21時 お湯がすこし冷えた浴槽で 体育座りしながら頭を抱えてる 23時 重ねた毛布が暖まるベッドで 過去を見つめながら涙を堪えてる 砂時計の砂はひっくり返せるけど 時計の針はひっくり返せない 過去に向き合うたび 僕はゆっくりと暗闇に堕ちていく 地球(ほし)の重力が加速度をつけて ぐしゃっと 潰れる どうしようもなく 死にたくなるんだ 死にたくなるんだ 死にたくなるんだ どうしようもなく 消えたくなるんだ 消えたくなるんだ 消えたくなるんだ こんな重すぎる過去を もう持ち歩けないよ こんな重すぎる自分を もう引きずっていけないよ どうしようもなく 死にたくなるんだ 死にたくなるんだ 死にたくなるんだ どうしようもなく 消えたくなるんだ 消えたくなるんだ 消えたくなるんだ 人生を海だと例えるなら そこに近道も遠回りもなく この蒼い蒼い海を どれだけ深く潜れるか 太陽の陽が雲の隙間から 海に射し込むときを 待とう


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ふじりゅう (2018-11-15):

拝見しました。 詩として「形」があり、その形が芸術としての一方向の美しさ、を持っている作品です。しかし、私としましては、詩、として内包された深みや強度がないと言いますか、突き放されたような作品に感じます。 つまり、深く読もうと思ってもするりするりと意味が抜け落ちて読みにくい。では意味を抜きにして、そこに流れる空気を楽しむべきなのでしょうが、どうにもその空気も希薄です。 では何故か。例えば 「21時 お湯がすこし冷えた浴槽で 体育座りしながら頭を抱えてる」のパート。これは全て情報です。主人公像が見えません。詩というものはこの様な情報に加えて、その状況下における主人公の心の動き、これを如何なる言葉で示せるかに一方向の価値があると考えています。綺麗でそれっぽい言葉ばかりを並べたところで、それはただ綺麗な数式の様なもの。そこに詩本来が持つべき強度は存在しないのです。 先程の例ですと、21時、に対して主人公は如何に考えるか。遅いのか、早いのか。刻々と差し迫るものを感じる時刻なのか、一日の内ひと時訪れる安らぎなのか。 お湯が少し冷えた浴槽で、頭を抱えている主人公はどのような思考なのか。温い、と称するべき温度であるのに何故かひやりと感じたのか。頭を抱えてはいるが、その理由を探ろうとしてもぬるりぬるりと逃げる小魚のようにその根底を失ってしまうのか。骨組みはしっかりしているのに、とても勿体なく感じました。少しの工夫次第で、いい作品に化けるのではないでしょうか。

渡辺八畳@祝儀敷 (2018-11-16):

alice1017さんこんばんは。運営の渡辺八畳@祝儀敷です。 アリスさんが投稿された「Tree」は11月の投稿三作目です。B-REVIEWでは月の詩作品投稿は二作までとなっております(詳しくはガイドラインをご参照ください)。そのため該当作品は削除対応させていただきました。ご了承ください。 なお12月以降に「Tree」を再投稿することは可能です。 念のため魚拓。 http://archive.is/QfzDC 見たところアリスさんは他者の作品へのコメント書きはおろか自作品に寄せられたコメントへの返信もしていないようですね。B-REVIEWでは合評をサイト理念の軸に持っています。是非ともアリスさんにも参加していただきたいと思っております。11月はもう作品投稿はできないわけですから、これを機にトライしてみることをオススメします。 コメントを書くことの利点はこちらを読んでもらうとわかりやすいかと思います。 https://www.breview.org/keijiban/?id=2346

alice1017alice1017 (2018-11-16):

ふじりゅう様 参考になるアドバイスをありがとうございます。詩を書き始めてから日が浅いので、どのように詩の中に深みを与えるのかが不鮮明でした。ふじりゅう様に頂いたアドバイスを参考に、もっと頑張ります。ありがとうございました。 渡辺八畳様 大変申し訳ありませんでした。二作目を投稿したことを失念しており、三作品目を投稿してしまいました。すみませんでした。 詩作品へのコメントもこれから行っていこうと思っているのですが、なにぶん詩を書き始めてから日が浅いので、こんな未熟な自分が人様の作品を批評しても良いのかと不安になっていました。 これからは他の方が書かれた作品にコメントしていきますので、何卒ご容赦ください。 よろしくお願いします。

羽田恭 (2018-11-16):

なんだか釈迦の言葉を挿入してみたくなってしまいました。 何分、仏教オタなもので。 しかし、なぜそう思ってしまったか、なのですが。 今月の投稿作の中では、6でなしさんの「人間以下。吐き出し。」に近いと思います。 マイナス思考と苦しみを吐き出したという点で。 しかし大きな差は、6でなしさんの作品では最後にこうあるのです。 >それがいやで、それがいやで自分を信じてやってきたんだ。 >やっていくんだ。 この言葉に比べると、締めが弱いなと。 無理に締める必要はないのでしょうけど、ではどうするのか、という発展がないなと。 ご自身の苦しみに、上手く対応できてないからかもしれませんが。 「我らはここにあって死ぬはずのもの」と覚悟しよう。このことわりを他の人々は知っていない。しかし、このことわりを知る人々がいれば、争いは鎮まる。 釈迦 ダンマパダ(法句経)より

alice1017alice1017 (2018-11-16):

羽田恭 さま コメントありがとうございます。 6でなしさんの作品を読みました。とても力強くていろんなことを背負ってる方なんだと思いました。 自分にないものはこのような力強さかもしれません。「自分を信じてやってきたんだ」なんて、そんなことまだ僕は言えない。 それがすべてなんでしょうね。 コメントありがとうございました。

羽田恭 (2018-11-16):

それがすべて、ではないと思います。 6でなしさんはそのようにやっていくということであり、アリスさんは無理に力強くやる必要はないのです。 死にたくなる、消えてしまいたくなる、その状況をどうするのかという事が必要であり、アリスさんはアリスさんなりの方法でやっていき、表現してほしいのです。 >太陽の陽が雲の隙間から >海に射し込むときを 待とう もう一度この作品を読んでみると、最後の二行は阿弥陀仏の光を一心に待ち望むのと等しいかもしれませんし。 親鸞の「愚かなる自分は、阿弥陀仏の慈悲にすがる他ない」と同じく。 もしそうだというのならば、全身全霊で光を待つ、としてもよいかもしれないです。 アリスさんが、ご自身で見つけてほしく思います。

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越えていく   

あきら@ちゃーこ 
作成日時 2018-11-16
コメント日時 2018-11-16

 

砂を踏む音 足跡は轍をなぞる 水は爪を覆い 蜃気楼は指をすり抜ける   肩に掛けた生命が色を移す ふやけた皮膚は境界を喪う 暗い海に手足は揺蕩い 細胞は血脈を辿る 刃が背中を突き破る たたらを踏む足 若草は滲み 手にこびりつく殺意 狭間をさまよう目 雷鳴は花を降らせ 幾分かゆっくりとした 時計を叩き壊す 同等の同極 意思は反発する 本能はよだれを垂らし 赤い壁に磔にされる 孤独の先を歩く 崖から投げ捨てた時を 拾うだれかを想う 無限の一日はくりかえす 赤い花びらを一枚ちぎる レンズがきらめく 終わりある足跡を残す人 憧れにやさしくおぼれて 無限の始まりを 見つめている


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