You hate yourself(夜のシロップ) - B-REVIEW
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PICK UP - REVIEW

エセ詩人

いでよ、エセ詩人!

コトダマ とはよく言ったものだ。 ハキダセ と 男は言う。 おまえは誰だ? わたしは何者だ?   

湯煙

硬派な作品

萩原朔太郎や中原中也のエッセンスを感じます。

千治

体験記『呆気ない宣告』

それはあなたの現実かもしれない。

大概のことは呆気なくドラマティックではない。そうした現実の丁寧な模写が作品に厚みを増している。

ほば

世界は自由だ━不死━

わかるということ

あなたにとっては何が、その理解が起きるピースになるだろうか?

ほば

ふたつの鐘がなるころは

鐘は明くる日に鳴る! いつでもそうだ!

運営在任中に出会った多くの作品の中のベスト。決して忘れない。

yasu.na

良い

シンプルに好き

あっす

パパの日曜日

パパの日曜日

いい

明林

終着点

生きる、その先に死地はない!

美しくさわやか、そして深い意味が込められたシーン、均衡の取れた心情と思想、強い意志で最終連へと迫る引き締まった展開、我が胸にこの詩文を抱いて!

yasu.na

九月の終わりを生きる

呼び覚ます声

夏の名残の暑さが去ろうとする頃、九月の終わりになると必ずこの作品のことを思い出す。

afterglow

こっちにおいで

たれかある

たそがれに たれかある さくらのかおりがする

るる

詩人の生きざま

言葉と詩に、導かれ救われ、時に誤りながらも、糧にしていく。 赤裸々に描写した生きざまは、素晴らしいとしか言いようがない。

羽田恭

喘息の少年の世界

酔おう。この言葉に。

正直意味は判然としない。 だが、じんわりあぶり出される情景は、良い! 言葉に酔おう!

羽田恭

誰かがドアをノックしたから

久しぶりにビーレビ来たんだけどさ

この作品、私はとても良いと思うんだけど、まさかの無反応で勿体ない。文にスピードとパワーがある。押してくる感じが良いね。そしてコミカル。面白いってそうそう出来ないじゃん。この画面見てるおまえとか、そこんとこ足りないから読んどけ。

カオティクルConverge!!貴音さん

あなたへ

最高です^ ^ありがとうございます!

この詩は心に響きました。とても美しく清らかな作品ですね。素晴らしいと思いました。心から感謝申し上げます。これからも良い詩を書いて下さい。私も良い詩が書ける様に頑張りたいと思います。ありがとうございました。

きょこち(久遠恭子)

これ大好き♡

読み込むと味が出ます。素晴らしいと思います。

きょこち(久遠恭子)

輝き

海の中を照らしているのですね。素晴らしいと思います☆

きょこち(久遠恭子)

アオゾラの約束

憧れ

こんなに良い詩を書いているのに、気付かなくてごめんね。北斗七星は君だよ。いつも見守ってくれてありがとう。

きょこち(久遠恭子)

紫の香り

少し歩くと川の音が大きくなる、からがこの作品の醍醐味かと思います。むせかえる藤の花の匂い。落ちた花や枝が足に絡みつく。素敵ですね。

きょこち(久遠恭子)

冬の手紙

居場所をありがとう。

暖かくて、心から感謝申し上げます。 この詩は誰にでも開かれています。読んでいるあなたにも、ほら、あなたにも、 そうして、私自身にも。 素晴らしいと思います。 ありがとうございます。みんなに読んでもらいたいです。

きょこち(久遠恭子)

カッパは黄色いのだから

良く目立ちます。 尻尾だけ見えているという事ですが、カッパには手足を出す穴がありますよね。 フードは、普通は顔が見えなくなるのであまり被せません。 それを見て、僕はきっと嬉しかったのでしょう。健気な可愛い姿に。ありがとうございました。

きょこち(久遠恭子)

永訣の詩

あなたが出発していく 光あれ

羽田恭

あなたには「十月」が足りていますか?

もし、あなたが「今年は、十月が足りてない」と お感じでしたら、それは『十月の質』が原因です。 詩の中に身を置くことで『短時間で十分な十月』を得ることができます。この十月の主成分は、百パーセント自然由

るる

だれのせいですか

どんな身体でも

どんな自分であっても愛してくれるか、抱きしめてくれるか、生きてくれるか SNSできらきらした自分だけを見せてそんな見た目や上辺で物事を判断しやすいこんな世の中だからこそ響くものがありました。例えばの例も斬新でとても魅力的です。

sorano

衝撃を受けました

ベテルギウス。まずそれに注目する感性もですが、詩の内容が衝撃。 猫。木。家族。犬(のようなもの)。女の子……。など、身近にあふれている極めて馴染み深いものベテルギウスというスケールの大きいものと対比されているように感じられました。

二酸化窒素

ずっと待っていた

渇いた心を満たす雨に満たされていく

afterglow



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You hate yourself(夜のシロップ)    

寄る辺ない感じが体中を覆っている。疲れたと言えばそれまでなんだけど。話をしたい人がいて、でも話すことのできない自分がいるから、結局自分の方が勝ってしまって、僕は風のように誰ともおしゃべりできない。好きな人が好きじゃなくなる瞬間みたいに、でも誰かに会いたくなるような、それが失うことだと分かっているかのように、永続的に雪が降る場所について空想してみる。わりあてられた役割とか、首筋を噛みにいくときの動きだとか、それは温かいという感覚を覚えながら忘れていく。遠い森に行ったとき、何のために生まれてきたんだっけ?と、でも急に頭がおかしくなって虹彩が燃えた人形みたいな、始まりは終わりから、終わりから始まりにそって描かれた落書きが自動車のボンネットに見える深海を紐解きながら、色彩はそれぞれの違いをほのめくことができる。太陽はいつまでも眩しいから氷漬けにされているんじゃないかなって思うんだ。電線の影が足元をはりつけにする。ただ眺めている。そして昨夜はきっとたくさん歩いてしまったから足を動かすたびに頭の芯から疲れてくる感覚が顔ににじむ。顔って塗りつぶすためにあって、だから輪郭があるんだよって教えてくれた人はもういなくなってしまったけれど、結局そういうふうにして少しずつ忘れさせる練習をしているだけなんだと思う。森を通り抜けると目の前に海が広がり、寄せては返す波が砂浜に白い手紙を届けていた。海ねずみが波と戯れながら水域を確認していて。決して濡れない場所にしゃがむと、私はユニクロで買ったフリースのポケットから一冊の本を取り出して読む。それは宝石のように目の中にとどまる。潮の香りがあらゆる空間に満ち、そこに居続けるのと一緒だ。と僕は誰かが捨てていったシーグラスを空気にかざしながらつぶやく。やがて背後から人の気配がして僕の目はゆっくりと隠されてしまう。こんにちは。 * 洗濯物と一緒に揺れている翼。少しぼうっとした逃げ方で、子供のころの記憶が脳裏によみがえる。僕は顔のない天使に手を引かれてじゃぶじゃぶと記憶の中を泳いでいる。まだ携帯電話もなくて、声がケンカをしていない透き通った状態で、雪の日の明るさを瓶に詰めて手紙を書いた日は確かPixiesのDebaserをずっと聴いていたはずで。あれは水曜日だったな。彼女はいつも水曜日に答えを見せてとやってくるから髪の毛の匂いがする。僕の髪の毛は臭くて真っ黒で艶もないけれど、それだって違うのにね。彼女はそんなことどうでもいいのにということを目で伝えてくる。よく見ると虹彩が燃えていて美しいと思った。けれど目しか見えない。あとはぼんやりとしている。彼女だけが今も変わっていない気がするのはきっとそういうことなんだろうね。結局自分は何だろうと思うけれどそれは見えなくなってしまった風によって失われた形を新しくされ続けているのだろうとシーグラスを拾い彼女は僕の左目に差し込んだ。あれから僕の片目にはずっと音楽が流れているよ。そしたら天使の翼はもう見えなくなってしまったけれど、彼女の顔がやっと見えた。輪郭を両手で触れてみたいと思ったし、きっと歩いてコンビニに行くみたいに容易いことのようでもある気がした。でも結局僕はそれをしなかったし、ただ砂浜に落ちている時間だけが嘘のように転がっていくのをひとりで喋ってひとりで見つめた。そんなありさまだったよ。ところで彼女はどこへ行ったんだろうね。僕はまだ暗闇の中で翼を温めているよ。最大限の文字数で語るように星はあの鳥たちに盗まれていく。次は風が体とぶつからずに通過したよ。そろそろアルバイトに行く時間だね。はなうたと流星が運命をふりほどいては繋ぎ直して退屈そうにしている。僕は白い手紙に切手を貼った。アンダルシアってフレーズが嫌いと書いた。彼女はキッチンで料理をしていた。料理って辻褄合わせに似ていると思わない? 夜のシロップを飲み忘れた僕には、そのことが全部に見えた。もう少しで宇宙が手に触れ、でもどこかそれが寂しそうだったから手を引っ込めるけれども、それはあのころと同じだったんじゃないかなって少し思ったんだ。好きが嫌いになって、嫌いが好きになるあの僅かな瞬間をとりとめなく大切に思う。たぶん好きって使わないと使い方が分からなくなる。お互いの胸にかんざしを刺し合って、引き抜けなくしたのにさ。もうそんなことどうでもいいのに、さらさらと燃える雪のような文章が汽水域に捨てられていることに何にも感じなくなってしまったよ。一箇所に集められた星々をここから指差す。宇宙に散らばった丸いドングリがゆっくりと自転している。そのひとつに僕がいて、違うひとつに彼女がいるのは愛おしくも悲しいことであるから、僕たちは名前をひとつにして暗闇に声を走らせた。長い長い糸電話の浅波が途中でつまずきませんように。どうか遠い遠い最後まで届きますようにと。知っている人がいるからこわいけどこわくない。自動車に乗ってこの惑星の輪郭を踏んづけながら生きている。ガソリンスタンドで給油中に切れた糸電話を見つけた日に届いた手紙。糊づけされたところだけを丁寧に破いて剥がす。 * 君のことを考えると私はいけすかない気持ちになったりするよ。そんなことより声を聴きたいと思ったけれど、全部の目覚ましをとめるのに私忙しくて。雨降りの日は雨の中に何を入れてみようか、そんなことばかり気にしてくるくると、なぜだか分からないけれど。でも夜はちゃんと眠れているから心配しないで、君は君の長い長い本を読むことをやめないでね。私のことなんて考えずにたくさんのことに目を輝かせて欲しいな海水を吸収する砂粒のように。そして君はお気に入りの百葉箱を見つける。今はもう使われていない古くて塗装の剥げてしまったそれにこっそりと糸電話を隠したこと。虫の声がうるさいくらい辺りに散らばっていて季節はきっと生き物のように命を繰り返している。さっきから汗が汗をなぞっていくけれどそれぐらいなんだっていうんだと言った私の心はちっとも穏やかであるはずがなくまん丸のドーナッツの中心が塞がらなくても、君は夜に見つけることを露も諦めてはいなかった。そうやってひとつずつ確認するように落ち着きを取り戻してみせると今度は呪いのように黙りこくって皆を心配させた。それをときどき幸せと曲解していた。君は胸の中を片づけるべきだったと思うし、私はそろそろ罰を受けるべきだと思う。そもそも私は何の罪を作ったんだろうね。君の長いまつ毛が風に揺れる。とにかく胸の痛む作業であることは間違えようもない淡々とした、それでいて何ともない清らかなはしゃぎぶりで。君と同じように私も燦然と広がる夜の彼方を探していて、そこには途方もなく長い時間が行く手を阻むように転がっているんだでもね、隠された距離は分かる。気の抜けたジンジャーエールみたいに、私の口の中でいつまでも居残る。 * 空になった缶の重さが見えなくたって分かるような私は自分が嫌いだからステップを踏んだ勢いのままこの体から脱出したいねとそればかりを考えているよ。ってこと、君だけには伝えておくね。だって耳元で輝く月が眠った君の横顔のようだったもの。それが分かるのは君と私はどこかそんなふうに繋がっていて糸なんて見えなくなるくらいに曖昧な夜の浅瀬に打ち上げられた白い手紙を私たちそのものだよってたとえたら言い過ぎだよって笑うのかな。笑ってくれる気持ちがあればそれは嬉しいけれど。君が昼も夜も読んでいる本があるでしょ? その本にはロビンソンクルーソーが出てくる。私、ちゃんと知っているの。でもさ私、彼が熊だったらはちみつはもう舐められないなって、そう思っちゃうんだ。海の中で暮らしたい、なんて思ったこともあるんだよ。だからね。(君はどう?)私はいつもこうやって揺れる海草のように静かに小さく生きていたいだけで、意味のない同調なんてすぐに疲れてしまうから、少しだけ深く潜ったまま体を縮こめながら、どこからともなく集まってきた小魚が小言を言うみたいに私の肌をつつき始めて。私は少しくすぐったいなって思いながら。でもちゃんと息はできていて。息ができないと死んじゃうからね! 海の中にもときおり風が吹き抜けるので油断はできないと耳を澄ましながら、そっと目を見開いた一瞬にしか見ることのできない色が濃くなっている所を探して、そればかりを探してしまって。吐いた息は形を変えながら塩水とまじり合い姿を消していくけれどその音までは拾えない。君が聴いていた音楽がいつの間にか漣のように私の耳にも流れている。その夜、どことなく花の匂いがした君は神妙な顔をして私の頭をなでた。私は悪いことも、もちろんいいことなんて全然していないのにさ。君によって偶然みたいにもたらされた行為が可笑しくて、慣れない動かし方で首を左右に振って邪魔をした。録画されたアニメーションの隙間に入れられたCMみたいだと言った君と同じくらいの声量で私はただ静かに生きていたいだけというようなことを君に告げて、上手くいかないときの方が楽しいこともあるのだろうと徐々に思い始めている頭の片隅で君は何かをくだらないことを考えているのかもしれないと思う。君が考えるくだらない何か。それは頭を叩き合って笑う軽々しさで、すれ違った人のふりをする美しい星空で、もしそうでなかったと不意に思うような柔らかい真剣みにあふれていても、私は君がしてくれた行為の意図をこれからもゆっくりと反芻するよ。うるさい音楽のただなかにあるのは一定の静けさであり、ときはその透けた細かさの粒を優しい海流にぶつけていきながらやがてこっこくと降り積もるあわい偶然をこしらえていくみたいに。流れていた歌詞は英語なのでよく分からなかったけれど、君が出してくれた炭酸のジュースはもう、こんなふうに甘くなり過ぎていて。 * (これは君に送ろうとした手紙、だけど手紙にならなかった手紙でもあって) 外で本を読みたくなった。眠っていた体を起こして玄関をさっと出る。ゆっくりと本が読める場所はあそこしか思い浮かばなかったから。街灯の明かりが足元を照らす。足元より空にほんの少し近い光の周りを虫たちが回る。それよりもっと高い所を流れていく星がある。その音はキラリーンかもしれないし、ゴゴゴッかもしれないけれど聴こえない。宇宙空間っていうよく分からない場所を物質が通過すると音がさっぱり聴こえなくなる。音の大きさを想像すると逆にその場所の静けさが際立ってくるように思う。静かにそっと、眠るように玄関から出る。メリーゴーランドのように中心部に大きな照明があって、それに背中をぴったりくっつけながら座り込む。ということをしようと思って(ブランコがひとりでに揺れたり、シーソーが踊るように上下して胸がこそばゆくなる感じを楽しんでいる。ピンク色の名前の分からない可愛い遊具もやっぱりそんな感じ。人がいるようでいなくて、遊んでいる気持ちだけが濃縮されて、その場所から振り落とされないように辺りに一心に溶け込んでいる。溶け込んでしまっているのでないかという妄想)、足早に玄関から出る、中心に向かって行く。砂を踏みつける音がいつもより軽快に響き渡る。けれどぜんぜんそれ以外の音が聴こえなくてちょっと焦る。きょろきょろすると夜だから遠くにファミレスの明かりが見えた(この季節は蒸し暑くていやだ)。生暖かいぬるっとした空気が皮膚の精彩を奪っていく。風とは呼べない風。といつまでも同じ生暖かい生気が体に開いた無数の煙突みたいな穴から煙のように抜けていって空気にまじわっていて。考えることよりも先に、もうそれが見えるので。(パチパチパチ)。砂場の防波堤もずいぶんと上手に渡り切れるようになった。砂場っていう海の中に昔は何度も落ちたっけ。でもそれがなんとも楽しかったな。だんだん大人になってきて、遠い昔の感覚だけが上手に取り残されていく。正しくある感覚。人を思いやる感覚。背中の後ろ側がいつもぽっかりと空いている。目をつむって数を数えた。いち、にい、さん、数は時間と直結して吐き出した私の口の空洞に吸い込まれて消える。その空洞、それが背中にある暗闇と似ている。やがて時間も感覚も、全部曖昧になって体の輪郭も実線から点線になって肌色が見えない力でぐぐっと引き伸ばされていって切れそうになる寸前のところまで薄くなる。遠くの宇宙は膨張しやがて破裂するのを待っている。さっきの煙みたいなやつが雨に混じって、ときどき降り注いで薄くなったところに容赦なくぶつかる。避け切れないと思ったぶつかった場所の色が濃く感じるのは、アスファルトの上を見ていてそうだと思ったのを今思い出した。それが全ての地面の上で行われているのは何か可笑しい。思い出(と呼ぶにはさして内容もなく)が、他人の体から飛び出た煙のような軽快さで雨と結ばれていき呼吸をし始める。太古の記憶とそれよりも足の遅かった記憶とが何かのリズムで衝突してもつれ合って転ぶ。あいててて~って言いながら気づいたときにはひとつに溶け合っている。そんなことある? そんなふうにできた結び目に容赦なくまたひとつの雨が落ちる。やがて見えないそれによって全てが見えなくされる。見えなくても、口はどこにあるのか分かる、(分からないけれど)、目をつむっていても目に届く光は感じる、(感じないけれど)、ついでに胸に手をあてる。音が鳴っているかを急に確かめたくなる。確かめずにはいられない感じではなかったけれど、生きていえばそんなこともあるよね、って少しだけ、ここには玄関も蜜蜂もいないのに、歩いてきた道がひた濡れていて、ひかっていて、文字から染み出た水かな、それとも本の涙かな、なんてね。 * その日も雪は降ってただろうか。辺りは真っ白に染められていただろうか。僕は知らない。白さばかりで、目が反射的に眩しさを訴えてくる。構うもんかと、お気に入りの靴が残した足跡がそこら中に散らかっている。僕の足は血気盛んに動く。プチプチを踏むように、赤信号でタップする指先みたいに。まるで何かに取りつかれているみたいで、でもなぜだかとても楽しくて、裏側にある怖いという気持ちを覆い気づかぬうちに隠している。少しだけ汗もかく。僕にはきっと何もないから、雪すら降り積もらぬ大地で踊っていても、怒らないでね。できたての靴跡を片づけることはできないけれど、誰かがそこに足を踏み入れてくれたらいい。でも僕はまだ生まれてはいなかったよ。だから足もなかった。そもそも誰かのお腹の中にすらおさまっていなかったのだから。そうした意識だけが、つまりは先行して生まれてきていた。ということにただ過ぎなかった。僕は意識だけで歩けたし、それだけで体が心持ち活性化して、生まれる前の準備運動をしてたっていうこと。だからその延長ってわけじゃないけれど、歩いて図書館に行ってみた。僕が生まれたころの新聞はありませんと言われた。もっと大きな図書館に行く必要がありそう。と僕はノートの端にメモをする(図書館で本を読むと、何だか落ちつかなくなる)。致し方ないという結果がその時代、そのものを否定してくるようで、確かに実在した僕の生年月日、と続けざまに書いたあと全体を尖った丸で強く囲った。しまった、貸出カードがないことに気づく。他にも気づいたことがあって、ここには時計がない。時計のない部屋の時間はどうやって進んでいるんだろうか。夜の眠れない時間のように曖昧。きっと電池があればいいのかな。目覚ましがそうであるように。でも電池のなくなった時計は動かないから。そのときだけ時間がとまる? 進まない時計の針はとまる。針の重みで逆回転していくこともなく。楽しいときは時間の進み方がいつもより早い。約2倍くらい早い。それは1.5倍よりは強い。0.5は2分の1だから、1よりも小さい。感じる。その小さい速さで後ろを振り返る。手が見える。それはとても小さい。でも確かにそこにある。あるけれど知らないから誰かがそれを知りたくなってくる。伸びる。伸びた手は何かを掴み、足元にそれを吐き出す。僕の足元に広がる茶色い物体。僕が今まで掴んできたものだろうか? まだ生まれる前の土。あるいは生まれたての。細かい砂利の混じった色の薄い塊。動物がそこを通って、ときに餌を食み、そして糞をする。小さい動物がきて、大きな動物もくる。分解者もきたので、発育が始まり、栄養が受け渡される。何の前触れもなくその上で死に、その上に生れることもあった。通り雨が全てを洗い流し、終わると、小さな穴ができている。鳥は種子を咥えて飛び、答えは落下して、辿りついた先に、一輪の花が見る。美しくなる過程の寂しい世界。は美しい思考を犠牲にして成り立っている。人が唯一叶わない相手。何もかも、説明すらないまま受け入れるしかなくて、過去も未来もそのルールは変わらなくて、破られようが破られまいが。そこにしかないものもあって、それは今も昔もそこにあって、変わることをやめないのではなく、変われることを知ろうともしない。花々が目に映る。たくさんの色。だからそれを触ろうとした。感触を確かめたくなった。でも僕の手は透明だった。それは僕の目に形として認識されてはいるけれど輪郭線の内側は透明。夜のシロップをかけられた風がさっきまで泣いていた迷子のように僕の両脇をくぐり抜けていく。柔らかいよ。だからこれは水じゃないよ。そんな言葉も聴こえた。たくさんある色の中で、色のない僕の体はやがて跡形もなく見えなくなった。 * 僕は森の中にいた。千切れてしまった糸電話を左手に持ち、きっと花を探していたんだと思う。花の袂に近づけば何かが変わるのかもしれないと思った。歩き続けると雪が靴の中に入り靴下は足にすっかり密着した。小さな氷を踏んでいるみたいで楽しい。こんなときも僕はそう思う。だけど体温でゆっくりと形は変わる。触れた足の形になったり、爪の形になったりしてやがて保てなくなる。足跡は時間つぶしをする迷子の子供になる。来た道が分からなくなり始めてからようやく色んなペースが上がってくる。犬の遠吠えがした。星が遠くにたくさん見えた。チョコレート色のニット帽がアイスクリームみたいに真っ白くひかった。それからずっと歩きながらようやく木々のたまり場を抜けて、雪って思ったよりも遅く降ってくる。初めは軽いのにいつの間にか重くなっている。真夜中。名前。その境目の時間にだけ不確かなシロップが処方される。僕は透明な扉の外からそれを見ている。虹色の動物がまざり合っていく。順番待ちをする僕は退屈しのぎに君を探した。ブラックホールの口元は開いたり閉じたりを繰り返していた。(怖いから探して-僕は君を見つけ出すから-君が僕を探してよ)そんなことをひたすら考えているうちに開けた場所に辿りつく。一層白い、まじりけがなくて目が痛い。そこに違った白さで塗られた木製の箱がある。足が勝手に動く。手がひとりでに開ける。壊れないように静かにそっと。匂いはない。作り物の花が咲いていた。 * みずうみに住みたい、でも住みたくない、水もないようだ、きっとみずうみだと呼ばれもしない、忘れられたみずうみの果てだ、しかし水が溢れなければ、世界って誕生しなかった。海も同じように水を飲んでいて、喉元にはさらさらと砂が落ちていく、凍った心臓の中心にあった、蛇口を捻るとひかりがこぼれる。あくびをしながら逆さまに向けると、そのひかりの流れはかんざしを引き抜かれた髪が生き物のように孤独で美しく汚く見えた。色々な魚たちが水の底からまるで別々のまなざしを強く送る。古びた望遠鏡で見える景色は丸くない。たくさんの釣針がちょうどいい深さに沈んでいて。透明な糸の先で滑らかに動く仕掛け。魚たちはそれに見向きもしない。彼らは本を読んでいるんだろう、文明は今日も誕生している、本当か嘘かは分からない、でも本当だったらいいとちょっと思う。ここに書いてあるのは全て過去だから。カチコチのまつ毛。温かく飛ぶ鳥の目がひかる。吐く息は立ち昇る湯気のようだ。彼女は最後にシンクに熱いお湯をたっぷりかけて消毒をした。返事を返すシンクが嬉しそうだ。これは記憶。記憶のひかり。その昔、機械が初めて発した言葉の中に「ジンルイ」があった。それもまたひかりだった。唯一の。そのように本の最後に記されていた。ジンルイがこの世界の全てを作ったんだってさ。だから僕は凍ったみずうみに丸くあいた穴にそれを捨てた。海にすむ魚もいた。汽水域が夜に近づいていく。魚たちはそれを読み、初めての世界を作る。 * 眠っているときから眠っていることを誰ともしゃべっていない。それって眠っていることに甘えきっていると思う。99%の眠りであっても、101%の甘えであっても、眠りみたいな微睡みに包まれて、私たちは出会うたびに眠りについて語り、眠るたびに起きようとして忘れる。夢は飽和する。そしていつか泣いてみたいと思う。君はねごとみたいにそう笑い、眠らない嘘つきを見張っている。短い記憶を繋ぎ合わせて、音楽を作ろうとする。時間が経つと、朝の子供が起きようと身を捩り、寒さが聴こえてくる耳で、作られ始めている音楽を楽しそうに眺める。嘘つきの欠伸がいいアクセント。カーテンから夜が漏れるので、君は食べかけの朝を諦めて、足早にひかるベッドへと潜り込み、世界地図を同じ色で塗る。お気に入りの瞬間は均一にまた繰り返される。嘘つきは少し考えて、君がいいと思ったものが絶対に一番いいので、君は君の世界を広げるために好きなものを探し続けるのであれば、いいという感性から伸ばしていくといい、と絶対に思う。それをやがて言葉に置き換えたいと願うのだから、正面からしか見ていなかった事柄の、横から見たさまを有体のまま、絶対に離さないことだ。と手を繋ぐようにまっすぐに君に見せる。柔らかい掌に雨が伝っている。柔らかいものは何だって熱のない燃え方をする。逆立ちをすると遠くが近くに見えて、床に生えた草がだんだん伸びてきているのも分かる。無数の雨が跳ね返るときに小さな明かりを放つ。柔らかさが次第に集まってきてしっぽみたいに私に触れる。やがて掌に声も聴こえ始める。ふたつの声が交差する。ぶつかっちゃうときもある。それを間違えないために。拾っていく。君が捨てた。捨てようとしたもの。それが苦い。苦い燃え方。甘さのない甘味。きっと観点が変わっただけで、中身は同じ。やっぱり苦いから、誰かの言葉を待っている。燃やせない言葉。燃える口元。せめてもと、遠くに近づける君。草が生えている。君は捨てた。拾われることを。君が捨てた。遠くに。捨てられるはずだった。ことを。拾われないことを。拾う君と。続けて。拾われるために。君が拾うために。と。捨てられるために。と。近づけて。まだ遠く。君は続けていて。 * さむいときにとおくからきこえてくるかぜのこえがすきだよ * 彼女は夏の砂浜にいて、僕は冬の森を歩いている。それぞれの体温は糸を介して響き合う。熱。振動。空気がそれらを運び、熱は目に見えなくなるようなか細い糸をからかうように揺らして遊ぶ。糸電話で繋がっている。それが僕たちの合言葉。なぜだろう僕は海が嫌いだった。彼女が彼女を始めるための、僕であるための。部分、や、さまざまな。音楽。歌が。だって、それは。小さな、声に。小さな。指に、覚えている。指先の。床に生えたtell、これは、指の中の雪。はつらつとした凍え、いたずらを遠ざけて、風にふり返る。知ればよかった。呼び名で遊ぶ。memori。夜から滑らかなひとしずく。辿る香りは。水やりに使うペットボトル。風。覚えて、いる? 大きな小声、で、る、ある、たった一度きり、決まる、遅れる声、小さく、でも絶えず、じょじょに、なくなっ、なく、な、手のひらで、したで。たおやかにほどける、目指される。続く仕草の、こんなに、もない。祈り、も、届けば、変換され、声の。数える、いかなる、場所を。すべて、泣いた、届けられて。いつしかそこに。その場所に。繰り返す、ため。の。まぬけな高さ、身体性の補色。夏雲はねそべり、朝の日課と、花の計算。さようならはゆうがに、君の夜を超える。踏み出される待ち時間。こんにちは、と、手と振って。手が、更に。さらさらになる。さようならを美しくする引き算。ため、は、ひかりを組み立てる。もう。じき、完成する。すべてを、強く。ここへ。保ちながら。体を。ひとりでも。ここでも。ち、らかっても。いても。結局。それはもう、切れてしまった、ね。こんなふうに、今度から手紙を書くね。どうだっていいことをさっきから話しているみたいに小さな声にして送るよ。ちゃんと読んでね。でもちゃんと聴かないでね。これは初めの約束。いくつかの中の、知らない方の。知ってる? 海って繋がってるんだよ。君が生まれて、そして君が死のうとしたところ。私はいいと思ったんだ。だって私は君じゃないし、君の本当なんてよく分からないから。格好悪いことじゃないよ。目を見れば分かる。でももう見ることはできないかもしれないけれど。たとえばよく分からないから知ろうとする気持ちはよく分かっているというふうに。自動車の下でも探してみてよ。全ての動物が身を寄せ合って生きているのかもね。そしたら私もそこにいるから。って滑稽なくらいありきたりな結末が好き。好きだよ。君が大好きだよ。私、順番みたいだからもう行くね。じゃあね。バイバイ。風みたいな君へ。


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You hate yourself(夜のシロップ) ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 17
P V 数 : 1022.9
お気に入り数: 2
投票数   : 3
ポイント数 : 0

作成日時 2024-04-27
コメント日時 2024-05-06
項目全期間(2024/05/07現在)投稿後10日間
叙情性00
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閲覧指数:1022.9
2024/05/07 19時51分38秒現在
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    作品に書かれた推薦文

You hate yourself(夜のシロップ) コメントセクション

コメント数(17)
rona
rona
作品へ
(2024-04-27)

1.5Aさん、こんにちは。 この作品が計算づくで書かれていたらそれはそれで嫌なのだけど、もし素で書かれていたら、せつな過ぎるラストに不安さえ覚えてしまう作品でした。途中、乱丁な部分や饒舌過ぎるかと感じる部分も余りにも素を感じるのですよね。 私は詩を書いていて、ここも無駄、これも無駄、とガンガン削ってしまうんですが、1.5Aさんの作品って削ってない印象で、その全てに無駄がないというか、全部が呼吸している言葉のようで、感情の描写というか、それが体温まで感じさせているように感じました。そして、そこに惹かれるんだろうな、と。 また読ませて下さい。

0
1.5A
ronaさんへ
(2024-04-27)

こんばんは、ronaさん、お読み頂きありがとうございます。 まだ、挑戦していないことをやってみようと思い、これを書きました。書いている時はキーボードを叩いていたのですが、例えば鉛筆で書いているような、行や列を自然とはみ出して書き足していく、そのような感覚がありました。きっと、言葉の種をいくつも植えていくような行為であったと思います、(読まれた方の)頭の中でそれが息づきながら、色々と変化をしていくといいなと思っています。 ronaさんの書かれる詩は、やっぱりとても好きですね、ということを改めて感じました。削りながら書かれる、というのは想像をしていた印象とは異なっていたので驚きました。消しゴムでは消せない鉛筆で書かれたような、柔らかい明確さ、真似をすることのできない、迷いのない詩だといつも感じています。どうやって詩を書くのか、(根本的な部分ですが)そこから改めて作品の入口を見つけることができた気がします。 ありがとうございます。読みたかった詩が読めて、それがとても嬉しいです。

1
A・O・I
作品へ
(2024-04-27)

一読してざっと書きました、長すぎて疲れましたし。きちんと読み込めてないのでスイマセン。 何のことだろうなぁと思うんですよすごいなんか、葛藤というか独白じみてる。多分、イメージ的には夜にしか生きられない長く生きている。まあそういう形を模している。 キャラクターに名前でも付けられ初っ端に紹介されていたら綺麗に読めるだろうな 逆にそういう部分が一切カットされていて、君であるのか、僕なのか、私なのか?そういったものも分からなくなってしまうようなあえての口ぶりが (詩的であるとも言える)また不思議さとやさしさと、紛れ込んでしまったかのような曖昧な形だけを文字として表している 生活感的なことは、ちょこちょこ書かれてはあるのだけど、生きてる跡がないというか。まぁ、あえて映すことはいらないのだろうなという感じ。ふと現れて、ふっと去ってしまう気配のような感じ? その気配は何か寂しかったり、嬉しかったり心のどこかで引っかかっているものが具現化した形だとすれば、ふっと悟ってしまって、急に消えてしまうような。おももちだけがこの作品には書かれている。けれど、空想として、どこまでも付きまとうような巧妙な多幸感も含ませられる。 時を編み込んで記憶を作り上げているイメージ。そこにかげ形が現れていく、ただそれだけ。語ることで時が過ぎ姿が残る、誰も気づかなくても、ここに記録されていくことで生きていたと言える。思い出すにせよ、今に作り上げられるともいう、その瞬間、やはり生きている。痕跡の作品。 いつも思うのですが、1.5Aさんの作品は、わたしてきにはきちんとした、小説の形として(詩的であるということとは関係なく)まずはとっつきやすく読みやすくあってほしいと願っています

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1.5A
A・O・Iさんへ
(2024-04-28)

ありがとうございます。小説の形にしてみるということ。まだ取り組めていなかったことですので、(形にできるか未知数ではありますが)挑戦してみたいと思います。 たくさん文字を書いてみたい、という試みからこれを書き始めました。さなかはそういった気持ちが一番のモチベーションになっていた気がします。それが良くも悪くも文字に現れ、とても読み難くあったと思います。書き終えてから推敲をする時間が長くあり、段々とその時間さえ曖昧になってくるというか、楽しくもあったのですが、大変な経験でもありました。 A・O・Iさんの作品に対するまなざしはやはり確かだと思います。“”そういう部分が一切カットされていて~”というところはその通りだと思いましたし、書いて頂いたことがすべてすっと胸の中に沁み込んでいきました。コメントを頂ける作品ではないと思っていましたので、ホールドを打たれたような感覚と、それをまた書くことへの手掛かりにさせて頂きたく思いました。

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おまるたろう
おまるたろう
作品へ
(2024-04-28)

かなりリスキーな作品だと思いました。 ひとつの、「表現の自由」の極致は「虚無である」という、恐怖の表現だと解釈しました。(鮮明にはそれに影でおののく個人と、それになにひとつ斟酌しない集団=読み手という、二重の)

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ハツ
ハツ
作品へ
(2024-04-28)

昨日からちょこちょこ読み進めています。好きなワードは色々あって、雰囲気も好きなので、このまま読み切りたいです。 > アンダルシアってフレーズが嫌いと書いた。彼女はキッチンで料理をしていた。料理って辻褄合わせに似ていると思わない? ここが4連半ばまでで一番好きなところです。料理は辻褄合わせっていうのは本当にそうですよね。 私の中で、1.5Aさんがこの作品で書かれているもののすごくぼんやりとした形みたいなのは見える気がするんですが、近づいたから(読み終えたから)といってその形が、はっきりくっきり見えてくるかというとまた違うんだろうなという予感はあります。 こんなに長く書き続けられる集中力が凄すぎるのと、この長さで誤字チェック等をされたことの苦労を思うと青ざめます。

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エイクピア
作品へ
(2024-04-29)

「生きていえばそんなこともあるよね、って少しだけ、」 ここは「生きていれば」だと思いました。 感覚的な表現や、視覚的な描写、聴覚的な描写、簡潔な表現、批評性の横溢した表現が、混然一体となってこの詩を構成していると思いました。森の中に入る僕、湖に憧れる僕。雪に言及する僕、生年月日が出て来る。君に送ろうとした手紙。この詩に恋愛はあるのだろうか、あるのだとしたら、幻想の中にあるのではなくて、あくなきリアルな追求から生まれた魂の彷徨そのものが恋愛を含んで居るのだと思いました。

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1.5A
おまるたろうさんへ
(2024-04-29)

リスキーな作品っていいですよね。と前向きに捉えました。そこから先に書かれた紐解きも新鮮で面白く感じました。そういった変梃な作品が犇めきながら飽和してぶつかり合う、そこからまた、何か新しい潮流が生まれてくるのかなと思います、(生み出していきたいですね)。お読み頂き、ありがとうございました。

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1.5A
ハツさんへ
(2024-04-29)

大人になる過程(もしくは大人であること)と、辻褄を上手く合わせる行為は親和性が高いなと思い、いつも少しだけ寂しい気持ちになります。そういった時は音楽を聴くのがいいなと思っていて、フランシスが興奮気味に叫んでいたのが偶然“アンダルシア(の犬)”というフレーズでした。本当は好きなフレーズではあるのですが、嫌いと書いてしまったので、“僕”はまだまだ上手く帳尻り合わせができないのだと思います。 書きながら見えている(思っていること)と、こうしてコメントを頂けて初めて見えることがあるのは、子どもの時のような淡い気恥ずかしさの中にいる感じがして、不思議ですね。でも、そういった体験が書く力を高めていくのは言うまでもないことだと思います。お読み頂き、ありがとうございます。

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1.5A
エイクピアさんへ
(2024-04-29)

文字数を底上げするために色んなイメージを少しずつ溶かしました。今まで僕がここに投稿したものからも少しずつ。“彼女”というのが僕の恋人(彼女は僕のことを君と呼ぶ)であるのか、はたまた僕を生んでくれた人であるのか、その中にある現実も混然としているのですが、季節や気温や天候といった自然だけが、しかしバラバラであることを教えてくれているのだと思います。 エイクピアさんのご指摘の通りです。こちらは直せないので原本の方をこっそり修正させて頂きます。誤字を見つけて下さり、そして丁寧にお読み頂き、誠にありがとうございました。

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rona
rona
1.5Aさんへ
(2024-05-01)

1.5Aさん、こんにちは。拙作を読んで頂いてありがとうございました。 1.5Aさんが読ん下さったのは、久しぶりに下書きに書き留めた詩で、多分、日の目を見ることはなかった作品でした。まだメモ書き的な段階ですが思う所あって公開しました。   自分が久しぶりに書いたのと1.5Aさんの作品が投稿されていたのが偶然にも(幸運にも)時間差がなくて、初読は作品と自分を切り離して読んでいたのですが、読後に『You hate yourself』を自分自身と結びつけて考え始めました。 私は自分の詩が余り好きではなくて(作品って自分自身なんだろうと思います。少なくとも自分自身の思考の仕方とかが現れている)、そこから考えてみました。つまり、自作品への肯定や書くという行為の意味から考え始めたのですが、肯定や意味には私が考えている以上にもっともっと深さや広がりがあることを改めて感じました。 読んで頂いた詩は半年前にビーレビで書いていた詩とはまた違っていると思いますが、私自身の現在地点なのだと思います。(こういった思考も1.5Aさんから頂いた言葉から影響されています。) 「迷いのない詩」と感じて頂いた作品の背景には断定しなければ成立しない背景があり、それが私にとって心地良いものか?と言えば必ずしもそうではなくて、そこにある息苦しさや限界、違和感や居心地の悪さみたいなものを自分自身が感じていて、それが自分の作品を好きになれない理由のひとつなのかも知れません。 迷いのなさは頑なさでもあるように思いました。柔らかさって色んな種類があると思うんですが、私から見ると1.5Aさんの柔らかさは群を抜いているように感じます。例えば、糸電話の糸を常にピンと張っているのが私なら、1.5Aさんはゆるゆると風に遊ばせているイメージ。性格や生き方を変えるのは中々難しいのですが、そんな自由さや伸びやかさを身に着けられたらと思いました。 この作品や1.5Aさんの言葉から多くの気づきや進展があったことを感謝を込めてお伝えしておきます。時間を置いてこの作品を読んだ時、また違った世界が広がっている気がします。(多謝)

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秋乃 夕陽
秋乃 夕陽
作品へ
(2024-05-01)

文学的な詩、長いけれど言葉のひとつひとつが息づいている。 じっくり読み解いて余韻を楽しみたい、そんな詩ですね。

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1.5A
ronaさんへ
(2024-05-03)

ronaさんが新しく書かれた詩は、もしくはまだ紡がれている途中だとしても、そこに宿る真新しさは、取り込んだ洗濯物に思わず鼻を押し当ててしまうような、懐かしい温かさに溢れていると思います。本当に幸運な偶然ですが、「終わることのない遠くなつかしい呪縛」という最後の言葉、僕はここに、二つの詩が重なり合う瞬間があるように感じます。 作品は自分自身であるということ、僕もその通りだと思います。否定をすることで自分と他人からも距離を取り、その距離感の中で創作をしていくというのが僕の書き方であれば、ronaさんの書かれる詩からは、そういった要素や葛藤を微塵も感じさせない、迷いのない詩と書かせて頂いたのはそこに通じているのですが、まるでお互いがお互いの詩作に感じていることが真逆であることも、それは生きている途中で性格や生き方を変えられないという難しさにもまた似ていて、例えば変えることはできなくとも、それが一時的な保管であったとしても、受け入れることくらいはできる、ぐらいの経験はしてきているはずだと、変えることのできなかった難しさが教えてくれているのだと思います。 こうしてまた、やり取りをさせて頂けるとは想像もしていませんでしたので、この現実(お言葉を頂けること)を何よりも大切に思っています。そしてどうかまた、ronaさんの物語に続きがありますことを、一読者として願っております。

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1.5A
秋乃 夕陽さんへ
(2024-05-03)

ありがとうございます。これから暑い季節がやって来ますので、その前に投稿できて良かったと思います。きっとさっぱりしたものが食べたくなったり読みたくなったりしますので。涼しくなったら、少しずつ僕もまた読み返してみたいと思います。

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秋乃 夕陽
秋乃 夕陽
1.5Aさんへ
(2024-05-04)

1.5A様、これからますます暑くなりますが、どうぞご自愛ください。 暑くなる前に投稿できてよかったですね。 さっぱりした冷やし中華みたいな詩、読んでみたいです。

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吸収
吸収
作品へ
(2024-05-06)

砂浜の砂を拡大したら小さな貝みたいのが びっちりとつまっているみたいな感じの文章 其処にはいろんな物語りはあるんだろうけど なんというか乱雑な美しさと意外性みたいなものに意識を奪われて物語が入る余地がないと言うか 星の砂は何かのぬけがら、生き物のなれの果てなんだけど其処に美というかエモさを感じてしまうというか ちょっと感じたのはこの人はまだ本当に書きたいものを見つけてないのではないかということ、書ける人っていうのは意外に多いけど 書きたいものがわかっている人っていうのは中々いないので。 まぁゼンメツさんと1.5Aさんを比べると技術的な差は余りないとは思うけど、書きたいものを書くという想いみたいなもので負けてる気がするな、この差は小さい様であって致命的なモノになりうるのかも知れない

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1.5A
吸収さんへ
(2024-05-06)

ありがとうございます。書きたいものを書くという想い、心に響くお言葉ですね。そしてそれを見つけて書き出すということ。それは自分の周りにあるのではなく、自分の中にあるものだと思います。僕はそのあたりの見つけ方がまだまだ上手くできないかもしれません、と同時に、もっと面白い作品が書きたいという思いがあります。そして読むということ、それは自分の中に投げる種を見つけ出すことなのかなと思います。ゼンメツさんの作品に、吸収さんの作品からも。

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