もう言うことなどない
けれど、なにか言い足りない
気がしてならない
少年期、よく一緒に遊んだ友達がいた。彼は彼の住むマンションの植え込みに金魚の死骸を埋めた話を何度も聞かせてくれたのだが、ぼくは一度も彼に不登校の理由を訊くことはなかった。金魚を埋めた場所は覚えていても、彼の顔を思い出せない。思い出そうとすれば、思い出せないことが思い出には多い。実家近くの公園は取り壊され、立ち入り禁止のフェンスに蝶の蛹が止まっていた。
ちん
しゃん
しゃん
ちん
しゃん
しゃん
夜明け前の
風に乗って
ほころぶように
きこえてくる
時の過ぎる音
ちん
しゃん
しゃん
ちん
しゃん
しゃん
人通りのない路地で
ぼくは誰を待っているのか
帰れない場所があるから
どうしても思い出せない
作品データ
コメント数 : 14
P V 数 : 1431.3
お気に入り数: 4
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-04-11
コメント日時 2024-05-08
#現代詩
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/15現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 0 | 0 |
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構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:1431.3
2024/12/15 03時43分33秒現在
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こんばんわ。 一連目からのつかみから、二連目。 この二連目は、「湿っぽい」ものなのかもしれませんが、隠し通していくような、こうなんとなく他人に言いづらいような思い出は、こういったあまりにも、さびしいほどに内的なものではなかろうか。と、それが純文的に書かれていて、ひきつけられました。 どちらかといえば短い文章なのかもしれませんが、無駄を感じる事はなく、好意的に読みすすめる作品だと思いました。 しかし、にぎやかさを、喧騒を歩いてきた足が残す轍を冷静になぞると、輪郭はなぜ、こんなにもさびしい形をしているのだろうと思いました。 作品、ありがとうございます。
1コメントありがとうございます。無駄がないといってもらえてよかったです。さびしい気持ちをそのまま書いてさみしい雰囲気の作品になりました。
1いろんなスタイルの詰め合わせ、まさに詩の”デパート”!
1夜明け前という、日々の移り変わりを意識させる時刻、昔の思い出、今の話、時間の流れていく音、、それぞれ響き合ってとてもいい感じです。
1「ちん しゃん しゃん」 閃くように瞬間があって、そのあと雪が降るように消えていく。記憶に音がつけられた良い表現だと思いました。 「彼」が不登校だった理由を訊いてなかったのか、どうなのか。本当は訊いていたのかもしれない。だから、言い足りないものがあるような気がする。けれど、その記憶が路地を通ることはない。街が変わり、そこに住む人も変わるように、頭の中の街にもうその人(記憶)はいないかもしれない。 それでも、夜明けに目を奪われるのは、今までと変わらない光を投げてくるからか。あの光だけは昔から自分を見つめてくれている、そこから記憶が届いてくることを、願っているのだろうか…… 良い詩でした。
1『ちん/しゃん/しゃん』に挟まれているから『夜明け前の/風に乗って/ほころぶように/きこえてくる/時の過ぎる音/』なのだろうけど、せっかくかたち的にも凝ったオノマトペが、わたしの想像力がねえのか、全くなにをあらわしたものなのか、見当がつかない。まあこの詩の意味とか意図を押さえるより、これを見栄えでねじ伏せるとするなら、この『ちん/しゃん/しゃん』からはじまる五連の下に、二連目を長四角でも拵えて読ませるように収めると、うまく馴染むのではないかなと勝手に思いましたが。夜明け前にふと目の前に現れるような漠然とした思い出が、読み手にも、のしかかるような、簡単には抜け出せないイメージをこの詩から感じました。
1コメントありがとうございます。ごった煮スタイルです。詰め放題。
0コメントありがとうございます。過去現在未来それぞれを貫いて時間は流れ続けるんだなって思ってます。いい感じと言ってもらえて嬉しいです。
0コメントありがとうございます。 本当は訊いたのかもしれない。その可能性は確かにあります。曖昧だからこそ、深く記憶に残ることってあると思ってます。いい詩と言ってくださりありがとうございました。
0「帰れない場所があるから」と言われると少しドキッとするのですが、 「ちん しゃん しゃん」 と言うオノマトペが紛らわしているような。勿論タイトルの「夜明け前」と言う言い方も重要だと思うのですが、詩の中にも出て来ますし、それでもこのちんしゃんしゃんと言うオノマトペが印象的で、この詩の中で、重要な位置を占めていると思いました。
1コメントありがとうございます。音のイメージに凭れかかってしまった印象はあるので改良の予知ありだなぁとコメントを読んで思いました。
1コメントありがとうございます。オノマトペの印象が強すぎるのかもしれない、自分としてもいいの降ってきたーみたいなテンションだったので、その前の連との繋がりをもう少し活かせたかなと思っています。
0不登校の子を思う気持ちや、だったかなあと回想する様子。寂しくも懐かしさを感じる詩です。構成もきちんと練り込まれ、情景描写がきちんとしているので、感情移入しやすいと思います。
1コメントありがとうございます。感情移入できる作品になっていたようでよかったです。
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