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B-REViEWは終わった   

作成日時 2019-05-04
コメント日時 2019-05-25

B-REViEWは終わった そこに人間関係は生まれず 人は 自らをあたたかく 迎え入れて くれる新たなコミュニティを探して 旅立つのでした  かつてユーザーだった濱埜は、端末のGPSを用いたマッチングアプリで600mの距離からいいねをくれた3歳年下の子のプロフィールを覗いていた。ヤるだけの関係に疲れていて。  その子の写真が顔はトリミングで隠されているただの街の一角での私服ファッション、それがほんわり優しく感じ取れた。嬉しい、いいね。  濱埜はその子と少しずつメッセージを交わした。好きな映画、読む小説、実はいいねが嬉しくて、よかったらお茶しない? 13時くらいからエッグスンシングス。  ユウという名前で、黒髪はさらさら系。その髪がコンプレックスで、本当はもっとオシャレにしてみたいんだって。だからそこもかわいいよ、とは言わずに、服オシャレだね。俺もそこの大丸よく行くよ。  クリームがなぜだか顎の端についているユウに、濱埜は少しふふっと笑ってしまう。  ユウも詩を書いていた。自分のは詩というか、絵本に近いんだけど。卒業してからも友達と文学フリマとか出してるんです。恥ずかしいから、あまり初めて会う人には言わないようにしてるんだけど。景吾さんも蜂飼耳さん読むって聞いて、ちょっと親近感がわいちゃって。  景吾さんの詩も読んでみたいな。  (いいのかな)  少しだけ逡巡したのか、したふりをしたのか、  濱埜は、これ投稿したやつなんだけど  画面を手渡した。  いいんですか?  うん、まぁでもあんまりユウちゃんのとは違うタイプかも。蜂飼さんみたいな面白いのとも違うから、まぁでも、ね。   しっかり読んでくれている。   でもしっかり読んでいない。   一つ一つ噛み砕こうとする。   でも諦めて飲み込んじゃう。  すごい、コメント212件もついてるんですね。自分は細々とやってるだけだから、人からリアクションというかあんまり反応が実感として来ないからな。  いや、すごくないよ。すごい人は2万件とかついてるし、出版とかもしてるからさ。  そうなんですね。全然知らなかったです。  まぁそれにもう投稿はしてないんだ。リアルが忙しいし、詩を書いてもね、流れちゃうから。あ、でもユウちゃんみたいに実際に形にするのはいいよね。  そんなことないですよ。絵本をつくってもイベントで6時間座りっぱなしで2冊売れるだけ、感想とかももらえるわけじゃありませんし。ほんとうタダの自己満で。  目が泳いで、濱埜の男らしいとよく褒められる手に留まる。濱埜は見つめているのがばれないように視線を落とすと、そこはいつも胸。  半袖と皮膚の絶対領域について、必死で語った男子校時代の夏の教室をじめりと吹く風。店の自動ドアが開いて、簡易なタイムスリップを催した。  あぁ嫌だな。  どうして初回から  牽制し合ってるんだか。  もう詩を書くのはやめて、  純粋な所から出会い系したいのに。  甘さに飽きてきた濱埜とは裏腹に、ユウちゃんはめっちゃ食べてる。  あ、でもちゃんと筋トレしてるんですよ、これでも。 詩が流れていく けんけんとかたぶいて 礎を心を惑わせず  濱埜は、夜一人でゲームをしていた。大してエンディングのないゲーム。馬鹿馬鹿しくて!と歌で叫びながら、意を決して親に電話した。  俺、俺、帰るよ。  もう使われていない電話番号にみじめに確実に伝えた。細かな唾がコントローラーに飛んで、それを手で拭くと、散骨の塵が手についたやるせなさにスリップした。こんなに嗚咽をしたことがなかった。俺は認められたかったのに、なにもなかった。  濱埜はそのまま外へ走り出した。だんだん、だんだん、大濠公園をランニングしてる人に。 気がつけば 皇居はランナーでいっぱい 不文律のマナーと 緩やかなマナー違反の ないまぜを 泳ぐのが 速くてもキレイでも もう此処も少子化から逃れられなかった もう誰も生まれません。  あれ、ユウちゃんも夜ランニングしてるの?  どうしても、あの、感想を言いたくて。詩の感想を言いたくて。  え?  だからずっと本日ストーカーをしてました。許してください。→いいよ。   しっかり読んでくれている。   でもしっかり読んでいない。   一つ一つ噛み砕こうとする。   でも諦めて飲み込んじゃう。  酷評OKだから言うと、どうしてキャッチーなタイトルにまとめちゃったのかなと思いました。そんなにインパクトって大事ですか? 読んでもらえないかもっていうびびり感があってそこが作品全体とバランス取れてないって思いました。  あと、いちいちスタイルや文体が変わるのも統一感がなくて、意図が汲み取れません。推敲ってしたことありますか? 一文字一文字、読み取ろうとする読者もいるんです。でも「筋トレ」の描写は好きでした。自分も筋トレするんで、大臀筋のもみほぐされる描写はめっちゃフィジークとして疼きました。   そんなこと言われても、  夜風に   さらさらと  髪は  流れ   ていくだけ。   怒りが込み上げて、  理由が明文化できずに、   歯を食いしばると、  なにを勘違いしたのか、   そいつは僕の顔を、  右から全力で引っ叩き、   気合注入ファック、  そんなパワーワードを、   残して走り去った。 後ろ姿の ケツが めっちゃ、美しく揺れる。  濱埜には、もう居場所がこの世にはないのだけれど、生きていくのです。生きていこうと思うんです。  濱埜は金輪際、B-REViEWには現れなかった。  もう、西鉄の旅人に乗ってったって。 B-REViEWは終わった 運営がいなくなり CGIボーイ という少年の 絶対領域へ迎え入れられ 言葉は皆 旅立つのでした   す、は、す、は、   遠くから   呼吸音が近くなる。   今の僕には、   その音の意味が聞き取れる。  詩が、生まれる。  (いいのかな)  少しだけ逡巡したのか、したふりをしたのか、  画面を手渡した。   しっかり読んでくれている。   でもしっかり読んでいない。   その瞬間をつぶさに突き止めて、   風がいちいち靡いている。   風がいちいち。


項目全期間(2019/09/18現在)投稿後10日間
叙情性207206
前衛性5050
可読性264262
エンタメ206200
技巧266263
音韻1818
構成137132
総合ポイント11481131
 平均値  中央値 
叙情性230
前衛性5.60
可読性29.31
 エンタメ22.90
技巧29.60
音韻20
構成15.21
総合127.64
閲覧指数:1666.3
2019/09/18 00時15分50秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。


コメント数(11)
沙一 (2019-05-04):

この物語では、出逢ったひとが偶然、主人公と同じく詩を趣味にしている方でしたけど、自分はリアルではなかなか、人前で詩が好きだなんて言えません。趣味の話題になっても、読書が好きなど、あたりさわりのない会話でやりすごしてしまう。ましてや詩人とのつながりなど、ふつうに生活していたらできようはずもなく。 だからこそビーレビのような詩のコミュニティがあることを嬉しく感じていますし、気の合う詩友と出逢えた悦びは大きいです。 終わったと言いながらも、詩の投稿サイトがしっかりと作中のコミュニケーションツールになっているあたり、巧いと思いました。 〈B-REViEW〉と、小文字の i にしてあるところも、にくいですね。笑

竜野欠伸 (2019-05-04):

痛烈なビーレビ批判と申受けたのは、僕だけでしょうか。ビーレビより生成されるコミニュティ不在の現ビーレビをどのように思うか?という作者ながらの言葉で客観視点を与えようとする詩作と思います。それは、本来の出会いともなりえない不甲斐ないコミュケーションが、未だに詩作の拠点としてしか存在しえないだろうとの作者の想いも見え隠れします。別にビーレビのせいとは、思はないですが、詩人が詩作することそのものには、日本では、今しがた産業構造がないのでしょうネ。ここにも描かれていますが、詩人に社会的な役割があるとしたら、他者と他者のあいだに、自己をあらわす言葉を創り出すことなのかもしれません。

tOiLeT (2019-05-04):

自分のような新参者には分かりにくい内容なのかと思いましたが、 読み進めていくと普遍的な部分も感じられたり、多角的にも読める気がして大変面白く感じました。 コミュニケーションについては、普遍的なテーマなんでしょうね。 さらにSNSなど特有の距離感ってのもあるでしょうし。 それをどう乗りこなしていくか? 詩というのも、とくにネットにおいては独立した文芸作品というよりも、 『コミュニケーションのツール』になっている面もあるのかも知れませんね。 その環境のなかでどう詩を作用させていくのか・・・? テーマは尽きませんね。

かるべまさひろ (2019-05-05):

当日中にお三方からコメントをいただけるとは思っておりませんでした。 まず、コメントを本当にありがとうございます。 ◆◇◆◇◆◇ 沙一 様 リアルで詩の話を遠ざける気持ち、わりとわかります。ゲイをカミングアウトするよりも、詩の話ができない場合が多々かるべには経験ありました。 さて、ふつうに生活しているとゲイは恋愛ができないので、出会いの分野の発達の歴史が長いのですがご存知でしたか? ビーレビへの感謝は本当に嬉しいです。かるべもそんな1ユーザーの一人に過ぎません。たまたま旧運営がやめる時期に引き継いでみたに過ぎません。だから、沙一さんの気持ちは痛いほどわかる気がします。 iの小文字はちょっと強いかな、と逡巡するふりはしましたが、にくいと笑ってもらえたのなら調味料としては適切だったと思えます。 ありがとうございます。 ◆◇◆◇◆◇ 竜野欠伸 様 必ずしもかるべに向けられたコメント内容ではないので、感動しました。 詩・社会・産業が言及される内容から、竜野さんもまた「理想」と「現実」について考えながら答えを出さずにいる、そんな風に読み取りました。 ビーレビ批判だと受け取ったのは僕もです(作者が何言ってるんだと思われるかもしれませんが、僕は自分の詩の読者としての一面が強くあって、すみません)。しかし、ビーレビの「理想」とはなんでしょうか? 僕にはどうも、この作品にビーレビコミュニティとはかくあるべきといった価値観は潜んでいないように思えます。沙一さんの言を借りると、終わったのにコミュニケーションツールになっている。僕もこの点に興味が残り引っかかっています。 詩作全体の話にも通じていて、確かに社会的な産業的な切り口は想像しやすいのですが、これは根本的に「少子化」する日本語人口のことからも、詩人と非詩人のあいだに登場人物が設定されている点が、詩の役割=個人的側面プラス社会的側面 を構図として示しているのかも、と読み返して思いました。 ありがとうございます。 ◆◇◆◇◆◇ tOiLeT 様 デュシャンの泉から102年。尽きない話を、いつか折に触れて聞いてみたいです。 書くにあたって、ビーレビに投稿した人なら全員、もう一度なぜ投稿したのかを読むことで必然と各自で振り返る、そんな狙いはありました。 いつからどの頻度で参加しているかという点から意味が変わらないように、気をつけていたので面白がってくれたのはとてもホッとします。 さて、文芸作品、ひいては「作品」「文学」「芸術」とはなんなんでしょうね。僕には例えば、本屋の本の中身とtOiLeTさんのコメントをうまく区別することができないのです(これは僕の特性でもありますが)。 感覚ではわかるんです。頭でわからなくて。 独立した文芸作品に思えるものと、コミュニケーションのツールとして用いられるテキスト。両者の違いを整理できないから、濱埜は走り出したのだと思います。 ありがとうございます。 ◆◇◆◇◆◇ さて、 ビーレビューをぼちぼち上手に運営から離れたい、 あるいは全員運営制にでもならないかな、と感じています。 誰かに、運営と非運営の線引きを、明文化して示して欲しくなるのですが、 どうやらそれは未だ人類が解決できていない悩み or 未だ誰も悩んだことのない悩みであるようです。 そんなこんなで昨晩、詩でしか言えない、と思い立ち、3時間スマホのフリック入力で、性悪説に打ち勝てるように10日間のうちにポイントを稼げるようなクオリティと題材で、感情面よりも建設的な議論を進行させたいという直截的な思いで、フリーライダーを駆逐してやるという思いで、そんなことはどうでもよいから濱埜のことを認めて欲しいと思い、更にそんなことはどうでもよくてパワーワードまじウケるという思いで、書きました。 引いては、詩をなぜビーレビに? 投稿するの? なぜ普通に生きていたら 人に出会えないの? あるいは、なぜ未だに普通の生き方イコールオフラインなの? 結果、内容は、かるべにしては シンプルになりました。 読んで下さり、ありがとうございます。

せいろん (2019-05-05):

とても興味深い内容でした! ひとつ、特に面白かったのが、「推敲ってしたことありますか?」という一文です。なにげにツボでした笑 以前かるべさんの詩に間違った加点の仕方をしていたことを、改めてお詫び申し上げます。本当にすみませんでした!

今野よーよー (2019-05-05):

挑発的なタイトルに惹かれて読み始めたら、詩の内容も挑発的でありつつ、人の寂しさに訴求するような内容で胸を締め付けられました。夜風に髪が流れるように、ネット詩も次から次へと流れていく。ネットに詩を投稿してもいずれは忘れ去られてしまう寂しさ。より確かで肉感的なコミュニケーションを求めて、主人公が出会い系を使う気持ちも分かる気がします。しかし、個人的には、詩を通じてコミュニケーションを図れたと思えた時は嬉しいです。コミュニケーションを図ることは詩を書く目的ではないのかもしれませんが、詩という曖昧なものが放つフィーリングに共鳴してくれたと感じることは何物にも代えがたい喜びです。(詩の解釈としては、かるべさんの趣旨からは離れているかもしれませんが、諦めて飲み込んでしまった者の感想としてお許しください。)

かるべまさひろ (2019-05-07):

せいろん様 コメントをありがとうございます。 ポイントのことはすっかり忘れていました。お気になさらず。 かるべが「推敲」を普段からほとんどしないことを以前ビーレビ内で公言したことがあって、今回のテキストはその点が特に伝わる可能性があるなと思い、予防線のようなより一線を踏み込みたいような、気持ちで書きました。 ◆◇◆◇◆◇ 今野よーよー様 コメントをありがとうございます。 その昔、「流れ続けるタイムライン」という僕の元彼の歌がありました。寂しさの奥に、一つ一つ人生があることは、本質的には寂しさではない。詰まる所、僕はなにか一つの名称で語られる感情をピックアップすることができないのかもしれないです。 今月の僕の問題意識は、言語化することから逃げない態度と「曖昧」を共存させる、という所にあります。 ありがとうございます。

アリハラ(マッキンゼーアンドカンパニーの人) (2019-05-11):

これはね、悪いけど酷評させていただく。短文ですけど...まず、内輪ネタやめろと。こんなの一般の読者が読んで誰がわかるんですか?まず、ビーレビって何?ってなるでしょ?そこから履き違えている。もっと広い読者を視野に入れて表現活動を行わなければならない。そしてこういうことをやるとどんどん閉鎖的な、内輪ネタ、楽屋落ちに脱する。それは自覚して反省してください。

かるべまさひろ (2019-05-11):

アリハラ・リョウ様 コメントをありがとうございます。 ありふれて、根拠のない、評という言葉とは離れた、感想だと感じました。 僕は「なぜ」「ここで」「このタイミング」「このような」作品を発表するのかという点を大事にしております。普遍的ないわゆる純粋芸術といわれるものを目指す方からは、あまり理解をされない視点なのですが、パフォーミングアーツという完全な再現性が保証されない芸術を専門としていた背景もあり、僕は「なぜ」「ここで」「このような」作品を発表するのかを大事にしております。 さて、これは果たして楽屋落ちでしょうか? ビーレビューというサイトにやって来て、これを読んでコメントをした、投稿をしたアリハラさんは、なぜビーレビューにやってきてコメントをし、投稿をしたのですか? この作品をビーレビュー以外には転載しておりませんので、 何をどう捉えても、アリハラさんのご指摘内容に、根拠を推測できないのです。 そして、僕は万人に作品を向けることはありません。そうでなければ、消費されるパフォーミングアーツや音楽作品にお金を払うことが、かるべまさひろのアイデンティティとして筋が通らないのです。 その点に関しましては、申し訳ありませんが、なぜアリハラさんはビーレビューにいらっしゃったのか述べていただければ、理由次第で、酷評を受け入れられると思います。 ビーレビューに参加するというのは、合評マナーに則る同意をされたということかと存じます。 ちなみに、かるべの作品は酷評OKタグはついていませんので、念の為。

ふじりゅう (2019-05-21):

拝見しました。 以前、私自身もビーレビ(のコメント)をテーマに詩を書いたことがありますが、かるべさんならではのビーレビ詩、としてとても印象深い作品です。一気読みしてしまうほど惹き込まれる何かが本作にはあります。 コメント自体を詩の中にぶっ込んでしまう、そしてそれがとても生々しいです。割とありそう。だからこそ、本作は惹き込まれる作品なのかもしれません。 出会い系に逃げ込む主人公。それは、詩では繋がりを感じ取れなかったからこその逃避のように感じました。そして、自分の作品が埋もれていくことに悲しさを覚えているのだと。そんな悲壮感は我々にとっても身近であり、挑戦的なタイトルとの対比も上手いと思いました。

かるべまさひろ (2019-05-25):

ふじりゅう様 コメントをありがとうございます。 うれしいコメントです。「繋がり」や「断絶」などがキーワードのようで、実のところそうでもない辺りが、うまく作用したのかなと思います。とはいえ、かなり恣意的なのですが。詩人がどうこうということではなく、出会い系でストーカーされて殴られる辺りが。

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