約束 - B-REVIEW
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きょこち(久遠恭子)

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きょこち(久遠恭子)

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きょこち(久遠恭子)

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きょこち(久遠恭子)

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だれのせいですか

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ベテルギウス。まずそれに注目する感性もですが、詩の内容が衝撃。 猫。木。家族。犬(のようなもの)。女の子……。など、身近にあふれている極めて馴染み深いものベテルギウスというスケールの大きいものと対比されているように感じられました。

二酸化窒素

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渇いた心を満たす雨に満たされていく

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約束    

止まった時計が渇望して動き出す それはチクタクなんてもんじゃない 百年止まらない独楽のよう 真っ黒な苦い液体を飲み干したらただのブラックコーヒーで 夜と相容れないわたしは やっとげんなり出来た 接木しておくれよ腰骨のあたりに 触れないでおくれよ滑らかな眼差しに どうしようもない掠奪が折り紙のように千切れていく 溶接しておくれよ眼球の裏に だからと言ってあの5月が 精算されて返却されるわけはない盲目さ加減 ととと、れ、レシートだ、 百円玉8枚、一円玉5枚、 ひとつかみで口に放り込んでがりがりと咀嚼する 初めてつけた髪飾りの思慕を嘔吐するために 最後に伝えたあの輩への警告を記憶ごと排泄するために わたしはわたしでなくなり わたしでなくなったわたしが わたしに似たわたしに会う わたしに似たわたしは再びわたしになり もうひとりのわたしに会う 何人でもわたしに会う 鏡はない、絶対にない、あってはならない、 思いのほか美しいことを夢見て わたしはわたしに埋れていく たった今鳩尾のところで白い指が泣いて8月を殺した 結局は足の親指の痣から花の咲かない茎が伸びて10月を裏切った 太腿の跡を辿ればいつかは2月を呼び戻せるのか 何年経っても変わらない、変えられない、 前兆だけが笑い続けている化け物め 眉を剃るから返してくれよ セロテープで貼っつけるからさ 歯が抜け落ちるように無数の9月が脱落していく 行方不明の5月は井戸の底で山羊と子作りをしていた 一番星に目が眩んだ12月が氷の張った湖の下で息を引き取る 絵の無い画集を開いて雨が降るまで見とれていた6月は 全てを味方につけた11月に連れ去られて来世で1月になる 信用出来ないということはそういうことだ 圧着しておくれよ脛骨のあたりに 足りない何ヶ月かを拾い集めて 順番通りでなくてもいいから一年に仕立てたい 外から見ても格好がつくように あと何月か足りないのに 5月が2人いる ととと、れ、レシートだ、どのレシートだ、 たくさんいすぎて見分けがつかないわたしの どれか1人が受け取りに行くから 1人くらいは1人で歩けるから 死んだわけでもないのに 脱線したところで生きているふりをしている 生きているかは定かでないが 浮遊しそうで出来ない空虚に阻まれている


約束 ポイントセクション

作品データ

コメント数 : 21
P V 数 : 3181.4
お気に入り数: 1
投票数   : 0
ポイント数 : 88

作成日時 2020-02-01
コメント日時 2020-02-09
#テキスト #受賞作
項目全期間(2024/04/19現在)投稿後10日間
叙情性2725
前衛性77
可読性33
エンタメ1616
技巧1817
音韻65
構成1111
総合ポイント8884
 平均値  中央値 
叙情性2.71.5
前衛性0.70
可読性0.30
 エンタメ1.60.5
技巧1.81
音韻0.60
構成1.10
総合8.84.5
閲覧指数:3181.4
2024/04/19 20時43分40秒現在
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    作品に書かれた推薦文

約束 コメントセクション

コメント数(21)
いまり
いまり
(2020-02-02)

たもつさま わー、恐縮です。 ありがとうございます。 わかんないですよ、皆さまには全然響かないのかもしれないし。ならばそれまでだし。。 ポイントありがとうございます。 コメントもありがとうございます。

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舞浜
舞浜
(2020-02-02)

私は第三連目をこの詩の核とみました。その前後のリアルと幻想と数字を絡めた描写は「肉付き」と読ませていただいたのですが、少しボリューム感がありすぎなのかな、という気もします。しかし、絵画的、映像的で、感覚に訴えかけてくるものは強烈だと思います。

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黒髪
(2020-02-02)

溶接や、圧着という言葉が良いと思いました。 季節感が混乱しているところに、逆に時間の可能性を広げているような感覚を覚えました。 この詩で伝わるのは、整列といった言葉から、遠い所なのだと思います。 生きているふりをする、当然的なわたしというものでなくなったわたしの、可能性を、追求する ことができると思いました。それは、一瞬だけの表現とは違うでしょう。 整列という幻想から、逃れる場所を示されているようで、その可能性は、とても大事にしたいものだ と感じました。

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いまり
いまり
(2020-02-02)

舞浜さま コメントありがとうございます。 ボリュームありすぎ、自分でいうのもなんですがよく分かります。 ただなー、こっちの方向で書くとどうしてもある程度長さが出る。そしてエネルギーが止まらなくなる。それが多分、読み手にある種の重さ、息苦しさを与え得るかもな、とは思います。 三連めが核なのは、たぶんそうだと思います。散りばめられた一月や九月はあくまでもサブで、タイトルも約束、ですから、何人も私が生まれる部分は、この詩の核だと思います。 たもつさんは、意味が全然ないとおっしゃいましたが、意味はあるんです。意味がない、てことはない。ただ、何を主張したいのかは私にも分からない。自分で言うのもなんですが、熱量だけはすごくある詩だとは思います。まだまだ修行不足。書き足りない。 ありがとうございました。

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いまり
いまり
(2020-02-02)

黒髪さま 皆様のコメント、わたしも気づかなかったことを指摘していただき、ありがたい限りです。 季節感が混乱しているなかに時間の可能性を感じる。 まさにそうですね。わたしが今気づかされました。ありがとうございます。 どちらかというと、整列した詩は苦手です。いま、鮎川信夫を読んで勉強中… そうだな、生きているふり、というのは、今思い当たったけど、ある種の強がり、虚勢。だって生きてるじゃないですか。でもそれを生きているふり、というのは、私はもっと渇望したいからです。今くらいの生きてる実感じゃ足りない。物足りない。だから生きているふり、という言葉が出てくる。わたしはいつも、渇望していたいんですね。その気持ちがいつか枯れるんじゃないかという恐怖もある。そうやって生きてる。 可能性を示唆していただけて嬉しいです。それはたぶん、わたしがまだ詩を書いて日がないというのと、詩をあまり読んで来なかったからゆえかもしれません。書いて、読んで、ある意味長けていくなかで、失われていくものもあるかもしれない。だから、そういう意味では今しか書けない詩なのかもしれません。ありがとうございました。

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夢うつつ
(2020-02-02)

こんにちは、すごく良いですね……、好きです、特に三連目が良いのですが、中でも > 鏡はない、絶対にない、あってはならない、 この一文が三連全体をグッと引き締めているように思います。強い断定がかなり上手に働いていて、本当に上手い。おかげでこの詩の核とも言える部分がストレートに突き刺さってきます。

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いまり
いまり
(2020-02-03)

夢うつつ様 コメントありがとうございます。 皆さまご指摘のとおり、この詩の要は三連かなと思います。 上手い、と言っていただき、素直に嬉しいです。 わたしの場合、書いているうちに気分が昂ぶって今回は強い断定の形となりました。ただ、感情のままに書きすぎると詩が崩れる場合が往々にしてあるので、詩と自分を突き放す距離感は忘れないようにしたいです。 コメントありがとうございます。ではでは。

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羽田恭
(2020-02-03)

何気に自分では書けない文章です。 何と言いますか、熱量そのままを文章化したと言いますか。 もはや自分ではもう処理ができなくなったもの、といいますか。 それでもある種の面白さと調和を感じます。

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るる
(2020-02-04)

時間軸 メビウスの輪へ 接合す (雛祭イベントで、五七五調でコメントしてます。) https://www.breview.org/forum_blog/archives/668

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萩原 學
萩原 學
(2020-02-04)

いまりさんにしては、妙に硬くて重いところがあって。これはちょっと、ほうり投げられないな、というのが正直なところ。この繰り返しは好きなんですが。 しかし精算もできず生殖に励んだ5月が結局のところ、それでも2人しか居ないのか。励めよ5月、山羊って言えばシュブ=ニグラスだろ。そんなザマでは成仏できないぞ。

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玄関の人
玄関の人
(2020-02-04)

コミカルにも虚しくもどの様にも人によって変わりそうで、一年間のごちゃごちゃと変わったり混ざったりの一年の様に感じました。

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いまり
いまり
(2020-02-05)

羽田恭 さま コメントありがとうございます。 私にしか書けない詩を書きたいと思っているので、そのお言葉、嬉しいです。 そうですねー、おっしゃるとおりだと思います。もはや自分で処理しきれないエネルギー、それはありますね。もっと洗練させていけたらいいのだけど。 ありがとうございました。

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いまり
いまり
(2020-02-05)

AB様 コメントありがとうございます。約束は、一応、 たくさんいすぎて見分けがつかないわたしの どれか1人が受け取りに行くから 1人くらいは1人で歩けるから の部分から直感的にとりました。そうだなぁ、弱い? でもやっぱり約束ですね、この詩は。 だからやはり三連目は肝です。うむ。 種明かしは野暮ですかね、うむ。 ありがとうございました。

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いまり
いまり
(2020-02-05)

真清水るるさま コメントありがとうございます。 ひとつの句で、この詩の概要のようなものを端的に言い表していただいたな、と感じました。 ありがとうございます。

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いまり
いまり
(2020-02-05)

萩原 學 さま そうですね、硬質な言葉だと思います。重いのかなぁ。ただエネルギーはあるつもりです。だから重い、と感じるかもしれない。5月が無数にいる、という展開も面白そうですね。ただ、無数のわたしと無数の5月、となると詩の方向性が変わってきそうです。それもまた、面白いですね。ありがとうございます。

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いまり
いまり
(2020-02-05)

玄関の人 さま コミカルではあると思うんです。でも、それだけじゃないような気がする。コミカルというか、滑稽。これは確実にあると思う。そこから虚しさなり愚かさなり自嘲なり挑発なりが、生まれてきているような気もします。ありがとうございます。

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つつみ
(2020-02-07)

興味深く拝見いたしました。長文ですが申し訳ございません。個人的な感想です。 >止まった時計が渇望して動き出す >それはチクタクなんてもんじゃない >百年止まらない独楽のよう これは、「夜と相容れないわたし」が感じている、夜があけるころからの時間の過ぎる速さを表しているのか、ブラックコーヒーを摂取した時の体の動きを表しているのか、色々と想像しました。 >接木しておくれよ腰骨のあたりに >触れないでおくれよ滑らかな眼差しに 飲んだり食べたりすることで、わたし自身の体はバラバラになることなくきちんとくっついていてほしい。でも、「滑らかな眼差し」はそのままにしていてほしい、という変わっていほしくない気持ちを感じました。この「眼差し」が、「わたし」なのか第三者なのかはわかりませんが、この詩には第三者がいてほしいという気もします。 >どうしようもない掠奪が折り紙のように千切れていく 後述されているレシートと何か関係があるのかなとも思いましたが、だとすると、何気なくスーパーに並べられた牛肉や豚肉、魚等、人間が殺した動物たちが平然と並べられて、それらを買う人間のことを思い浮かべました。買ったものがそのうち食べられていく、その証のレシート。 >溶接しておくれよ眼球の裏に >だからと言ってあの5月が >精算されて返却されるわけはない盲目さ加減 自分が思ったことは忘れてしまったり、無かったことにできますが、第三者に伝えてしまった言葉は自分の思い通りにはできず、相手に委ねるしかないということを、言っているのかなと思いました。 >ととと、れ、レシートだ、 >百円玉8枚、一円玉5枚、 >ひとつかみで口に放り込んでがりがりと咀嚼する 今まで感じた流れから、この行為は妥当だと思いました。とても不思議ですが、美味しそうです。食料品代を支払い、その明細が書かれたレシートも、そのお釣りも自分の中に取り入れることができるのではないかという気持ちになりました。蛇足ですがこれはセルフレジなのかなとも。 >初めてつけた髪飾りの思慕(しぼ)を嘔吐するために >最後に伝えたあの輩への警告を記憶ごと排泄するために セルフレジが、レシートやお釣りを吐き出すように、自分の中の記憶を外に出そうという表現。しかし思慕まで嘔吐してしまうのか。切ないなぁと感じました。 第三連は、毎日生きている中で、飲んだり食べたりすることで、自分は常に歳を重ねて変化しているという当たり前のことを色んな喩えを通じて気づかせてくれました。 第4連は、鳩尾だったり、足の親指、太腿などの下半身に起こっている症状が、一つの生き物のように描かれています。 >前兆だけが笑い続けている化け物め 化け物とは白い指や花の咲かない茎などをを指していて、それらが8月を殺したり10月を裏切ったりしているのかなと感じます。 >眉を剃るから返してくれよ セロテープで貼っつけるからさ セロテープではっつけるという雑な扱い、眉は人間の顔の中では、無いと困るものとして、眉と交換してでも返してほしいと懇願しているところが面白いです。 >信用できないということはそういうことだ。 「わたし」の中で1月、2月、と順番に綺麗に過ぎていかない時間軸のことをそう言い表しており、何となく家計簿のレシートをかき集めている様子も目に浮かびます。どんどんたまるレシートにパニックになる様子も。とにかく集めて張り付けて、見た目だけでもよしとしたい気分。主婦的目線です。ちなみに私は家計簿をつけません。 >死んだわけでもないのに >脱線したところで生きているふりをしている >生きているかは定かでないが >浮遊しそうで出来ない空虚に阻まれている 最初から最後まで読んでみて、今にも剥がれそうな肉体が、何とかくっついている、今まで生きてきた時間が整理されてはいないけど、何とか生きた証となって心の中に残っている、しかし、それらはいまにもふわふわと浮かんでは「わたし」から離れていくような不確かさも感じ、とても面白かったです。

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いまり
いまり
(2020-02-08)

つつみ様 長文コメント、本当に嬉しいです。ありがとうございます。 今日ちょっと出先で、スマホしかなくて。 パソコンからじっくり読んで返信させていただきます。取り急ぎご連絡まで。

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いまり
いまり
(2020-02-08)

つつみ様 >>止まった時計が渇望して動き出す >>それはチクタクなんてもんじゃない >>百年止まらない独楽のよう >これは、「夜と相容れないわたし」が感じ ている、夜があけるころからの時間の過ぎ る速さを表しているのか、ブラックコーヒ を摂取した時の体の動きを表しているの か、色々と想像しました。 色々と思いを巡らしていただき、ありがとうございます。そういう読み方もあるのだな、と色々考えさせられました。 わたし自身、この詩を正確に解釈出来るわけではありませんが、ここで、この連で、わたしは本当に、心から、げんなりしたかったのだと思います。独楽のように回転する時のなかで、覚悟を決めて飲んだ黒い液体がただのブラックコーヒーだったことに、わたしはやっとげんなりできた、ある意味の安堵であると思います。 >>接木しておくれよ腰骨のあたりに >>触れないでおくれよ滑らかな眼差しに >飲んだり食べたりすることで、わたし自身 の体はバラバラになることなくきちんとく っついていてほしい。でも、「滑らかな眼 差し」はそのままにしていてほしい、とい う変わっていほしくない気持ちを感じまし た。この「眼差し」が、「わたし」なのか 第三者なのかはわかりませんが、この詩に は第三者がいてほしいという気もします。 ありがとうございます。とても気づかされるものがありました。この詩にあるのは、わたしとしては、どのように処理していいのか分からないエネルギー、そして渇望だと感じています。なめらかな眼差しは、わたし自身のつもりで書きましたが、「第三者」がいてほしい、ということにはわたし自身、初めて気づかされました。どうしようもないエネルギーと渇望がとまらない私を、やっぱり誰かに見ていてほしい。それは認めてほしいのか、受け止めてほしいのか、もしくは優しく抱きしめてほしいのかはわたしにも分かりませんが、この詩には一行も出てこない第三者。それは確かにいるのではないか、と気づかされました。 >>どうしようもない掠奪が折り紙のように千切れていく >後述されているレシートと何か関係があるのかなとも思いましたが、だとすると、何気なくスーパーに並べられた牛肉や豚肉、魚等、人間が殺した動物たちが平然と並べられて、それらを買う人間のことを思い浮かべました。買ったものがそのうち食べられていく、その証のレシート。 レシートはなんでしょうね。。ほんと、なをでしょう。ただ、証である、という見方はあると思います。わたしは自分の存在をもっともっと実感したい。そして確かさ、完全さを求めるところがあります。しかしそれは容易ではない上にある意味で傲慢です。だからせめて、拠り所としての証がほしい。それをレシートに託したのかもしれません。ただ、そのあとで小銭ごとがりがりと噛み砕いてしまうのですが。 >>溶接しておくれよ眼球の裏に >>だからと言ってあの5月が >>精算されて返却されるわけはない盲目さ加減 >自分が思ったことは忘れてしまったり、無かったことにできますが、第三者に伝えてしまった言葉は自分の思い通りにはできず、相手に委ねるしかないということを、言っているのかなと思いました。 この部分もとても考えさせられました。わたしが全くこの詩に託してなかった、一行も出てこない「第三者」の存在。それをつつみさんは見出してくださったのかもしれない。それが実在するのかしないのか。あるいは第三者としてのわたし自身であるのか。そうやって読むとまた違ってくるかもしれません。ありがとうございます。 >>ととと、れ、レシートだ、 >>百円玉8枚、一円玉5枚、 >>ひとつかみで口に放り込んでがりがりと咀嚼する >今まで感じた流れから、この行為は妥当だと思いました。とても不思議ですが、美味しそうです。食料品代を支払い、その明細が書かれたレシートも、そのお釣りも自分の中に取り入れることができるのではないかという気持ちになりました。蛇足ですがこれはセルフレジなのかなとも。 そうですね。この行為はわたしも必然だと思います。美味しそう。うん、たぶん作者は詩のなかでこの行為をすることで、ある種の悦びを感じていると思います。ただ、噛み砕くことで大きな代償は払う気がするな。いままで積み上げてきたものを失ったり、いい方向に向かっていた道筋が暗転したり。それを分かっていても、分かっていながら、それでもなおわたしはがりがりと噛み砕くことを選んだ。それこそ必然的に。その絶望のなかで悦んでいるのかもしれないです。 >>初めてつけた髪飾りの思慕(しぼ)を嘔吐するために >>最後に伝えたあの輩への警告を記憶ごと排泄するために >セルフレジが、レシートやお釣りを吐き出すように、自分の中の記憶を外に出そうという表現。しかし思慕まで嘔吐してしまうのか。切ないなぁと感じました。 そうですねぇ。ここは最近、とても嫌なことがあって、それが出てきた部分です。特に警告の行。詳細は控えますが、そういうことがあって、わたしは昔抱いた邪さのない思慕さえも吐き出したくなった。そのくらい、傷ついたというか軽んじられた、というか。。そういう出来事が現実にあって、それに対する嫌悪感、それを排出したいという思いがここで出てきました。 >第三連は、毎日生きている中で、飲んだり食べたりすることで、自分は常に歳を重ねて変化しているという当たり前のことを色んな喩えを通じて気づかせてくれました。 飲む、食べる、排泄する、毎日がその繰り返し。そのなかで変わっていくこと、変わらないこと。そして確実に確実に年老いていく、色んなものが衰えていく、それを感じてくださったのかなと思いました。 >第4連は、鳩尾だったり、足の親指、太腿などの下半身に起こっている症状が、一つの生き物のように描かれています。 >>前兆だけが笑い続けている化け物め 化け物とは白い指や花の咲かない茎などをを指していて、それらが8月を殺したり10月を裏切ったりしているのかなと感じます。 そうですね。今気づきましたが、下半身ですね、全部。わたしは自分の肉体への嫌悪がある意味とても強い。つつみさんのコメントを読んで、そのことを思い出したし、そのことを無意識に書いたのかもしれないなと思いました。 >>眉を剃るから返してくれよ セロテープで貼っつけるからさ >セロテープではっつけるという雑な扱い、眉は人間の顔の中では、無いと困るものとして、眉と交換してでも返してほしいと懇願しているところが面白いです。 そうですね。わたしは自分の外見の美醜に対する拘り、裏返しでの劣等感がとても強いので、眉を剃る、というのは自分の意に反した行為です。しかもセロテープではっつける、という雑な扱い。そうしてでも返してほしいのはなんだろう。本当に、なんだろうな、と思います。 >>信用できないということはそういうことだ。 >「わたし」の中で1月、2月、と順番に綺麗に過ぎていかない時間軸のことをそう言い表しており、何となく家計簿のレシートをかき集めている様子も目に浮かびます。どんどんたまるレシートにパニックになる様子も。とにかく集めて張り付けて、見た目だけでもよしとしたい気分。主婦的目線です。ちなみに私は家計簿をつけません。 わたしは主婦ではないですねえ。わたしは生活に興味がない。全く興味がない。仕事は大切にしてますが。。家計簿なんて絶対につけません。レシートて、なんでしょうね。 完全に不要なものです、現実においては。ただ、詩として書くレシート、そのイメージには深い興味があります。レシートそのものには全く興味がない。ただ、言葉としてのレシートには興味がある。それは不要さであったり、煩わしさであったりすることの、ある種の象徴であるのかもしれないです。あくまで私にとっては、ですが。 >>死んだわけでもないのに >>脱線したところで生きているふりをしている >>生きているかは定かでないが >>浮遊しそうで出来ない空虚に阻まれている >最初から最後まで読んでみて、今にも剥がれそうな肉体が、何とかくっついている、今まで生きてきた時間が整理されてはいないけど、何とか生きた証となって心の中に残っている、しかし、それらはいまにもふわふわと浮かんでは「わたし」から離れていくような不確かさも感じ、とても面白かったです。 そうですね。今まで生きてきた時間が、ふつうなら整理されたいのかもしれない。でも、わたしは整理されたくない。それはあるかもしれないです。なのに確かさを求める、証を切実に求める。だからもがく。自分が常に不確かである。楽ではない、しかも思い上がった生き様ですが、それはそれでそうしかできないなら仕方ないと思っています。 真剣にこの詩と向き合ってくださり本当にありがとうございました。自分では気づいていなかった、この詩にいるかもしれない第三者の存在にも気づくことが出来ました。 とても長くなりましたが、私のほうこそ、つつみ様のコメントを興味深く読ませていただきました。スマホなので指が疲れた。それではここらへんで失礼します。

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ariel
ariel
(2020-02-09)

この作品が持つ爆発的エネルギーは、細胞分裂の様なモチーフからきていると感じました。レシート、身体、月日が刻まれ、バラバラになり数が増え(そこに暴力性もあるのですが)、決して死なない。バラバラな身体は溶接、接木、セロテープなどで半ばグロテスクに増殖していく。刻まれた月日の一人一人は個々の個性、意志、感情を持ってハチャメチャに暴れ出し、収集がつかなくなる。月日たちの理性がぶっ飛び、もはや彼らは情動でしかないところも、この詩の何か野蛮なエネルギーを効果的に作り出していると思います。 バラバラのそれぞれでは生命力が有り余るのに、一つの有機物として、一つの大きな意志に統合されない虚しさが最後に表現されているのかなと推測しました。爆発で終わるのではなく、風船の空気が一気に抜ける様に、終わりでエネルギーが収束していくのがとても切ないです。 一貫性のなさが、むしろバラバラそれぞれの部分の個性を際立たせている気がしました。おもしろい詩をありがとうございます!大変勉強になりました。

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いまり
いまり
(2020-02-09)

>ariel さま コメントありがとうございます。 爆発的エネルギー、感じ取っていただきありがとうございます。そうですね、細胞分裂、それこそ病原菌が秒単位でわーっと分裂していくような増殖。そういう質のエネルギーである部分はあるかもしれないです。収集がつかなくなる、ていうのは確実にありますね。もうどうしたらいいかわからないものをぶちまけてしまった、みたいな。 >バラバラのそれぞれでは生命力が有り余るのに、一つの有機物として、一つの大きな意志に統合されない虚しさが最後に表現されているのかなと推測しました。爆発で終わるのではなく、風船の空気が一気に抜ける様に、終わりでエネルギーが収束していくのがとても切ないです。] この視点にはコメントをいただいて初めて気づかされました。作者が気づいていなかったことに読み手からいただいたコメントで新たに気づかせてもらう、ということは、この詩にコメントしていただいた方からのコメントを読んで学ばせていただくことができました。切ないかぁ。気づかなかったな。そういう見方もあるのかもしれないです。収束、はありますね。ただそれが切ない。うむ、考えることがいろいろあります。 詳細なコメントをありがとうございました。ではでは、失礼します。

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