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定義
訃報がまだ靴紐に絡まっていて 冷蔵庫のモーター音が 昨日言い損ねたさようならを こまかく砕いている 洗面台の鏡には 言いかけてやめた話が 曇りとなって残って あなたがしずかに私を睨み 語るはずだったことばたちは とおい街で明滅している 秒針は もう済んだことと まだ済んでいないことを またいでいく 何度も、何度も、 あなたを刺し殺すつもりで ふところに忍ばせた比喩を そのてざわりを いつまでも覚えていて ぼんやりと眺めるショート動画に なつかしい声を聴いたりする 何気なく話す「昔のこと」が 知らない誰かの影を引き連れてきて それでも 語尾がすこし揺れるところだけ 変わっていないね キッチンの、掠れた「砂糖」の文字に あなたのやさしさがまだ宿っていて わたしたち 否定について 定義について よく話し合ったよね 適切な定義が固まる以前の世界で わたしたちは手探りで生きてる のだとしたら 「生きていたら」という 仮定法のなかに、愛があったとおもう あなたはわたしを 悲しませようとはしなかった あなたの愛が分からなかったのは わたしの責任だ だから わたしは今になって あなたの流すはずだった涙を ここで、流さなければならない
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定義 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1016.4
お気に入り数: 2
投票数 : 9
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-01
コメント日時 2025-12-04
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
- 胸に靴紐が絡まってくる。 (ぼんじゅーる)


ことばが、こんなに繊細にふるえることが出来るなんて!という驚きと、 テクニックがテクニックとして主張せず調和が取れている、という凄さ。 理性ではなく、感性を伸ばして書いておられるということ。 上手さも嫌味にならず、さりげない。 読む度に「凄いなあ」と感服します。
0この文章は静かに震えて でも確実に読者を刺す気で居る。 没入する程に胸が痛い 言葉にすればする程に この詩をやすっぽくしてしまいそうだ、怖い。 僕はこの詩にあらを見つけることは出来ない。あったとしても気づかなくていい。 触れるだけで痛くなる何度も何度でも。 そんな刃を感じる それでいてとてもしめやかだ。
0作品の中で流れている時間が 自分が生きている次元と違う様に感じられて 言葉と共に流れる時間が胸をえぐる様に突き刺さって来ました。 時が止まった者と時が流れている者との間に流れている 時間を感じられた様で感動しました。
0詩の冒頭、 訃報がまだ靴紐に絡まっていて とあるけど、"特報"は"靴紐"には絡まないのです。笑 自然現象としても科学的にも。 そんなことあるわけがない。だからここはふつう、 比喩を使って 特報が靴紐"のように"絡まっていて と書くものです。 ところが作者はありえないことが実際あるように 特報が靴紐にからまっていると書く。 そんなことはありえないのに。 特報がほんとうに靴紐に絡まっているんです。笑 いや、それは「察してよ」では通らない。そんなことが 通るなら比喩はいらない。 でもわたしもよくこういう表現使うのです。 ちょっとまずいなあと自覚しながらも。 彼女の肌は雪のように白かった とは書かず 彼女の肌は雪だった とか、なんとかね。 じゃあ、このフレーズはいったい何だ?というと 言葉は悪いですが書き手の精神的な病態の表出であるといえる。 それが悪いというのじゃなくて そういう表現というものは一般的な表現の枠から外れている。 一種の異常なんですが、ある感情なり感性が世間一般の枠から 外れてしまっておかしくなることはよくあることです。 そのような状態を表現しようとするとまあこういうことになる。 ただ、こういう表現がもつ緊迫感を多用することに わたし個人はなにか作者のあざとさを感じて あまり好みじゃないのです。それと、 やわらかく狎れた詩表現の世界に数学や物理学の用語を押し込 むことは一見、読むものに新鮮さをもたらす。それを見込んで わたしもたまにやることがあるけど、そればっかりだとうざく なる。タイトルの「定義」をみたとたん「またか(笑)」と思いま した。それ、いつまでも続けるの? と。 こういうところが初心の人たちに斬新な印象を与えるでしょう けど。 わたしたち 否定について 定義について よく話し合ったよね 適切な定義が固まる以前の世界で わたしたちは手探りで生きてる のだとしたら 「生きていたら」という 仮定法のなかに、愛があったとおもう こういうの読むと、尻の穴がこそばゆくなる。笑 まあ、それはいいとして でも上記のような表現をやめてふつうの詩文を書くと まったくの地が出てしまう。 あなたはわたしを 悲しませようとはしなかった あなたの愛が分からなかったのは わたしの責任だ だから わたしは今になって あなたの流すはずだった涙を ここで、流さなければならない いったいこの詩文の陳腐さは何だ!?ということになる。 概念的な表現をやめたとたん、ものすごくつまらない表現になる。 田中宏輔さんなんかが天才なのは、この、ふつうの言葉でちゃんと 自己表出的な詩を語ってしまう手腕なのだけど、ほんとはこういう、 ふつうの言葉でもちゃんと詩的表現ができなければ あかんのやないかとわたしは思っているのですけどね。
0何度か読まないと読み込めないですね。 そういう意味では、 この「完備」という方は一方抜き出てる。 冒頭からの大仰な表現は喩えるものが見当たらないので、完全に破綻している。 そう読めるのですが、ここで待てよ。となる。 あなたとわたしの葛藤が、恋愛関係を示唆している。風に読み取れる。 ここで冒頭の待てよが絡んでくるのだ。 恋愛関係のほつれを語らせるのに、否定とか定義のような論理が必要だろうか? 普通に考えれば定義なんていう物差しでは測らない。 この詩を覆うように語らせる目的は、あなたとわたしの関係。 わたしはわたしを殺そうとした(自虐) それは過去のわたしであり、現在のわたしでもある。という。 つまり以前のあなたの定義と今のわたしの定義は、 異なる理解のもとに置かれてあるのだ、という、 これは恋人でも他人でもない、 過去と現在のわたしを虚しくも儚く回想してみたテクニカルなお作りなのです。 そのように解釈すれば一枚上等だか、 わたしをせつなく振り返るだけではナンセンス。 感動も起きない上に刺激も足りない。 構造的にお上手に作られているだけだと思います。 …んな感想。
0あ、すんません、訂正です。 特報→訃報です。申し訳ない。 あ、それと若い頃は顔の整ったのが美人にみえるけど いろいろ女性を知って人生を経るとそういうのまったく つまらなくなるってことがあります。 だからわたしの感想は素人の初心の方には理解できなくて 当然です。あまり真剣に比較しないように。あひっ。
0つまり現在のわたしの心境を語らせているのよ。 そう捉えれば「 」に置かれた言葉も、 ふところに忍ばせた比喩も~なんて表現も、 意味は通じてくるのよ。 「定義」過去と現在。 二つの異なる理解を差異にしてみせた構造的にテクニカルな作り。 それだけだわ。
0テクニカルかァ〜?かなりストレートだと思うけど。まあいいんだけどね、好きに読んでくれ。メルモさんに限らずどなたも、好きに読んでくれればいい。
0ちょっと派手だな。ひっしに詩句をひねり出そうとしているのが伝わってきた。
0あー、派手ってのは的を得ているのかも
0ちと引っかかるモノは深読みもしないと面白くないだろう? 単純に読める詩もつまらないが、 単純に解釈するのもつまらない。 という読み手の勝手な解釈です。
0クリスマス近いのに訃報っていうこの時期ならではの作品になったのでは。 丁寧に書いても、読まれて数秒の世界がネット詩ならばどうぞ刺したれ。僕は震えた。
0比喩が巧みで淀みなく読めました。 「靴紐」はこのサイトでよく散見しますが、それからストレートな表現に読み手は好感を抱くと思います。 タイトルからして、私のようないい加減な人間には少し堅苦しさを覚えない訳ではありませんが、生真面目な作者さんの良さが存分に出ている作品だと思います。
0久しぶり。元気してた?
0イチミリも進歩しないことで有名な紅茶です。またよろしくお願いします。
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