堪えきれなかった粒が
涙腺から染み出して
横隔膜が ばかになる
車は山道を走る
嗚咽をかき消してくれるような
街の賑わいはなくて
走行音だけが
はりぼての凪をつくっている
隣の父は
両手でハンドルを握りしめ
フロントガラスに
かけるべき言葉を求めている
助手席とは名ばかりの私は
申し訳なくて
また 肺を空っぽにする
「少し休憩するか」
いつの間にか
車は路肩に停められていた
探した言葉を口にふくみ
父はそれぎり黙っている
代わりに
ぽつぽつ 私がこぼす
やはり 窓を見ながら
胃に沈んだ かなしい気持ちを
サルベージする
「ごめんね」を挟みながら
父はいちいちそれに
「いいんだよ」をくれる
私の頬が乾くのを見届け
車を再び 走らせた
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 279.7
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作成日時 2025-12-01
コメント日時 2025-12-02
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) |
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:279.7
2025/12/05 21時53分20秒現在
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優しいお父様ですね。 気分転換か何かに連れ出して下さったのでしょうか。 情景に、しっとりと恵みの雨をいただいたような気持ちになりました。
1コメントありがとうございます。 何年か前、出かけた先で少しショックな事があって、その帰りの車を思い出して書きました。 恵みの雨だなんて、素敵な形容をありがとうございます。
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