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傾奇
出かけようとすれば 大抵は横なぐりの雨だった 傘を盾のように胸の前で差して 斜に構えている日々 クッションのせいで僕は いつも寝違えていた 首を前後に振り今日も カクカクとニワトリ歩きの出勤だ おっとっとっと 片足飛びの曲がり角で 出会い頭にしゃっくりまでしながら すり足で帰宅すれば 僕が日夜せっせと尖らせておいた 皮肉という皮肉の角を アイロンで伸ばしている嫁 「おかえり」と振り返りざま 僕の寄り目につっぱり棒をかますけど じゃれつく茶々丸の S字フックみたいなステップのために たやすくずり落ちるのだ そんなもの ダメにするクッションへと体ごとさ 冷えた焼きそばをすする傍ら たまにはオシャレして外食したいと 目を三角にする嫁 僕はまた傘を盾のようにして 斜に構えなければならなくなった たゆみない水掛け論で 我が家の床はそのうち抜けるだろう 感情のパッキンが劣化しているね 破れたクッションからは羽毛が舞い 僕は両手のひらをめいっぱい開き 見得をきるポーズを決めた よーっ! 皮肉と猫が飛んで 嫁の拍手 そして 頭にかぶった焼きそばの かき分けたところから寄り目
傾奇 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1668.5
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 2
作成日時 2024-11-04
コメント日時 2024-12-20
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 2 | 2 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 2 | 2 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 2 | 2 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 2 | 2 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


中心に置かれた目線から動きがあっていいですね。家庭内闘争が見えてくる様子で、逆に私なんかほのぼのとした実感を感じてきます。タイトルがちょっとお堅いな。横なぐりの雨のように、機敏性のある動作も見えてくるので、何かないのかなあ、と、いう感想も。
1これを読まされているアラガイさんの顔を想像し、一人ほくそ笑みながら書いていました。そういう事にだけは惜しみなくエネルギーを費やせる変態ですが、これぞポエマー体質といえるのかもしれません。 タイトルがお堅い…もっと遊べってことでしょうか。もっと攻めたタイトルにすべきだったでしょうか。迷いに迷ったあげく結局これになりました。タイトルは最初から決まってるパターンと最後に付けるパターンとありますが、感触的に、後者がどうも自分は失敗しやすいようです。難しいですね。 アラガイさんが投げてくれるヒント、可能性を取りこぼさないようにしっかりと拾っていかねばと思います。いつもありがとうございます
0傾奇(カブキ)の行動が反映されているんだなというのはわかる。相変わらず言葉のセンスが良すぎる。でも家庭内ホニャホニャなイメージしかないので、どの印象も打ち消してしまう。なにをどう受け取ればいいのか迷いどころ。カブキに沿ったところをいっそきちんと書いてしまって、場面として気づかせるようなおかしさを出せばいいのかもね(おせっかいだったらまた叱ってくださいねーーwww
1なるほどです。大変勉強になります。難しいものですね。 歌舞伎の知識が浅いためにこのようにしか表現できませんでした。参考にとYouTube等で実際の舞台を観ながら書いたんですが、やはりそんな付け焼き刃程度のものでは作品上でもうまく扱いきれませんね。 おせっかいじゃないです。A·O·Iさんのアドバイスは、読んで速攻盗んでやろうと思いましたね。それぐらい鋭かったです。自作に疑いを持たなければこれ以上進歩しませんし、鼻をへし折ってもらってちょうどいいはずです今の私は。自分に疑問符を投げかけながら引き続き推敲に励みます
0面白かったです。特に最終連の勢いは凄いですね。ただ、メルモさんとAOIさんが指摘されているように、「家庭のひととき」に収まっていたり、傾奇という題材の熟成など、思っていることは言われてしまった… 歌舞伎について、少し調べた程度ですが寄り目(睨み?)について。見た者の災厄を払うという神性がある、とも言われているそうですが、「天も地も見ている」といわれる、寄り目している側の性質が面白いなと。 遠近感は両目で真っ直ぐ見れば確保されるもので、いわゆる「地上」を正確に見る目の状態ですね。西洋的。逆に寄り目は周りの視界はぼやけ、いわば聴覚を研いで空間を把握する、俯瞰する、「天」からの目の状態かと。 羽毛(鳥の視点を纏った!と思いました)という単語も出てきたので、詩全体で、何か上記の文化的思考を継いでいたり新説が見えたり、しないかな、と考えてみましたが、つかめず。(私の思考不足もありますが) このワードセンスに深みがより加われば、誰も追いつけなくなるなと思いました。
1コメントありがとうございます。 アラガイさん、A·O·Iさん、ミハイさん、お三方の意見を参照するに、この作品はまだまだ手を加える必要がありそうです。質を高めるためのプロセスは本当に苦しく、また長い道のりですが、頂いたアドバイスをしっかり活かしていけるよう再度推敲に励みます。 鳥の目で見た全体像がぼやけているというご指摘、ずばり核心をついていると思います。細かいところにしか意識が向かっておらず、作者自身が寄り目になっているかもしれません。笑 マクロ的視点での大きなイメージの操作ができるようになったら爽快でしょうね
1>冷えた焼きそばをすする傍ら ここが絶妙にいいですね。 詩全体としては、プライベートな事情の説明が多くを占めており、他者に語りかけるべき 内容を厳選するべきだと思います。つまり、フィルターを通して、実際の世界から浮き上がった 詩という文学であってほしいなと、私的には思いました。様々なスタイルを試して、 自分独自のスタイルができると、詩的になるんじゃないかと思います。自分独自の声に 達してほしいです。
1他者に訴えかけるものや伝えたいことが見えない、メッセージ性に欠けるというご指摘でしょうか。 精進します。コメントありがとうございました。
1歌舞伎を生活上に落とし込める、その技術には目を見張るものがあります。自己犠牲的なユーモアの勝利が、家庭の平和を守っていると感受致しました。私が読んだ限りでは、手直すべき点が見当たりませんでした。寧ろ完璧、と言いつつも世の中に完璧なものはございませんが、極めて完成度の高いよく練られた逸品であると、面白く読ませていただきました。
1コボちゃんとか、かりあげくんのような植田まさし作品の中にある、そこはかとない何気ない日常の中にあるおとぼけやユーモア。そう言ったほのぼのタッチの情景みたいなものをイメージして読みました。 カツカツの家計とその中で嫁の要求に応えようとする夫としての悲哀。日常を追って読んでいくと、実況中継のような佇まいになるのが、歌舞伎ながら生きている傾奇者としての作者の個性が出ているように感じました。 夫婦喧嘩の顛末としての嫁の怒りが笑いに変わり、緊張から緩みが生まれた。そこまでのイメージを頭の中で再生して書いた時に、作者の頭が躍動して書いているので歌舞伎的な見栄やハッタリのようなトンガリ感が生まれる。忙しい日常の中で生まれるストレスからか? 興奮しながら書いているようにも思え、全体を俯瞰して語る平静さはあまり感じられない。 家から出発して、家へと帰る。その間に外の世界の周辺や世間といった横のつながりの描写がないことに現代ではもう、違和感がなく自然に感じられてしまうことが少し怖く、それが歌舞伎的なエキセントリックとマッチして独特の迫力を生んでいると思います。
1そのお言葉を聞くために私は今まで頑張って書いてきたんじゃないかと思えるほど、類さんのお言葉、本当に本当に嬉しかったです。 きゃりーぱみゅぱみゅの曲の歌詞のなかに「同じ空がどう見えるかは心の角度次第だから」というフレーズがあるんですが、大体のことは角度を変えたら笑えるんじゃないかと、大事なのは角度なんじゃないかとある時ひらめいたのです。これは、そんなふとした発想をもとに書きました。 励みになるコメントをありがとうございました。
0コメントありがとうございます。 コボちゃんですね。新聞の4コマ漫画、まさにそれを目指しました。移動中の空き時間に読み捨てられても、人の心に朝日のようなひとすじの明るさを差し込めたら良いなあと(コボちゃんの連載は朝日ではなく読売でしたが…)。 実に気持ち悪い話なのですが、私自身これを膝を叩きながら大笑いして書いていたのです。今にも抜けそうな足元に興奮状態で、自分を俯瞰する平静さなど最初から持ち合わせてもいなかったけど、世界が常に傾いているために奇行ばかり繰り返してしまう日常のなかでこれを書いているひと時がどれだけの救いだったか、私は一人で盛り上がっていたんですよ。ポエムしか友達がいないなんてこれ、歌舞かずにおれますか万太郎さん? 以前にも「実況中継」と万太郎さんに指摘されたことがありましたね。自分ではまったく気がつきませんでしたが、言われてハッとしました。これは良くも悪くもクセになるのでしょうか。今後意識していきたいところです。 >横のつながりの描写がない 広がりがない、視野が狭い、今回の反省点はやっぱりこの辺りになるのでしょうか。
1難しい詩はあまりよくわからないわたしですが、とてもおもしろかったです! カジュアルなんだけど言葉もイメージも当たり前じゃなくて、ユーモアもあって構えていないというか。勝手な想像ですが、ぺえ太さんという人が出ているのかもしれないなと思いました。リズムも良いので改行の形を変えてもおもしろいんじゃないかなと思いました。
1コメントありがとうございます。 すごく嬉しいです。難しい詩は書けないし、読めません。笑 改行って盲点ですね。改行センスないかもしれません私。変なこだわりが勝ってしまいがちで。クセというか、もう無意識にやってしまうところなので意外と落とし穴だなと思います。指摘されて、しっかり自分で意識していかないと絶対直らないでしょうね。ご提案ありがとうございます。助かります
0詩を読んでいただき、ありがとうございました。私は83歳で、入院していたので、今頃これを書いています。『傾奇』を読ませていただきました。思わず岩野泡鳴の私小説を思い出しました。すべての対象を、焼き鳥の串のようにほぼ距離ゼロで、とどこおりなく串刺ししているリアリズムに驚きました。
2>感情のパッキンが劣化しているね すごいフレーズですね ぺえ太さんは単語の当て勘というか 言葉のチョイスのミート力が高いなあと思います
1茶々丸は犬なのですね。てっきり戦国武将の方だと思いました。皮肉と猫が飛んでのフレーズがいいと思いました。飛んで来るものは何時でも皮肉と言うスパイスが効いているのかもしれません。
1コメントありがとうございます。 浅川さんの言葉の扱い方、表現がとても洒落てて面白いなと感じました。 >すべての対象を、焼き鳥の串のようにほぼ距離ゼロで、とどこおりなく串刺ししているリアリズムに驚きました。 こういった表現がさらりとできるユーモア、センスの良さに憧れます
0コメントありがとうございます。 当て勘、それだけだと言われればそれだけみたいなところがあるかもしれません自分は。ほとんど小当たり
0コメントありがとうございます。 茶々丸は猫だす!歌舞伎なんで、◯◯丸とか◯◯兵衛っていかにもじゃないかなと。 ああ見えて猫は身体能力抜群なんで、ちょっとやそっとのことでケガする奴じゃないでしょう?なので、投げたり飛ばしたりと少々荒っぽく扱っても笑って許されるところがありますよね(勝手な解釈)
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