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出会い頭にご注意ください
私たちに共通の目的があったと信じるならば それは 結ばれることではなく 出会うことだった のかもしれない この出会い ー私とあなたの一瞬の交差点ー に向けて 私は 蠢くこの生命力を 持て余すこの若さを 燃え尽きないこの情熱を 惜しむことなく全部かけて 喜怒哀楽に足をとらわれながらも 全速力で 一生懸命に 走ってきた ああ、私の人生ってそういうものだったんだ あなたにぶつかったときに 宇宙にカラフルに飛び散って 転んでいる私に 「あっめちゃきれいかも」 って思わせるための 準備段階にすぎなかった この一瞬のための とてつもなく長い下敷き にすぎなかった んだ 子供のときに転んで 手を肉まで切ったことがある なにがなんだかわからなくて 暖かい血の海と睨めっこしながら長い長い時間一人で泣いていた 思えば あのときの悲鳴も涙も全部 あなたの名前を呼ぶための発音練習だったんだね だから私はできた はじめてセックスしたときに やべえなぁって思ったくらい血が出た 冷たくなった血の海に背中をべっちゃりとおしつけながら 私は苦しさに耐えていた 思えば あのときの体の動きも息切れも全部 あなたのところまで走り抜くための準備運動だったんだね だから私はできた そんなこんなで 赤い記憶も 黄色い記憶も緑の記憶も青い記憶も全部 私があなたにぶつかったときに マーブルチョコのように宇宙に飛び散ってしまった まじできれいだったよ ほんとうに これよりきれいなものを 私は見たことがないって あなたは信じられるのかな 私たちはぶつかった 私は転んだ あなたは全く動かなかった ちょっと苦笑いしただけ ごめんねって言っただけ そして手をかわいく振りながら去っていってしまった くそ 転んだまま私はずっと空を見てた 起き上がれない カラフラな記憶たちは宇宙の暗闇に吸い込まれてしまって、帰ってこない くそ ああ いったいなぁ いたい あかい あい あっ … 空と睨めっこしているうちに私は分からなくなってきた 空が何色かと 私たちの共通の目的はいったいなんだったかと 私たちはなんで出会ってしまったかと 私はなんで泣いている、なんで痛いのかと なんとなく分かってきたのはただ一つ 準備も本番もついに終わった ということ だけ
出会い頭にご注意ください ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 956.5
お気に入り数: 2
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-17
コメント日時 2024-06-08
項目 | 全期間(2024/10/08現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
最後は終わってしまったのですね。なんで終わってしまったのでしょうか。 マーブルチョコのように宇宙に飛び散ってしまった まじできれいだったよ というところ、宇宙の星たちがマーブルチョコみたいだったら綺麗だなと思いました。木星とか海王星とか火星とか、けっこうマーブルチョコみたいですよね。
1即物的なようでいて経験と成長が率直で明るく描けていますね。けろっとしていて若々しい。
1佐々木春さん、コメントありがとうございます! そう、マーブルチョコのところはまさに星々がマーブルチョコになるのをイメージして書きました笑 俵万智の短歌でマーブルチョコが出てくるのがあるんですけど、あれを読んで以来自分が書いたものにも出てほしいなってずっと思っていて、そしてついに! 読んでいただきありがとうございます!
0湖湖さん、読んでいただきありがとうございます! 率直さと若々しさが伝わってとても嬉しいです!ありがとうございます!
1採れたての野菜をざくざく切っていくような、瑞々しい文体だと思います。文章の改行が読点の代わりになっていて、特有のリズムも生んでいると思いました。読む、というよりもいつの間にか最後まで読まされてしまいました。内容も面白かったのですが、「あなたは信じられるのかな」以降は、なにかぼんやりとしていて、初めに書いてあることが繰り返し書いてあるみたいな感じ、たぶん別れ的なことを示唆されているのかなとも感じましたが、このぼんやり感をもっと強烈に書き出してみるとか、払しょくするような新しい展開を作られるとか、もうひと手間加えられると、もっと面白くなりそうな気がします。それから「出会い頭にご注意ください」という表題は、本文といまいち噛み合っておらず、分かりにくさを感じました。見た目の可愛さと、それからカラフルさもあるので、文中の言葉をお借りすると、「マーブルチョコ」でも良かったのではと思いました。終盤で「カラフラな記憶たちは~」とあって、タイプミスかなと思いました。
1ま、眩しい。 ほりさんは、自分の記憶をその輝きのままに再現できる人ではないかな。これは、できるようで、できるものではないので、技術ではない。常に体温が37度くらいある感じがするんですよね。今後、どんなふうに発展していくんだろう。
11.5Aさん、コメントありがとうございます! 面白く読んでいただけてとても嬉しいです! 確かに終わりの方はぼんやりしてますね、転んで頭を打ったのでしょうね、、まあ最後は転んでしまって、「あなた」に行かれちゃって、それで痛くて悔しくて、そのぐずぐず感を描きたかったっていうのもありますけど、もっと切れる書き方がよかったのかもしれません、考えてみます! 「出会い頭にご注意ください」っていうのは、「私」と「あなた」の出会いは衝突として描かれてると思うんですけど、そういう衝突に気をつけてくださいっていうか、気をつけたほうがよかったというか、そういう意味ですね。危ないです、、 読んでいただきありがとうございます!
1おまるたろうさん、読んでいただきありがとうございます! 本当に私はただ再現する、再現者です、詩人でも作家でもない笑
1普通に好きですねこの詩。 子供の時の痛みが「発音練習」になるような、そんな人生のトラウマから何まで意味を与えてくれることになった「出会い」。でも、最後にはそんな相手とも別れが来てしまう。 今後、その記憶の塗り替えは起きるのかなと考えてみると、二重構造が示されていますね。子供の時の転倒と同じように、相手とぶつかった時にも心情が転んでいる。その転倒で流した血を、また別の意味に塗り替える未来の相手が現れる、伏線がまた張られているようです。「転倒」を巧く使った表現だと思います。私もこんな恋愛詩が書きたいなぁ……
1血の記憶は忘れ難いものでしょう。準備も本番もついに終わったと言うセンテンスにふと立ち止まります。共通の目的を思い出そうとして、記憶がフル稼働する。色に置き換わる記憶。ランボーの母音の詩をふと思うのですが、「カラフルに飛び散って」。「カラフル」に想起するものがあるのでしょう。
1熊倉ミハイさん、コメントありがとうございます。 そこまで読みとっていただき嬉しいです。そうですね、書いてて思ってたのは、子供のときにただ泣いていただけなのですけれど、今回は同じく転んで泣きながら相手の名前を呼ぶというのと重ねると本当に子供のときのあの泣き声が発音練習っぽく見えるなぁって。簡単な調音はクリアしてたので次はちょっと複雑な調音にしようっと笑 痛みも同じですね、今度はちょっと複雑な痛み、きっとできるっしょって。 読んでいただきありがとうございます!
1エイクピアさん、読んでいただきありがとうございます! ランボーの「母音」ですね、共感覚的ってわけではないですけど、でもなんか、記憶とか経験とかって何何色っぽいなぁって感じるときがありますね。特に記憶フル稼働のときに、こう、ね、色の嵐になります。
0詩的だ。
0>なんとなく分かってきたのはただ一つ 出会うための準備と「出会い」という本番を終えた話者はそこまでの過程が分かったと言ったきり、ぷつりと詩が終わっている。 このぶつかった相手がこの話者と同じ程度の目的を持っていたとは読めませんでした。 それはこの話者の心の解釈でもあるような。 本当に準備をしていたというよりは、そう自分を納得させていた、ただ単にぶつかる相手を探していた、転がる自分が止まる石ころを。 話者の主体が強固なので何だか意地悪な読みになりました。 基本的にはこの話者は優しい人なのではないかと解釈します。 変な読み解きめいたものをつらつらとしてすみません。 流れるような言葉の展開が転がる石ころを連想させました。
1紅茶猫さん、読んでいただきありがとうございます! そうですね、本当にそういうことですね、現にあるのは衝突だけなのですが、話者にとってそれは、まさにそのために人生の全てをかけてきたという錯覚に陥ってしまうくらい、それほど大事なことでした。話者にとって、ましてや相手にとって最初からそうだったわけでもないと思います。ことが起こってから事後的に話者がそう思っているだけですね。 とても丁寧に読み解いていただきありがとうございます!
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