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剥奪
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作成日時 2020-09-02
コメント日時 2020-10-05
剥奪 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1713.5
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 4
項目 | 全期間(2023/02/09現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 1 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 0 |
エンタメ | 1 | 0 |
技巧 | 1 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合ポイント | 4 | 0 |
平均値 | 中央値 | |
---|---|---|
叙情性 | 1 | 1 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 1 | 1 |
エンタメ | 1 | 1 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
総合 | 4 | 4 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
おそらく、一番最初の作品から読み込めばとてつもなく面白く読める作者なのかもしれない。ひとつひとつのことばに意味を持たせるタイプの作者のようだから。まず、私にはその時間がない、ということ 。そうしてそのうえでさらっと読んで思ったのが、とてつもなくかたくなで、若い、ということ。 それは初読の「なんだかつまらない」とすれすれになってしまう危うい要素で、この作品においては「なんだかつまらない」に寄ってしまった気がする。 たとえば、『輪郭』においてはその若さと表現の硬質さが魅力として生き、本人のそして昔私も通り越してきた成長痛を思い起こしたり、はるか昔に両親に連れられて見学しに行った機織りの音が蘇ってきたりと、とても惹きつけられる「なんだか素敵」になっていた。 この作品は、なんだかときめかない。 かたくな、というのは、若さゆえに本人が譲れない部分と、表現が硬質である、という二点があると思う。若さについては「そんなこと言われても仕方がない」と過去の私が文句を自分に言ってくるし、この作者のいまの年齢のこの作品から、年齢を重ねて変化していくものを読者として追いかけていくのが楽しみだし、という点で、愛くるしい要素である。 では、表現が硬質である、というのはどういうことか。単純に漢字が多いというような視覚的に硬質と感じる要素と、もっと感覚的な部分で硬質と感じ取るところがあって、いったいどういうことなのかとても知りたくなった。 そこで、作者本人に詩作するうえで心がけていることを尋ねると、極限までそぎ落として骨にしていく、という答えがあったので、作者はぎりぎりまで自分の何かをあらわしたもの、血肉や脂肪や内臓や糞便をそぎ落とし、きれいな骨になったものをそれらを読者に差し出されたのだろう。 しかし、私はむしろ、人の、そして人の感情の血肉や脂肪や内臓や糞便を見たい人間だ。少なくとも、その部分に視点を置き表現してからでないと、きれいな骨を差し出しても、その美しさ脆さ生きてきた歴史みたいなものが見えてこないんじゃないか。(と、えらそうなことを書きつつ、私も私のそういう部分を表現してきたかというとちょっとわからない。理想論的である) あともう一つ、この詩において知りたいこと。 その「愛」とはなんなのか、親子か恋人かもっと別との何かか、執着か愛着か。 その「恐怖」とはなんなのか、たとえば自らが誰かを害するかもしれない己に対する恐怖か、それとも誰かに害されるかもしれない他者に対する恐怖か、人間対人間ではなく暗い山の中でもう二度と出口に辿り着けないかもしれないとぞっとする何かか。 作者だけがいろんなものをえがいて勝手に目覚めてしまって、読んでいる私もその感情や追いかけたいのに置いてけぼりにされてしまったようなさみしさを感じる作品だった。 作者本人の詩に対する愛やエネルギーやほかの作品で「なんだか素敵」なものがたくさんあることから、ながなが批評を書かせていただいた。最後まで読んでくれて、ありがとうね。
2私は、硬質な殻、あえて削いである感情を詩の中に見ました。硬質な殻を、それが「若さ」だと、決めつけることは出来ませんが、この作品の全てを跳ね返すような硬質さいとしいと思うのは不遜なのかも知れませんが、いとしさを感じました。
1花が開いていくその描写のあとに、渇望は辺りを埋め尽くすように香る、とある。花が開いていく様には生命を感じる。それは形状もだけれど、震えるようにのばした掌に似ている。そこに生への渇望があってそれが強く香るのだ。剥奪というタイトルから離れているように見えるが、生への渇望を強く望むということは同時に死も強く意識せずにはいられない。ひとつの生命が産ぶ声をあげるとき、何処かで生命がひとつ消えていくのは当たり前のことだ。 ただ繋がれるままに(確かこの作品も牛のシリーズだと聴いたが間違いでないといいな、よく勘違いしてるのが僕なので) 繋がれるままに求めることなく、単純に繋がれて日々を過ごして消費される事と繋ぐは繁殖で渇望、求めることなく血を繋いでいく事も含まれていると思うなら、冒頭からの花が開き生命を渇望する様と対比されて印象的だ。その営みを支えるひとに比べて、その営みから何かを得るひとである僕らはとても無自覚に生きているのかもしれない。何が恐怖で何が美しい一瞬であるのか、ちょっと見えないが花が開くさまも牛が死ぬ瞬間も生死は表裏一体で花が開くさまが美しいなら死ぬ様にも切り取るような一瞬があるのかもしれない。そんな一瞬、を観るとき恐怖でさへもどこにも行けず、崩れてしまうのだろうから。硬い硬くないというのは多分、何をどこまで削るかの塩梅なのかと思う。僕は硬質で堅牢さのある詩は嫌いではない。ただこの詩は硬質だが、まだ何処か遊びがなく衝撃が来たら砕けてしまいそうな張り詰め方を感じてしまう。前作の埋葬よりさらに削いだものを感じました。長々と見当違いかもしれませんが、今日のうち書かないと書けない気がしたので書かせていただきました。
2いちいち酪農が絡んでしまってなんかしつこくて申し訳ないのです。おそらくは私普段の生活で血肉やら内臓やら糞便を見すぎてしまっていて今更感が出てしまう部分もあるのかもしれません。しかしこんな事言うのは自分でもあれなのですが私はまだ若いと言われる年齢ですから変わっていくと思います。まだ途上なのです。頑張ります。
0そう思っていただけてとっても嬉しいです。よく口にすることでもあるのですが、ダイヤモンドのような詩を描きたい、と思うことがあります。できる限り肉を削ぎ、骨だけになってそれをまた圧縮して残ったもの、淡々とした描写の積み重なりに感情や詩情が表現出来ないものだろうか、と思います。
1よくよく読んでいただけてありがとうございます。これも牛シリーズであってます。前半は蓮が咲く、というフェイズですが、後半は切り花にされるというフェイズを描いています。死には確かにその瞬間があり、そここそに純度の高い恐怖を感じるのです。正直なことをいえば遊びがない、というのは個人的課題に思っています。しかしこれも手数と時間が解決するのかな、なんて思います。
0一読、戦慄を覚えました。 ムンクの「思春期」を見つめた時のような強い緊張感を強いられる一篇です。 この語り手が、どうしてこんなにも全身を強張らせているんだろう、と手を差し伸べたくなります。 と同時に、荒々しい剥き出しの好奇心が、そこに鎌首をもたげていることにも気づき、凍りつき混乱してしまいます。。。 こういった《不安》をつかめるのは、ある限られた期間だけなのかもしれません。 そう思うと、とても疲れるのだけれど、ここを離れることができないのです。
1さっぱりとしていて、かつ言葉遣いが洗練されていて、瑞々しい詩だと思いました
1張り詰めた緊張感、むしろそこを目指して書いているという一面は確実にあります。今の私がまだモラトリアムを享受する年齢であるということ、しかしこれから独り立ちをしなくてはならないという焦燥感、そして自分の作品を書き続けることへのプライドとかたくなさが相まってこの読後感を醸し出しているのかもしれません。私はこの緊張感は決して悪いものでは無いとは思いますが、これを維持できるとも思いません。これからまた変わっていくのでしょう。
1やっぱり若いから(自称)でしょうか……こんな感想久しぶりに頂きました。とても嬉しいです。私は私生活でも大変胃が悪いのでさっぱりしたものが好きなのです。言葉遣いにはとても気を使っています。と言うよりこれいいな!と思って書き連ねていくとこんな感じになります。
0ひとつ、つけたしさせてください。 肉体の臓物より、重要なのは、感情の臓物です。 他人の、自分の、感情の、血肉や脂肪や内臓や糞便です。それらをひとつ乗り越えたからダイアモンドと美しい骨を目指されているのかもしれないけど、これからまた、山ほどそういうものを目にすると思う。目にしないのならば、それも幸福ですが、詩を書いていくのならば、そこに直面しなければならない日が来る。不純物が分からなければ、不純物は取り除けないから。 そのとき書かれる詩を楽しみにしています。
0字面が、絵面が、目に映る文字のバランスが美しい。意図しているのならば大成功。していないのならば今筆者様が相当な絶頂期に来ているのではと推測してしまう。ツイキャスのコメにて一般性?だったかな(失念失礼)がもっと欲しいと仰っていてその一助に、より深い読み解きをと思いましたが見た目と言葉の連なりの滑らかさを楽しむのも一興と感じたので控えます。剥奪。タイトルのインパクトが良いですね。
0形容詞が言葉の直接性に歯止めをかけていてもったいないというのが個人的な感想です。あとは正直に書くべきことを書いていると思いました。
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