作品投稿掲示板 - B-REVIEW
お知らせ

謝罪会見   

作成日時 2019-07-05
コメント日時 2019-07-27

ばしゃあ ばしゃ ばしゃあ そのシャッターはまるで、曇天の最中行われた花火の爆音に警鐘を鳴らす、鳥のわななきの様であった。さしずめ私を刺すフラッシュは、小鳥が花火を怯え、何者かかと照らす行為に等しく思えて。私は、そこへ座る。始まった。 「此度の賞味期限偽装の件は、本当に上層部が把握していなかったのですか。」 そう、私は、自ら指示した賞味期限の偽装によってこの場に立たされている。 「パートの社員へ責任を押し付けていますが、会社としての責任を負う義務はないとお考えですか」 パートの女性とは、37歳の嶺口祥子を指す。彼女はもちろん私を含めた上層部の指示で、賞味期限を記述したシールを貼り替えた。責任は彼女にもあるのは自明である。なぜなら、彼女は実際に罪とされる「行為」を行った人物であるからだ。更に申し上げるなら、本方針は私が決定かつ提案したのではなく、妻と話した上で決めたものだ。その意味では、私がこうしてこの場で糾弾される事に対して、ある種人権侵害とも言うべき者が現れても良いと思っているし、実際現れるだろう。むしろ、私は被害者の一人かもしれない。小鳥達は、長年企業のトップでなかった故に先を見据える力がないのだろう。その為、そのような自明を録に判断出来ぬと考えられる。 小鳥、といえば、すずめが印象的だ。すずめは丸っこい姿をしていて、よちよち歩きながら生きることを誰よりも遂行している辺りが可愛らしい。ちなみに、皆さんがご存知かどうかは分からないが、すずめは漢字で「雀」と書く。雀という漢字で真っ先に思いつくのは、やはり麻雀ではないだろうか。ではなぜ麻雀と書くかというと、古来は麻の上で遊戯を行っていたという事柄から、麻を記し、雀は、牌を混ぜた時の音が雀の鳴き声に似ていたからとも言われている。だからマージャンは麻雀(どうなのですか? [え、まぁ、ご想像にお任せします。] 「きちんと答えてください。賞味期限を偽装したのは、上層部の管理責任という認識はないのですか!」 賞味期限、これもまた、愚かしい問題であると考えるのだ。賞味期限と消費期限の違いは、皆さんには分からないだろうから説明すると、賞味期限は美味しく食べられるまでの期限。消費期限はそもそも食べられなくなるまでの期限なのだ。ここで、私は命題を提示したい。美味しく食べられる期限など、果たしてあるのだろうか。出来たてが1番美味しいに決まっているのではないだろうか。 出来たてといえば、30歳の頃、駅前のマクドナルドへ寄った事がある。普段はマクドなど寄る訳もないが、その日は電車の人身事故により出発が遅れ、営業先へ間に合わぬかもしれぬと危惧してのやむを得ない処理だ。そこでセットを頼むと、やけにピカピカしたフライドポテトが運ばれてきた。どうやら出来たてであったようだ。普段食す(というか学生の頃食していた)フライドポテトは、男性器の機能不全のように折れ曲がっていたものだが、その日のポテトはひと味違った。出来たての美味しさを如実に伝えられるエピソードだ。美味しいといえば、梅田から少し離れた所にある味鶴という、それは美味しい日本料理の店早く答えてください! [ん、あ、まぁ、ご想像にお任せします。] 「自身はこの事件を知らなかったと仰っていますが、同様の事例が全国で84件寄せられています。このことに関してはどうお考えですか。」 居酒屋へ行ったあと、皆さんは何を食べるだろう。安月給で労働している方々や、見るからに知識の浅い若人が寄るのはコンビニであろうが、我々はやはりラーメンで締める。ラーメンを食べるならどこだろう。大阪王将や一蘭など、定番も勿論良い。しかし、地元の味を楽しむのもまた一興だ。梅田で飲むなら、少し遠くなるが、先程述べた店から5分ほど歩いたところに「花月」というラーメン屋が(柏本さん…!) [え、うん、まぁ、ご想像にお任せします。] 「全国で同じような事例が多発しているのは、パートの責任及び指示であるはずがなく、上層部ひいては社長の」そういえば、冒頭、小鳥がフラッシュのようだ、と比喩をした。が、とんだ勘違いをしていた。小鳥がフラッシュをするはずもなく、花火がフラッシュだと比喩をするべきであった。これは珍しくミスをしたもんだ。[え、ま、ご想像にお任せします。]比喩といえば、皆さんは「直喩」と「隠喩」という言葉をご存知だろうか。小説や詩に詳しい私は勿論知っていて、直喩とは(〜のようだ)などの言葉を使用して比喩をする技法。対して隠喩は、それを使[ご想像にお任せします]わないで比喩をする技法だ。直喩は表現[ご想像にお任せします]としては[ご想像にお任せします]よくあるが、私[ご想像にお任せします]が美しいと思うのは[ご想像にお任せします]やはり[ご想像にお任せします]隠喩[ご想像にお任せします]だ。隠[ご想像にお任せします]喩は[ご想像にお任せします]高難度であり、下手[ご想像にお任せします]をすると[ご想像にお任せします]陳腐になり[ご想像にお任せします]かねないが、[ご想像にお任せします]決まった時[ご想像にお任せします]の[ご想像にお任せします][ご想像にお任せします]かっ[ご想像にお任せします][ご想像にお任せします][ご想像にお任せします][ご想像にお任せします]こよさ[これにて会見を終了致します。お越し頂いた皆様、ありがとうございました。] ばしゃあ ばしゃ ばしゃ ばしゃあばしゃあばしゃ ばしゃ ばしゃばしゃばしゃあ ばしゃあ ばしゃあばしゃ ばしゃ ばしゃあ ばしゃあばしゃあ ばしゃばしゃばしゃ ばしゃあ ばしゃあ ばしゃあ ばしゃばしゃ ばしゃ ばしゃ ばしゃあ ばしゃ ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃあ ばしゃばしゃあばしゃばしゃ ばしゃばしゃあばしゃあばしゃばしゃばしゃ ばしゃあ ばしゃあばしゃ ばしゃあ ばしゃばしゃ ばしゃばしゃあばしゃあばしゃあばしゃあばしゃあ ばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃばしゃ ばしゃあ!


項目全期間(2019/10/23現在)投稿後10日間
叙情性22
前衛性75
可読性77
エンタメ1010
技巧1514
音韻11
構成1010
総合ポイント5249
 平均値  中央値 
叙情性0.40
前衛性1.40
可読性1.40
 エンタメ20
技巧31
音韻0.20
構成20
総合10.43
閲覧指数:1927.7
2019/10/23 15時36分38秒現在
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コメント数(15)
survof (2019-07-06):

不祥事に際しての形式的な記者会見への揶揄であるかのように描かれながら、責任だなんだと騒ぎ立てる側に焦点を合わせた視点が非常に新鮮で鋭く感じられました。フラッシュで照らされる張本人は案山子にすぎない。むしろ案山子に怯えて騒ぎ立てる小鳥たちに社会が抱える不安や焦燥を見出す、という構図の新鮮さもさることながら、フラッシュをたく側にとっては非常に大事なものかもしれない記者会見のその場において、張本人が巡らせる雑念の数々みられる一種の「どうでもよさ」が辛すぎないウィットとなって、フラッシュの嵐とのちょうどよいバランスを保っており、絶妙なユーモアを提供すると共に、作品全体としての緊張感ある構図の拮抗をもたらしているように感じます。 もう1点、この長所を挙げるとすれば、作品の情景を視覚的、聴覚的に捉えた場合の構成の良さです。語り手のモノローグはどちらかというと落ち着いた、モノクロの(あるいは低露出の写真の)ような色彩と音の静寂を宿しつつも、止むことのないシャッター音と記者による詰問は目も眩むようなフラッシュの連続と気違い沙汰じみた喧騒の情景で、その二つが交互に対比されることで両者のイメージが非常に鮮烈なものとして、読後も確かな残像として残るのです。

せいろん (2019-07-07):

ご想像にお任せします この一文でこの作品は形成されていますが、その中では、現実問題これはこうなんだ(賞味期限なんて所詮…)のような、論理との葛藤が描かれています。 確かに頷けるところもあり、ふじりゅうさんの博識さが伺えます。 所々の例え方も素晴らしいですし、良作だと感じました。 少し怖い、狂気のような一面を感じさせるのは、何より先程の「ご想像に…」ですね。 とても良かったです。

ふじりゅう (2019-07-11):

survofさん、ありがとうございます! 本作は、謝罪をさせられている主人公の目線で書いた為、マスコミへの目は負の方向となっています。しかし、本作における記者の方々の追及は基本的に否定するものでなく、至極真っ当な質問となっています。 また、謝罪会見を受ける側の視点という、精神的に追い詰められた場面を切り取りました。だからこそ、逆に、バカバカしい雑念へ逃げていく愚かな主人公を、クソ真面目に書いているというシュールな文章を狙ったつもりであります。 シャッター音と本文のギャップはもちろん狙いました。シャッター音が、主人公を糾弾するかの如く、または現実へ引き戻すかの如く、そう小鳥のバカうるさいわななきの如く書いたからこそ、本作のシュールな、あるいは意味不明な作品としての味を出せたんじゃないか、と我ながら感じております。 非常に細かくお読みくださり恐縮です。コメントありがとうございました!

ふじりゅう (2019-07-11):

せいろんさん、ありがとうございます! ご想像にお任せします。これこそある意味、もうひとつの主人公ではないかと筆者は感じております。例えば伝説となっている船場吉兆の謝罪会見におきましても、助言が丸聞こえであったとしても質問には辛うじて答えております。本作の主人公は、答える気がないどころかクロをシロと述べており、もはや質問タイムはなしで良かったんじゃないかとも思えるほど酷いものです。しかし、最低だと感じさせるのはシャッター音のみに留めてあり、あくまで俺は悪くないと言い張っている主人公を目指しました。 賞味期限の問題にも触れて頂いております。実際のところ、賞味期限と消費期限は論争が無い訳では無いのですが、そんなことを言い出すとキリがないのも現実です。定められたルールに沿って、コンプライアンスを守る基本を遵守していない主人公は論外なのです 笑 とても良かったとのこと、ありがとうございます!励みになります。

渡辺八畳@祝儀敷 (2019-07-16):

詩としては文量ある今作だが、最後まで読み通せた。こういう長詩に最も求められるのは読み通させる可読性である。 語り口も筒井康隆みを感じてよかった。ただ、オチが雑なのがかなりの欠点。だいたいこういう言葉の洪水オチは誰しも一回はやるけどさ。

ふじりゅう (2019-07-16):

タカンタさん、ありがとうございます! 現実を詩に取り入れること自体はほとんどの詩人が行っているとは思いますが、現実そのものをもってくるのは、んー、まあ珍しくはないけどありふれまくっている訳では無いですね。 ちなみに、本作は詩ではないです。その名も「クリエイティブ・ライティング」! 本作はクリエイティブライティングの先駆者である花緒さんの一作「泣けたい。」の影響を受けた作品です。 さて、しっかりと考える必要がある、とは、現実をフィクションへ落としこむ過程でミスがあったのでしょうか。確かに読み返すと、渾身のボケのつもりでしたが「押し」がいまひとつ足りなかったな、と感じました。 アドバイス痛み入ります。がんばります!

ふじりゅう (2019-07-16):

渡辺さん、ありがとうございます! 長い文章を読ませるだけの、ストーリーや登場人物の面白さが大変重要なんだなと学んだのは花緒さんの一作「ゆめであえたら」と「ネット詩人の墓」です。 オチについてですが、書いた時はけっこう上手くいったなと内心ほくそ笑んでました 笑 が、読み返すと、どうも押しが弱いといいますか、仰る通り締め方がどうにも雑にすぎたような気がしてなりません。 言葉の洪水で無理やり終わらせてしまった感があります。そこはもっと、やり方を考えれば良かったなとめちゃくちゃ思うに至りました。 ありがとうございます!次作もがんばります。

花緒 (2019-07-17):

私が「クリエイティブ・ライティング」と呼称して投稿していたものにとてもよく似ている、と思いました。 私の作風は、「クリエイティブ」・ライティングと称してはいつつも、実際のところは、ディストラクティブ・ライティングというか、既存のセオリーを悉く無視したり、逸脱したりするものでしたが、本作はまあ見事にそうした破壊的な特質をコピーしていますね。 セオリーに沿いながら文を編むことを学ぶべきと考えるタイプの方からは、ふざけてんのか!という感想を持たれるでしょうし、ちゃんとした技術がないからごまかしてるだけなんじゃねえ?という穿ったツッコミも有り得るでしょう。そういう意地悪な目線にどれだけ耐え得るか、という観点で考えると、私はこの作品は、もっと下手に書くか、もっとうまく書くか、どちらかに振り切った方が良かった気はします。 例えば、下記のような詩文学としては、有りえないレベルの説明文を書くならば、もっとグロテスクに連打したり、下手に書いたりするか、あるいは完全に捨象した方が良かった気がするのです。 >そう、私は、自ら指示した賞味期限の偽装によってこの場に立たされている。 >パートの女性とは、37歳の嶺口祥子を指す それから、 [ご想像にお任せします]、 を連打する前に、ちゃんと前半でネタふりをした方が良かったのではないか、など。 この種の作品は、自分だったらどうするか、という風に考えてしまいますし、基本、ライバル視してしまうので、もっとこうであれば、というような観点からのコメントを色々考えてしまいますね。 刺激を受けたので、私もまた何か書きたくなってきました、よ。

ふじりゅう (2019-07-18):

とても嬉しい批評を頂いております。花緒さん、こんばんは。 思えば、花緒さんにコメント頂けたのは初か、ないしはほぼなかったと記憶していますので、勝手ながら目標をひとつ達成したかのような心地でいます。 まず頂いたアドバイスから。まさしく、それぞれ全てがご指摘の通りだな、と反省致す次第です。先輩ならではの評といいますか、そのようなものを頂けた気がしております。 特に、ご想像にのくだり。確かにネタ振りをしっかりしていればな、と思います。し、本作はあまり推敲していなかったので、その点での粗はかなり出てしまったなと感じました。 また、嬉しいお言葉も頂いております。まずライバルとみなして頂けたことには驚きでありました。また、花緒さんの作風はいつか絶対パクってやるぞという心づもりでしたので、破壊的な特質をコピーしていますね、との評はありがたく頂戴します。 コメントありがとうございました!次作も(ハードル上げ過ぎない程度に 笑)ご期待ください。

るるりら (2019-07-18):

朗読の練習テキストとして優れているので、利用させていただきました。 声色の工夫だのという朗読という点で読むと、なかなか良い作品でした。 コメント欄に実際に記者会見の対処がまずくて 会社をたたんだ会社の名がありますね。その実例の会社って、その後その会社をたたんでいますよね。もしも、該当の方がこのコメント欄を読んだら「人生に起こり得る全てには必ず終わりはあるもんだとは言うものの、お話の世界には賞味期限って ないのかよ」と、嫌なお気持ちになる予感がします。 いまもこんなところで話題にされてしまわれていて、お気の毒です。 本作品の話し手の場合は「ご想像におまかせします。」としか言わない。心の中には 雀がめちゃめちゃのメタに盛んに鳴いている。シュールですね。こんな強靭なスルースキルの人って、現実には そーそー居ない気がします。でも、文芸の中には居る。文芸を愛するのも人間味。人生で なにか失敗をするのも人間味。 ふと、とあるCMの台詞が、頭をよぎりました。「そこに 愛は、あるんか? 」by大地真央 いろいろ考えさせらた作品でした。本作品を朗読の練習に使用しましたので、現実に会社をたたまれた例の会社の方にはなんだか申し訳ないです。ですので、 そっと 祈っとこうと思います。 よかったら、ふじりゅうさんも御唱和ください。 「どうぞ みなさんに幸ありますように」(深々と礼)

ふじりゅう (2019-07-19):

るるりらさん、ありがとうございます。 まず、不適切な発言を致しましたことお詫び申しあげます。 転じて、朗読の練習にお使い頂いたとのこと、嬉しく思います。 私もお祈り致します。 「どうぞ みなさんに幸ありますように」(両手を掲げながら)

藤 一紀 (2019-07-19):

こんにちは。私には発想からして思いつかない作品でしたが、愉しく読ませていただきました。混ぜこみながらの組み立ても面白かったです。 書けと言われても書けっこないのですが、改めて読み直してみるに、最後の〔ご想像にお任せします〕のくだりは、もしかしたら私なら途中から〔〕を外してしまったかもしれないなと想像しました。

ふじりゅう (2019-07-25):

藤 一紀さん、ありがとうございます! たしかに、括弧は外した方が効果的だったような気がします。ありがとうございます。 久しぶりに突飛な発想が出てきてよかったです。

エイクピア (2019-07-26):

非常的に個性的な詩と言うのか、メタフィジカルな詩と言うのか、自意識過剰な展開もありますが、文章量の割にはそんなに読むのが苦痛ではなかったようなきがします。

ふじりゅう (2019-07-27):

エイクピアさん、ありがとうございます! そうなんですよ。本作の主人公は異常なくらい自意識過剰で、読者を小馬鹿にするような口調で書いてます。そりゃ謝罪会見せざるをえないわなと、そんな罪と罰的な展開、カタルシス的な展開を狙ってます。 次作もがんばります!

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