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作成日時 2019-02-01
コメント日時 2019-02-17

産まれた時は恵まれていた。 育った土地にも恵まれていた。 優しい母にも恵まれていた。 厳しい父にも恵まれていた。 穏やかな弟にも恵まれていた。 親切な教師にも恵まれていた。 元気なクラスメイトにも恵まれていた。 筆箱がないと気付いた時もまだ恵まれていた。 気が重くなった時もまだ恵まれていた。 指が炙られて痛かった時もまだ恵まれていた。 父に頬をぶたれながら引っ張られた時も恵まれていた。 母が泣きながらついてきた時も恵まれていた。 そうして校門をくぐった時は恵まれていた。 あれから何年も経って、カーペットさえも敷かれていない賃貸住宅の一室で自分が恵まれているのかいないのか一人声に出して問答をしている私は複雑なことを考えられるようになったと思ったので、恵まれている。


項目全期間(2020/01/23現在)投稿後10日間
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2020/01/23 21時28分05秒現在
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コメント数(18)
エイクピア (2019-02-02):

最後の現在形の「恵まれている」。それまでは回想のような「恵まれていた」。何か不気味さが演出されているようにも感じられました。あなたが私にくれたものとか言う歌詞のジッタリンジンの歌は最後まで回想だらけかもしれませんが、この詩は現在形が最後に出て来る。ジッタリンジンの歌も確か一番最後はさよならしてあげるわで、現在形が最後に出て来る形だったのかもしれません。ジャンルが全然違うので単純比較ができませんが、何か思い出すものがありました。

渡辺八畳 (2019-02-03):

勿論皮肉としての意味合いが強い「恵まれている」なのだろうが、マイナス思考な語句で詩を書きがちなネット詩人へのアンチテーゼみたいだなっても思った。

環希 帆乃未 (2019-02-03):

恵まれているという点では何も変わらない事が多いですね。

german buddha records®︎ (2019-02-03):

前振りがいい感じで並んでたので終わりももうちょっとひねるだけで全然多分印象違う。(私見)

左部右人 (2019-02-03):

エイクピア 様 ジッタリンジンの曲に関しては存じ上げませんが、何か回想されるものがあるということで嬉しく思います。 コメントをありがとうございます。

左部右人 (2019-02-03):

渡辺八畳 様 そのような意図はありませんでしたが、なるほど。私は「ユーモア」や「笑い」の中に、言葉に出来ない切実さが孕んでいると考えます。あるいは、「笑いの中でしか真実を語ることができない」悲しみ(太宰)を詩的な言葉として表現していきたいと考えています。そういった意味合いで考えると「マイナス思考な語句」で発信される詩とは、一線を画したいという思いがあるのかもしれません。とは言っても、三角みづ紀さんの初期の詩(扱う言葉がマイナスでも、どこかユーモアがありますよね)が私は大好きですし、そういった詩も読んだり書いたりしますが。 コメントをありがとうございます。

左部右人 (2019-02-03):

環希 帆乃未 様 そうですね、「恵まれている」という点では変わらないことが多いのかもしれませんが、おそらく「恵まれている」に達する思考のプロセスは目まぐるしく変わっているのではないかと思います。歳を経るにつれて。 コメントをありがとうございます。

左部右人 (2019-02-03):

enokiz 様 なるほど、終わりをひねる、この詩ではこのパターン以外考えていませんでした。 もしよろしければお聞きしたいのですが、enokizさんであれば、この詩のラストをどのようにひねりますか? もし何かありましたら、ご教授ください。

帆場 蔵人 (2019-02-04):

いつと比較して恵まれていたのか?と考えながら読ませていただきました。それは、あれから何年も経って、以降の文なのでしょう。しかし皮肉な意味合いで使われている、恵まれている、だろうからまさに今、複雑なことを考えられるようになって恵まれていると問答している自分に比べてまだ恵まれているという結論になり、生まれたときに視点は戻りまた全体を読み返してしまいました。なんだか延々と問答する詩の主体に巻き込まれる気持ちになりました。

左部右人 (2019-02-04):

帆場蔵人 様 確かな身体性を持った詩を書きたいと思って、最近は詩を書いています。ですので、「延々と問答する詩の主体に巻き込まれる」というご感想はとても嬉しく思います。 コメントをありがとうございました。

ふじりゅう (2019-02-04):

 拝見しました。どんどん陰惨になっていく主人公の状況に反して、強がりでなく「恵まれている」とする点が素晴らしいです。なにが素晴らしいかと申しますと、「恵まれている」が強がりでなく、皮肉でなく、本心からであると読者が認識させられる点です。ある種あっけらかんとした主人公の姿は、詩というジャンルでは珍しい「強い主人公」を見た気がしました。

左部右人 (2019-02-05):

ふじりゅう 様 「「恵まれている」が強がりでなく、皮肉でなく、本心からであると読者が認識させられる」 という感想、主体の「本心」かどうかは別として、嬉しく思います。 コメントをありがとうございます。

社町 迅 (2019-02-05):

あくまでも、結論として、恵まれている、で終わる(終わらせる)ストーリーが逆説になって、観客に凄みを与えている作品だと思いました。 ストーリーそのものは詩のために簡素に作られたというか、あまりリアルな体験ではなさそうというか、淡々と並んで何だか単調な感じもしました。しかしそれが凄みの要因になっているのだとも思うので…意図的にそうされているのかまではわからなかったです。

左部右人 (2019-02-06):

社町 迅 様 その「単調さ」は意図的ではありましたが、今から読むと、もう少し私にとっての「リアルな体験」だと感ぜられるような特別性を出していくべきだったなと思います。 コメントをありがとうございます。

stereotype2085 (2019-02-11):

暗示ですね。まさに。幸福な家庭像をイメージするところから始まり、どうも違うなと思わせる中盤。そしてラストの賃貸住宅の一室での描写。これは皮肉な詩であり、シニカルな詩であり、実は「重い」。どんな現実を突きつけられても「恵まれている」から微動だにしない話者の姿勢は、抵抗しなくなった被虐者のようにも感じ取れました。面白いと思います。

左部右人 (2019-02-11):

stereotype2085 様 「面白」がってくださったようで何よりです。コメントをありがとうございます。

まりも (2019-02-15):

「筆箱がない」(書く物が無い、与えられていない、あるいは、奪われてしまった)というフレーズと、「一人声に出して問答をしている」(書けないので、音声に出す他ない)というフレーズが響きあっていますね。意図的なものなのか、無意識に表出したものなのか。 「考えられるようになったと思ったので」考えられるようになったので、ではない、ということ。~と思った、という、どこまでも自認の域に留まることの自覚が、意識的にせよ、無意識的にせよ、この作品のテーマなのではないかと思います。

左部右人 (2019-02-17):

まりも様 とても嬉しいコメントです。ありがとうございます。

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