前口上として親鸞上人の言葉を借りて
「努力精進して、身・口・意の過失を取り繕って立派な自分に仕立てて、それで念願通り人間が向上できると思うのは、遠回りの自力道。そうでなく、理想像を描き、期待して計算を立てても、煩悩に邪魔されてできっこないのが、この私。如来の仰せに従い、そのままの自分をおまかせするのが、一番人間完成の近道、早道、平らな一本道。これを他力道という」━━親鸞
2024年
ふたり仲良くあけましておめでとう
午前六時の外のくらがりを覗く
被災地・能登に申し訳なくも風呂に入って
帰れば妻が雑煮温めていた
妻とふたり新春の路傍を歩く
さみしさ書き尽くした、よい固さの枕
目覚めて今年初のゴミ出しに出る
妻の耳にふれるとくすぐったいという
コーヒー飲んでニコチンガム噛む夕べ
音楽流しせわしく書斎を片づける
初春の海きっとのたりのたりだな
オーシャンビュー太陽の光わっと入って
カプセル服してやっと落ち着きパソコンに向かう
松や青空が深呼吸する
大空の広がっている夜を一人
神経の障りに山頭火読む又読む
蜜柑好みの俳句下手だと伝うべし
ホツリと夜に浮かぶ顔
夢への舟としてベッドに身をあずける
透明な空を鳥が一羽飛んでゆく
暖かい部屋にしてやっと落ち着く
ふっとしぐれるやっとしぐれる
どこを歩いているんでしょう朝焼け
お米に玉子食べてよい朝とする
担々麺に味付け卵をのせてもらう
明日は歩くと決めて今日ははやく眠る
お義父さんが来て下さって妻はお守り渡した
脳が疲れている障がい者である
本日はゴミ出しに行く星一つ
眠れなかった体誤魔化してつらい
働けないこの身をおもい陽のした
ボーとした句を書きたくて書きまくる
脳を休めて、あゝ、冬の空がひろい
病めば心細くもつよい風吹く
なにとなく健康的な妻羨ましく
徐々に回復を、この句に込めて
耳鳴りがして耳鳴りのままそのままに
このさいわいを句に込めてなもあみだんぶ
この風の強さよほろほろ生きること
暗くなることじぶんを励ましつづける
風強く霞あがった空を見ていた
さみしさこみあげる正岡子規を読むよ
物書いて鬱のケ晴らそう
光りに照らされて夜の橙の木
いろいろ気にしつつベッドに沈む
山頭火全句集めくってもめくっても山頭火
米食べるあたらしい朝
雲は皆やすらか流れ南無阿弥陀仏
松風を部屋に入れよう
久しぶりに飲む酒もなくて一人の晩
定住にして人生は旅ぞ
又会えた妹よその旦那さんよ
蚊をころす手で仏を拝む
歩きつづける冬に草吹かれつづける
可燃ゴミ出さず眠ったままでごめんね
只自由律俳句の道を、しんしんとした夜
無為にした午前中を取りかえす
妻とふたり書斎で夜食
せつない夢のひとりぼっち
平々凡々にひたすら物をへらす日々へ
玉子も納豆もない今朝でした
妻に何じゃこりゃと言われている自由律俳句
寒い夜の中行く
妻と急いで横断歩道渡った
落ち込んだり励ましたり冬の一日
本日は妻と皮膚科へ向かう橙の木
歩けどもこころは氷
やっと澄みきり坊主頭にした
冬薔薇ひらいて注ぐひかり
黙々デスクきれいにしてく
暖房ガンガン効かせパソコンに向かう
朝から文字書いて〇である
寒さの中本日の米と玉子
妻を起こして今夕方だよと伝えた
久々走って清いこころの冬の朝
あさやけに山の影
くっきりしておる窓の外に青い山
どうしようもない、米を見つめている
妻と断捨離するから妻によく説明する
曇り日やしっかり本を読む
家の中を集中、ゾーンに入り掃除
さみしくなりながら林を通る
わたしの月夜
枯れた冬薔薇がみれば又咲いていた
なにとなく色々あって皿うどん
追いつめられつづける雨ふりつづける
やっと青空となった、道、快走して
今朝は山頭火全句集に身をささげ
たんぽぽに雨が落ちてはじく
冬の川眺めていれば小便したくなる
ここがどんづまり
寒さ 背中がゾクゾクする
冬薔薇ふわりと咲くおとなりの庭眺める
こころここにあらずや青い空をみている
この道の険しいとおもう 奮ってゆく
日本という小さな国に生まれたよ
よく見れば茶色である冬の山
茶色の山眺めてこころ慰める
いつも一人で夕暮れて
いつも一人で烏となって
山頭火讃
旅に出れないわが身をおもう
人生というこの旅をつづけてゆく
動き出そう夜を越える
風はつめたく陽はあたたかく
くっきり晴れた冬を走る
いい気分になった塩ラーメンを頂いた
すると果てしない人生の旅の一日
氷水に集中してゆく一人
体調悪い朝の本当に仕事ができるのか
朝は静かで宜しい
何にもない朝も宜しい木の芽草の芽
宜しい朝に一人書斎を片づけて
コーヒー一本で安い男だったよ
幾山越えて只ここに存在する
日向ぼっこして段々生きかえる
物を少なく、本をもう買わない
書きつめる思い悩む
冬の星 私はきっといかさま師
健常の壁が高い
冬になれば父との甲府を思い出す
昨夜良いことをして妻の機嫌が良い
コーヒーが飲みたい、一人渇いておる
妻が淹れてくれたコーヒー飲む
落ちきって 落ちきって 落ち着く
自分で自分励ましてゆく
雨に試されている私を感じている
寒さの、もう朝は終わりました
雲のながれる青い空である
アイスコーヒー作って暖房効いた部屋
私に地獄はない、他のひとは知らない
私が病気で妻に申し訳ない
優しすぎる妻で嬉しかったよ
業の深くなる冬の夜です
つかれたのでつかれたと書く冬の午後
いろいろ片づける春の朝の書斎
妻のクローゼットの断捨離終えた
なにとなく妻ご機嫌で宜しい日
呆けてきている三十六の春にして
妻は眠り私は近くのお寺まで
妻とふたり不安ふりはらい歩く
つかれて冷めた空仰ぐ
雨を忍んで歩く
雲に雲が重なって黒い
竹の葉が風でかすれてザワザワと
コーヒーを味わうではなく流し込む
風に押されてくたびれて
朗らかな一日となれよ
ちょこちょこと夜を過ごす
なにとなく思い出す東京時代
爽やかな風吹く道をゆったり行こう
寒い夜を渋々歩く
いい空をみて吸いこまれそうだった
じぶんをいじめているんだタバコ喫いごめん
夜の外へ、風吹く音も年とった
わたし内側に毒を孕んで春の空の下
雨ふる中にいるあなたはとおく眠っている
どんな気もして変わってゆく空
わが母と妻仲良くて橙の木
久々テキストひらく雨の春の夜
ひとに元気をもらってこの春に歩み入る
日記読みかえす揺れる菜の花眺めたあと
ちょっと外へ出よう春風となろう
動き出そう春の陽昇る
洗いものしよう部屋をととのえよう
いつまでもサイレンの音
春感じつつ妻と近くのお寺まで
ひとり自叙伝のごと句を書きつづける春
ととのえるシンプルにしてミニマル思考
本日は妻と通院、朝ご飯としよう
あの山の方へ今日は歩く
今日は春の陽の中歩いてきた
今日も歩こう雀の子落ちあっている道
鳩が竹にぶつかって飛ぶ
書類が舞って寝室に落ちた
なにかとらわれている変な日である
ぼうっとした句のこれで宜しい
さえずりの絶えない朝を歩いてきた
うるわしい朝として銀の雲である
妻が来て私を抱きしめいろいろ言う
こころを磨く梅の花散るでもなく
一人さびしくなれば紅茶を手に漢詩読む
幽霊をどこか感じて春の夜
今日も事なし妻とお寺へ参るのみ
烏鳴いているこの朝に私は一人
歩いて歩いてくたくたくたくた
西行を読むのもいいぞ春の夕
俳句と仏教の本残してしまっちゃうよ
依存症であると自覚する春
物減らすこと又ミニマリストの本読む
明日はいろいろ動きまわろう春の山
坊主頭で髪のすぐ乾く
やっと落ち着けた風の一日
くさはらの草ながれその葉のさきにたましいか
強い春風、松の木揺れる
ぼうとしておる今日の風に吹かれる
外国の愉快な音楽聞いて愉しい夕べ
考えれば身の小ささゆっくり事成す
春といえども蒲団を出たくない寒さ
たんぽぽを夜にみとめる電灯の下
なにとなく生きていること嬉しい
いろいろしてちょっと疲れた春の夜
真夜中に出て風に吹かれる
寒さの夜を風に吹かれて歩く
とっぷり暮れてお酒を飲んでいた
最後の飲酒
花に嵐の、酒と別れて
これが最後のお酒になりますように
さまざまを思い出せずに春の雲
作品データ
コメント数 : 17
P V 数 : 639.2
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-11-12
コメント日時 2025-11-15
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:639.2
2025/12/05 20時29分30秒現在
※ポイントを入れるにはログインが必要です
※自作品にはポイントを入れられません。
行わけに失敗がありました。申し訳ありませんでした。気にせず読んでください。
0短歌や俳句のこと、 僕は詳しくはないし、幾つか雑誌は手にしてもほとんど完読もしていない。 こういうスタイル。 つまり句調子で何気ない日常を、文章をぶった切ること、 って、新しいのかしら? 他に誰もしていないのかな? なんか、湿っぽくなってきて、 読んだ余韻も何も残りゃしない。 これでいい。 というのならば、それでもいいのでしょうが、 僕には縁の遠いスタイルだと感じました。
0軽く脱力しておのれを自然8じねん)に 大の字に寝てまかせる自由律の詩歌は 日々の日記文学として悪くないでしょうね。 奥様とふたりで乗り越えていく日々 の情景が目に浮かぶようです。 おそらく辛いこと哀しいことが山ほど あるのでしょうけど、それを書かないで その中から生まれた一粒の浄化された ほのかに光るたまを愛でている。 そこに泣かされます。
0訂正 軽く脱力しておのれを自然8じねん)に ↓ 軽く脱力しておのれを自然(じねん)に 失礼しました。
0>コーヒー一本で安い男だったよ なんとなく気に入りました。 では即興で自由律俳句をお返しします。 寒い夜 コーヒー一本 男道
0じんわり温かさが感じられました。 玉子も納豆もない今朝でした さまざまを思い出せずに春の雲 これが好きでしたね。 坊主頭で髪のすぐ乾く これは同意
0すごいなぁと思いました。 病的だったあの頃から 完全に脱皮して 強くなっていると感じました。 十年前から読んできて 大きな変化をこの作品に感じました。 最近の作品でもそうだったのかな。 心が洗われるようです。 とにかくすごい。
0すごいと感動するあなたのレベルもすごいけど、お疲れさん、どこがどうしてすごいのか解説してわからせてほしい。句の佳さもわからない蝶馬鹿者だから。
0もっと流すように ひとつの詩のように読めばいいと思いますよ メルモさんがどんな風に読まれたのかは分かりかねますが 私は読んでいて凄く気持ちよかった これは個人的な背景も強く作用しているのかもしれません 幸せについて
0そうですか。 詩のように流して読む(詠む?)力がないのでしょうね。 僕には気持ちよくはなかった。 人それぞれですね。ありがとう。
0お読みくださりありがとうございました。 私には実力が無いので、ストーリーの力も、スタイルの力も使います。 佳句という佳句もありません。難しい漢字も使いません。小学生並みの語彙で書いています。 ストーリーの力、スタイルの力と、力、力、と書きましたが 萩原井泉水に依ると、自由律俳句自体が力であり、光であり、それが宗教ではないのならば いや、宗教ではなく、俳句を俳句たらしめてそこに書かれる為には技術が必要だ、と申しております。 そこで山頭火や放哉を通過するわけですけれど、結局自分の愚に返るといいますか 彼らは不幸だったけれども、いいや、私は私自身を不幸だとも思う時があるけれども この飽食の時代に定住できている、そこに誤魔化しがあっても その誤魔化しを書かなかったのが、最大の嘘だけれども、底辺の障碍者がどういう風に暮らしているか そんなことは察しのつくことなんだ、と敢えて書かなかった。それが悔やまれます。 でも今の私には自由律俳句以外書ける力もなく、それも他力の、与えられた光だと思えば 懸命、磨いてやるしかないと。 世は相対的な世界にあって、価値に上下がないから、佳句はなく、すべては読み手の ひっかかり、なにかしらの機が働いて、好む句とそうでない句が決定されます。 重ねてお読みくださり、ありがとうございました。
0自由律俳句だと分からなかったです。 ずっと、一行日記を読んでいるかと思ってました。 自由律俳句は少ししかかじってないのですが、経験したことをすらすら書けば良いというものでもないと思うのです。 それならば、何故俳句にしないで自由律にするのか分かりませんし。 自由律でなければならない意味と、あと一捻りが欲しいと思いました。 なんか、ごめんなさい。
0定型俳句というのは実際の景を写生しつつも、いや、実際の景を剽窃しつつ そこに妙が加えられている。俳句の俳、は色々な意味があるけれど、ふざけるという意味でも ファンタジーの要素が強いです。 自由律俳句というのは「随」句ですから、経験したことを大真面目にすらすら書けば良いのです。
0ごめんなさい。 はっきり言いますが、 センスがないなら、捻るしかないのです。 でなければ、読むに値しません。 失礼ながら。
0すみませんが あなたの自戒をひとに求めるのはやめましょう。 主観が強いのかはわかりかねますが、他の方でお褒めの言葉を頂いている以上 その作者が、そもそも自作を読むに値しないものだと明言する筈がないでしょう。 又、先の定型俳句と自由律俳句の明確な違いに反論がないので この議論は不毛です。必要ありません。エチケットとしてそういうことでどうでしょうか。
0そうですね。 失礼いたしました。
0こちらこそ。またの機会に仲良くしてやってください。宜しくお願い致します。
0