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絶景   

作成日時 2019-10-09
コメント日時 2019-11-17

師走の風が、水面を撫ぜる 波紋は 幾重にも広がり 水中に潜む 数百もの目玉を 一斉に躍らせる 水草が、 痙攣する指先のように、 ゆらゆらと 揺蕩う。 河川敷では、赤子が泣いて 涙は 母親が拭い捨て 眼球に潜む 自らの瞳には 一筋の水跡 赤子は、 水平線をなぞるように、 だあだあと 手を伸ばす。 肌をさす風に、隣人の温もりを思う 夕陽は 郷愁を誘う絵画のように、 水面を照らす。 明々と照らされた赤子を見た隣人は 「かわいい」 と、 明々と照らされた頬をほころばせ、 指先に力を込めた。 私の背にした水面には、 幾重にも広がった波紋が、 明々と、 照らされているのだろう。


項目全期間(2020/01/19現在)投稿後10日間
叙情性120
前衛性32
可読性41
エンタメ00
技巧124
音韻20
構成60
総合ポイント397
 平均値  中央値 
叙情性21.5
前衛性0.50
可読性0.70.5
 エンタメ00
技巧22
音韻0.30
構成11
総合6.55
閲覧指数:1254.6
2020/01/19 20時46分55秒現在
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コメント数(10)
せいろん (2019-10-19):

とても惹かれる詩です。 指先に力を込める、という一見何でもなさそうな表現ですが、その前に赤子が登場している訳ですから、簡単には使えないようで、さらっと表現していて、技術を感じました。 全体的に読みやすく、読み手にとって情景が浮かぶ美しい作品でした。 良かったです!!

左部右人 (2019-10-22):

せいろん 様 〉情景が浮かぶ美しい作品 という感想、とても嬉しく思います。 お読みいただいてありがとうございました。

千才森 万葉千才森 万葉 (2019-10-22):

 お邪魔します。  わたしは、こっちの絶景の雰囲気が好きですね。記号を用いた作品は、ちょっとわたしには難解なこともありまして。  そして、これはどっちなのだろうかと、かなり悩みました。幸せなシーンで良いのだろうか? それとも不幸を予感させるシーンなのだろうかと。  無垢な赤子は何も知らず、朝日なのか夕陽なのかさえ知らずに喜んでいる。それは良いのですが、周りの情景がどうにも不穏と言いますか。単純に、わたしが単語をそのまま読むタイプだからかもしれませんけども。  師走の夕暮れ。冷たい風が吹く中、赤子を抱いて河原へ赴く。無数の目玉がこちらを向いて、水草が伸ばした手指のように揺れる川。わざわざ隣人と呼ぶ相手、その子供。 >指先に力を込めた。  この文の先に幸せが待っていた事って、わたしの記憶にないんですよね。  そして、最後の連。これが……。  うーん、読み違えたかな。  この雰囲気でしたら、風景描写に関しては目一杯美しく、郷愁を誘う絵画と書かれてますから純朴かな、そんな感じに仕上げても良かったかもと思いました。赤子と同じく純粋な物として扱うのもいいのかなと。もしくは、あくまで中間の位置に立っている存在として。読んだ印象としては、どことなく恐ろしさがありました。  あー、でも、風景って見る人の心理によって大きく印象が変わりますからね。うーん。  絶景。この漢字、改めて眺めてみると面白いですね。  言葉の使い方が巧みな方ですから、土台の安定感があります。ズレを深読みするんじゃなくて、仕掛けられた言葉や文を深読みするのは、やっぱり面白いなーと。間違えていたとしても、思考している道筋そのものが楽しいと思えますね。 

左部右人 (2019-10-31):

千才森 万葉 様 大変に面白いコメントをありがとうございます。 >風景描写に関しては目一杯美しく、郷愁を誘う絵画と書かれてますから純朴かな、そんな感じに仕上げても良かったかもと思いました。 というご感想、真摯に受け止めたいなと思います。絶景というのは、その光景を目の当たりにするまでの過程も大事だと思っておりまして、「不穏」さを漂わせているからこそ、最終連が「絶景」として活きるのでは、と思い書き連ねた次第です。「風景って見る人の心理によって大きく印象が」変わる、ということと繋がっていますね。 「絶景」という漢字、面白いですよね。ちょっと最近、詩のレベルが頭打ちしている気もするので、しばらくは納得いくまで「絶景」を書いていきたいと思います。 「言葉や分を深読み」するのは、面白いですよね。拙作を読んでいただき、ご感想までくださいまして有難うございました。

エイクピア (2019-10-31):

比喩が巧みで、一幅の絵画を見させらているような気になりました。水草、赤子、隣人、私の背など。比喩が揺蕩いながら、曖昧でありながら、明確な輪郭を持って心に迫ってきます。

左部右人 (2019-11-03):

エイクピア 様 比喩をお褒めいただきまして、ありがとうございます。また、心に迫ってくる、というご感想は非常に嬉しいものです。 拙作をおよみいただき、感想までいただいてしまいまして、ありがとうございました。

渡辺八畳 (2019-11-05):

特徴的なのは、大きく分けて ① >師走の風が、水面を撫ぜる >肌をさす風に、隣人の温もりを思う ② >一斉に躍らせる >母親が拭い捨て ③ >波紋は >明々と、 という行分けを使い分けているところだろう ①は文、②文節が複数、③は単体の文節だ。 また、行の最期に読点がついているかどうかの違いもある 行分けや行末の差は黙読のリズムを変調させ、それこそが起伏のある、飽きさせない読感を生んでいる。 他者の作品だと「トビウオ」(https://www.breview.org/keijiban/?id=2359)「秋」(https://www.breview.org/keijiban/?id=4058)なんかも行分けの妙が効いている。 ただ一つ苦言を申せば、「絶景」という題はこの場合はやめたほうがよかったかもしれない。「赤子」は未来を担う大事な存在である社会全体で守らなくてはならず、だからこそ常に肯定しなくてはならない。という言説に異論はないが、まぁポリコレっぽいというか道徳的というかそういう臭いはあるわけで。「絶景」はもちろん赤子の存在を肯定するだけの詩ではないが、絶景=赤子という陳腐な連想をされかねないなと。もはやいちゃもんに近いがそれは思った。左部氏は「絶景」という題で他にも投稿しているため、それらも読めばまた感想は変わってくるかもしれないが。 余談:「絶景」と読んで一番先に思い浮かんだのはヒカシューのライブでした。

AB (2019-11-05):

寂しいとか、悲しいとか、いろんなものをしょって生まれてきたのかね、と何となく問いかけたくなる。そのぶん可愛いとか、愛らしいとか。水面にうつるその子は生まれて、生きてこれたのだろうかとか。いろいろ思えてきます。いい作品だと思います。(絶景4まで拝読しました)

左部右人 (2019-11-17):

渡辺八畳様 コメント、ありがとうございます。リズムに着眼いただいたこと、嬉しく思います。 ポリコレっぽい、なるほど。 絶景=赤子 というつもりで書いた訳ではないので、そこに主眼を置いて読まれてしまうと確かに私の思う「絶景」を読んではもらえないことになりますね。 「絶景」と題したことに悔いはありませんが、、、今後「絶景」と題して書く上で参考にさせていただきます。 Twitterでのご報告まで含めて、ありがとうございました。

左部右人 (2019-11-17):

仲程様 「絶景」4作も読んでくださってありがとうございます。それから「いい作品」だと思ってくださって嬉しく思います。 また、「問いかけたくなる」というお言葉、ありがたく頂戴致します。私は絶えず、自作に対して切実さを読んでいただきたいと思っているのですが、「問いかけたくなる」「思えて」くるというコメントから、そのような感情を抱いてくださったのかなと勝手に判断しました。 コメント、ありがとうございます。

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