仮止めのレジュメを
机に放り出してから
窓の外の景色を
しばらく眺めていた
沈黙が 足元にまで届き
傾いていく傘を
ただ見送る
音はないが
葉の裏が捲れているのがわかる
今この瞬間にも
何かが剥がれている
たった一言の拒否が
喉の奥で逆流していた
乾いた翳りが
カーテンの裏にまとわりついていて
踏まれなかった記憶よりも
ずっと先に沈んでいる
扉の隙間から入ってきた
回路図のようなにおいが
記録されなかった罫線をずらし
薄膜のゆらぎが
未読の文字に触れた
手にしていた紙は
とっくに折れてしまっていた
それでも中身だけは
なぜか新しく思える
風が止んだあとの部屋は
すこしだけ広く見えて
誰のものでもない椅子が
影を長く伸ばしている
作品データ
コメント数 : 24
P V 数 : 2018.6
お気に入り数: 4
投票数 : 6
ポイント数 : 3
作成日時 2025-05-22
コメント日時 2025-06-18
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/06現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 1 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 1 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 1 | 0 |
| 総合ポイント | 3 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 1 | 1 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 1 | 1 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 1 | 1 |
| 総合 | 3 | 3 |
閲覧指数:2018.6
2025/12/06 03時21分05秒現在
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繊細ですね
1レジュメとは、研究発表の要約なのでしょうか?それとも履歴書? (レジュメにそのような意味はなくても、本当は、ラブレターだと読みたいのですが) 後半の記述より、研究発表の要約文なのでしょう。 時刻は午後遅く。 とても静かで、静物画を視てるようです。 それ故に >たった一言の拒否が >喉の奥で逆流していた この部分のこころのざわめきが、一層浮き上がっています。 >乾いた翳りが 以降は、何だか不穏に情景が揺れています。 レジュメの内容に自信があるのですね。 ちゃんと読んで貰えなかったのかもしれません。 と、ここまで書いてタイトルを考えた時に閃きました! 投稿詩のことですね。 自信作だったのに、たった一言で突き返された。 新しい詩を書いたと思ってる。 行間や「余白」を読んで貰えれば…という想い。 静かに物事を映しとる良いセンスをしていると思うので、 ファイトです! ありがとうございます。
1勉強のやる気にならなくて、ただぼーっとする時間がたまにあります。僕はそんなとき、時間が止まってしまったように感じますが、この方は止まったように見えるものの動きを表現するのが秀逸です。
1ありがとうございます
0とてもおもしろい解釈、ありがとうございます 確かにこれまでも、とても自信あって投稿したのに、一言、、ではないけれど突き返されたときの気持ちに似ています 「余白」を読んでもらえれば、なんて、少し強がりな気持ちが生まれるのも、やはりがっかりした悔しさが生むものなのでしょうね はい!これからもがんばります
1ありがとうございます。 ぼーっとする時間は大切だと思います。そこに言葉や表現はないほうがいいです。なんかかっこつけてみたかっただけです。
1タイトルの「余白」が一度も使われずに余白を感じさせる詩だと思いました。風が止んだあとの部屋とか、沈黙が、足元にまで届きとかですね。
0ありがとうございます エイクピアさんが余白を感じて読んでくださったことが嬉しいです。
0表題と内容がぴったりと合ってて、読みながらすげーと思いました。“余白”という名の通り、終わりの続きを自分で考えることもできる、作品の最後には、そのようなスペースがあるように思います。言葉の組み立て方や、言葉が言葉に作用していく様子、それを静かに、けれどまざまざと見せつけられているようで、とても勉強になる作品だと思いました。
1ありがとうございます 1.5Aさんが、この詩に「余白」を感じて読んでくださったことがとても嬉しいです。 言葉の組み立て方は難しいと思いながら書きました。しかし、言葉が言葉に作用していく様子、までは書けなかったような気がしていました。なので、そのように感じていただき嬉しいです。
1(たぶんあの筆者さん...)筆者さんの特に良い作品には「祈り」があるような気がしてて、本作には、そこまでつよい気持ちとかミラクルは感じられなかったのですけど、安定感がすばらしい。
0ありがとうございます 私の事なのか自信無いですが、「祈り」をこめた作品はひとつふたつはあるような気がします。 この作品は、おまるたろうさんのおっしゃるとおり、「祈り」のようなつよい気持ちはこめてなくて、どちらかというと、 -後悔はあるけど これでよかったかも- みたいな感じでしょうか 安定感、読んでくださり嬉しいです
0(物象の)裏に目がいくのは根っからの詩人なのでしょうねーこみあげる情熱を汲み取って、捨てて、またこみあげてきて、汲み取って、捨てるの繰り返しですねー視覚、聴覚、触覚、うまく散りばめられていますよねー(今月の30本目のコメントをどの詩につけようかなーと探していました。余白に最後のコメントつけられて良かったです。)(自詩20篇投稿・今月のコメント30本達成。とてもキリがよいので、ここらへんでオサラバさせてもらいますね。)
1ありがとうございます!
0
0悪くないけど冗長かな。でもまあ上手いよ。
1ありがとうございます!
0回路図のようなにおいとは何だろうかと思いました。「~のような」と言う以上、何かこの詩読者に想像してもらいたいものがあるのだろうと思いました。味読の文字は詩語に通じるのかもしれませんが、時間の経過を強く意識させられると思いました。
1ありがとうございます はい、なにか想像していただけると嬉しいです。回路図、については詳しく調べなければならない経験があり、そこから着想を得て書いてはいますが、それが何なのかをここで言うのは、読者の想像を阻むかもしれないと思うので詳しくは書きません。 >味読の文字は詩語に通じるのかもしれませんが、時間の経過を強く意識させられると思いました。 エイクピアさんがいつも作品を丁寧に読んでくださり、感想を寄せてくださることが本当に嬉しいです。
0第一連で主観的な動作を拾い、 第二連で心情描写と叙景が表れる。 雨に遮断された一室での営みを思う。 そして外との世界との隔たりを感じる。 第三連で初めて思考が紹介され、それは少し痛々しい感じがする。 第四連では起きている変化に対する気持ちが窺われる。 逆流する気持ちにこっちの喉が詰まりそうだ。 第五連ではどんよりとした描写がさらに喉の奥につっかえていたものを重々しくしている。 第六連では機械的な匂いに伴って意識が曲がっていき、吐き気すら覚えさせてくれる。 第七連でふと我に返って結果だけが新鮮だが最近の記憶にあるものはまだ身近にあるようだ。 最終連では今までの張力は解放されて、それまでの時間の流れが伺える。 とても音楽的な詩です。 風景や叙情も模糊とはしておらず、時の流れも恭しく伝わります。 じっくり読ませていただきました。
1とても丁寧に読んでくださり、そして、1連毎に、アルセーニ・ヴェーテルさんがお感じになったことを書いていただきありがとうございます。こちらのコメントを読ませていただきながら、改めてこの詩を読むと、自分のなかでは実は模糊としていた情景や心情、時間の流れがくっきりと浮かび上がるような感覚がありました。ありがとうございます
1余白が素晴らしい作品ですね。沈黙と風という言葉の対比がとても印象的です。
0ありがとうございます 沈黙の中吹く風は、冷たくても、その場を動かしてくれて、少し心に余裕が作ってくれるのでありがたいです。
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