こりゃひどい
別枠表示
わたしを語る（消息に代えて）
最近の私は悩みの内にある。仕事はしていない。今日、採用の電話がかかってこなかったのならば、やっと面接にこぎづけた仕事のはなしも流れる。 明日は社会サービスを通じた事業所の見学がある。私は一か月半彷徨っていた。そしてきっと、この事業所が最後の砦となるのかも知れない。 朝は六時か七時に起床する。起きたら決まって二階キッチンの換気扇の下でタバコとコーヒーを摂る。 朝食を用意する。私は玉子かけご飯に焼きウィンナーだ。妻は納豆ご飯に焼きウィンナーを食べる。 ゴミ出しは私の仕事だ。二月。まだ外は寒い。小学生の女の子が挨拶してくれた。見るとランドセルが重すぎるのか、首を前に突き出している。どうにかならないものか。蜘蛛の巣にかかった蝶に、行き先のない水の溜まりに。最近は救われないものによく目が行くようになった。 しかし本当に救われないものは社会から隠されていることも知っている。当事者は隠れていると思っているかも知れない。私自身は両方を感じている。 明日はどんなことを語ればいいのか。フラッシュ・バックが怖い。ニコチン依存の治療の開始も、まだ十日あるんだ。どこまでニコチン依存に理解ある事業所なのか。考えることはネガティブのループで、瞑想を行い、自分を麻痺させることでしか安定を得られない。 環境？多くのものを捨て去った。本も捨てた。今、手元に残ったのは稲垣足穂全集以外にない。文章は甘露だ。数ページ読み、覚え、コーヒーを淹れなおしては、もう忘れている、そう、その甘味を。 もし、私にお金があったのなら、相棒、ジョグのスクーターの洗車とコーティングをしてやりたいと思う。この相棒は本当に根性がある。十年は乗っている。先日、これはまだ販売されている機種ですか？と言われた。そう言われた場所でもいろいろあった。ポジティブは馬鹿、ネガティブは病気だと教えられた。はずかしめられたりした。私なりになんとかしようとした。教訓を活かして、頑張ろうとした。風の声を聞こうとして過ごした。でもやっぱり無理だったんだ。 今も発作が怖い。先生が、間違った種類の薬を出しているんじゃないかと疑うこともある。結局「治して」いるのではない。誤った脳を「麻痺」させているだけだ。でも人には麻痺が必要になるときも多々ある。そのとき、視線は事実をみていない。そんな余裕はないから。何を語り、綴っているのかわからなくなってきた。 最近、雨が夜にふるので、見るときはいつも快晴だ。 沢山の約束を守ったり、破ったり。それを大袈裟に、狂気の中に棲んでいる、と書く。
わたしを語る（消息に代えて） ポイントセクション
作品データ
Ｐ Ｖ 数 ： 1494.3
お気に入り数： 0
投票数 ： 3
ポイント数 ： 0
作成日時 2025-02-17
コメント日時 2025-02-22
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
タイトルとはちがって、結局わたしについては語れていないようなのが、自己を語ることの不可能性を表しているなあと思いました。自分について語るなんてできるのかな？と日々思っています。自己を取り巻く環境やらは語ることが出来るんですけどね。難しいですよね。
1人それぞれ色々ありますね。 悩みは人生を豊かにすると言われています。 解決できない解消出来ない。そのために人は変形し変色し、屈折し、歪み曲がり、その結晶の塊がよく練られた練り物製品のようになって、なんだか分からない形で出てくる。するとそれが段々いい味になってくる、と私自身は思っています。 発作は怖いですよね。私はここ数年パニック発作が起こらなくなりました。鬱や幻聴はありますが、これも変わり種の現象の一つで、大袈裟に考えなくていいことと捉えられるようになりました。 本を読まなくなったとのことですが、精神医療の闇を告発する内海聡さんの「大笑い精神医学」はおすすめです。今自粛時代にあって笑いが止められている中、理性的に学び勉強してみれば相当おかしいことが医療の世界では起きていて、それは視点を変えれば笑っていいことということ。笑いは心の薬にもなるのだし、ということがよくわかると思います。
1田中恭平 newさんの文章って、平易だけど深いのですよね。 私は好きです。
1ぼくの思う、いわゆる詩とは少し違うのかもしれない。けれども、それでも、確かに感じる部分、切実なものを感じました。そう記させてください
1こんにちは。 コメントありがとうございます。 語り綴っていて思ったのが「でもこれ自分語りじゃないか」ということでした。 そこで正直に「わたしを語る（消息に代えて）」というタイトルにしました。 厳密に自分語りとわたしを語ることは違うのだな、とハツさんのコメントを読んで 思いました。 加えて、最近の私はエゴが減退してしまって（瞑想で自分を麻痺させているので） 周辺環境くらいしか、語り綴ることが無かったのです。或いは宿命について。 重ねてありがとうございます。
1こんにちは。 コメントありがとうございます。 万太郎さんの慈悲心に心から感謝申し上げます。 私の背中には「助けてくれ」と書いてあるのです。 しかし社会サービスにも、精神医療にも疑いの目を持っています。 加えて自分が経験したことだけが真実であるということも事実です。 今日は悪い。でも明日は良くなるかも知れない。 その反復の中で仰るとおり、人は、私は、歪んでゆくのかも知れません。 笑う、ことは・・・最近めっきり減りました。 でも誰もそれに気づいてはくれないし、自分自身でも気づいていなかった。 紹介して下さった本については調べてみようと思います。 重ねてありがとうございました。
1こんにちは。 コメントありがとうございます。 私は私の、随筆でしょうか、まあ文章を完成させたいと思いつつ そこにあまり文学マニアックな視点ではなく、私にはあまり本を読まない 妻がいるのですが、その妻にも読めるように、自分で工夫しているんです。 そう考えると、詩、などは、人を迷路に誘うこともありますので 最近はポエジーを避けた無個性な文体からいろいろ文学的価値を付与したいと 苦心しているわけですね。 重ねてありがとうございます。 好感を抱いて下さって励みになります。
1こんにちは。 コメントありがとうございます。 かずやさんにレスした通り、且つ広く読まれるように 私は「これは詩である」という明言を避けたいと思います。 詩は、絶望的に読まれていない。私は読んで欲しい。 ここに瞑想で麻痺したこころに残った唯一のエゴがあるのかも知れません。 重ねてありがとうございます。
2凄いと思う。とりあえず読ませた。だがこれじゃダメだ、恭平さん！自分の境遇を書く、わかりやすく、普段文学にも触れない人にも読みやすいように。それは分かった。でも僕はこの文章を、詩や文学に興味がない時代に読んでいたら、凄いとも、おおーとも思わなかっただろう。ただ淡々と自分の境遇を書いてるだけか、と思うだけだ。文学や芸術、いやものづくりというのは逆転の手段だ、反逆の発想だ。創作とは、自らの不遇を視点を変えることによって、勝利者の立場へと導くことのできるマジックだ。マジックには鍛錬が必要だ。何度も何度も工夫し、試行錯誤して、凄い！面白い！どうして？！と思わせるような技術を手に入れなければならない。なのにこの詩はまるで手品師がすいません…種明かししますね、と言いながら、頭を下げているステージのように見える。もっと逆転しろ、恭平さん！もっと違う視点を見せてくれ！天地逆転書法(笑)を見せてくれ！それが出来ないで、種明かしをするばかりなら、せめてナポレオンズばりの洒脱さを見せてくれ！ …とここまで熱く、馴れ馴れしくも(笑)書いたが、最終連はその片鱗が見えていた。書けるならば書けばいいではないか。現実とはまた違う世界を。そこでこそあなたは、また僕も勝者と呼ばれるだろうから。
1読者を試してくるような文章ですね。 今や勝ち組と負け組のライフハック情報に溢れているわけで、こうした状況下で、この作品のように、そのはざまをペルソナとして選んでみせる。 >沢山の約束を守ったり、破ったり。 >それを大袈裟に、狂気の中に棲んでいる、と書く。 これは、自分の「イケてなさ」を演出することで「イケてる」側に足をかけようとしているような「衒い」の表現と受け止めました。じつはちょっぴり冷笑が潜んでいる。
1ちょっと待ってくれ！！(笑) 個人的には自分はもう半分引退しているようなもので(笑)、それでもビーレビューというコミュニティというか、文章、テクストですね、そのネクスト・フェーズに足をかけるのが、後進といおーか、若手の為と思ってちょこちょこ書いている。確かに今読みかえしてみると、かなりダウナーな品になってしまったが、もうカフェイン頼りにガツガツ書くことなんて、できるのかなぁ？わっかんないなー。読者を試しているのは当たっている。そもそもポエジーがわからないものにはきっと、非ポエジーとゆーか、超ポエジーもわからないだろうと思うから。ちょっぴりニヒルになってしまっていた、というのも当たり。でもそんな一周回って「爽やかさ」も少し孕んだ叙情だと思っています。書けるのか？私に。天地逆転書法が！！それは私の課題なのか？それはビーレビューというコミュニティに属す、すべての書き手への叱咤激励であるべきだと思います！！
0いやー、いいなあ、恭平さんっ！作品よりもこのコメントの方がよほど弾けていて爽快ではないですか！天地逆転書法という言葉の使い方もしっかりマスターされているし！笑 そう、天地逆転書法は、私も含めて、すべてのビーレビユーザー、あるいはすべての書き手にゆだねられているものであり、マスターに挑むべき課題である。私も完全に抜けきったとは言えないし、言わないが少しずつルーザーズヘヴンから抜け出そうとしている。どうせやるなら変えてしまおう。偉大なる時代の変化は、もうすぐそこまで来ているのだから。 いやあ、それにしても笑った。返信が来ないから考えあぐねているかと思った。ちゃんと弾けて爆発したコメントを返してくれていたのねん。
1田中さんお久しぶりです。 以前に中田満帆氏が『自分の文体を見つける事が大事』だと何処かで話されていたのですが、自分の文体を持っている書き手は非常に少ないと思います。無記名にしたら誰のものかわからない作品ばかり。 そんな中で田中さんの文体は完成された独自のものがあると思います。そして私は田中さんの文体好きなんですよね。文学に匂いがあるか分かりませんが文学の匂いがする文体。 作品で描かれている閉塞感…私もそういった境地に陥る事が多いから感じ入るものがありました。特に、 >蜘蛛の巣にかかった蝶に、行き先のない水の溜まりに。最近は救われないものによく目が行くようになった。 ここ、すごく上手く表現されているなぁ、と。泥濘に脚を取られるようにあらゆるネガティブを取り込んでしまってループしちゃうんですよね。 田中さんは何を置いても好きな事ってありますか？いっときでも自分を解放出来る好きな事。私は気が乗らなくても敢えてそういう時間を持つようにしています。そうやって気持ちを切り替え切り替えしながらやり過ごして、努力もしながら事態が好転していくのを待つ。…この作品の感想としてそんな事を改めて言葉にしてみました。 そして、これはまだ販売されている機種ですか？と言われたジョグスクーター、私は素敵だと思います。販売されているものはお金を出せば簡単に手に入るけど、もう手に入らないもの、そして十年という想い出が詰まったものですからね！
1ronaさんお久しぶりです。 文体論を言えば、十冊の本をそれぞれ十回読めば、百回というか百冊読んだことになるんですね。 そういうノックを続けてゆく中で、いっそ無個性、とか無個性に徹しても自分が出てしまうものとしての文体、というのは私の中にあるというか、できたのでしょう。 今は稲垣足穂しか読んでいませんが・・・。あっ、すいません、嘘(笑)。昨日太宰治の「人間失格」を読んでメンタルやられていました（笑）。 ちょっとネット・ニュースなんかもあれはネガティブなものだと思うのですが その情報にひっかかって、半日つぶすとか平気でありますね。 最近ではフジテレビの問題とか・・・絶対調べちゃうんで、デジタルデトックスを最近覚えました。 何を置いても好きな事は、呼吸法ですね。yogaの呼吸法。気、というかプラーナというんですけれど、それを一度止めて、鎮めて、わーって呼吸すると、全身の細胞が喜ぶんですよ。 瞑想、悪い面だけじゃないですね！！
1