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もや
靄に手を伸ばす。 あたった感覚に反射的に指をまげてつかもうとする。 掌に残るのは不定形ななにか それの在処も、行方も、正しさもわからないまま 見つめる 裏を見ようと摘まんだら そのままほどけて落ちていった お父さんは、この世に正義があるという。 どこに? 目の前の情報も信じられない世の中で 嘘の歴史を書いた論文があったらしい 誰かのうわさが証拠になるらしい TV局は性犯罪をしているらしい インターネットは民意らしい 情報がほどける時代に生きている 正しさの見えない時代に生きている 疑念はいつだって私を断罪しようとする 辞めた戦争はまた始まる 辞めた戦争を始める人がいる 時間は正しさにいったい何をしてくれるのだろう 今の教育はどうやら間違っているらしい 長く続いたことは本当に正しいか? 私たちが探している正解とは何か? 誰からも疑われないことは、正しさを得たか? 私は? 私の生き方は間違いか? 私は自由に見放された人間か? あの日々は、間違いだったのか? 靄の中を泳ぐ。 倒れたら沈んでいきそうな地面を踏む。 みんなが正しいようにふるまう世界のなかで、 わたしだけが、私が間違っているとつぶやく。
もや ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 566.4
お気に入り数: 1
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-31
コメント日時 2025-02-04
項目 | 全期間(2025/03/21現在) | 投稿後10日間 |
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叙情性 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文
目の前の小さな世界観からクレッシェンド。戦争という大きな誤りに向けて、最後は我を省みて疑念を我々にぶつけて終わる。という一連の流れはお見事ですね。
2裏を見ようとする姿勢は大切だと思います。「間違っている」と言う視点、間違って居るのかもしれないと言う視点、長く続くものへの懐疑。「私は?」と言う問い。戦争の絶え間なさ。嘘の歴史とは。問題提起のある詩だと思いました。解決策が少しでも見えて来るならば、詩作の甲斐があるのだと思います。
0コメントありがとうございます。 >問題提起のある詩だと思いました。解決策が少しでも見えて来るならば、詩作の甲斐があるのだと思います。 目の前にある問題に対するもどかしさを吐露した詩だったので、こちらの二文がとても嬉しいです。 エイクピアさんがおっしゃるように、詩を作ることで解決策に少しでも手を伸ばせればと思います。
0コメントありがとうございます。 視点の流れは意識したいポイントの一つなので嬉しいです。 「クレッシェンド」という表現、ぴったりですね。
0日本語の、いちばん気持ちを伝えられる部分というのかな。いい線いってると思いました(上からの物言いで、すみません) この方向性のままで、ずっと書き続けていけば、いいのではないでしょうか。
0「誰からも疑われないことは、正しさを得たか?」 この一行、とても好みです。 誰もが正しいと、疑っていなかったことが覆される、その繰り返しの歴史。正しさとは、得たら絶対に失くさない、という代物ではないと思います。 「正しさの見えない時代に生きている」というのは、どう捉えられるでしょうか。権力が一点に集まることがない、とも言えるし、「正しさの見えない時代」を何者かに見させられているという一種の陰謀も有り得ます。難しい。 実存主義を掲げようにも、掲げられない、そう思わせてくれない環境が着々と塗り固められているのかもしれません。 しかし、しかしですが、 「あたった感覚に反射的に」 この、反射という動作が、私たち人間を人間たらしめる根本の部分だと思います。この表現が序盤に置かれているところが、とても良い。自分の中の無意識を研ぎ澄ますことは一つ、大事なことかもしれません。 omadoさんの、もう一方の詩も良かったです。
0何が正しくて何が誤りなのかわからなくなるこの世間に疑問を投げかけるのは一石を投じるには良い方法なのかもしれませんね。
0コメントありがとうございます。だいぶ感情を投げつけすぎたかなと思っていましたが、そのように感じていただけたのであれば大変嬉しいです。 色々模索している最中ですがこの方向性も大事にしていこうと思います。
0コメントありがとうございます。私の主題というか、この詩において重きをおいた部分なのでそう言っていただけてとても嬉しいです。 >「正しさの見えない時代」を何者かに見させられているという一種の陰謀も有り得ます。難しい。 わたしはここでいうと前者の考えに近かったので、この解釈に「なるほど」となりました。「正しさが見えない時代」という感覚をも疑う必要がありますね。本当は見えているものが、見えていないと言われて隠されているのかも。 >自分の中の無意識を研ぎ澄ますことは一つ、大事なことかもしれません。 ものすごく速いスピードで変化していくこの時代において「正しさ」を見つめるために必要なのは、熊倉ミハイさんのおっしゃる「人間を人間たらしめる根本の部分」なのかもしれないですね。自分の詩についてさらに考えを深めることができました。素敵な感想ありがとうございます。 ( >omadoさんの、もう一方の詩も良かったです。 読んでいただきありがとうございます!)
1コメントありがとうございます。そうであると信じて、「疑う」ということを忘れないようにしたいと思っています。秋乃夕陽さんにもそう思っていただけたのであればとても嬉しいです。ありがとうございます。
1好きな雰囲気の詩です。 自分が間違ってると思って拒絶してしまう人を好きな人もいます 正しさを越えて繋がり合う人が居るし私には凄く難しい世界に感じます。
0omadoさん、私も「疑う」ことも「信じる」ことと同じように忘れないようにしたいと思います。
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