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子どものための連柴
ひとつの川を、はじめまで遡ったことがない。 岩の裂け目から、また落葉しずむ溜りから、 湧き出ているのを見ればうらめるかもしれない。 そんなことは不当だと誰に言われるでもなく知っていた、 薄い翳 神さまを信じたいと思えないんです。 きみは可哀想だね、と牧師は言った。 自分の息子だったらひきとめない、とまで 祈っていたことの呼気は いまどこの海に 雨を降らせているか 耳に手をあてるなら 汐が聴こえるというけど いま聴きたいとは思わない 息をしていると 誰の目にも見えない役所にいまやっと 列んでいるような気持になる ぜんぶ嘘だったといいたくても だれかひとりが信じているから ことばがあまって 肩をたたく くろぐろと背を向けて臥せる やまなみ めざめているかもしれない でも いつから 罰は当たらなくてよくなったのだろう 睡るひとを 跨ぐその川
子どものための連柴 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 963.1
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-01-18
コメント日時 2025-01-29
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


タイトルから子供に連柴と結ばれてしまえば、あの銅像で有名な二宮金次郎の時代をあたまに描いてしまいます。だからといってよく書けているとは思うのですが、冒頭から台詞に読める部分も含めて、全体が物語に挿入された途中からのようで、読み手の意識からすれば少し排他的な印象をもってしまいます。
1>ひとつの川を、はじめまで遡ったことがない。 という冒頭の一文でもう心が掴まれて、そのまま最後まで読みました。人生と自然の風景が重ね合わされつつ、最後にはその両者の境界すらも曖昧にする何か大きいものの視点を感じました。
1繊細な存在の息吹を感じた。自然や他者の言質に揺らめきながら心を持って人は生きているなぁ、と感じた。
2さまざまな暗喩の側面をどう捉え絡ませてあるのか、楽しく解くことが出来ました。思わずノリノリで読解してしまった。やはり巧すぎる。流石です。まあ当然勝手な読解であることを謝りたい。申し訳ない。 「子どものための連柴」このtitleが、枝分かれした物語、枝は成長するもの、切られひとつに束ねられてしまった、命、この想い、そんなふうに感じました。ではどのような糸を手繰り寄せ読み手にどんな感覚を与えるのでしょうか。 母としてこの者は諦念や戸惑いが滲んでおり微妙な後悔や自己矛盾が心に響きます。牧師は息子(この子の父)だったら、ひきとめない。といっているが、逆に あなただから引き止めている という裏の言葉を読み取ることができる。「語り手が過去と向き合う物語」として「生と死」「復讐と受容」「神と罪」などの対比が見え隠れします。「睡るひとを跨ぐその川」とは 語り手でもあり、子どもについて。その分岐のようなもの、そして全体を示すものであると考えました。 詩を読み解き物語として見解を汲み取りひとつ定めましたが、それは重要ではありません(詳細は書きません)。ただ私の中でこの詩から受け取る事が出来る感情がはっきりとしただけでした。全体的に美しくため息が出るような、寂然としたものを感じた、この感覚をただしく受け取りたかったので読解しただけです。ただ惹き込まれた。もっと覗きたいと思った。全聯の意味が、次々被さっていくこの詩の技工の高さに平伏する。とても良い作品でした。一票
0詩、だなぁと。確かな詩が、ここにある、と。 川は、人間の血が流れている、と。 そのように、感受した次第です。
0出来事への意識を強く持つとたしかに、仰る通り、全体が物語の途中からと言えるのかもしれないですね。 自分は書くときそういった意識の筋肉が弱いので、参考になります。 排他的な印象をお持ちになられましたか。きっとそういう気持ちも作者の中にあるという気がします。そのはんたいの気持ちもあるとは思うのですが、難しいですね。 コメントありがとうございます。
0今回は意識して推敲に力を入れたのですが、挙げてくださった冒頭の一文ははじめから変わっていません。ハツさんの心を掴めたと知れてよかったです。 大きいものを大きいものとして感じていることを、正直に書けていればいいなと思います。
1コメントありがとうございます。
1湖湖さんのコメント、味わっていました。人の概念のいい見つめ方を教えていただけたなと。 揺らめくことが弱さに思えて嫌になりつつも、弱さは質であって、強さの少量ではないことを信じたいなと思います。 コメントありがとうございます。
2まずノリノリで読んでいただけたとのこと、ありがとうございます。 イメージの受け取り方の一端を提示してくださっていて、とても興味深く読みました。 作者は今のところ性自認が男の生物学的男ですが、普遍的ななにかで読み手を引っ張れていたらよいなと思います。 牧師の言葉について、もしかしたら仰るように、 >あなただから引き止めている という可能性を提示されて、そうだったかもしれない、とも思いました。今まで自分では考えつきませんでしたが、そうだったらいいなと思えました。 この箇所は3行で終わらせてしまいましたが、内容的にはさらに膨らませても読むに堪えた部分だったかもしれません。今回は私の覚悟不足でした。 仰るように、意味が次々掛かっていくようなものが好きです。まだまだ(つらいことにおそらくいつまでも)未熟ですが、言葉にできないものを受け取っていただけたことがわかって嬉しいですし、それを伝えていただけて嬉しいです。言語活動の本懐だなと思う次第です。 コメントありがとうございます。
0感じられたことを、伝えてくださりありがとうございます。 言葉以上のものをいただいている気が、勝手にしております。 コメントありがとうございます。
0「神さまを信じたいと思えないんです。 きみは可哀想だね、と牧師は言った。 自分の息子だったらひきとめない、とまで」 こんな3行に信仰の懐疑が感じられます。信仰の危機が感じられる詩でした。
0信仰とは実のところ何なのか、コメントをいただいてから考えましたがよくわかりませんでした。よくわからなかったことが新鮮でした。 コメントありがとうございます。
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