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進学や就職   

作成日時 2019-03-20
コメント日時 2019-04-02

愛郷心が無いわけじゃないけれど でもどうなんだろう 考える暇も無いままに僕らは出ていく 二度とペンキが塗り替えられることの無い駅前は 剥げて掠れて読めない定休日がずっと並んでいる 読めないから定休日なのかもわからない わからなかろうが、どうせ入る人はいない 知性と繁栄を昭和に置き忘れてきた 口が半開きな痴呆老人がひとり 蟻よりも遅く歩いている 静止画のような風景で横断歩道の信号が点滅する 地方には何も無い 地方にも昔は有った 県庁所在地でない市でも 白黒写真を見れば羨ましき活気が感じられ息苦しくなる 地方には何も無い 地方にもまだ何か有るのかもしれないが 僕らはもうそれを感じ取ることができない 鈍った触覚を集って揺らす 誰も声を出すことは無い 僕らたとえそれが張りぼてだろうが 目に見える「有る」に集まる蛾の本能 でなければ僕らに繁栄をください 人間は社会的動物です せめて僕らに社会をください 本能のまま空虚に揺らすやせ細った触覚 生殺しにされる前に 僕らは地方を出ていく 僕らが出ていくことが 地方を惨く撲殺する 反逆者を祟る神は今じゃもう死にぞこない 僕らは強い意志も何も無いまま地方を出ていく


項目全期間(2019/04/25現在)投稿後10日間
叙情性2222
前衛性99
可読性1919
エンタメ11
技巧1919
音韻55
構成1515
総合ポイント9090
 平均値  中央値 
叙情性1.51
前衛性0.60
可読性1.31
 エンタメ0.10
技巧1.30
音韻0.30
構成11
総合63
閲覧指数:1624.9
2019/04/25 21時20分42秒現在
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コメント数(11)
渡辺八畳@祝儀敷 (2019-03-20):

とうとうこの詩を出すことができた。 明日3月21日に、生まれてからの23年間を過ごしてきた福島を離れて東京へ引っ越します。高校の時にはあんなに出ていきたいとしか思わなかった福島にも、23年間も居りゃ愛憎入り混じった感情を抱くようになる。私は裏切り者だよ。でもじゃあ今から上京をやめるってはできない。それをしなかったらずっと後悔を続けるだろう。罪の意識を抱きながら、傷を負いながらも私は福島を出ていかなくてはいけないのだ。

羽田恭 (2019-03-20):

北の大都市札幌から地方の自衛隊駐屯地を経て、そこから爺さんと婆さんと牛と野生動物しかいない、いい景色と温泉しか見るべきものがないド田舎に来て、気が付いたら6年目の男です。 ちなみに鉄道は35年近く前になくなったそうです。 なので、立場は真逆ですが考える所がある詩でした。 とはいえすべては無常ではありますし、仕方ないかなとも思いましたが。 自分みたいな仕事を求めた結果、田舎で健やかに長時間労働やっている奴もたまにいますし。 春からの東京での勤務、頑張って下さい。

ああ (2019-03-22):

上京、非上京それ自体には意味はない

羽田恭 (2019-03-22):

思い付きで返詩を。 変わるなかれ わが心よ 変わるなかれ わが友よ 変わるなかれ 父母よ 変わるなかれ 山河よ 全ては変わると 白黒写真から悟るも 広がる道を走り出す 生殺しされし前に 踏み出しし先は未来へ 流れに依りて出でるも 合縁 奇縁 一期一会 故郷よ 殺されし神 たちたりけり 

渡辺八畳@祝儀敷 (2019-03-23):

東京の新居にて書きます。 羽田さん いまでもたまに北海道のことを思い出します。真っ平らなオロロンラインとか。 無常とは知りつつも有限の私としては自分の在る期間内だけは変わらないでいてほしいと思ってしまいます。なんか、やがて廃れることがわかっている地から、その姿を見たくないがために逃げてきた節があるんですよね。裏切り者だわ。 返詩ありがとうございます。

渡辺八畳@祝儀敷 (2019-03-23):

あさん なんともけったいなお名前ですこと。 上京を促してくる状況への恨み節です。

ふじりゅう (2019-03-23):

拝見しました。 渡辺さんの作品にしては珍しく、熱意といいますか、熱い気持ちを感じることの出来る詩だなと。地方の風景を綿密に捉え、地方を出ていくことの残酷さのようなものを丁寧に、スピーディに綴っています。渡辺さん自身の心の底からの思いを、卓越した技術によって表現されていると感じました。

渡辺八畳@祝儀敷 (2019-03-26):

ふじりゅうさん そうですね、基本的に作者の個人的事情と作品とは切り離されている製作方法をとってきましたから。でも結構内側のドロリをそのまま出した詩は書いているんですよね。発表しないだけで。

stereotype2085 (2019-03-28):

誠実。これほど渡辺氏が誠実に詩のモチーフと向き合った作品を私は知らない。過疎化した故郷と、その故郷にもう何も見つけることが出来なくなったと感じる上京者。愛郷心を持ちながらも、愛着の土地を無意識的に見放さざるを得ない話者の話し振りは中々に胸を打つ。いつもの氏の遊び心、面白味はなかったかもしれないが、それでもいいのではないか。自身の感性を「たった一人で伸びていったクレーン」と表現する氏の姿勢も好きだが、この等身大の青年の目線を感じるこの詩も悪くない。氏にはぜひとも東京で幸せになってほしい。これは暑苦しいほどのエールだ。氏の前途に幸あれ。

せいろん (2019-03-30):

とても読みやすく、意外でした! 幅があるというのでしょうか。 恐れ入りました。

渡辺八畳@祝儀敷 (2019-04-02):

ステレオさん、せいろんさん 4/1に初出勤でした。お上りキャラ全開でいったらウケまして。訛りとか方言とか私は未だ持ち続けているタイプなんですけど、これからも大事にしたいなと。そうじゃないとさ、一人一人が保存者にならないとさ、「郷里」って失われてしまうから。

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