従軍する赤い目の音楽家たち。
僕らは頬の涙をぬぐって、
彼らを見送っている。
僕はナゲットを買いにマックへ出かけて、
そのまま帰らず、ライブハウスの熱気に
飲み込まれてしまった、
ただそれだけの人かもしれない。
だがもし、人生が賭博に興じるだけの
シンプルでつたない遊びだったとして、
神がいない方に賭けて、
撤退せざるを得なかった彼らの
負債は、あまりに大きすぎる。
ポケットで着信が鳴る。
AIじみた機械音声から
携帯電話を通して
伝え知らせられる言葉が
愛でもなく、祝福でもなく、
ただ彼らのフェードを、
明らかにするだけの、
連絡でしかなかったとしたら、
それほど沈痛なことはない。
みなが心酔し、支持した、
音楽家たちの遺稿は、
今や凄まじいプレミアがついて
コレクターの手元にある。
生涯をかけた勝負の報酬は、
ただ、それだけらしい。
僕はまだ家にも学校にも帰らず、帰れず、
月の外縁を歩いている
赤い目の音楽家たちは、
ひとり、またひとりと埋葬されていく。
僕は路傍の骨片をひろいあげ、
陰りのある、
葬送曲を聴いている。
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 615.6
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-11-10
コメント日時 2025-11-11
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
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閲覧指数:615.6
2025/12/05 19時56分30秒現在
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どうも。お久しぶりです。 いろいろと「?」があります。 まず、この詩は「葬送曲」というタイトルに合わせて、意図的に陰鬱にしてるのですか? >神がいない方に賭けて、 これは、神がいる方に賭けて、ではないのですか? 私的には、神がいれば、彼らを生かしていたであろう、 と考えるのが自然なのですが? あと、彼らの報酬は、 彼らが作曲に没頭していたときの喜びと後の世で、これほど多くのひとに名曲と親しまれていることで、充分払われていると思うのですが? と、 疑問はここまで。 これは「タイトル」ありきの詩で、 タイトルに沿って書けば、こうなったのだろうな、とは予想できます。 陰鬱さまで自在に表現できるようになったのであれば、お見事です。 惜しい点が2ヵ所。 一連目、やや陳腐です。 これだけ詩的に表現できているのに勿体無いです。ステレオさんなら、もう少し何とかできるのでは? あと、タイトル。 「月の外れ」の表現が分かりづらい。 もう少し、膨らませられるでしょう? ステレオさんの表現力なら、 もっと書けますでしょう?
0人生が賭博に興じるだけのシンプルでつたない遊び というフレーズにどこか諦観を凝縮したようにも思えてわたしは惹かれます。 さらに、何か音に乗せて曲になったらカッコいいんじゃないかとも想像を掻き立てます。
0レモンさん、コメントありがとうございます。様々なご指摘、疑問、すべて僕への期待、僕への大きな評価から来ていると感じます。まず「神がいない方に賭けて」はそのままで間違いありません。 神がいない、つまり無神論的な感覚で、創作や人生に挑み、社会や学問、芸術の世界に大きな変革をもたらそうとしたことを、このフレーズは表しています。しかし神はいた、存在かそれとも人々の心にか。救済の神ではなく、制裁の神として。だからこそこの詩で描かれるのは、沈痛な敗北と喪失なのです。そして報酬が金銭的な評価と、人々の称賛だけだとしたら、大々的な人間の革命を意図した彼ら、この詩においては音楽家たち、にとっては痛恨となるわけです。まさに沈痛。またこの詩のタイトルについてですが、タイトルありきではなかった記憶があります。この詩は推敲した作品なので。月の外れで、狂気のさらに外縁で、奏でられる葬送曲。たしかに絶賛と言うべきタイトルではなかったかもしれませんが悪くもないように思います。1連目に関しては少々の手落ちがあったかなと、朧げに思います。だがしかしすべてのレモンさんの言葉は僕への期待ゆえ、心を大きくして受け止めたいと思います。
1榮翠さん、コメントありがとうございます。この詩は一旦公表するのを控えたんですけど、読み返したらご指摘の箇所が我ながら優れているな笑 と思い推敲し投稿しました。その点感じ入ってもらえて嬉しいです。
0うむ、何度か読み返してみた。 まず、冒頭部分、従軍する赤い目の音楽家たち。 これがわからないので読み手はあたまを捻る。 わからなければ、どうにも全体像が掴めないので、わかろうと努めて考える。 これが、作者の仕掛けられた罠であるのか、 或いは意味を持つ暗喩であるのか、 それさえもはっきりしない。 それで、何度か探ってみた。 タイトルに月の外れ~と置かれてあり、この月は文中にも出てくる。 これは何かの象徴であろうか。 そこで月と冒頭部分の赤い目の従軍する音楽家を結びつけてみた。 月に赤い目とくれば、想像する生きものはウサギだ。 ならばウサギの軍楽隊か?と考えてみた。 ウサギの兵士。といえば「キャット.シット.ワン」というアニメーションに当たる。 ご存じだろうか?直訳すると、「猫のクソ」だ。 ウサギの特殊部隊が人質を救出する。という物語らしい(おもしろそうなので、後でショートがあれば覗いてみよう) しかし、音楽家たちとは関連もつかないよね。 次に従軍する音楽家たちといえば、そうだ。韓国の青年たち。 POPグループが書かれてある内容とも一番近い。 しかし待てよ、彼らは目が赤いのか?いや、 何かが赤いことへの喩なのか? そうなれば、残るのは主義主張になる。 赤いとくれば赤の広場。クレムリン。 同じく赤い国旗中国ならば、天安門広場だ。 これは従軍していく赤い国家主義の兵士たちを 哀れと悔やんで書かれてしまったのか。 あああああ、こうして考えていると馬鹿らしくなる。 詩はその書かれてある内容が、 言葉の扱い方ひとつで短く凝縮もされる それだけに、深く心を抉ることにもなるのだ。 これは仕掛けられた罠だ。 シンプル且つ単純に憶測してみよう。 従軍する赤い目の音楽家たち、とは、 自らが胸に秘める思いを堪えて戦火に向かう兵士。 元は音楽家たちのことで、 月とは、それら状況を眺め見るだけの象徴。 僕とは月の外側で、それらを眺める傍観者。 哀れ音楽家たちは意志なき戦火の銃弾に倒れていくよ。 僕は傍観のうちに、 それを葬送曲に込めて見送るしかないのだ。月灯りの中で。 これは地上で戦争と平和を繰り返すという 人類の矛盾に満ちた愛の物語なのである。 …終わり
0おやっさん、コメントありがとう笑 おやっさんの具体性を追いつつ、ある種意図的に本筋から離れていく分析に、イラッとしつつ笑 思わず笑ってしまったよ。 そう、これは月とウサギの物語詩だ(違う笑) まあ冗談はこれくらいにして、憶測はかなりいい線行っている、当たっている部分もかなりある。当然わずかばかりの差異はあるが(当たり前だが笑) とにかく具体性を追いつつの分析と、暗喩に満ちた詩世界として詩の分析、どちらも上等なのはさすがアラガイのおやっさんという感じだ、手練という印象だ。 あと、誰かの詩(失念)に寄せたおやっさんのコメントはかなり質が高く、読み物としてとても面白かったのをここに付記しておく。何だか投票もしてくれたみたいだ、ありがとう、嬉しいよ。
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