果実市
害虫に食べられやすき
無花果の
すり傷の如き赤い果肉
実が割れし柘榴をもげば
風呂場から
弾けんばかり女子の嬌声
大ふさの枇杷ひとつ
手にとって
うぶ毛にわらう遅覚めのひと
鳥が集まる森の中の
果物店に
人お断りの茱萸が熟れている
トカゲ来て葡萄をなめて
走り去ぬ
遠雷の鳴る積乱雲の下
ごはんの時間
カメレオンなら
このお椀のごはんどう食べるだろう?
カメレオンのように固まる
好き嫌い多きカタツムリらしく
ごはん食べにゆくまで
立ったまま眠るウェイター
お椀いっぱいの
純白の喜びを奪うのが無宿
小バエの日課となりぬ
庭先を夏蝶よこぎる家に
炊き込みごはんの香りしており
約束という言葉なつかし
夏病み
潮騒に足つけてみる少女の
空にシロクマ消えて
氷河広がる
日よけ帽の白き縁が地平ゆえに
少女の長いまつ毛がふれる
夏枯草
煙突高き風呂屋の汽車は
長屋を連れて走りおり
湯船の少女は校歌
家皆冷蔵ケースの人なき街路に
ペグマンを立たせて少女は
午睡
イチゴシロップパス ミルクもパス
透明のみぞれ指す少女の
手にアスピリンの青箱
作品データ
コメント数 : 14
P V 数 : 791.7
お気に入り数: 2
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-09-07
コメント日時 2025-09-09
#現代詩
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:791.7
2025/12/05 21時15分50秒現在
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くいものの詩なんのだから、時宜にかなった飯テロ感がほしい。個人的には、まだまだ暑いし、食欲をそそるスパイシーな詩が読みたかった。
1ちょっと「スパイシー」という感じがするのは最初の作品だけである。最後の聯以外は独立して読むと文句がないが、ただし全体ではレトリックの凝り方ばかりが鼻につく。具体的になんの食い物で、そこに仮託してどんな想いを伝えたいのかがハッキリしない。できれば恋の詩として読みたいのだけど、どうも読めない。
1コメントありがとうございます。 これには食欲をそそるスパイシーな詩になる力はないのです。 自費で冷やし中華でも西瓜でも食べてください。無論、 恋の歌でもないし仮託して伝えたい想いも ないことは仰るとおりです。 わたしは今風のはやりのテキスト論者ではなく詩から意味を汲み取って 解釈する学生風の読みもしないので、レトリックは皆無のはずですが どこにレトリックがあると感じられたのか知りませんが 流行らない歌なのでお眼鏡にかなわないのかもしれませんね。
0ただ「テクスチャーを愉しんでくれ」みたいな方向性にはどうしても見えないのですよ。 文字情報としての味わいがあれば「これどうやって書いたんだろう」っていう、 自然な好奇心がかきたてられるものです。 なにより、その手の作品に必ずある独特の「謎」のような要素が本作には希薄ですし。 読めるといえば読める。いたってリーダブルである。 でも深いところでわかりにくい。分かりにくくしているだけというオチもありえる。 私は逆に読者にもレシピすらも全部見えるような書き方をするので、 (こういう書き方をすれば誰でも詩って書けますよね?の提案みたいな感じ) 本作からは不親切な感じしか受けないんですよ。 たいがいヘボ詩書きほど不親切ですよね。
1こんにちは。詩人ですねえ。どこか明治は遠くなりにけりのような?大正レトロか昭和レトロのような。味わいある。
1特に好きな部分を抜粋して感想を寄せさせて貰います。 >鳥が集まる森の中の >果物店に >人お断りの茱萸(ぐみ)が熟れている 私は自然や動物が好きなので個人的にメッセージ性を感じながら読みました。 人間は動物の領域を侵し過ぎたと思っています。特に国土が狭い日本はその境界線が隣り合わせ。生態系が崩れた結果、熊が人里に下りて来る。その熊に目くじら立ててバカの一つ覚えみたいに害獣だ!駆除!駆除!と騒いでる。昨今の移民問題も侵略だ!反対!反対!と騒いでるけど自分たちも野生動物から見たら侵略者なのに、なんて思いますね。苦笑 そしていつの間にか釧路湿原にはメガソーラーが乱立していて、地球や自然は〝人お断り〟って感じじゃないのかなぁ。というイメージを呼び起こした作品でした。 >トカゲ来て葡萄をなめて >走り去ぬ >遠雷の鳴る積乱雲の下 これはもうただただ生き生きした描写が素晴らしいです。私は筆者よりはるかに動物好きだと思いますが、こんな描写をする文才がないのが悔しいですね。笑 >潮騒に足つけてみる少女の >空にシロクマ消えて >氷河広がる この作品は世界観がものすごく好きです。実際のシロクマが消える(絶滅する)時、氷河も消える筈ですね。だけど作品では氷河が広がっている。作者はただ少女と青い空と白い雲を見て描写しただけかも知れない。でもこの作品からもメッセージ性を感じます。 >潮騒に足つけてみる ここ、すごく絶妙で〝海(水)〟に〝足を浸す〟のではなく〝潮騒(音)〟に〝足をつけてみる〟なのですよね。世界に一歩足を踏み出したようなイメージになる。この時〝氷河〟は実際の氷河ではなくイメージとしての〝氷河〟になる。氷河期、あらゆるものが死に絶えた時代とでも言いましょうか。地球と少女(子供たち)の未来に思いを馳せているように感じられました。 唐突のようですが〝愛〟ってこういった場所から発生しているものじゃないかと思いました。どうもネット詩って自室に引きこもって念仏のように愛を渇望しているだけの詩が多いんですよね。(余談ですが。) どの詩篇も良くて、小さな詩集にしたら素敵だろうと思いました。
1博物的な詩だなと思いました。平等の心が表われているというか。ウツボグサのところなど、はやりのアニメ『薬屋のひとりごと』の主人公、猫猫を思わせますね。
1なんのかんのといってこの詩の欠点を見抜く才能は あるのですね。恐れ入りました。 「これどうやって書いたんだろう」っていう、 自然な好奇心がかきたてられるものです。 わたしも短歌風の短文を書き始めて一ヶ月あまり ですが、意外にわたしのようなアホには簡単なのです。 上句と下句のあいだに飛躍をもってくる。下句の言葉 さえ勘で決めればだれにでも書けることがわかりました。 寺山修司の技法ですね。 その他、鋭いご指摘には正直驚いています。詩はやはり 人に見てもらいコメントしてもらうものですね。 謝謝。
0コメントありがとうございます。 明治までいかないですが昭和初期の感性かも しれませんね。でも骨董的な価値がいつか 出てくるかもしれません。
0コメントありがとうございます。 動物の生存権に関心をもって下さりありがとうございます。 生き物と人間の関わりなんかも 意識して書いたところがあるので、ご指摘はうれしいです。 >潮騒に足つけてみる ここはわたしの間違いでした。「水際に」ですね。 もし書き直せるものならそうしたいものです。 ご指摘、感謝です。
0コメントありがとうございます。 わたしはアニメまずみないのですが、 『薬屋のひとりごと』に出てくるのですか。 すべてとっさの思いつきで出てきた言葉なので 驚きです。夏枯草といって春にわさび色の 小さな綺麗な花をさかせるのですが夏に枯れます。 風情があると想いました。
0「水際」でも私の解釈にさほど影響がないのでどちらでも素敵だと思います。「潮騒」の方が意味深げで私は好きですが。 いい作品を読ませて頂きありがとうございました。
1>イチゴシロップパス ミルクもパス >透明のみぞれ指す少女の >手にアスピリンの青箱 これは一気に、文学の世界に引き込まれる感じがしました。 お祭りの屋台だと作品にもあるような、イチゴシロップやハワイアンブルー、ミルクがけなどが人気だけど、あえて「透明のみぞれ」を選ぶ少女というのが独特な選択で、派手さを拒否した純粋性・透明性みたいなイメージを感じました。 >イチゴシロップパス >ミルクもパス とわざわざ強調してるから、なおさら「透明」の存在感が増してます。 >少女の手にアスピリンの青箱 病気がちな身体を暗示しているとも読めるし、氷菓の冷たさと薬の冷たさが重なって、何か不安や儚さも連想させます。 個人的には、「夏の涼やかさ」よりも、「病や虚弱さと向き合う少女の清さ」みたいなイメージが心に残りました。 最近は、色々なフルーツがのっていたり、氷がふわふわでシロップもジャムみたいだったりと、進化系かき氷の特集をよく見ますが、久しぶりに「みぞれ」のかき氷を食べたくなりました。
2コメントありがとうございます。 こういうていねいな評価を頂くと 素直にうれしいです。
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