ここは、とある夏の海岸。
夏真っ盛りのビーチで音楽好きらが一人の音楽家について、ビーチ姿で日光浴をしながら語り合っております。
「ブライアンウイルソンは、歌ったよ」
「ブライアンウイルソンは心から、歌ったよ」
「ブライアンウイルソンは天使のような声で、歌ったよ」
「ブライアンウイルソンは心の奥から、歌ったよ」
「その歌を聴いて何故、人は胸を打たれるの？」
「それは『神のみぞ知る』ところさ」
夏の太陽ギンギンメラメラ。ハートはシュビドゥバ。
朝の納豆。爽やかに匂い立つ。外へ出掛ければ野外イベント。
日本のお寿司と、アメリカのカリフォルニアロール。小さな島国と大国を隔てる海。
そしてそこに橋を架け、人々を繋ぐ音楽。
「ブライアンウイルソンは、砂場でピアノを弾いたよ」
「ブライアンウイルソンは、薬に溺れたよ」
「ブライアンウイルソンは、おうちに引きこもったよ」
「ブライアンウイルソンは、精神を病んだよ」
「それなら何故、音楽を捨てることを選ばなかったの？」
「『グッドヴァイブレーション』を、大切にしてたからさ」
我、思う。私の父は、父親として相応しくなかったと。私の兄は、善人ではなかったと。
戦後この国は科学技術大国に飴を与えられ、乗っ取られた挙句チキンにされ、羽を失ってしまったと。
ハリウッドが与えた、夢。すべては、幻想か？ 雨風凌ぎ、秋に木枯らし吹き、それでもなんとか生きてきた。
「ブライアンウイルソンは、笑ったよ」
「ブライアンウイルソンは、高らかに笑ったよ」
「肉親に虐待され、グループ内の人間関係に苦しめられ、レコードビジネスのプレッシャーを抱えながらも、笑顔と愛と喜びで溢れる最高の音楽作品を作って、高らかに笑ったよ」
「それなら何故、高らかに笑ったの？」
「それは彼が、苦しかったからさ。笑顔は、最高の良薬だからね」
人生は、厳しい。人生は、楽しい。
私を苦しめた兄は、廃人になった。父親とはもう、別れた。
もう、誰かの所為にしたり、責任を押し付けるのは、辞めだ。
さあ、仕事を始めよう。一意専心。集中、のめり込むこと。
音楽リスニングから培った集中力。『Long Promised Road』長く果てない道。
持続する職業の安定が、未来を約束してくれる。
「ブライアンウイルソンは、死んだよ」
「ブライアンウイルソンは、亡くなったよ」
「ブライアンウイルソンは、死んでしまったよ」
「亡くなったよ」
「それなら何故、亡くなったの？」
「『呼吸停止。敗血症、膀胱炎、神経変性疾患、睡眠時無呼吸症候群、慢性呼吸不全、慢性腎臓病』死因は年齢もあるが、太り過ぎ。薬もやり過ぎていた。彼は死ぬまで音楽の波に乗ることをやめず、船出し続けた。その勇姿は、人々の胸に永遠に刻みつけ続けられるであろう。彼は死んだが、魂までは亡くなっちゃいない。今頃、空の毛布でゴキゲンにお眠りになっていることだろう『I WENT TO SLEEP』と」
私の妄想は、これでおしまいであります。
「腰を下ろし、目を閉じて、ただ息するだけさ。もし、気が向けば、そう、君も。
瞑想スルスルスルスル？」
おしまい。
作品データ
コメント数 ： 7
Ｐ Ｖ 数 ： 766.0
お気に入り数： 0
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ポイント数 ： 0
作成日時 2025-08-02
コメント日時 2025-08-12
#現代詩
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閲覧指数：766.0
2025/12/05 21時15分52秒現在
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ヤキソバ
「ブライアンウィルソンは、歌ったよ」～このカギ括弧の部分だけは生成Aiを使って子供の声で朗読させてみては如何だろう？生の子供のこえでもいい。詩自体は出来もいいので、全編万太郎さんの声では少し無理がある。もったいない。以前から感じてたことだけど、朗読向きの声質ではないように僕には思えてくるのだ。
1宮沢賢治の「やまなし」ですね。
1発声だったり、滑舌だったりおよそプロの域に達したものではない素人の私の朗読。 何度かその点に自分でも悩んでいたのか、ネットでお金を出して歌手を起用したり、声優を起用したり、そういうこともやってはきました。自分でやるのは安上がりな面もありますが、どこかで作者にしか出せないニュアンスもあるかと思ってる分もあります。 文章をお褒め頂き、ありがとうございます。現代詩フォーラムの方でもやりとりがありましたが、今年は例年にない著名人の訃報。圧倒されますね。
0はい、そうです。 中学時代に宮沢賢治の『やまなし』を読んでその不思議な世界観に引き込まれました。 思春期の心にアピールするような、ナイーブな心象風景を描いているように思え、それが私の中でブライアンウイルソンという音楽家の世界観とダブるところがあり、今回彼の追悼作品として、下地にパロディを散りばめて表現させて頂きました。
0こんばんは、 この詩のなかでこそ輝く >>人生は、厳しい。人生は、楽しい。 という一文だと僕は感じました。
1こんばんは。 寒い北風が吹くと、必死で暖まろうとする。木枯らしが吹けば、コートを羽織る。反動心から来る一種の熱。若者に性欲が少ないのは、フラストレーションが昔より弱いからだと唱える人もいます。 花は水だけでは育ちません。環境との調和を含めての生育であり、それを耐え忍ぶには忍耐が必要です。 人生は、厳しく楽しい。この詩の中でこそ輝くとのお言葉に、作文をしたものとしてやったりと思います。
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