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淑女はバカラで雨水を喫す
雨の日に 空を見上げて 大口あけて 雨水を飲もうとする子供 こら 雨はばっちいものを 沢山含んでいるんだから そんなの飲んじゃだめ と 叱る母親 ねえ それは本当に汚いの? 雪がちらつく冬の日に コートに付いた結晶は 可愛い可愛いって愛でるくせに 黄ばんだ空から降り注いだ 可愛くないただの雨は どうしてそんな鬱陶しそうに 服を叩いて払い除けるの 春先の屋外プールの水 金魚鉢の水 雨樋の水 排水溝を流れる水 ぜんぶぜんぶ愛しいお水 ああ 飲み干してしまいたい 熱を出したっていい おなかを壊したっていい 私は バケツに溜まった緑色の水を バカラのコップで一気に飲み干す そんな女でありたいの なにモネラとか なんちゃらバクターとか そんなもの関係ないわ って 生水をごくごく呷るような 高貴な女でありたいの 汚水の中で 微生物が気持ちよさそうに泳ぐなら 私も素っ裸で泳いでみせましょう ドブネズミが美味しそうに 水たまりをちゅうちゅう啜るなら 私も泥水に顔を突っ込んで 真似して啜ってやりましょう 浄水器の綺麗な水しか飲めない そんなダサい奴にはなりたくないの レディたるもの ティータイムには 濁った雨水を嗜むものよ だって ドブ水啜ってからが 人生本番なんだもの!
淑女はバカラで雨水を喫す ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 757.5
お気に入り数: 2
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2025-05-07
コメント日時 2025-06-25
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


"浄水器の綺麗な水しか飲めない そんなダサい奴にはなりたくないの レディたるもの ティータイムには 濁った雨水を嗜むものよ だって ドブ水啜ってからが 人生本番なんだもの!" ↑かっこいい〜★ 人は泥水すすって厳しい経験をしてからこそ成長するんだという力強いメッセージが伝わります!綺麗事ばかりでは何も変わらないし、苦しみや醜いものを知ってこそ本当の輝きが手に入るんだと感じました。 "汚水の中で 微生物が気持ちよさそうに泳ぐなら 私も素っ裸で泳いでみせましょう" ↑鬼メンタル!
2投票忘れてました(汗) 失礼しました(汗)
2えーっと、 まず、レディの境遇を心配しました。 ドブ水を啜る人生は、生易しいことではありません。 貧民窟に住み、食うや食わずの生活、家はボロボロで隙間風が吹き、屋根からは雨漏りをし、 病気の母親とろくでなし親父、兄弟は下に8人くらい居て、お針子として毎日20時間働き、眠るのは3時間程度。 しかも、ろくでなし親父が作った借金がある。 こんなもんですかね。 まだ生ぬるいような気もしますが。 少女小説の主人公のような人物だと思います。 少女小説では、だいたい不遇な女性が幸せになるまでが描かれていますが、 その不遇な女性は、だいたい気高いこころを持っています。 特に「小公女セーラ」を思い出しました。 詩中の女性には、 是非、幸せになって貰いたいと思います。 (東南アジアの煮沸消毒してない生水を飲むと、日本人は下痢をするのだそうです。本当でしょうか。興味があります) ありがとうございます。
1>浄水器の綺麗な水しか飲めない >そんなダサい奴にはなりたくないの この2行だけでも良い作品です。 >だって ドブ水啜ってからが >人生本番なんだもの! ほんとうに、そのとおり。他人から陰口やデマをいわれるようになってからが人生の本番。
3一般的に使われている「泥水を啜る」という比喩と、この詩に使われる「泥水を啜る」というのは意味合いが違うでしょう。 苦しい状況に晒されても耐えていくという受動的なものではなく、もっと能動的に、「啜りに行く」ですよね。シンプルに、言葉の定義を反転させていて、そこが面白いです。 「バカラ」というモチーフも合わさることで、「賭け」というのが重要ですね。 改めて、原始人たちがギャンブラーだらけというのは想像に容易いですが、現代人はまずその賭けができるほど丈夫な「体質」を失ってしまった。 かつ、「体質・身体」側だけでなく、「認識・精神」も変化して、世の中に溢れる「美的な水」を見分けることもできなくなる。(第一連と第二連、第三連の始め数行での訴え) 私たち人類は青い星に生まれながらにして、その青を全身で感じ取る機能を失いつつあるかもしれないです。 第一連、「本当に汚い」かどうか、ダウトと言いかねない圧で母に心理的揺さぶりを掛ける、第二連、「払い除ける」(ゲームを終える時トランプをどける動作のよう)など、端々にさりげなく巧い表現があり、楽しめました。 良い詩でした。
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