争いが悲鳴を上げている。
雲が黒ずみ、空に架かる稲光の紋様が裂けていく。
中毒者は赤い光をあびて、陶酔している、真夜中、エネルギーに満ち満ちて。
大戦は終わったはずなのに、気が変になりそうなのはなせだ。疑問符さえ手に出来ない。
黒いネクタイの男たちは、アタッシュケースを片手にして一直線に、
壊れる一歩手前のユートピアを夢見ている。その目は狂信者のそれだ。
エントロピーは増えていく一方なのに、整然と並ばされる子供たち。
送られてくるのは招集の手紙で、僕らには選択のチケットさえ渡されていない。
傷だらけの列車の中で聴く「君の瞳に恋してる」も、デジタル化された世界では、
甘いはちみつほどの役にも立たない。背中を押し、気を急かす列車のチャイム。
AIがほどよく賢く機能して僕たちの気分をあげては、
物理法則を無視したCGが、みなの疑似感覚を超人にまで持ち上げる。
身体性への冒涜、だなんて言う奴は乗り遅れて当然だ、叩いてしまえ。彼らの声が聞こえる。
もう待ったなしだ、不幸せか幸せかなんて見極める時間もない。何か起こっているんだ?
憔悴していく情報過多のブレイン、離れていく心と体、
今やひまわりは太陽に向かって咲くことはない。
数字でコントロールされ、説き伏せられる悲痛な気分の、レジスタンス予備軍。
フリーメーソンの目が陽気に笑っている。世界で0.01%の勝者になろうとして、
永久機関にも似た歯車をただ一人の力で動かそうとする、個別に別れた群衆。
他に言いたいことはあるかい? これは現実だ、SFチックなフィクションの話じゃない。OK。
僕らのナンバーに詰められた情報は、もう僕らを自由にはしない。
僕らを利便性に富んだツールにするだけだ、叫べ。
うねるような葛藤、眠れない夜、止まらない夜間徘徊、シックは点々と点在する、偉大な希望を秘めながら。
閃きはその病相にも潜んでいるはず、諦めるにはまだ早い、地を這うようにしぶとく生きようぜ。世界時計でさえはちょっとは待ってくれるさ。覚醒の予感がする。
目の前の境界線、覚えた違和感、線引きされていく階層、階級。野放しにされた野犬よりタチが悪い。首根っこに近づくロープを断ち切れ、飛び越える壁の向こうはフリーダムだ。サイケデリックな女の鼓舞する笑い声が聴こえる、アッハッハッハッハッハッハッハッハッハッ……。
争いが悲鳴をあげている。
飽和状態の脳。多くの操作された情報。資本のあるところに群がる、インテリジェンスの皮を被った、哀れなカップヌードルピープル。自由が空想、絵空事の世界にしかないのなら、そのリンクは踏むな。いかがわしい化かしあいは続いている。争いが悲鳴をあげている、争いでさえ悲鳴をあげている。
もし死人が手招いて、仲間入りをそそのかすのならば、
僕らは影法師のようにその世界線から、抜け出すつもり。
身体性をひたすらに感じながら。
作品データ
コメント数 : 21
P V 数 : 1253.8
お気に入り数: 0
投票数 : 4
ポイント数 : 0
作成日時 2025-04-16
コメント日時 2025-05-04
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:1253.8
2025/12/05 18時27分33秒現在
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コメントしたいんですけどね… 10倍くらい悪口(あっこう)が返ってきそうなので。
0レモンさん、コメントありがとうございます。レモンさんとは「ド・ゴールの遺言」でちょっといかつい笑 やり取りをした覚えがあります。それで10倍くらいの…というイメージが僕についてしまったのかと。その点については申し訳ないなと思っています。今僕は比較的、この詩を突き抜けて書いて心に余裕があるので、レモンさんも余裕のある時に、何かいただけたら嬉しいです。
1それでは、後でゆっくりコメントさせていただこうと思いますが、 まず一点。 >もう待ったなしだ、不幸せか幸せかなんて見極める時間もない。何か起こっているんだ? ここの「何か」は、「なにが」の誤字ですか? それとも、故意ですか?
0何と! 何がの誤字です。 恥ずかしい笑 それでは改めてのコメお待ちしております
1一目見て、目を惹きます。 「巧いな」と思います。 焦燥感が文句なく、伝わって参ります。 おそらくは、ざっくり言うと「こころと身体の解離」について書かれているのではないか?と思い、読み進めました。 結論としては、「身体は、やっぱり大事だよ~」なのだと思うのですが、 「こころ」の記述に対して、「身体」の記述が弱いです。 あと、少し一本調子です。 強・弱、メリ・ハリ、Up・Down、硬・柔、を意識して書いてみては如何でしょうか? 今でさえ良い詩なのに、 伸び代が充分ある詩だと思いました。 ありがとうございます。
0ステロタイプさんの作品には、いつも独特の主語の大きさがありますね。 時代、人類、社会、そういう大きな単位で語ることをためらわない。そのスケールの大きさゆえに、モチーフ次第では没個性に寄る危うさもあるけれど、本作も例に漏れず時代の声を代弁しようとする意志が感じられました。 タイトルは、おそらくLUNA SEAの「MECHANICAL DANCE」を強く意識したもので、同曲が収録された名盤「IMAGE」の、あの人工的で終末的な空気感が作品全体に通底しています。さらにいえば、AIという怪物が社会の秩序を塗り替えはじめたこの20年代的な気配も濃く漂っている。 >もし死人が手招いて、仲間入りをそそのかすのならば、 >僕らは影法師のようにその世界線から、抜け出すつもり。 >身体性をひたすらに感じながら。 このラストには、ある種の「身体への回帰」や「人間らしさの再確認」といった希望が滲んでいて、それはそれで美しいが、どこか安易な人間賛歌のようにも感じられて、すこし鼻白む自分もいました。たとえば20世紀の思想家、とりあえずハイデガーやフーコーでもいいのですが、彼らが語ったのは、人間が技術を使うのではなく、技術が人間を形づくるという逆説のはずです。 だとすれば「その世界線から抜け出す」ことは、原理的に無理なのですね。抜け出すという願い自体が、すでに技術の裡にあるわけです。ただ、こうした矛盾や思考の綻びも含めて、本作の面白さだとは思います。これはある意味で、文化や人間観の「終わり」に対する追悼の詩なのではないでしょうか。 ちょっと脱線しますが、同じモチーフで、あのスティーブ・ジョブスなら、どんな詩を書いただろう、と想像して、ニヤニヤしました。
2ブレないなあとおもいました。
2>あの人工的で終末的な空気感が作品全体に通底しています →あの人工的で終末的なムードがこの作品全体の基調低音になっている。
2レモンさん、コメントありがとうございます。強弱、硬軟、いわゆるメリハリについては、4.5.6連と序盤にわけてつけたつもりだったのですが、もう少し文章面ではっきりと分かる硬軟、あるいは視点の変化があったら面白かったですね。読んでみて確かに硬軟が足りなかったかな、と感じました。今でさえ良い詩なのに伸び代が…。ありがとうございます。
1おまるたろうさんのコメントは流れるようで面白いんですよ。今回もかなり楽しく読ませていただきました。僕はハイデガーやフーコーに詳しくありませんが、彼らは、結局人間は新しく出てくる技術によって、改変されていく、と言っていたのでしょうか。面白いですね。すると締めの抜け出すつもり、は新しい共同体のビジョンとしてはまだ弱かったですね。僕としてはノリにノッテ書いたので、最後深みを出すことに若干の手落ちがあったのかもしれません。
1おまるたろうさんのコメントは流れるようで面白いんですよ。今回もかなり楽しく読ませていただきました。僕はハイデガーやフーコーに詳しくありませんが、彼らは、結局人間は新しく出てくる技術によって、改変されていく、と言っていたのでしょうか。面白いですね。すると締めの抜け出すつもり、は新しい共同体のビジョンとしてはまだ弱かったですね。僕としてはノリにノッテ書いたので、最後深みを出すことに若干の手落ちがあったのかもしれません。
0ブレないでしょう、けいせいさん笑 僕もちょこれーとさん、ブレないなあってある種のリスペクト払ってるんですよ。お互いほぼ考えも作風も違いますが、ブレないままゴーゴー!笑 しましょう!
0>結局人間は新しく出てくる技術によって、改変されていく、と言っていたのでしょうか ハイデガーなんかは、人間よりも先にテクノロジーが存在したとすら言ってますね。
0人間よりもテクノロジーが。 それは何とも面白い話ですね、ですが陰鬱だ。人間が人間であれる瞬間はいつなのか、危惧してしまいます。加えてこういう思考でさえも、テクノロジーの進歩により芽生えただけの、新しい人間の思考の一つ、だとすれば言葉もないですね。
0まあ、テクノロジーから距離を取る、くらいしかないでしょうけどね。 しかし、それがいきすぎると「ユナボマー」のセオドア・カジンスキーとか、文明を拒絶して餓死したシモーヌ・ヴェイユとかの、極に走る野蛮ニキになってしまう(インテリほど沼に嵌りがち定期) とりあえずスマフォをドブに捨てるとか、そのくらいでもぜんぜん違うのかもしれないですね。
1ユナボマー。懐かしいですね。彼はかなりのインテリだったはず。彼が出てきた、つまり容疑者として取り沙汰され始めた時は、僕自信や僕がリスペクトしているクリエイター達も、ややもすると彼のような立ち位置になってしまうのかも、とかなり事件や事実を再検証した気がします。何かとても有意義な話になりましたね。色々僕が辿ってきた道が明確になったようで楽しかったです。
0有象無象な現代社会の一番の核心を突いて表現している素晴らしい作品だと思いました。
0いかがわしい化かしあいは続いている。 ほんとにね。
0秋乃さん、コメントありがとうございます。現代社会の核心。迫ってますよね、まだまだな感がありますが。ところで!僕は先日敬愛するミュージシャン、出口雅之さんのLiveに行ってきたのですが、歌詞の一つ一つが凄く刺さったんですよね。特に僕が10代、20代の頃評価していなかったREVというソロユニットの曲が。REVの詩は平明で、一見ありがちな言葉が並べられているんですけど、刺さるんです、凄く。それで、僕考えたんですよ。やはり言葉は独特の単語や熟語などを、どれだけ多彩に散りばめられるか、ではなく、言葉がどの順序で、どういう風に繋がっているかなんだ、とあらためて。そう思うとこのmechanical days ももっと伸び代はあるし、改善点もあるな、と強く思いました。それこそ少ないコードで名曲を作るミュージシャンのように、語彙は豊富でなくとも、難しい単語は使っていなくとも、「うなる」作品は出来るんだなと今では思っています。ちなみにその出口さんにはSNS上で、アルバムの感想を送って喜んでいただけていたのですが、僕がLive会場で会って、けいせいと言います、長い感想文を書いた、と伝えると「ありがとう、うーん、言葉ってね難しいよね、ホントに言葉って難しい」と返ってきました。これなんだよ、これ!俺が求めている感覚は!と凄く興奮したのを覚えています。長くなりましたが、これからのけいせいさんは分かりやすく!深い!という作品にシフトしていく、かもしれません。以上興奮冷めやらぬLive翌日よりでした。
2田中さん、コメントありがとうございます。ほんとにね、の一言でも協調しあえた何かを感じます。嬉しいです。
1確かに! 出口雅之さんのおっしゃる通り、言葉って難しいと思います。 うまくコントロールしないと伝わらない。 難しくともダメ、かといって、平易過ぎても相手を侮るようであまり宜しくない、とあれこれ悩んでしまいます。
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