こうも酷く腫れぼったいのに
幸せなのは何故だろうか
ゆっくりと焼け爛れているのに
それが常のように 太陽のように
磔にされた笑顔の写真が
今 風で揺れて救われ始める
会いたいと思う 手を合わせ擦る
地面すれすれのまま安定する
顔も忘れた糞の後ろ指を
半分空のカモメに咥えさせる
飛んでゆけ どんとゆけ
ぶつかり潰れて果てるまで
夕日で山脈のように 壮大な
寝癖はもうしんでた
心臓は床下に潜っている
から こそ 愛されている
充血した言葉を母に浴びせて
艶のあった卵が固まる
感染る文字など ここには無くて
それが訳もなく悲しい
湯たんぽの嘘みたいな暖かさ 午後
身体がぺちゃんこになる頃
私は遺跡になりたい
恥ずかしい入れ物、
ゴム手袋としての肌
「これがいいのだと言って!」
「まさにそれを欲していたと言って!」
布団破って羽毛が舞って
幸せを見紛い発狂する
だからどんとゆけ
喧しい人混みを胸に飼いながら
遥か高く僕らを均す
スプーンの煌めきは奇跡のよう
子を咥え走る親猫に
神よ注いでやれ 祈りがなくとも
屋根裏の物音を漣にして
ウトウトしている
笑う縁側の日差しに
祖母の戦を耳に引っ掛けながら
こうも酷く腫れぼったいのに
歪なほど暖かいのは 何故
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 984.9
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 1
作成日時 2025-01-15
コメント日時 2025-01-21
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/06現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 1 | 1 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 1 | 1 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 1 | 1 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 1 | 1 |
閲覧指数:984.9
2025/12/06 02時27分56秒現在
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>恥ずかしい入れ物、 ゴム手袋としての肌 ここが一番好きです。ライトレスでごめんなさい。
1束の間の幸福は生きる喜びは小春日和のように。表現力のある方なんだなと感じました。
1ひとつひとつの比喩に力が入っていて、作者の思いの伝わってくる詩だなと思いました。 ここからはわたしの印象ですが、もしかしたら、少し力が入りすぎている(言葉がこわばっている)ような気もするので、その熱量がどのくらいの割合で読む方に伝わっていくのか、しみこんでいくのか、そこを工夫できたはよいのかなと思いました。 なんていうのでしょう、料理や飲み物の味みたいに。
2ハツさん、コメントありがとうございます。 いえ、好きな一節があると言って下さるのは嬉しい限りです。 精進していきます。
0湖湖さん、コメントありがとうございます。 身に余るお言葉ありがとうございます。 精進します。
1佐々木春さん、コメントありがとうございます。 こわばりがちになってしまうのが今の悩みなんです。詩作に自信がない裏返しなのでしょうか。近頃うんうんと唸っています…
0らりるれろさま >こうも酷く腫れぼったいのに >幸せなのは何故だろうか >こうも酷く腫れぼったいのに >歪なほど暖かいのは 何故 始まりと終わりの連が作品としてとてもよく響いていると思いました。 幸いと災い、冷たさと暖かさ、対になるものが ごちゃごちゃと錯綜する人の生を、走り抜けるように画かれていてかっこいいです。 歳のせいか涙もろくなった私にはグッと来るものがあります。 >子を咥え走る親猫に >神よ注いでやれ 祈りがなくとも >屋根裏の物音を漣にして >ウトウトしている >笑う縁側の日差しに >祖母の戦を耳に引っ掛けながら この連、ほんとかっこいいです。
1あやめさん、コメントありがとうございます。 かっこいいとのお言葉嬉しい限りです。混沌とした日常の些末を編み直してお届けできればといつも考えております。 精進していきます。
0「これがいいのだと言って!」 「まさにそれを欲していたと言って!」 感情の昂りが私の内側と合致り。 言葉選びの一つ一つが好。
0ぼんじゅーるさん、コメントありがとうございます。 読み手の気持ちとリンクすることが作詞の目的の一つだと思います。それが達成できたことを嬉しく思います。 精進していきます。
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