帆船を漕ぎたし、
見慣れた部屋を去る。
空を見上げては、
僕の行き先を知る。
風にまかせながら、
思い出す歌声。
カモメが音をさらい、
飛び去って。
黒い雲は近づき、
僕の顔をかたどる。
冷たく凍る唇だけを連れて、
雨も降らせずに、
花も咲かさずに、
小さな孤島の向こうへ、
遠のいて。
僕は帆を立て、
波の尽きる場所へ。
心を削り取って、
海さえ途絶える場所へ。
破れた世界地図、
胸に抱きしめては、
色褪せていく記憶を頼りに、
君の音を見つけたい。
例え鼓動が途切れても。
月が欠ける頃、
夜さえ消えていく。
マストに寄り添って、
波も聴こえぬ場所へ。
心を焼き焦がして、
海さえ見えぬ場所へ。
作品データ
コメント数 : 8
P V 数 : 1891.8
お気に入り数: 2
投票数 : 4
ポイント数 : 3
作成日時 2022-02-20
コメント日時 2022-02-21
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 2 | 2 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 1 | 1 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 3 | 3 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 2 | 2 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 1 | 1 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 3 | 3 |
閲覧指数:1891.8
2025/12/05 22時27分46秒現在
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すごいです。ビューティフル!! 語彙力半端ないです。 今にも漕ぎ出しそうな船が浮かびます。 漣に揺られて。 涼やかな風に乗って。 ガイアの夜明けは今。
0きょこちさん、コメントありがとうございます。手放しの褒めようで私も嬉しいです。返詩とも取れる一文もありがとうございます。語彙力。語彙力は難しい言葉や人が聞きなれない言葉を使って、感じさせるものではないと考えている僕にとって、この詩でその豊富さを感じ取っていただけたなら、なおさら嬉しいです。
1ねねむさん、コメントありがとうございます。この詩は仰る通り、心を削りながら、帆船を漕ぎ出しながらも、海の向こうへ、海の尽きる場所へと向かう情熱と心情を描いているので、その点評価いただけて嬉しいです。目的地。昨日ねねむさんとはお話ししましたね。その場所へたどり着けるようがんばります。
0ABさん、コメントありがとうございます。僕や僕らという主語を使う時、必ずしも私(stereotype2085)のことをさしてはいない場合もあるので、ご指摘鋭いなと感じ入ります。「僕」は何かの集合体の象徴かもしれませんね。僕(stereotype2085)はそれこそ、これからなすべきことへと向けて歩き始めるつもりですが、この詩がその追い風または起点となればよいなとも思います。 「白い帆をあげて」ぜひとも聴いてみたいです。ご紹介感謝です。
1詩文や内容も佳いなと思いますが、繋がり合う連の見た目全体からもvisual的な美しさがあって、波や句読点の連続による表現も工夫がなされているようですね。作品タイトルもあっさりとしていますが、引きの力を感じさせるようでした。
0部屋の周りが海であるような、最後に海さえ見えぬ場所と言う、隘路でしょうか、袋小路を示唆をするような感じだったのかもしれません。カモメ、欠ける月、孤島や、帆は消えて行く夜を演出しているのかもしれません。
0湯煙さん、コメントありがとうございます。詩文の見た目の美しさ、visual的な美しさはいつも意識していて、意味というか書かれている内容も大切なのですが、何より見た目、視覚的な美しさが詩文にはなければとも僕は思っています。ですから湯煙さんの評はとても嬉しいです。作品タイトル。僕は個人的に「〇〇の〇〇」というタイトルを好むのですが、この作品においてはこれがベストだったと思います。ふんわりと浮かんだのです。これでいいな、と。
1エイクピアさん、コメントありがとうございます。月、についてはこれは女性を象徴していて、月が欠ける=大切な女性が傷ついたり、悩んだりもしくはいなくなってしまった時、夜さえも消えていく=太陽だけでなくこの世界の暗闇つまり世界そのものがなくなってしまう、ということを表しています。こう書くととてもロマンチックで女性寄りですね。ですが僕は実際そういう一面があるのです。昔、ある某ファッションデザイナーが「私は女性の美、優しさの前にひれ伏すしかありません。私は生まれながらのフェミニストなのです」と言っていて、その感覚が僕には分かるのです。長文失礼しました。
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