彼は実体験しか書かない
頑固でそこだけは曲げない
テーマは闇 彼の得意分野
心の中をえぐり出していた
痛みが手に取るように 分かりますと
感想を述べると
「若いうちに苦労してよかった」と
嬉しそうに 目だけそらした
じゃあ次のテーマは光にしましょう
提案したら彼はばつが悪い顔をして
僕にはまだ書き足りない闇があるんだよ
出しきってない苦しみがまだあると
夜明けの美しさは
この目で確かめてから書くよと
彼は時折 寂しそうに
周りを羨ましがっている
たくさんの作品に囲まれても
彼は孤独を離せない
あの人たちの真似をしたらどう?
見かねて言ってみたら
それが出来ないから 戦ってるんだと
悔しそうに返した
きっと本当の自分を見失ったことが
これほど忠実な彼にもあったのだろう
本当の自分を持たず生きていくことは
悲しみの不発弾 胸に抱えること
素性の知れない
自分を産み出してしまうこと
しばらくして彼は染まることを覚えて
いつしか本心が見えにくくなった
だけど信じていた 本当の自分の
生存の仕方を変えただけだと
じゃあ次のテーマは光にしましょうと
初めて彼から大きく提案してきた
僕には今すぐ書きたい光があるんだ
そう言った彼はなんだか幸せそうだった
実際に夜明けを見たかのような
作品でしょうねと言うまでもなかった
彼は実体験しか書かない
作品データ
コメント数 : 13
P V 数 : 1932.8
お気に入り数: 1
投票数 : 0
ポイント数 : 22
作成日時 2020-05-18
コメント日時 2020-06-17
#現代詩
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
項目 | 全期間(2024/12/10現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 5 | 2 |
前衛性 | 2 | 0 |
可読性 | 4 | 2 |
エンタメ | 2 | 0 |
技巧 | 3 | 1 |
音韻 | 2 | 0 |
構成 | 4 | 1 |
総合ポイント | 22 | 6 |
| 平均値 | 中央値 |
叙情性 | 1.7 | 2 |
前衛性 | 0.7 | 0 |
可読性 | 1.3 | 1 |
エンタメ | 0.7 | 0 |
技巧 | 1 | 1 |
音韻 | 0.7 | 0 |
構成 | 1.3 | 1 |
総合 | 7.3 | 3 |
閲覧指数:1932.8
2024/12/10 18時14分37秒現在
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いや極々普通に読んで、良い読み物だと思いました。このノンフィクション作家に何があって光へとテーマが変化したのか分からないのですが、またその最大の謎、この詩における到達点は明かされないままですが、それがむしろこの詩を美しい作品に仕立てている。この構成が幸せを読み手に与えます。闇しかテーマにして書かない作家の心情に迫りながら最後まで読み切らせる技術も見事でした。
0変わってしまったことが良かったのか悪かったのか…。面白く読ませていただきましたが、なんだか考えさせられます。染まるという言葉はあまりいい意味ではないことが若干ひっかかっておりますが、新しいテーマで書くことができて(彼にとっては)良かったのだと、そう思うようにしときます(^^;)
0感想ありがとうございます。 自分としては、初めて自分を別の視点から表現した作品だったので、そう言って頂けて光栄です。 細かく批評して頂けて嬉しく思います。 これからも活かして創作活動に取り組みます。 ありがとうございます。
0感想ありがとうございます。 染まるのところは確かに雑に表現したかもしれません。 この作品の表現と合うかもう一度考えてみます。 参考になりました。ありがとうございます。
0ぼくは染まるという言葉はいいと思います。書き手のショックを読み手に知らせる符号になっているし、もしも変化をはじめから肯定的に捉えているなら、「だけど信じていた」とつなぐことはできないからです。物語の転調のためにも、彼の変化は「意外」な方が良い気がする。それを乗り越えて羽ばたいていくのが成長として面白いからです。 序盤から丁寧かつ大胆に描かれていて楽しく読めました。個人的には彼の変化の「きっかけ」が描かれていたらなお良かった気がするのですが、別になくてもはじめから全く違和感なく読めました。「彼」がとにかくリアルです。
0感想ありがとうございます。 いすきさんに言われた通り染まるでも悪くないかもしれませんね。 彼を遠いようで近くで見てる日人の視点なので、終盤への展開にはあくまで主観なのでアリかなと思います。 色んな意見が知れて嬉しいです。 ありがとうございます。
0お返事ありがとうございます。それで、失礼しました。私のコメントが的確ではなかったです。 まず、ひっかかったという言葉は単に「読むのが止まった」という意味です。それ自体は良くも悪くもなく、ケチをつけたつもりは全くないです。 それで、止まったのは「染まる」という言葉自体に原因があるのではなく、自分の考えや予想を込めながら独自の視点で彼の話をしていたのが、急に >染まることを覚えて と主体的な表現に変わったことが主な理由だと思います。なぜ第三者が「覚えた」と言い切れる?と。やけに上から目線だなと。そこで立ち止まったわけです。 でもそれこそが狙い(彼=自分であることを私のような読解力のない人にも悟らせるきっかけ)だとするのであれば、これが正解なんだろうなあと思います。結局私は悟れなかったので、ただひっかかったままでしたが…(>_<) ええ、ともかくも読解力がなくてスミマセン。。
0なるほど!そういうことだったのか。かんぜんに理解しました。私ちょっと勘違いしていたようです。やや弱い印象のオチもよく見たらどんでん返しになってたんですね。素晴らしい読解だと思いました!
0追河さん、大丈夫ですよ。 色んな視点で見て頂けて嬉しく思います。 こんなこと言うことじゃないかもしれませんが、彼が僕自身であることは隠したまま終えるつもりで書いてました。 しかし染まることを覚えてのところですが、実は何も意図して視点を変えて書いたつもりは実は無いんです(笑) でも追河さんの読解でもいいと思います。 むしろそのほうがオチ的にはいいかもしれないですね。 僕の尊敬するミュージシャンが言ってたのが、読み手が作者とは違った読解をしたとしてもむしろそっちのほうがいい場合もあると。 だから 作者なのにこういう読み方があるのかと勉強させられました。 作品の中で彼=僕なんだよって無意識で主張したかったかもしれませんね。 感想頂けてよかったです。 自分の詩を考察して頂ける貴重な体験ができました。
0キラーフレーズがたくさんあり 匿名があんま意味ないと思う 素顔でやったらいい というのもVoiceはやっぱり隠せないから 違ってたらうけるけど まあどっちでもいいね 昼の光が、夜の闇の深さを知るものか 人は自分にないものを求める だから彼が闇ばかり書いていたのは逆説的に光を求めていたからで 最後の彼は光を書きたいと言う それなら闇を求めるためかなとも思う そうこうやってみて自分の闇を認めていくのかな 生きてくってそんな感じ なぜ?そうなったかを論理構造から抜いてるから 解釈の幅が広がるスタイル 最初もいったけど 悲しみの不発弾 とか素敵なフレーズがたくさんある なんだかイノセントな作品 ていうかいつもユーアーイノセント!
0感想ありがとうございます。 フレーズを褒めて頂けて嬉しく思います。 今気づきました、僕匿名だったんですね(>_<) アッシュと申します。編集で今から付け足せないでしょうかね。 あえて淡々と書いてよかったと凄く思います。 はっきりしたことを書かないことで解釈が広がるんですね。 頭に入れてこれからも頑張ります。 ありがとうございます。
0はじめまして。非常に詩としての純度の高さを感じました。一点だけ、タイトルは「ノンフィクション」または「作家」のどちらか(私なら作家にしますが)に絞るとよりひき締まった印象になるように思います。
0感想ありがとうございます。 たしかにノンフィクション作家だと タイトルで色々明かしすぎですね。 実話を書いている、作家は ノンフィクション作家しかいないなと考えて安直に名付けてしまいました。 参考になりました。 ご意見ありがとうございます。
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