Ⅰ
俺の血は絶たれねばならない。
宿命の連鎖を、
この代で切らねばならない。
人は皆、永遠の命を生きるという。
連綿と受け継がれる、螺旋の楔。
その漣を分断するのだ。
ぽかぽかとあたたかな陽だまり、
飼い猫の傍で丸まる。
愛しい人、それだけを考える。
自然な営みで心拍の連なりが、
まだ起こせるというなら、
この業を誰に見せようか。
この子には見せまい、
鈍色の夜叉の跋扈するこの修羅を。
すっと居直って、
裾を直して、飛び石を渡り歩く。
独りだからできる、そういう現もあるのだ。
Ⅱ
情念の結晶が渦に飲まれて、機械仕掛けの人形になる。
恥辱とは何か。俺にはもう解らない。
踏み荒らされた瓦礫を、深淵に隠して。
あたたかな希望とともにある未来に、蹴りをつけた。
明日どうなろうと、それでも人間だ。
命運尽きるまでのたうつ、そういう契だ。
XXになら、生まれたいと思ったけれど。未練はない。
俺では、いい母にはなれそうにもないからだ。
人が生きるとは、大変なことだ。
遍く人類が、営巣に向いているのか。
何もかもが、個性ではないのか。
ひとつひとつの自由には、どれにも代償はある。
しかしコウノトリは、万人に等しく舞い降りるわけではない。
それでも皆、律動はやめられない。
それもまた、摂理だ。そしてたぶん、正義だ。
その方がいい、たしかにそうは思うけれども。
俺の子どもなら、いないほうがいい。それだけのこと。
Ⅲ
無数に転がる断片は、
ひとつひとつ色も形も煌めきも異なって、
人の心や正義とまるで同じだ。
しかも人は見たいものしか見えない。
だから境界は分断され、甘ったるい星灯の下、
俺らは無知蒙昧なることを理論武装でひた隠すのだ。
歪められた現実が、単一の正義を指し示す。幻。
誰もが人の心奥の襞を踏み荒らす。
結婚とは子どもを作ることだと、何を今更。嗚呼。
分かたれた空の結界を、この手で壊せたら。
好き、たったそれだけの、遍く魔法で。
もしも自分に子どもがいたなら。
さよならの味を、ちゃんと教えたい。
そして、身悶えしながらでも、しゃんとすること。
空はどんなときにでも、青い。
俺は誰となら、この二重螺旋による絆を、より良く活かせたのか。
人は思うままには出逢えない。だからこそ人なのだと、今は信じる。
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 283.5
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作成日時 2026-01-05
コメント日時 9 時間前
#現代詩
#ビーレビ杯不参加
#縦書き
| 項目 | 全期間(2026/01/06現在) |
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
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2026/01/06 18時33分37秒現在
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絶たねばならない。 種も筆も?本当に? 深い事情は何も分かりませんが、 種はともかく、また書いてくださいね。 これだけ読ませる詩を書けるだけの、恵まれた筆力があるのですから。 相当な覚悟を持って書かれておられるのは、詩から伝わって来るのですが。
1温かなコメント、本当にありがとうございます。 沁みました。 心より御礼申し上げます。 いつかまたここでお目にかかれますように、修練したいと思えました。 感謝です! 取り急ぎ失礼いたします。
1こんばんは、序盤 硬質な文章だなと油断していたら >>その漣を分断するのだ。 >>ぽかぽかとあたたかな陽だまり、 と 温度差 突然やわらかさを持って来られて驚きました。豊かな発想ですね。 >>自然な営みで心拍の連なりが、まだ起こせるというなら、 僕は群青透夜さんのこういった繊細でブルーな表現、かなり好きです。 一瞬青い血液が静寂に 立ち昇るような感覚がします。 >>独りだからできる、そういう現もあるのだ。 この潔さというのか 独自性を感じます。 Ⅱでは >>XXになら、生まれたいと思ったけれど。 >>いい母にはなれそうにもないからだ。 とあり、 >>俺の子どもなら、いないほうがいい。それだけのこと。 と結ばれるのが 豊饒に考える余地を残し なるほどな と おもわず立ち止まってしまいました。 >>そして、身悶えしながらでも、しゃんとすること。 この表現も独自性を感じます。 さよならの後に「しゃん」とする。 冷水で顔を洗わねば、と思わず考えてしまいました。 連は戻ってしまいますが、 >>踏み荒らされた瓦礫を、深淵に隠して。 これも印象的でした。はりつめられ迸る静謐な意志を感じます また読ませて頂ける日が在ると 信じております。
1誠に丁寧なコメント、本当にありがとうございます。 ぼんじゅーる様の示唆に富んだコメントで、自分でも朧気だった部分が見晴らしが良くなって、大変嬉しかったです。 覚悟を決めて書いた作品だけに、こんなにも好意的に受け止めていただけたのは、喜びもひとしお。 いつになるかは全くわかりませんが、いつかこの場でまた拙作をお披露目できたらと思えました。 重ねて、ありがとうございました。 さよならは、まだ少し、胸に留め置こうと思います。 失礼いたします。
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