僕ら役に熱中して、あたえられた台詞など忘れてしまった。
ライトに照らされて、客の顔は闇の中。
体育館の袖に戻ると、先生に体育館の外に連れ出された。
二人仲良く怒られた。
そんな彼らの距離は時とともに離れていくしかなかった。
「僕は、君が嫌いだ。」
弾けるような笑顔、低く少しかすれた声、
不機嫌そうにかたく結んだ口元、彼はいろんな彼女を見ていた。
うす茶色の瞳。真っ黒な瞳の彼と違って。
100点の答案。彼の成績表と違って。
シュートを決める度なびく髪。不器用な彼と違って。
彼女にとって恋ほどたやすいものはない。
彼はある日、彼女にこう言った。
「僕は、君が嫌いだ。」
次の日から二人の会話は途絶えた。
彼は学校の課題で小説を書いた。
心の中からこぼれるものを言葉にして紙に落としていく。
彼の涙といっしょに。
言葉は紙ににじんでいく。彼はまた誤解されていく。
舞台上で台詞を忘れた彼ら。
そんな彼らの姿はどんな台詞よりもその役を演じていた。
作品データ
コメント数 : 3
P V 数 : 317.5
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作成日時 2025-12-01
コメント日時 2025-12-03
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) |
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:317.5
2025/12/05 20時30分45秒現在
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とても良いと思います。 ただ、感想がちゃんとことばにならないので、また改めて、述べさせていただこうと思います。
0「青春」ということばが浮かんでまいりました。 >「僕は君が嫌いだ。」 何故、そう言ってしまったのでしょう? 自分と違いすぎるから? 「好きだ」と言うことの裏返し? それが役に与えられた台詞だから? 一生懸命であるがゆえの悲しさを感じました。
0物語性ならば、軌道確保してないと、純文学よりラノベの方に勝敗が上がるとして、ラノベ的な詩として、高く評価できる部類に入るのだけれど、何か、再読させる力がもう少し欲しいというねだりをしつつ、良い詩ありがとう!!!!!
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