僕ら役に熱中して、あたえられた台詞など忘れてしまった。
ライトに照らされて、客の顔は闇の中。
体育館の袖に戻ると、先生に体育館の外に連れ出された。
二人仲良く怒られた。
そんな彼らの距離は時とともに離れていくしかなかった。
「僕は、君が嫌いだ。」
弾けるような笑顔、低く少しかすれた声、
不機嫌そうにかたく結んだ口元、彼はいろんな彼女を見ていた。
うす茶色の瞳。真っ黒な瞳の彼と違って。
100点の答案。彼の成績表と違って。
シュートを決める度なびく髪。不器用な彼と違って。
彼女にとって恋ほどたやすいものはない。
彼はある日、彼女にこう言った。
「僕は、君が嫌いだ。」
次の日から二人の会話は途絶えた。
彼は学校の課題で小説を書いた。
心の中からこぼれるものを言葉にして紙に落としていく。
彼の涙といっしょに。
言葉は紙ににじんでいく。彼はまた誤解されていく。
舞台上で台詞を忘れた彼ら。
そんな彼らの姿はどんな台詞よりもその役を演じていた。
作品データ
コメント数 : 4
P V 数 : 534.9
お気に入り数: 1
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-01
コメント日時 2025-12-27
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2026/01/25現在) | 投稿後10日間 |
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| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
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| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:534.9
2026/01/25 18時13分47秒現在
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とても良いと思います。 ただ、感想がちゃんとことばにならないので、また改めて、述べさせていただこうと思います。
0「青春」ということばが浮かんでまいりました。 >「僕は君が嫌いだ。」 何故、そう言ってしまったのでしょう? 自分と違いすぎるから? 「好きだ」と言うことの裏返し? それが役に与えられた台詞だから? 一生懸命であるがゆえの悲しさを感じました。
0物語性ならば、軌道確保してないと、純文学よりラノベの方に勝敗が上がるとして、ラノベ的な詩として、高く評価できる部類に入るのだけれど、何か、再読させる力がもう少し欲しいというねだりをしつつ、良い詩ありがとう!!!!!
0こんにちは、 初読から文章に惹きつけられるものがあり、何回か読ませて頂いているのですが 恐らく最初の一行に世界観の入口が強く開かれているからだと、僕の中では決着がつきました。 タイトルが 幕の上がる瞬間だとしたら、 >>僕ら役に熱中して、あたえられた台詞など忘れてしまった を読んだ時点でこの詩の「舞台上の彼ら」に惹き込まれてしまっている。 その後の文章を作中の誰の視点から読むかで印象も変わってくるのかなと 考えます。 「彼」と「僕」の関係が 個人的には 強めに入ってきました。 もう少し長く読んでみたい気持ちになります。
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