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タニカワシュンタロウというなまえで生きていた男へ捧げるエチュード
後頭部を撮影された老人、 謹呈された詩集をかならず読む老人 愛車のモーリスはいつ廃車になったのか かれの離婚届を詩集がわりに読むか否か 湖畔の嵐のなかで うつくしい水鳥のような、 鮮やかな死が タニカワ、 タニカワシュンタロウと連呼するなか、 ぼくは悼む気もなくて、 バーガーキングと呟いていた それが正しい儀式であると、 強調する傍点をたずさえて歩きながら、 ぼくもおなじように連呼する タニカワ、 タニカワ、タニカワ、 タニカワシュンタロウ、 シュンタロウ、 またの名をスピルリナ青色素だと 存在しないものの現実味について しばし考える、 緑色の牛 ピンク色のコーヒー豆 蛇口からあふれたジンジャーエールや 軟質の生体プラスチックたち いま署名を免れた者たちのなかで たったひとこと、 「FIRE」とラベリングする青年よ、死ぬな ぼくが手に入れた箱にきみの手が臭う たったいま射撃されたような痛みを忘れないでくれ、 17系統のバスで逝ってしまった老人のように ぼくは手をふった、 ぼくは連呼する タニカワ、 タニカワ、タニカワ、 タニカワシュンタロウ、 またの名を「青は遠い色」と囁いた青1、 法定色素、別名ブリリアントブルーFCFだとね
タニカワシュンタロウというなまえで生きていた男へ捧げるエチュード ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 1249.3
お気に入り数: 1
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2025-08-23
コメント日時 2025-09-17
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


なんていうかな、「うまい棒」のドラえもんの亜種みたいなキャラがいるけど、あんな感じというのかな、 ここに表記されている「タニカワシュンタロウ」は、だんじて国民的詩人ではない。パチンコ通いのおっさんだと思う。
0ケンカ売ってるのか? おれは買わんぞ。今月はもうオケラだ。
0さすがプロ! 谷川俊太郎さんへの愛が詩情あふれる表現で伝わってきます★
1お会いしたことあります。 あれは、27年前。 小さなグループの集まりに、会合の主催者さんが、ゲストとして呼んでくださって。 (実は私、その時も、「谷川俊太郎?誰?」ってひとで。苦笑) その頃、私たちは、 どうすれば、詩が一般的になるか?で悩んでて、絶望のような焦りがあって。 主催者さんが、 「何か谷川俊太郎さんに、質問ありますか?」とたずねてくださったので、 当然、真っ先に手を上げて。 「どうすれば、詩は普通のひとに、理解されるようになりますか?」 私はそう訪ねました。 谷川俊太郎さんは、 熱い瞳、静かな声をしておられました。 彼は静かに言いました。 「詩は、理解される必要はありますか?」 当時の私は、その応えに、とてもガッカリしたことを覚えています。 そして谷川俊太郎さんは、ご自分の経験を、話してくださいました。 今でも覚えているのは、 アラーキーとコラボしたのに、鳴かず飛ばずの詩集があったこと。 谷川俊太郎さんが亡くなられたとき、 谷川俊太郎さんは、やり尽くした末の、諦観の中にいたのだ、と思いました。 この詩中にあるような、気障なイメージの方である1面を、 私は知りませんでした。 ありがとうございます。
0これはいいですね。例示される様々なシュールなものの例が、実に魅力的だ。谷川氏への、 誠実な追悼になっている。青の人。
0コメント、ありがとうございます。正直谷川俊太郎の熱心な読者でないじぶんが追悼を述べるのはおかしいのですが、「謹呈された詩集を必ず読む」という辞を師匠から聞き、詩集を送ってよかったといまではおもっています。詩ではないですが『沈黙のまわり』は一読の価値があるとおもっています。
1谷川俊太郎は青なんだなぁ。知らなかったです。
0タニカワへの追悼である前に詩である。完全な詩であると思いました。
0バーガーキングとつぶやく主体は何なのか。後半では色がフィーチャリングされ。最後の二行の色で終わる部分、タニカワ、タニカワ、タニカワシュンタロウと連呼する主体。存在しないものの現実味について、この詩は明確な答えを出しているような気がしました。
0生前の谷川氏へ謹呈しただけというわたしは一番不適当な追悼者だろう。なにしろ、彼の死が初期を除いて好きじゃないからだ。でも青なんだ、おれにとてって谷川は詩集の題名でだけなく。
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