ノリでキスした
唄うように
はじまった
ねじれた夜のワンフレーズ
助手席に風
見えない手のひらが
毎日 私の背中を
少しずつ押していた
「ごめん」って言ったひとが
仕事帰りの歩道に
まだ立っていて
自転車を道路脇に置いて
もう一度だけ
私の顔を選んだ夜
「どうして?」って
言えたのに
言ったのに
あれから 顔を合わせることもなく
私は会社を辞めてしまった
それから五年経って
「お洒落して来いよ」
って届いた招待状
あのひとの 隣にいた彼女が
どこか 昔の私に似ていて
「ほんとだね」って 笑いながら
なんだか
うれしかった
それから 二十年
「またみんなで集まろう」ってなって
あのひとだけが いなかった夜
髪を切って
少しだけ痩せた自分に
ふと気づく
――私
きっと まだ
あの頃の
「うれしかった」を
好きでいたんだなって
作品データ
コメント数 : 10
P V 数 : 958.8
お気に入り数: 2
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-08-06
コメント日時 2025-08-13
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:958.8
2025/12/05 16時09分45秒現在
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穏やかに消えていく、かつての恋、でも、忘れ切ってはいない、裏切らない真実の心。人間性の善さが、 鮮やかに輝いています。
0コメントありがとうございます う、裏切らないというと、なんか背徳感感じなくもないですが、昔の話って年月が経つほど美化してしまうものかもしれないですね。20代前半の出来事なんて、どれもこれも美しい(*^^*)
1こんにちは。彼氏さんは結婚してしまって、その結婚式に呼ばれたんでしょうか。切ないですね。ウエディングベルという歌を思い出しました。
0想い出はいつもキラキラしています。 たとえ辛いお別れでも時間が経てば美しい想い出になりますね。
0コメントありがとうございます たぶん、彼氏とかじゃなかったと思うんです。向こうもそう思ってなかったと思います。どっから始まって終わった、という感じもない。切なさもなかった。だから未だに思い出すんだと思います。
2コメントありがとうございます。 そうですね。時間が経つのいうのは、いいことですね!
1まず、イントロが良いと思いました。 「ねじれた夜のワンフレーズ」 ここなんかすごく好きです。 まるでレイモンド・カーヴァーの短編でも読んでいるようでした。
0コメントありがとうございます。 >ねじれた夜のワンフレーズ なんというか、ちゃんとしてなくて、お酒の勢いとか、大人数でかなり騒がしいなかだった、とか、たぶん向こうには彼女がいることしっててとか、そんなぐちゃぐちゃがこの表現になりました。 レイモンド・カーヴァーさん。アメリカの小説家、詩人さんなんですね。「ぼくが電話をかけている場所」というのが気になったので買ってみました。読んでみますね。教えてくださりありがとうございます。
0こんばんは、僕はラストが好きですね。憶えていたとかではなくて、 >>好きでいたんだなって という表現が粋だなと感じました。
0コメントありがとうございます。 ラストはとても悩みました。好きでいたんだ、というほどの気持ちを本当に今も持っているか?ただ気まぐれに思い出しただけではないのか?と。 しかし、当時、あまり自己肯定感かま高いといえなかった私が、このときは自分を好きでいられたのは間違いないと今も思うので、この表現でいこう、となりました。 自分を貶すよりもずっと難しく、勇気のいることだったので、ぼんじゅーるさんのコメントがとても嬉しかったです。ありがとうございました。
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