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水際の正体/タイナイ
カーテンの影に揺らめいていた その奥に潜む広大な大地に咲く花々の どれか一つを手折り 私が脱ぎ捨てた身体への餞にしよう 重ね合わせた掌の 埋めることのできない小さな溝を水脈にして やがて透明に芽吹く日を 今はただ心待ちにしていたい 泥の上であったならば きっと沈んでいくほどの重い身体でも コンクリートの大地は 受け入れてくれることなどないし 少しずつ 少しずつ 風に削られていくこともない 澄んだ⻘から 漆黑へのグラデーションで 描かれた空の中に飛びこむことは 空想の中の片隅でしか起こり得ず 少しの黒ずみも許さないような白い灯りの中では 隙間から覗いてくる闇から目を逸らす必要もない 霧の中から伸ばされた手を掴むように 雲の割れ目からその向こうを覗くように ある一本の線の上にある内側と ある一本の線の下にある外側を 分けるように、あるいは繋げるように ある一本の線の中に立つ ここは「胎内」 中心から手を伸ばし、外縁に触れる ここは「体内」 外縁から手を伸ばし、中心に触れる
水際の正体/タイナイ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 612.0
お気に入り数: 0
投票数 : 3
ポイント数 : 0
作成日時 2025-05-28
コメント日時 2025-06-02
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


詩を綴るという非生産的な行為は過去達への餞なのかもしれませんねー随所に配してあるリフレインが効果的ですねー
0出産、私は男なので女性の出産の痛みは分からないのですが、赤ちゃんを産み夫と共に育てるのは夫婦の特権なので羨ましく尊敬します。
0まず、死体を想像しました。 意識を脱ぎ捨てた亡骸とでも言えば良いのでしょうか。生きているのに、死んでいる体。 >やがて透明に芽吹く日を この部分は、意識の生まれ変わりかな?と。 希死念慮があって、 病院に入院しておられるように思います。 >一本の線の上にある内側 >一本の線の下にある外側 「上にある内側」「下にある外側」 ベッドのシーツのことでしょうか? ここは「胎内」「体内」となっている「ここ」とは、病室のことではないかと思います。 「胎内」と「体内」の書き分けが見事ですね。 良い詩を拝読させていただきました。 ありがとうございます。
0矢張り体内か胎内か迷います。 「ある一本の線の上にある内側と ある一本の線の下にある外側を」 こう言う表現は解釈に迷うのですが、詩眼を鍛えるのに丁度良いのかもしれません。
0読んでいただき、ありがとうございます! 1人1人が辿ってきた道筋はその人だけのものであり、ある意味で宝物のようなものだと思っています。 だからその道筋を振り返る行為は、非生産的かも知れませんが、祝祭的な大切なものだと信じていたいです。
0読んでいただき、ありがとうございます! 私も出産という行為はしたことがないのですが、 それが出来る身体である以上、味わってきたこと、思うことがあります。 ただ、そういう行為の経験はなくても、 何かを伝えていく、繋いでいく行為は等く神秘的だと考えています。
0読んでいただき、ありがとうございます! 私自身は希死念慮があるわけではないのですが、なぜだか小さな頃から漠然と「生」と「死」の感覚について考えることが多かったです。 どちらかというとメメント・モリの精神ですかね。 流されるままに日々を過ごしている時は 心臓は動いていて医学的には生きているけれど 精神的には亡霊のように感じることがあります。 よく危険なスポーツをする方は、死と隣り合わせの行為をすることで 生きていることを実感する、と言いますが、 死と向き合うことは、同じように生きていることを実感する行為だと思っています。 そしてそれは決してネガティヴなことではなくて、(他人から見たらそう見えるかも知れませんが) ポジティヴなエネルギーではないかと思います。 ありがとうございます、嬉しいです。
1読んでいただき、ありがとうございます。 文字を見ずに、この詩を音読で聴いたときに 皆さんは「タイナイ」をどう変換するのだろう、と興味があります。 そういう意味ではカタカナで表記することと迷ったのですが、 あえて漢字にしました。
0人は死をもって胎内へと還るのか、それは中心から外側から手を伸ばしながら外や外と触れ合うのか、とても興味深いと思いました。
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