遠くにある大きな図書館に行きたくて、
高速バスを待つ
(私は風が強い日々に備え厚着したが、運悪く今日は暑い)
時間を読み間違えたらしく、早くバス停に来てしまった
(私の脚の骨がストライキして帰るのも時間の問題で、それでも赤い髪
の少女に次いで二番目にしぶとく、長くバスを待つ)
着いたバスは、
横に美人が座るくらいどうしようもなく混んでいて、
席がないことに立ち尽くす旅人がいた
(私は一番後ろの席の窓から、イヤホンでビートに乗りながら、ぞろぞ
ろと降りていく人たちを見る)
鼻息が荒いため、美人が眠りにつくまで気が気じゃなかった
木が木じゃないなんてことはないけれど、
そういえば私は今日よもぎに縁があって、
よもぎ色のセーターを着ていたんだよ奇妙なことにね
(彼らのしかめっ面を隠すように陽がバスを押していくのを感じる。各
停する場所の旅人たちの、宛のない不満を私は摘んであげたいと思うく
らいかわいそうだったが)
終点に着いて、
地下鉄に行く
しかし、
東西線という次元が二つあることに気づかず看板に騙される
駆け込み乗車の民を横目に、
ゆったりとした、緑色の手すりのエスカレーターを撫でて戻る
(足腰の悪いお婆ちゃんと駅員の会話を聴いていると、もう一度試した
くなり、私はエスカレーターを降りたりしてみるが世界を超越したりは
できない。ゆったりとした、緑色の手すりのエスカレーターを撫でてま
た戻る。お婆ちゃんは蒸発していた)
駅員さんから正規ルートを教えてもらい、
無事に一両目に乗ることができて、
後からバスケットボールを持った少年が
兄とふざけながら危なげに乗車した
本題に行く
とにかく昼食に、
よもぎのラーメンを食ったんだ
ニンニクたっぷりのラーメンだ
それから図書館では、借りた本も緑色で服と同化したりしたんだ
夜は友人とパスタの店に行き、
よもぎのパンを食べたりしたんだ
今日は総じてよもぎデー
今日は断じてよもぎデー
(本当の東西線を指し示す道の色が水色だったり、友人の使う髭剃りの
色がシルバーで、ガチャガチャでトマトを持ったキャラクターを出した
後にトマトパスタを食べていても、あれが普通にオレンジ色のバスケッ
トボール七号で、もう一冊借りた本は赤色だったし、灰色の手帳を新し
く買っていたとしても、誰が、何と言おうと、でも誰も、今日を、何と、
言っていたのか、分からない、今日、)
帰りの電車で、
四人席に美人三人が私を取り囲み、
また鼻息を殺す時間帯を過ごしながら借りた本を必死に読む
ニンニクの汗をかきながら
ふと思い立ちそもそも、
よもぎって何だ
Wikipedia様曰く、
秋に地味な花をつけてしまうらしい
クソッタレが!
そう叫ぶと、
乗客は皆いなくなる
そうして窓の外で、
よもぎの葉がゆらいだり、
窓の隙間からよもきの葉が舞い落ちてくれれば良かったが、
窓には私がゆらいでいる
そいつは落ち着き払いながら本を読み、横目で、
ああ、あれがよもぎか、という風に一瞥してきて消える
食べ過ぎた私の胃が答え合わせしようとする
よもぎが出てくるかどうか賭けようじゃないか
あのお婆ちゃんはディーラーとして、隣の車両から颯爽と歩いてくる
バスケットボール兄弟がつり革にぶら下がる
友人はトマト! トマト! と叫んで、
ニンニク鼻の美人たちが私を取り囲む
私は意気込み、えづき始める
よもぎのあの草臭いにおい、湧き上がれ……
そんなような悲劇を抱えた人が、
電車の床に黄色いシミを作っているんじゃないかと思うと、
切なくなって、
すこしだけ私、
やさしくなれた
作品データ
コメント数 : 5
P V 数 : 867.5
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-05-15
コメント日時 2025-05-17
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:867.5
2025/12/05 22時40分51秒現在
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子供の頃はよもぎ餅(くさもち)は好んで食べないけど、大人になったら好んで食べちゃったりします。擦り傷にはよもぎモミモミして汁を消毒に使っちゃったりしてねー嗚呼何かしらいいことないかしらんと期待しながら生きてはいるのだけど、そうそう期待外れで、舌打ちしちゃったりして、でもまた明日になればなったらで期待しちゃって、の繰り返しで細胞がここまで古くなってしまいました。終盤に向けて徐々に投げ遣り(?)的に妄想的になっていくさまが僕だけではないのだなと妙に合点いきました。既読でしたけどね。
0さあっと眼を通しただけじゃわからん、でした。 そもそもヨモギ入りのラーメンなんて、あるの?紫蘇の葉っぱならわかるけど。まあ食べれないこともないか。 後半にかかる確信に迫るような迫力はさすがだね。熊倉さん。 でも、なんでヨモギなんだ。 わからん。 何度でも読んでやる! 笑
0読み込まなければ理解できないのですが少しだけ。 よもぎのお蕎麦があるのだから、よもぎのラーメンがあっても良さそうだな、と検索したら、以外とメジャーみたいですね、 よもぎラーメン。 それから、よもぎは食べられますが、そのまま食べると激しい下痢を起こすと先輩が言っていたので、 あく抜きしてから召し上がって下さいね。 それにしても、流石のインパクトです。 ミハイさんの名前が出て来なくても、詩のタイトルを忘れても、 「よもぎラーメンの詩」と言えば、「あれか」となります。 では、何日後かに、再び失礼いたしますので、宜しくお願いいたします。
0そうですね。 ご自身をよもぎに見立て、 よもぎを吐くまでの過程を描いているのは分かりました。 よもぎ。食べられる草、薬草となる草、お灸などの漢方薬になる草。 では、なぜ花が咲くことに腹を立てたのだろう? タイトルが「よもぎのように」とあることから、その辺に生えている地味な草、地味だけど、色々とひと様の役に立つ草。作者はそうありたかったのかもしれない。 ところが花が咲いてしまっては、地味さが一変する。 人生でも「一花咲かす」と言うではないか。 だから、 >くそったれ と毒づいたのであろう。 服もエスカレーターもラーメンも本もパンもよもぎ。 それは、断固としてよもぎデーです。 しかし、それらは全て前ふりで、核心は「電車の中で吐いてしまうひと」の心境なのだから恐れ入ります。 美人が近くに座ったら、鼻息が荒くなるところが面白かったです。 細部まで手を抜いてない秀逸な作品ですが、よもぎラーメンのインパクトが強すぎて、他のよもぎの存在が薄くなるのが、少し残念です。 ありがとうございます。
0ヨモギ入り。よもぎ餅。昔はどこの家庭でも正月には石臼でお餅をついていて、僕も口にしていましたが、子供の時分はあまり好んで選ばなかった。やはり草臭いのがいやでしたね。いまではたまにしか目にすることもないよもぎ餅。ヨモギ入り。こうして書かれると、なんか食べてみたくな゛ますね。野原に取りに行ってみようかな。まさか、トリカブトなんか生えてないだろうから、中毒起こすこともないだろう、と。いや、野原は野良犬や野良猫が普通に小便かけるしなあ。 ヨギモギ。韓国ツアーで嫌な思いでもされたのかなあ。韓国の人たちはヨモギ混ぜて普通に食するようですね。ヨギモギ。ここには蚊が~笑 う~ん、わからないな。 嫌な思いされたのかなあ。ヨモギ入り。 はじめて試食した料理が不味かったりしたら、幻滅感。後々尾を引きますね。その試みに。 おまけにニンニク臭。 あ~あ、やってられんわ。 という思いでしょうか。 う~ん、臭い。わからん。作者自身もわからないとの応え、じゃないですか ね。ヨギモギにて、すんません。
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