別枠表示
過ぎ行く制服の香り
ねぇ。あの子の袖の、ほつれた糸の先を見てみたい。 くすぐったい声で、君は言い、目を細める こことここを、くっつけてさ 細長い指と指がふれあい、僕と君だけのファインダーができあがる 懐かしい色がするね 細くて白い首筋は、生まれたばかりとそう変わらないみたいだけど 少し大人ぶった、強がったように話す君の 尖らせた唇に触れたくなって なに、早く覗いたら? 僕の視線は、即席ファインダーの先に集中せざるを得なくなった 早まる鼓動が、君にも伝わらないか 懐かしい色、というのがなんのことかわからず 畑の向こうにある、石油基地のことだろうか それとも、運動場に等間隔で並べられたハードルだろうか あ、海の匂い 気づけば、君が視界いっぱいに 覆いかぶさっていた、すこしかさついていた おそいよ、懐かしい色になっちゃうじゃん あの子のほつれた糸の先は、くずれゆく僕らの思い出だった
過ぎ行く制服の香り ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 825.5
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-05-12
コメント日時 2025-05-22
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


不思議な詩ですね。 現在と過去が交錯しているような。 何となく分かってきたような分からないような… 「あの子」とは娘さんのことではないか?と思いました。 最初は別の彼女だと思ったのですが、 どうも「君」は海で亡くなったように思います。 だけどタイトルが「制服」となっているので、 「君」が亡くなったのは高校生の頃ではないでしょうか? 懐かしい色とは二重の意味で、セピア色の写真と「僕」と「君」が指でファインダーを作って見ている景色じゃないかと思います。 透き通った幻想的な印象を持ちました。 ありがとうございます。
1甘酸っぱいような、くすぐったいような、不思議な読み心地でした。文のはこびが小説のワンシーンのようでもありました。 「懐かしい色だね」という書き方がふつうだと思いますが、「懐かしい色がするね」という言い回しが印象的で、君と僕の世界だけで交わされる感覚のようでおもしろかったです。 余談ですが二藤さんがやっていたように作品本文の一部分を引用してコメント残してみたかったのですがやりかたがわからずできませんでした。もし機会あれば教えてください
1なつかしい色とはセピア色なのか、あるいは白黒。 セピア色になっちゃんじゃん。 と、彼女が呟いたのは古い思い出に過ぎ去っていく予感でしょう。※けっこう年輩の方だなこりゃ(笑)ごめんね。 写真を眺めて思い出に浸る語り手の姿が眼に浮かびますね。 二人でお手々、わ、さすがにつなぐこともない年頃かな。中学生か高校生。学校からの帰り道ですね。 この袖口のほつれが残像として残っているのでしょうね。断片的に、 古い思い出ならば、誰にでも胸を過る懐かしさ追憶ですね。 抒情を感じるだけにやはりタイトル「過ぎ行く制服の香り」が、ダサい~と思われてきます。 制服は文に押し込めばいいでしょう。 「追憶」なんてスタンダードなタイトルも面白くはない。 写真眺めて思い出に浸ってるんだから、何か他にあるでしょう。そのときの強く印象に残る景色、またはほつれた袖口を綾した辺りの建物か置物etc. 、のようにも感じられました。
1彼女が身につけていたモノがいいかな。? たとえば、木綿のハンカチーフ。笑。冗談です。貝殻虫~ふなむし~ふたつの糸
0レモンさん、コメントありがとうございます。 >「あの子」とは娘さんのことではないか?と思いました。 >最初は別の彼女だと思ったのですが、 >どうも「君」は海で亡くなったように思います。 この観点からの、意見はとても新鮮です。「君」がすでに亡くなっていて、という指摘で、海というキーワードも裏のイメージでした。 >懐かしい色とは二重の意味で、セピア色の写真と「僕」と「君」が指でファインダーを作って見ている景色じゃないかと思います。 このコメントの、セピア色というのは、詩を描くうえで思い描いていました。懐かしい色というのは、様々なとらえ方ができるかと思います。 こちらこそありがとうございました。
0富井嫉妬さん、コメントありがとうございます。 >甘酸っぱいような、くすぐったいような、不思議な読み心地でした。文のはこびが小説のワンシーンのようでもありました。 小説のワンシーンみたいだと言ってくださり嬉しいです。くすぐったい心の揺れ動きを意識しながら、映像的に書いてみました。 半角の「>」を引用したい文の頭につけると、引用ができます!お試しあれ~
0メルモsアラガイsさん、コメントありがとうございます。 なつかしさを追いかける、追憶していくというのは、だれしもあるけれども、それを学生時代に重ねてみました。身に着けていたものをタイトルにという提案になるほどと思いました。 確かに、タイトルが若干陳腐な感じがあったかもしれません。参考にしたいと思います。 ありがとうございます。
0けっこう好きかも
1僕の視線が集中するファインダーの先。早まる鼓動。懐かしい色。何か味読すべき、解き明かすべき謎が提供されたようで、詩を読む意義があるような気がしました。
1なんかノスタルジック的な詩だけれど、僕がよく書くようなノスタルジーとは違って、どこかくだけた感じがあるのが興味深いと思った…… >なに、早く覗いたら? >おそいよ、懐かしい色になっちゃうじゃん ……という感じにどこかくだけた口調がみられるのがね。
1