海を眺めている時に
ふと、想うことがある
あの透き通る蒼の中に
思い切り飛び込みたい
体を水に沈めた時に
肌を包み込む泡の中
温かな温度を感じたい
抱かれるように
守られるように
魚のように安らかでいたい
しばらくしてから足を伸ばして
好きなだけ泳いでみたい
行き先はどこでも良い
自由な心の人魚のように
あちらこちらを泳いでみたい
海の向こうには何がある?
蒼く広がる小宇宙
小さな生命が眠る場所
かつて私も生まれる前に
確かにそこで生きていた
生まれる前の記憶なんて
はっきりは覚えていない
だけど、私はそこで
人間として生きていく上で
何か大切なものを
失くしたような気がしていた
それが何かはわからないけど
なかなか思い出せないけど
どうしても、"見つけ出さなきゃ!"
と、そう思っていた。
だけど、もし、見つけてしまったら
今までの私は書き換えられて
生きてきた記憶も歴史も人格も
詩に出会えた奇跡でさえ
最初から無かったことになるだろう
そうなってしまうのは、
やっぱり、嫌だな……
だから、失くしたものは探さない
今更どうにもならないことだから
そのうち何処かで見つかるだろう
今ある生を、宿命を、私という人格を
受け入れて生きていこう、そう思った
それでも、海を眺めていると
失くした物がやっぱり恋しくて
飛び込んでみたくなる
そんなことを想うのだった……
作品データ
コメント数 : 9
P V 数 : 676.4
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2024-05-14
コメント日時 2024-06-08
#現代詩
#歌誌帆掲載応募
#縦書き
項目 | 全期間(2024/10/08現在) | 投稿後10日間 |
叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
技巧 | 0 | 0 |
音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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叙情性 | 0 | 0 |
前衛性 | 0 | 0 |
可読性 | 0 | 0 |
エンタメ | 0 | 0 |
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音韻 | 0 | 0 |
構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:676.4
2024/10/08 14時15分03秒現在
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見つけ出さなきゃ!ですね
1イチコメありがとうございます★ はい!見つけ出したいですね★
1観点が面白いと思いました。 環境の変化が、アイデンティティ? 自意識の大きな変化だと 最近読んだハンナ・アレントの 人間の条件の序文に書いてあったか…
1母親の胎内という場所を思えばやは深海とか宇宙とか生命につながる神秘的なものを浮かべてしまいますね。前半部分はいいと思いますよ。胎内ではまだ眼も開いていないわけだからそれを見た人間はいない。赤ちゃんです。なので自由に表現されてもいいと思う。ちょっと気になったのは後半~と、そう思っていた。~そう思った。何度も置かれた過去形ですね。~そんなことを想うのだった。終わりもそう置かれている。これは文章ではつながって読めるのに必要もなく空間に取られているからでしょうか。語り手が何度も出てくる様子で時間的にも混乱して読めてくる。この念を押すように用いられた過去形の文は要らないのでは?とかおもいましたけど。 余談ですが、羊水の~というタイトルを見れば懐かしく思い出す書き手がいましたね。確か「未詳」に取り上げられていた、かな。名前忘れちゃったけど、文極ではイカイカ氏に貶されてたな。airとかに似てるとか、彼はいまどうしてるんだろ。コメントしたことがあるのでよく覚えているんですよ。もうずいぶんと前の古い話です。要らない余談ですみません。
1コメントありがとうございます★ 人間の条件って言う本があるんですね。今度調べてみようかな(◍•ᴗ•◍)
0コメントありがとうございます★ 作品を読んで色々イメージを膨らませて頂けたとのことで、嬉しいです。 解説になりますが、主人公が故郷の海を眺め、泳いでいる自分や胎児だった頃の自分等の想像を膨らませながら、今ある自分という存在、生きている時に思いを巡らせているていう設定で書いています。 なので、後半の「〜と思った」「そう思った」等の過去形は主人公の思考を表現したく入れてみました。 アドバイスありがとうございます★ airはエヴァの「まごころを君に」のことでしょうか?ちょっと気になります(笑)
0なくしたものが底に沈む海はきっと驚くほど透明で、なくしたものすらすぐに見つけてしまうほど、透けて視えるのでしょう。 だけど、あえてそのままにして生きてゆくのも良いのかもしれませんね。
1コメントありがとうございます★ 失くしたものが沈む海は驚くほど透明、素晴らしい発想です(≧∇≦)/
1田代さん、ありがとうございます。 田城さんの素晴らしい詩の世界に感化されました。
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