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【選評】201810XXの乱。ステレオが行く!「見せてみよ。己が勝負魂」   

作成日時 2018-11-03
コメント日時 2018-11-10

 どうもおはようございます。ビーレビュー新体制になって、わずかながらも力添えをしている運営のstereotype2085です。2018年10月期選評に「見せてみよ。己が勝負魂」というまるで往年の新日本プロレスかM1グランプリのキャッチコピーのような謳い文句をつけてしまいましたが、これは後付けです。選んだ作品の多くがたまたま筆者様の「勝負魂」を感じさせるものだったということでご了承ください。それではしのごの言っても仕方ない。早速選評行ってみよー。 【大賞】 祝儀敷さん 「遺影」 10月22日掲載  https://www.breview.org/keijiban/?id=2482 もうこの詩の持つ新規性を超える作品はしばらく出てこないのでないかと思う。特殊な素材を詩作品に昇華する技術はたしかなもので安定した実力を感じさせる。ネットに流布され、拡散されていく自身の遺影を思い描きつつ、摩耗していく精神力を噛みしめるような筆致、そして偏執的な描写力。素晴らしい。この作品が投稿された時点で、この詩の面白味を超える作品は出てこないと暗に予測していたが、実際その通りになってしまった(ステレオさん比)。後続の作品が劣っていたのではない。この作品が優れていたのだ。思えば祝儀敷氏と初めて出会ったのは、某現代詩コンクールの授賞式においてで、かれこれ3年ほど前になるが、その時彼の詩について二人で交わした言葉「影響受けてるのは筋肉少女帯? オーケンさん?(ステレオ)」「わかりますっかね。悔しいっすね(祝儀敷)」が懐かしい。今や彼は彼自身の詩世界という「宇宙」を広げ、大槻ケンヂさんや筋少とは全く違う新しい次元に到達してしまった。おめでとう。そう祝ってあげたい。ちょっと力が入りすぎて自分自身疲れてしまったが(疲れるなよ)、そんな思い出さえ想起させるほどの出来栄えであった。ということで大賞に推挙! おめでとうございます! 【優良】  蛾兆ボルカさん 「雑談と『ままならぬ恋の詩』」 10月20日掲載 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2475 ビーレビューの良心、もとい重鎮といった存在のボルカ氏だが、私は彼の前作に「コントロールを磨くのに懸命で、賢明なピッチャーのようだ」との趣旨のコメを残してしまった。そのコメへの彼の返信が「私は剛速球や、絶対にキャッチさせない変化球にも自信(当社比)がある」←要約、であった。そしてその後、ある種意識的に投げ込まれたと言っていい剛速球がこの作品である。凄まじい。三人のミチコへの洞察から始まり、りなという確実に存在する人物への恋慕の情が描かれて終わるが、この作品に妙味を持たせているのはやはり前半パートだろう。三人のミチコは脳に情報としてインプットされているだけで存在しないのではないかと語りかけ、最後は「どうせ知らない人だ」と締めくくる。この辺り画家ダリと詩人アラン・ボスケの質疑集において二人が交わしたやり取り「イエス・キリストにもし会ったらどうしますか?(ボスケ)」「特に何も。なぜって私は彼を知らないから(ダリ)」を想い起こさせた。そう。著名なあの方もあの方もあの方だって実は存在しないのかもしれないのだ! 大切なのは目の前にいる愛する人、その人かもしれない。そんなことを気づかせてくれた良作。ということで優良に決定! ふじりゅうさん 「『藤井龍平の肉迫』より。」 10月21日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2481 これは当作のコメント欄にも書いたが、ふじりゅうさんの「勝負魂」が発揮された作品である。赤裸々にただ赤裸々に無残に残酷に、破廉恥なまでに(「破廉恥」だと? 笑わせるな(笑))自らの内面を解体していく。その過程が斬新で面白味があり、エグク、エグク読者の胸に迫ってくる。私は詩作品を絵に例えることが時折あるが、この作品はまさにふじりゅうさんの自画像である。かつて投稿した自作品を列挙しつつ卑下にも近い自己分析をして、なおかつ最後は「私に肉迫して欲しいだけ」と独白している。晩年のピカソの作品に、まるで「燃えカス」のようになったピカソ自身を描いた自画像「90歳」があるが、燃焼して燃焼しつくして燃えきって「燃えカス」になったふじりゅうさんの姿を、最後の独白に我々は見ることが出来る。ふじりゅうさんの勝負魂ここにあり。嫌いじゃないぜその姿勢。いやむしろ好きだ。ただし、大成功を収めたピカソは同時に「画家ではなく娼婦」と揶揄されることもあった。今後自らの心と体を切り売りしたふじりゅうさんがどこへ行くのかも見守り、今後にも期待したい。ということで優良に決定! 渚鳥さん 「癒ゆ」 10月20日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2476 さぁ熱く語ってきた「ステレオさんの選評・優良部門」であるが、いよいよラスト。このラス枠に入る作品は正直物凄く悩んだ。その後に並ぶ作品は僕にとって、ほとんどが優良クラスだと言っていい。だがしかし亡くなった父君との決別、精神的解放について書かれた(と僕自身は解釈している)この作品は実に静かなんですよ。ボロボロなんですよ。話者=筆者様が。それでも亡き父君への想いを募らせ、また父君の幻影に縛られながらも、前を歩こうとする姿が描かれている。そして最後にはついに、父君の亡霊からも解放されたのか「飢えも渇きも感じない」状態にまで至っている。さらにこの作品のコメ欄において「この詩を投稿して以来、父親の夢を見なくなりました」と筆者様は返信されている。詩作品そのものとその人物の心の変遷は分けて考えた方がいいかもしれないが、ここまで書かれたら、「到達」していただけたのならそれを祝福し、何らかの形で称揚すべきではないか? 渚鳥さん、おめでとうございます。父君の想い出をある意味、振り切れて良かったですね。私がかけられる言葉はそれだけです。ということで優良に決定! 【推薦】 5or6ちゃんさん 「サルビア」 10月4日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2391 切ないんです悲しいんですとにかくも。ですがその読者の心を見透かし、じっと見据えるかのように「『はなさないでほしい もっとはなしてほしい』」と繰り返し来る。こう来たらどんなに心が頑なな人でも手を差し伸べたくなるのではないでしょうか。だがしかし話者はまた「はなしてほしい」と来るかもしれないのです。この無限ループ。もどかしくも切ない。推薦決定! るるりらさん 「虹よ」 10月6日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2400 この作品に潜む熱情をひも解いて「勝負魂」ここにあり! というのはたしかに気が引けるが、この作品、視覚詩だけではない美しさがあり、ホントにそれが綺麗なんです。話者は「一粒の涙の中にも」「虹」が「収斂する」ことに祈りにも似た気持ちを抱いている。この作品でも筆者様はふじりゅうさんと同じく燃焼しきったのではないだろうか。それを象徴するかのようにるるりらさんの11月1作目の投稿作品は、吹っ切れたかのような「よしっ」であった。やはり燃え尽きる何かがあったのだろうと僕は思う。この美しさに一票! ってことで推薦! なかたつさん 「俯瞰」 10月31日掲載 https://www.breview.org/keijiban/index.php?id=2531 内容自体は安定した完成度を持つ。だが何よりも僕が注目したのは、筆者様の言動と行動そのものである。フルキュレーションをするであろう人々の、選評の趨勢がほぼ決まっていたであろう10月下旬、私ステレオさんはビーレビ公式アカでのツイキャス放送にて、その旨の発言をした。すると彼からさらっと「まだあと1日あるから分からないよ」とコメが入ったのである! そして最後の10月31日にこの作品は投稿されたのだ! それでいてこの洗練された作風、持ち味。確信犯的に最終日に投稿したのかどうか定かではないが、その「勝負魂」に一本! おめでとうございます。推薦です! カオティクルConverge!!貴音さん 「仲直りの嵐」 10月08日掲載 https://www.breview.org/keijiban/?id=2412 10月期に投稿した作品について、本人が「魂を込めた」と再三に渡ってツイートしていただけあって、さすがの出来。もう一作の「羽の日」よりもこちらが私の好み。ある程度造形された筆者様の姿、心情を描いた「羽の日」よりも、照れたり、臆したりする筆者様の等身大の姿が描かれた今作の方が馴染みやすい。加えてこのタイプの詩の方が実は書くのが難しかったりする。そんな恥じらいをひっそりと描いて「魂を込めた」と宣言するその「勝負魂」、天晴れであった!  と、これでstereotype2085ことステレオさんの10月期選評は終わりです。本当は前回のように気になった作品として幾つか挙げようと思いましたが、実際全作品が気になったので、今回は控えます。みなさん素晴らしかった。これからも互いに切磋琢磨してビーレビューを盛り立てて行きましょー! 以上ステレオさんがお送りしました!



コメント数(6)
蛾兆ボルカ (2018-11-03):

引用 〉「イエス・キリストにもし会ったらどうしますか?(ボスケ)」「特に何も。なぜって私は彼を知らないから(ダリ)」 ほほう! つまり、ダリはもし神に会ったら、 「君、だり?」と訊くわけですな(*´∀`*) 優良への推薦と選評ありがとうございます。 私的には、豪速球を目指してはいないのですが、そういうのも良いかなあと思っています。

渚鳥 (2018-11-03):

おはようございます。びっくりしました。 優良へ推してくださり、ありがとうございます。驚いており、うまく言葉が出てきませんが、頑張ってきて良かったと思います(*^-^*)

ふじりゅう (2018-11-05):

ステレオさん、ありがとうございます。優良に選んで頂き光栄です!

渡辺八畳@祝儀敷 (2018-11-06):

実は大賞レースに出場するのはこれが初めてである。(2017年2月に大賞とったときはまだ固定のキュレーターが選んでいた) ついにこの舞台へ立つのかと武者震いする。 「遺影」は相当好みが分かれる詩であろう。例えるならば匂いが強烈な豚骨ラーメン。しかしだからこそ強烈に刺さる人も出てくるわけで、それがstereo氏であったのだ。 オーケンの話をしたことははっきり思い出せるが、私が悔しいと言ったってのは全然思い出すことができない。もうそんな月日が経ってしまったのか。その3年は成長の時間であったかどうかを確かめるためにも大賞レースの結果がどうなるか気になるところである。

るるりら (2018-11-10):

推薦ありがとうございました。 下記の部分で笑いました。↓ >「勝負魂」ここにあり! というのはたしかに気が引ける 勝負する気は ええ まあ なかったです。うふ。 けれど、なにか綺麗なものをと開店祝いにお花をお届けするような心で投稿させていただいた私には、過分なお言葉が頂戴できたと思っています。ありがとうございます。

stereotype2085 (2018-11-10):

ボルカさん。「君、だり?」。ダリならばちょっとしたユーモアも添えてそう応えてくれるかもしれません。とにかくも素晴らしい作品でした。 渚鳥さん。やはり夢にお父様が出なくなったということは「癒ゆ」に何かしら霊的なパワーが宿っていたのでしょう。 ふじりゅうさん。惜しい! 「遺影」がなければ恐らく大賞候補でした。まぁしかし僕の「夢の跡…」もあと一歩だったってことでイーブンイーブンでしょう。 渡辺さん。実はその会話が記憶にないのは正解です。なぜなら端折っているから。正確には「影響受けたのは? オーケン? 筋肉少女帯?(ステレオ)」「分かりますっかね(祝儀敷さん悔しい表情)」「悔しいの?」「そうっすね(祝儀敷)」でした。とにもかくにも冷静な分析眼に基づいた、新しい詩作という点では今渡辺さんは一つ前出ている感がありますね。 るるりらさん。開店祝いにお花を届けるような。たしかに。そう仰られて納得の一作でした。

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