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よだれが落涙する
指先に流れていく まばゆいレンズ くらべる心が はやりの港で 流行で済めば いいのだけれど 胸がざわつく。 どこか 心がノーブランドの タグみたいに 切り取られていく。 わたしは気持ちが 押しつぶされそうだわ カメラマン。 白い紙を持ち 情報の崖で こころの酸素を 薄くひろって みんな 無事で いますか。 生きている最低限の 価値よりもっと美しく 痩せていなくちゃね。 生命線と 憎しみが抱きあう。 あばらを浮かせて 笑ったり 赤いマフラーを巻く。 ここへ来て手を握るから きみと猫とわたし 窮屈なベンチだけれど 大切な場所にしよう。 言葉の水槽は並々で 誰も、 こまかな苦しみも 困りごとも 届かない。 それでも 最後には必ず 言葉には陽が射すの 小指を添えて、約束。 太陽を破って ここまで来た。 勇気と刺し違えては 光から抜いた光の血液で わたしは生きている。 食べても反射的に 吐いてしまった、 五感のエラー 青い目で叫んだ猫 わたしの声が壊れてる 沈黙の響く溝に おとの膜がある。 獣も人も おなじ痛みを嗅いだら 歩み寄って 瞳をこすりあわせるのか。 産声をあげ 闇から一℃が日出るとき 人間は二つの目を燐寸にして あかりをともす。 赤いマフラーを巻く、猫へ 淋しっか。 淋しくとも 食べて詰めて 五感が飢えていく。 聴いて触れて 指先 香って弾いて 視界から 摂食のエラー。 情報を吐き戻して、 泳ぐ 毛玉みたいな言葉は ほどいて よだれとなみだに、 針を当てる。 きみと猫、わたし 座りましょうか。 崖の近くのベンチ。 指先に流れていく まばゆいレンズ もう一度だけ カメラマン 聴かせて 白い紙を持って あなたはそれで なにを、拭きますか。 わたしは わたしは なみだにばけたよだれ よだれの、落涙を拭くんです。 針を柔らかく 涙を水に浸して 言葉の限界を探る。 よだれが声を張り上げる。 月を殴る。 切れたこころが満ち 血液はしっとりとあつい。 猫は自分の声に とうとう安堵する。 おひさまのぱりっとした 匂いだ にゃあ 毛玉をひとつはいて よだれが、落涙する。
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よだれが落涙する ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 359.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-07
コメント日時 2025-12-08
| 項目 | 全期間(2025/12/14現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


柔らかく、響きます。 感覚を開いて書いているのだな、と思います。 今日、X(Twitter)で似たようなことを書きました。 どこをどう確かめても、 おなかはすいていないのに こころがとても餓えているから 何かを口にしたい。 からだはお腹がすいてないのに、食べたい、食べることが止められない。 こころが満たされてないんですよね。 たまにあります。 よだれが落涙する。 食べたくないのに食べずにはいられない苦しみと葛藤と、ボロボロ泣きながら食べているイメージを、 このひとことより感じました。
0小さなベンチに自分の最も身近な存在と座りながら 流行に乗っかる事に躊躇いを感じながら 流行を貪欲に取り入れる肉体と 自分らしさを保ちたい心の葛藤が よだれと涙の文字から私は感じました。 ベンチに座って居る仲間に猫が加わっている事に 作品の世界観を客観的に見れている雰囲気が 個人的に好きです。
0猫に惹かれて読み、そして光を感じる。心がノーブランドのタグ…いつも、際立つ一節を見つけてしまうのです。ヘタな感想ですみません。見習うところ多し。
0こんばんは、コメントありがとうございます。 感覚を開く。 心を開く、とはまた違って 面白いですね。 食べている時って、実は五感が全て稼働しているように思いました (メロンパン→を見る、 香りを嗅ぐ、 手に持つ、ちぎる、 たべる、あじわう 咀嚼の音を聴く) こじつけかもしれませんが、 こんな感じで五感のマルチタスクなので疲れるし集中するので、 結果、苦しいがやめられない、の行動依存になってしまう部分があるのかな、と。ある意味では夢中になっている間は 凄く気をそらせるので局所麻酔のようなイメージも持ちました。 確か、コップの底が抜けているのに水を注ごうとする、みたいな話があった気がします。 底が塞げないといくら食べようと吸おうと飲もうと満ちないので、 難しい問題ですね すごく。 食べ物は特に生きるのに直結していて、切り離せないのでちかごろ、よく考えています。
1こんばんは。 コメントありがとうございます。 ちょっと冗長&世界が 入り乱れてしまった感は否めないですが >>作品の世界観を客観的に見れている雰囲気 が伝わっていてホッとしました。 どちらかというと猫がこの物語の立役者と言いますか、猫がうつ状態になるという動画を見てから、よだれと涙の境界について考え、 形にしたかったところがありました。
1こんばんは、 なんだかんだ僕も猫に頼ってばかりなんです気がつけば。 なんだろう、野良猫を見かける割合の方が高いからなのでしょうか、じゃあなんで鳩や雀は書かないんだ、と自分で笑ってしまいつつ、 際立つ一節を見つけて頂けていることに嬉しい思いです。 見習う、と言いますと それは間違いなくこちらも榮翆さんに対して見習うところ多し、です。 ヘタな感想というのは、 僕の感覚では一つとしてないので、 素直なきもちでコメントを頂けるのが一番有り難いです。 コメントお寄せ下さりありがとうございます。
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