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リアリティとアクチュアリティ
知らなかった 「現実」を表現する言葉に 二種類あるとは 一つは 私にもなじみの 対象としての現実 事物的な現実である それはリアリティといわれる しかし この他にいま一つ アクチュアリティがあると言うのだ しかも これはリアリティのように 対象的認識によっては捉えることが出来ないと言う なぜなら これは 絶えず現在進行形で動き続けているからだ そのため こちらも 終始 アクティブな行動によって対処しなければならないと もし それが可能となったときには こちらでもない あちらでもない 一種の無名の自発性のようなものが そこから湧出すると言う しかも そのときの私は 生死を繰り返す 不連続な生命ではなく その生命の彼方に脈々と連続する いま一つの大いなる生命との関り のなかにおいてあるという これは 大いなる生命との根拠関係を意味するものではないか 私はただただ 驚きを禁じ得ない…… ここで この二つの現実なるものを ごく卑近な例によって 詳説してみよう それは 野球における ピッチャーとバッターとの関係だ いや そうではなく ピッチャーとバットを握る打者との関係だ いやいや そうではない 単刀直入に ボールと人間との関係だ いま バッターが打席につく ピッチャーは 第一球のモーションに入る そして バッターは 投げられたボールの軌跡を 懸命に追う しかし 中途で追い切れず 脳裡に残るボールの残像から 手元までの 軌跡を予測する そして ここぞというときに 意を決して ホームランを狙い 大きくバットを振り回す その結果は バットにボールがかすることもなく ボールは澄まして 嘘のようにつつましくキャッチャーのミットに収まる こう書くと いかにも長い間のことのように思えるが すべては ほんの ほんの 一瞬の出来事だ にもかかわらず ここには リアリティの世界が さらに アクチュアリティの世界が あらわに顔を出し コレスポンダンス(照応)している そして これらのことから 深く納得させられることは 無名の自発性とは 他ならぬ 自ずからのことではないかと言うことだ その対義語としての 自らではあり得ない それでは 自発性が死んでしまう それに 無類におもしろいことは ホームランとは 少なくとも 自発性の表現の 見事な一形式なのではないかと言うことだ 彼方に飛ぶボールの その先に 大いなる生命の扉が開かれているなどは いかにも浪漫的ではないか
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リアリティとアクチュアリティ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 241.3
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-12-04
コメント日時 2025-12-04
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) |
|---|---|
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


アクチュアリティって、 大ファンのあの役者さんと握手したけど実感わかない、とか とうとう甲子園に出場したけどまだ実感がない、 とかいうやつですよね。つまり想像していた達成の喜びが リアルよりも遅れてやってくる。それは当然であって アクチュアリティというのはリアルの現場ではなく、常に自分の イメージのなかにあるからじゃないでしょうか。 だから憧れの人に会っても、甲子園に初出場果たしても 実感がわかず、あとで、つまりリアルが消えてから 思い出すことによってアクチュアリティ がやってくるのじゃないでしょうかね。 恋愛と恋愛詩の関係がそうですよね。恋愛真っ只中のときには だれも恋愛詩書かないですよ。それより恋愛に夢中です。 恋愛詩はそれが終わってからイメージされてはじめて アクチュアリティ(実感)を持つ。わたしはそのように考えている ので、作者さまのいうアクチュアリティへの哲学的考察には やや違和感を覚えました。
0例えがConfuseしていてわかりにくい。 出勤して来た彼女を前にして、~今日は来るとき霜が降りていたよ。 と言うのに対して、~ほら、見て!息が白いわ。と彼女が口にする違いじゃねえのかな。 ?
0お読みいただき、ありがとうございます。ご指摘の点については、ただ今、頭が混乱しているので、少し落ち着いてから考えて見たいと思います。ありがとうございました。
0お読みいただき、ありがとうございます。私にはまだ、アクチュアリティの世界が充分につかめていないので、不十分を感じています。ありがとうございました。
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