ふと目に入ったのは指先とほんの少しの赤い色だった。先ほど手を弄っていたせいで治りきらないささくれがめくれてしまったのだろう。
どうにも血というものは気味が悪くて仕方がない。なにしろ注射器やら怪我やらなど痛みの象徴に感じるし、その色だけでも痣とかマイナスな事が思い浮かんでしまう。
でも、とティッシュを絆創膏とともに用意しながら私は思った。
血というのは最初は赤いが、時間が経つにつれて黒みが増していき、より光を反射するようにすら見えてくる。血も時間が経てば腐ってしまうのだ。
つまり、私が言いたいのは血は気持ち悪いなんてことではなく(もちろん心地よいなんてことはないが)、鮮明な赤が赤黒くなることに私は嫌悪感を抱いているということだ。鮮明な赤のままであれば女性の唇やネイルとか少しは綺麗なものを思い浮かべていたかもしれない。だがそれが少し黒みを持つだけでグロテスクに感じてしまう。
鮮明な赤は生きており、赤黒いものは腐ってしまっているのだ。
鮮明な血というものは生きている証なのだ。
そんなことを考えているうちに血がティッシュに染み、一筋の赤ができた。
作品データ
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作成日時 2025-12-04
コメント日時 2025-12-04
#現代詩
#縦書き
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2025/12/05 21時17分09秒現在
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~鮮明な血というものは生きている証なのだ~ 小説からの抜粋として読める。 タイトルは「赤くあれ」ですが、 どうしても前段はあるように思えてくる。 なので、そのことを念頭にタイトルはもっと拡げてほしかったですね。 よく書けているだけに惜しい。
1ちょっと古い血液について考えてしまったのだけれど、 酸素を使い果たした静脈の血液は少し赤黒いようですね。 そして生理中の経血も(これは男性にはわかりづらい) そうして考えたとき、仮に筆者が女性の方だとすれば、「赤くあれ」 これは純血に対する憧れのようなものを示唆しているのかな、と よし!決まり。タイトルは「純血」だ。 ごめんね。
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