血染められたこの手ではハンドルはおろか日常すら掴めない。
檻の中の壁をぢっと見つめてた。鉄格子から日が射していて部分的に熱かった、神が少年が虫眼鏡に一点の光を集め小さな蟻を燃やす半ば好奇心に近い悪戯心の容量で天は私を日照り燃やそうとしているのだろうと思うと、非常にムカつき、それが神が俺に対する微笑を込めた赦しだと思うと神による罪の赦しなどクソ食らえと思えてきた。遺恨は未だ健在、腐れ膿んだ憎悪の土に復讐の華が咲くだろう。なんて、気味が悪い事を考えながら壁をぢっと見ていた。すると壁のシミが人の顔のように見えてきた。そのシミは俺を虐げ、生活の全てを管理してくる母親の顔だったり、不干渉でそれを見て見ぬふりしてた父親だったり、刺し殺した母親似の顔をした女の泣き喚く顔だったり捉えようによってはどのようにも思えてくるような顔だった。
刑務官が俺を呼びにきた。運動の時間なので俺は外に出た、太陽が俺を射していた。この光に包まれながらも俺はこの光がまるで赦すかのように射していると思うと気分が頗る不快に思えてきて思わずチッと舌打ちをしてしまった。
「何をしている!」
「太陽が眩しかったから、つい」
俺はカミュの異邦人の裁判の場面を思い出してしまった。俺が事件を起こして捕まった時、ママンは泣いてたらしいが俺は微塵も罪悪感を感じなかった、寧ろ清々しさすら感じていた。どうせあいつの教育延長線上で生かされるなら俺は今ここで締死刑にあってもいいと思えた。あぁ太陽が鬱陶しい。
作品データ
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作成日時 2025-12-04
コメント日時 2025-12-04
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) |
| 叙情性 | 0 |
| 前衛性 | 0 |
| 可読性 | 0 |
| エンタメ | 0 |
| 技巧 | 0 |
| 音韻 | 0 |
| 構成 | 0 |
| 総合ポイント | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
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2025/12/05 20時29分39秒現在
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冒頭から二行目の展開にかけては、場としての時間差を感じます。 なので二行目以降は回想として読めてくる。 これも短編小説からの抜粋として読めてきますね。 ママン、母親、わたしもちょうどこのような鬼母を題材にして、 鏡に映る自分の姿を対象にして小説風に書こうかな、 と思っていた矢先、先を越されてしまった感。 よく書けている。 いるのですが、~締死刑~は普通に絞首刑としたほうがいいですね。 それから〆のような~あぁ太陽が鬱陶しい。 これはよけいだと思います。 滲み出る汗や渇きをもってきたほうがいい。と、 そんなこんなで、ちょっと惜しいと思いました。
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