ふきのとう戯れながら這い出しぬ
春昼の歯車を押す影法師
かぎろひやみづの焔ゆらめきぬ
ミモザ咲く規制線の色零し
ふらここや振子時計に鳩の沓
空室の大きなガラス春の闇
文豪の肉筆太し春隣
芝青むボールの先を畝る雨
全員がマスクで歌ふ卒業歌
花屑に鼻を突っ込む子犬かな
燕や葬列の真中は柔道着
回送のバス離れゆく鳥雲
封筒に急ぎ句を書く竹の秋
胸像の横顔アバター梅雨に入る
万緑を毟る羊や草を研ぐ
大滝の轟音納まる襖の間
金魚玉水替えて玉軽くなる
蝉時雨子供いつしか泣き止みぬ
風よけに硝子の林檎置かれけり
一羽の鷹に捩れる百舌鳥の空
骨のやうな流木流れ着く秋燕
曼珠沙華手の内の珠透かしをり
風の向かふに永き電話を秋蟬と
秋遍路黙りこくりて日の新た
売物件花壇に長き一日かな
秋の蝶花の翳りに陽を洗ふ
火脹れし息を吐きたり鶏頭花
鉦叩き爪切る音の混じりけり
色紙の水仙並ぶ幼稚園
小六月人も何処かが咲きさうな
マスクある顔しか知らぬ人も居り
鮟鱇の怒りどこへも治らず
寒卵かたちなきもの中に揺れ
短日や乳白色の月出づる
大くぢら海の底ひに眼を開く
なかぞらに鷹の目已に冷えてをり
持ち上げて軽き机や枇杷の花
探梅へ檸檬の染みのある文庫
鷹柱立つと定めし虚空かな
作品データ
コメント数 : 1
P V 数 : 228.3
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-11-16
コメント日時 2025-11-16
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
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閲覧指数:228.3
2025/12/05 19時56分49秒現在
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「鳩の沓」 年の瀬を足繁く振り返れば、 郷愁に伽藍とした趣きも感じてきて、 こんな雅な句を見て詠めばもうお手上げですな。拍手を送りたい。
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