手のひらに黒い丸い穴がある
本当ならば気になって、
気になって眠れぬ夜になるのだが、
そんなものは知りもしない
と言わんばかりに、平穏だと思い込む
手のひらには黒くて深い穴がある
不安になる気もないので、
手の甲ばかりを見つめて、
見つめて浮き出る血管に潜り込み、
血の気も失せれば目を瞑る
手のひらの黒丸は広がって、
広がってやがては私自身が穴になる
電灯の淡い光がやたらと眩しく、
眩しいはずと目を開いて見てみたら、
光はまだ、私の元まで届いていなかった
布団の上には、人の形の穴がある
私の穴だ
じわりじわりと右手から
血管を通り心臓へ、
そのまま身体中へと広がって、
じわりじわりと、潜ったままで、
夜の部屋は穴となる
私から広がって、私は底にいる
朝までには這い出なければ、ならない
戻れなくなるだろうから、
このままではいけない、と知っている、
けれども、ただ私は、光を探していた
作品データ
コメント数 : 2
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作成日時 2025-11-08
コメント日時 2025-11-17
#現代詩
#縦書き
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2025/12/05 20時33分42秒現在
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こんばんは、 仮に、僕の手のひらに 黒い丸い穴があいていたなら 僕もやはりきになって 眠れないのだろうな、と けれどこの詩のなかでは、 平穏だと思い込む、と。 印象的なのは、 >>不安になる気もないので、 というフレーズ。 暗く、疲れる感情に対する 能動的な意志の働きかけの気配 を感じました。 終盤、穴がさまざまな場所へ 広がっていくわけですが、光はまだ届いていないわけです。 そしてラストも、 >>けれども、ただ私は、光を探していた だからけっして絶望だけで終わるとは、僕には見えませんでした。 静謐な文体で、感傷に陥らず 落ち着いて読めました。
0意外と絶望という感情のつもりはなかったのですが、改めて読み返してみると、なんとも暗い詩ですね。。笑 私は不安になった時、なりそうな時に、手のひらの黒子をぼーっと眺めてしまう癖があり、そこから広がっていった詩でした。 好意的読んでいただけて良かったです。 コメントありがとうございました。
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