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水葬
浜辺から立ち去る3つの人影を洗うさざ波はため息を洩らして引いていく 捨て置かれた影は揺らめく物憂げな意識でそれらを見送る ひときわ静かな無人駅へと単線のレール伝いに歩む様はさながら小さなひとつの葬列だ 駅舎は潮風の侵食で虚ろな老人の横顔を見せている 寂れることを余儀なくされた港町に夕闇が落ちてくる 滲んだ明かりが点々と侘しげに灯っていく 中天には痘痕面の銅色の月が大きく丸い 波紋が月光を砕き 沈黙の褥へと光の雫を降り注ぐ ウミネコや波との語らい、白鳥の飛来ももう直だ あの人の生まれ育った町だと思えば 孤独を慕う者の棲家としては悪くないだろう
水葬 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 316.9
お気に入り数: 0
投票数 : 0
ポイント数 : 0
作成日時 2025-10-30
コメント日時 2025-11-30
| 項目 | 全期間(2025/12/06現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


水葬と言えば、塚本邦雄の水葬物語を思い出すのですが、この詩は違うみたいです。しかし葬列が出て来ますね。ウミネコは海猫(ごめ)とも言いますが、あまりなじみのない鳥で、でもよく考えたら、海から遠く離れて住んで居るとカモメとかでも、殆ど馴染みがない割には、テレビのアニメや、ドラマ、バラエティー番組、旅の番組などではしょっちゅう見ているのでギャップを感じます。鳶みたいな鳥もそうなのかもしれません。この詩では白鳥が出て来て、これも馴染みの有りそうな鳥ですが、自分の住んで居るところでは、白鷺ばかりなので、リアリティーを感じる難しさを思います。この詩では外部が、詩化しているのではなくて、自然との対峙、向自有と言うのでしょうか即自かつ向自の状態、ヘーゲルの精神現象学的な自然観が有るのかもしれません。
0コメントありがとうございます。海、ウミネコ、白鳥は私にとっては郷愁の象徴のようなものでした。特に身近なのは、池の畔に住んでいた幼少期に毎年飛来する白鳥でした。
0いい詩だなあ。完成度エグ高。いやちょっと掲示板でのほほんとしてるレベルじゃないでしょう。いい詩を「鑑賞」させてもらいました。
0コメントありがとうございます。恐縮です。評価が自分には過分なもののように思いますが励みになります。
0こんばんは。先月は僕の心が沸騰していたんでしょう、 見過ごしてしまっていましたが 静謐に物事がかたられており すみずみの文の温度調節が参考になります。 冒頭、 >>浜辺から立ち去る3つの人影を洗うさざ波はため息を洩らして引いていく 文自体が波のよう、サーッと スゥーっと引いていく。綺麗。 捨て置かれた影、という表現はあまり目にしたことがなく、影に言及した表現としてかなりめずらしく感じました。印象的。 >>寂れることを余儀なくされた港町に夕闇が落ちてくる 特にこの一文が映像として浮かび、カモメなんかがうろうろ飛び回っていそうな、けれども世界自体がなにか物悲しいような なんとも言えない哀愁を感じます。 ウミネコや波との語らい、というのもすこし可愛らしくて。 引き締まった文たちが運ばれた作品で、読了後に自分自身 真水で洗い流されたようなきもちになりました。
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