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外傷が燃えている
蝋燭の奥で傷が螺子となり 耳の隣で車輪が息を吹きかけるような フラッシュバックを引き起こしている 熱い蝋が背をつたう 真っ青な空を片目で撫ぞっている あの木曜日 六号車の 風船が静かに恥じらいながら体を触られている 涙目の慟哭 その視線は、男から女へ移るとはかぎらない 人の欲望の中心は不透明で凄絶で 心の中の衝動は推し量る術がない。 その様子を指を咥えて誰かが見ているのかもしれない。 満員電車の内側で誰にも見つからないよう手を動かされ 周りの瞳がすべて 同じ目ん玉に映った 逃げ場を 塞がれた風船 膨らんで破裂しそうに震える 何年経っても、同じ針に刺される夢を もう決して整形できない世の中の ちいさな浴室の側で 体を何度も擦りながら 外傷が燃えている あの木曜日 六号車の 扉が閉まる直前も背中はだれも冷たかった。 喉が手足が 痙攣していた パスケースを取り出す指が濡れて 涙が完全にかわいた 地下鉄の風はその背中を抱き締めようとして立ち尽くした。
外傷が燃えている ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 581.8
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-10-05
コメント日時 2025-10-08
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


満員電車の中で痴漢に遭ったという話なのでしょうか。 「風船」とは自分の体のことで、それがいまだにトラウマになっている。 そんなふうに読めました。
0こんにちは、コメントありがとうございます。 そうですね、全般的なトラウマの話を描きたくて この話を選びました。 風船は人間の体のことで間違いないです。
0痴漢被害の実情が、リリカルにと言うか、むしろ抒情性を抑制して詩作したのかもしれません。なので下書きのある詩なのかもしれないと推察しました。
0こんにちは。 そうですね、抑制しなければ描けない伝わらない部分があるのかな?と最近は意識してみたり。 結構感情移入してしまう性質なのでなかなか上手く形に出来ないのですが、こういう意識をもって制作したという過程を残したくて投稿させて頂いています。客観視って難しいですね。 いつもコメントありがとうございます。
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