満たす
パン、おにぎり、菓子
咀嚼し嚥下しまだ次を喰む
腹の奥また奥へと押し付け
炭酸水で流し込む
目を瞑る
苦しくなるもまた次を喰む
箸を持つ手の甲は赤い
味気ない食事に満たされているローテーブル
手を伸ばすと全てに届く
もずく、おくら、とろろ
滑りが良くなるものを喰む
目を瞑る
苦しくなるも満たされる
目を開く
6畳一間のワンルーム
目を移す
しわくちゃのシーツのベッド
一つが切れたライト
黒い画面のテレビ
目を逸らす
壁に掛けられて埃を被る
オーバーサイズになったジャケット
窓に映った、まだ満たされぬと貪る私
鉛のように重い肚
口を押さえて便器へ向かう
喉の奥まで指を入れ
まだ届かぬと涙を流し
満たされていた物を吐き出す。
酸味と苦味と涙に塗れ
空の体は軽くなる
この吐き出した残骸に
胸の鉛も混ざったように
吐いた時だけ軽くなる
筋張り骨浮く手を拭いた
作品データ
コメント数 : 2
P V 数 : 493.4
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作成日時 2025-08-30
コメント日時 2025-08-31
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:493.4
2025/12/05 20時15分24秒現在
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吐き出す場面が印象的で。満たされていたものを吐き出す。まだ届かぬと。食べ物とは限らないところがポイントだと思いました。吐き出した残骸。からの体は軽くなる。一行目で出て来た、パンやおにぎりや菓子。そして4行目で出て来た炭酸水ではないのではないか、吐き出したのはと疑惑を持ちました。何を吐き出したのか、そこがこの詩の肝だと思いました。
1こんばんは、 この行為の辛さ想像しました。 >>筋張り骨浮く手を拭いた この文とタイトルの「満たす」が 呼応するようで 胸が痛くなります。満ちては吐く。吐いては満ちる。しかし食べても食べても、 吐かないで居ても満ちない そんな苦しみを感じます。
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