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なりすましのラプソディ
昼日中のこと 警官を騙る男からの電話の回線を伝って 気も遠くなるほどの記憶が訪れた あの男は細身に不釣り合いなスーツに身を包んでいた 背後にはいつも曇り空を引き連れて 昼夜逆転の血の気の引いた不登校児と半人前の取り立て屋 ご近所おかまいなしに毒づくブルースを唄う 興に乗ってきたところで ただでさえ建付けの悪い玄関扉にひと蹴り 型どおりを一通り終えて去って行く 猫背の中学生の頭に円形脱毛の置き土産をひとつ、ふたつ 奥から居留守の母の吐息もひとつ、ふたつ どのくらい見なくなっただろう 木枯らしが神様を伴ってあの男を連れてきた なけなしの良心掻き集めた面妖な微笑み 救いたいのか救われたいのか 追いつめ追いつめられた奇妙な果実を見た男 暗緑の死相 不可解な讃美歌のフレーズは 無常の風が巻き上げて木の間に消えた いたたまれず丁重にお断りしたわけですが 「お勧めの神様とはあいにく生前より折り合いが悪く…」 冬枯れのみすぼらしい庭 落葉を踏みしめる足音さえ残さず後にして去った 聖者のなりすましに伝えそびれた 「神はなくとも髪は生えそろった」と
なりすましのラプソディ ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 672.8
お気に入り数: 0
投票数 : 2
ポイント数 : 0
作成日時 2025-07-28
コメント日時 2025-08-10
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 | |
|---|---|---|
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


男の経歴が気になりますね、、笑 何度も読み返しましたが、文章の短さ以上に想像力をかき立てられました。とても面白かったです。
1こんにちは。 ラプソディ。狂詩曲ですね。 恐らくは借金取りではないか?と想像される男の変遷とご自分のストレスなどのことを、上品なユーモアで描かれてますね。 >猫背の中学生の頭に円形脱毛の置き土産をひとつ、ふたつ この円形脱毛症がシメに活きており、ニヤッと笑いました。 (私、さっきまで「神はなくとも髭は生えそろった」だと思っていました。苦笑) >「お勧めの神様とはあいにく生前より折り合いが悪く…」 ここもとても面白い。 「本日はお日柄も良く」という印象です。 この文言だと、お葬式でしょうかね。 大笑いとまではいきませんが、随所で、ニヤッと笑わせていただきました。 ありがとうございます。
1コメントありがとうございます。昨今、ニュースでも話題になっているニセ警官の電話が最近あったことから。「あぁ、あのニセ警官の詐欺…」で、即効切られましたけど(笑)。去年は怪しいリフォーム業者も訪れました。気をつけましょうね!
1いつもコメントありがとうございます!実在した男の事です。人生が御伽噺のように思えるまでの長い年月がデフォルメした記憶ですね。ニセ警官にはお気をつけて下さい!
1気も遠くなるほどの記憶と言うフレーズに少し魅力を感じました。毒づくブルースとは何か、興味を持てばこの詩は輝きを持つのだと思いました。「木枯らしが神様を伴ってあの男を連れてきた」こんな一行に、ふと宮沢賢治を思い出しました。 聖者のなりすましに伝えそびれた 「神はなくとも髪は生えそろった」と こんな最後の二行。赤ん坊の事だろうか?いや違うだろう。詩を読むことの意義を考えさせられました。
1いつもコメントありがとうございます!実在した男の事です。人生が御伽噺のように思えるまでの長い年月がデフォルメした記憶ですね。ニセ警官にはお気をつけて下さい!間違って自分の作品へのコメントに返信してしまいました。大変、失礼しました。
1コメントありがとうございます!恐縮です。中学生だった頃の私の不可思議で不可解な男の転身への戸惑い(借金の取り立て屋から宗教の信者としての勧誘)を元に綴ってみました。
1おはようございます。 再読してもやはり、この詩は独特な雰囲気があり、また読みたくなります。なにが、と言われると難しいのですが好きです。
1コメントありがとうございます。気に入っていただき光栄です。今後の励みとなります。
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