しわしわだった手は
あなたに触れられて
元の、なめらかな肌になった
けど、ひきかえに
しわに刻まれた
いくつかの正しいわたしは
どこかに溶けてしまった
あなたの
わたしの形を決める声が
本当の年月を言い当てるたび
わたし自らつくった
老いた仮定が
はがされ、溶けてゆく
わたし、本当は目が良くて
耳もよく聞こえるし
足もそれなりに動く
だけど
頭はしわしわのままの方が、良かったかも
ちゃんと若い
この体と
同じだけのみずみずしさで
わたしはあなたを
愛す勇気をもてるかな
何を言いたいかって
本当の願いを
あの乾いた表皮で
抑えていた、かつての正しい人が
あなたに触れられて
魔法が溶けて
愚かになることを、怖がっているって
ただそれだけの話だよ
作品データ
コメント数 : 6
P V 数 : 746.4
お気に入り数: 2
投票数 : 2
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作成日時 2025-07-26
コメント日時 2025-07-31
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
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2025/12/05 22時43分00秒現在
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ぜいたくな悩みですね。でも、みんなそういうことを考えがちかも。
0みずみずしい情感の現代詩だと思いました。 好きです。
2他人から見たら贅沢な悩みも、本人にとっては深刻な悩みであることもあると思うのですよね。
2こんばんは、 全体をなんども読み返したくなる強度のある詩ですね。 >>しわに刻まれた いくつかの正しいわたしは どこかに溶けてしまった このフレーズが印象的で、随所に散らされている“しわ”が心に引っかかります。
0本当の世界の難しさを思います。しわしわだった手をあなたに触れられて。老いた仮定とは。あなたを愛す勇気。あなたに触れられて 魔法が溶けて。詩のフレーズが、私の詩的な意識を少し覚醒させました。
0しわ、は私の中で老いの象徴です。だから仮定の中に生きる“私”は、しわによって仮定の中にいられるんです。 このフレーズが印象的と感じて貰えたのは凄く嬉しいです。ありがとうございます。
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