ゆけなかった
ひび割れた空のかけら
拾い集めて
黒曜をながした月光
あなたのような
静謐
いだかれながら
緩やかに枯れてゆく
水底の
片羽根なくした
蝶を
想った
緑は虚しく囁きかける
深い杜で甘い果実を
絡めるように
溶けあって食べてしまった
密やかな
行為の
代償
失うことは
こわくなかった
怖かったのは
満ちてゆくこと
溺れてしまえば
パウダーシュガーで
窒息しそう
抱かれるたびに
線香花火の散り消えるさま
季節外れの螢にも似て
ふるえながら
強く弱く
次第に遠く
とおくとおく
もう
伝わる聲も
響かないほど
遠くへ、と
ゆきたかった
花のあめ
ふる
その向こう
あなたの背中が透えた気がして
蹲る夜
青く争う
寒さに馴染んだ人肌と
こごえるくちづけ
滲んだのは
紫煙が
しろい雪にみえたから
清く汚れた
真白い骨に視えたから
夜明けは
コーラルブルーの
子宮のように
結露する
閉ざす沈黙
幽やかに
眠ることなく
作品データ
コメント数 : 12
P V 数 : 1086.5
お気に入り数: 1
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-07-18
コメント日時 2025-08-12
#現代詩
#縦書き
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合ポイント | 0 | 0 |
| 平均値 | 中央値 |
| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
| 技巧 | 0 | 0 |
| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
| 総合 | 0 | 0 |
閲覧指数:1086.5
2025/12/05 18時22分45秒現在
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0素晴らしい恋のうたですね。珊瑚なんですね。子宮が。女性らしさが表れています。
0そう表現したつもりは無いのですが、そう読めるんですね。ありがとうございます。
1色彩豊かな作品ですね めまいがするほどに、色とりどりに変化する景色がまた倒錯するような酔いを伴い、魅力的です。 ゆきたかった 花のあめ ふる その向こう あなたの背中が透えた気がして この一節に痺れました。 情景と共に、空間みたいなものも浮かんで、もちろん春の始まりのちょっとした肌寒さと温かさの混じった温度も。 全体を通して、綺麗だなと思う作品でした。綺麗な呼吸をしているというか。
1夜の月~水底~深い杜~花のあめ(雨)~白い雪~夜明け 『うつほ』とは空洞の意を指しますね。 そして、黒曜~緑~青~紫煙~白い骨~コーラルブルー 線香花火にみる蛍の灯り、花のふる~と、色色が様々に揺れ彩る。 これだけ直接色味を用いて表現されるのは『うつほ』 つまり森羅万象にみる空虚感。虚しさ、ということでしょう。 それは(あなたの背中が透えた?気がして)~ゆけなかった~ゆきたかった。というあなたへの想いからでしょう。 ~夜明けは、コーラルブルーの、子宮のように~コーラルブルーとは明度も彩度も高い透明感のある淡い色調を意味します。 黒髪さんが珊瑚色とコメントされている。 同様に、夜明けは、珊瑚の、子宮のように、結露する。のほうがイメージ的には立ち上がるとわたしも思いました。 何故かというと緑や青、また紫煙やコーラルブルーと直接書かれても、どの色味を想像したらよいのか、色はそれほど微妙で複雑に混じり合います。 それは例えば、相手から身体を叩かれて、痛い!痛い!と叫んでいるようなもので、どのような痛みなのかは読み手には伝わらない。ということに等しくなりますね。 なので比喩表現というものが用いられるのです。 黒曜をながした月光とはただ黒い影のような色なのか。 虚しく囁きかける緑とは、深い杜のどのような色なのか。 争う青とは、滲んだ紫煙とは、 色調を言葉で置かれただけでは、より具体的にイメージは広がらない。と思うのです。
1こんばんは、 >>失うことは >>こわくなかった >>怖かったのは >>満ちてゆくこと この連が印象的ですね。 詩の雰囲気も素敵だと感じます。 満ちてゆくことが怖いという意識が胸に迫ります。
1やっと体調が戻ってきたので、 のちほど返信いたします。
0えんがわさん、 コメントありがとうございます。 実はアラガイsさんに、ハッキリ指摘されるまで、 何処がどう色彩豊かなのかわかっていなかったのです。苦笑 だから、コメントを拝読した時に、「へ?」と目が点になりました。 この詩は、ひらすら美しいと思うことばを並べて書いたものです。 しかも、私には珍しく、一週間悩みに悩み、大好きなフレーズもバッサリ削って、苦労して書き上げました。 あ、ありがとうございます。 その部分は気に入っているんです。 きれいな呼吸。素敵。 身に余る褒め言葉です。 使った音楽が関係しているのかもしれません。 ブラームス、協奏曲6番。 CDがおかしくなるまでリピートしました。 この一作は、私に詩を書くことの大変さを教えてくれた一作であり、 それが故に、思い入れが深いのです。
0アラガイsさん、 コメントありがとうございます。 (アラガイsさんと呼ばせてくださいね) 流石です! この詩の何処がどう問題なのかを、 鮮やかに浮き彫りにしてくださり、 ありがとうございます! 「痛い!痛い!」の例え、 とても分かりやすいです。 そうですね。 この詩は謂わば、 雰囲気だけで書いた詩です。 美しいと思うことばをちりばめ、 とことん美しさにこだわって書いた詩です。 「美しい」という観点から見れば、 私の目には美しく映るのですが、 「表現」という観点からみれば、正に「うつほ」。 空っぽですね。笑 リライトする気はありませんが、 自分の問題が、どこにあるか、とても良く分かりました。 かえすがえす、 ありがとうございます!
0わーい! ぼんじゅーるさんだー! 嫌われてるかな?と思ってたので、 ぼんじゅーる作品はスルーしてたのですが、 とても嬉しいです。 コメント、ありがとうございます! その部分、 田中宏輔さんが「共感する」と、仰有ってくれた所です。 最近になって、 私もようやく、その部分が理解できるようになりました。 (理解せずに書いてたんです。苦笑) まあね、「うつほ」を書いた自分は「うつけ」だったってことで、お許しを。 (体調が良くなったら、コメントしに伺いますね) ありがとうございました。
1こんばんは、全然嫌っていませんよ、体調が優れないのでしょうか 回復されるまで無理のない範囲で、ゆっくりと お過ごしください。なにせ暑さもまだ辛い季節ですので。
1ありがとう!
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