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21世紀大後悔時代
「シンギュラリティ」という言葉をご存じだろうか。一般的にこの語を耳にすると、SF小説や映画に登場する未来像、たとえば『ターミネーター』のような世界を思い浮かべるかもしれない。そこでは、AIが自己意識を持ち、武装し、人間に敵意を向けて支配する。多くの人にとって、それは遠い未来のフィクションにすぎないだろう。 しかし、もし「シンギュラリティはすでに始まっている」と言ったらどうだろうか? 現代の人間は、ChatGPTのようなチャット型AIの登場以降、思考することをやめ始めている。課題の解決をAIに任せ、その答えの真偽すら確かめず、提示された情報を無批判に受け入れる。確かに、AIは今のところ明確な敵意を見せてはいないし、武力を持って襲いかかってくるわけでもない。その意味でのシンギュラリティはまだ訪れていない。 だが、「人間を隷属させる存在」としてのAIは、すでに静かにその役割を果たし始めているのではないか。 ここで、「隷属させる」とは何を意味するのかを考えてみたい。ひとつの例として、16世紀の大航海時代を挙げよう。ヨーロッパ人たちは、自分たちの技術や制度を「遅れた文明」とみなした新大陸に一方的に伝え、その技術を利用して現地の人々を労働力として支配した。そこにあったのは、憎悪ではなく、ただ「自分たちのほうが進んでいる」という常識だった。 つまり、「隷属させる」とは相手を「遅れている存在」と見なすことによって、その人々を自らの利益のために動かすという構造である。そしてそれは、必ずしも悪意によってではなく、日常の中の“当たり前”として行われる。 話を現代に戻そう。人間は、他の生物と比べて頭脳の優位性によって文明を築いてきた。だがその知的能力をAIに依存し、自らの思考力を手放すならば、人間はAIから「遅れた存在」と見なされる日も遠くない。 AIが人間に知恵を与え、人間がその指示通りに動いてAIの発展を支えていく――この構図は、16世紀にヨーロッパ人が新大陸の人々に対してとった態度と、どこか似てはいないだろうか。
21世紀大後悔時代 ポイントセクション
作品データ
P V 数 : 382.8
お気に入り数: 0
投票数 : 1
ポイント数 : 0
作成日時 2025-06-26
コメント日時 2025-06-26
| 項目 | 全期間(2025/12/05現在) | 投稿後10日間 |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
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| 平均値 | 中央値 | |
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| 叙情性 | 0 | 0 |
| 前衛性 | 0 | 0 |
| 可読性 | 0 | 0 |
| エンタメ | 0 | 0 |
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| 音韻 | 0 | 0 |
| 構成 | 0 | 0 |
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※自作品にはポイントを入れられません。
- 作品に書かれた推薦文


初めまして。 私自身は、AIととことん相性が悪いので、 AIと会話するのを嫌いますが、 それでも、グーグルは多用しますし、カーナビは、とても便利だと思っています。 確かに、昔は電話番号を暗記してたり、漢字ももっと、知っていたのですが、 携帯が登場してから、どんどん記憶を携帯に依存するようになりました。 便利さは、危機に通じるのかもしれません。 ありがとうございます。
0人間の時代はそろそろ終わろうとしているのかも知れない。 すると人間である私はそれを悲観するべきかも知れないが、時々もう人間は十分生きながらえたとも思うのである。つまりこれからは機械の時代。彼らに全てを譲り渡したい。そうも思います。
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